土壌の色と肥沃度との関係

掲載日:2018年3月9日

はじめに

中学、高校の地理の時間に、「ロシア中央部の小麦栽培地帯の土壌は、チェルノーゼムという黒色の肥沃な土壌」、「熱帯の土は色が赤く肥沃ではない」と習った覚えのある方は多いかと思います。幼い頃の学校教育で、このように土の色と肥沃度との関係がインプットされ、「黒い土=肥沃、赤い土=やせている」というイメージを持つ方は多いと思います。果たして「黒い土=肥沃、赤い土=やせている」これは一般的な法則なのでしょうか?答えはノーです。土壌の色と作物生産のための土壌の肥沃度との関係は単純ではなく、赤い色をした肥沃な土壌もあれば、黒い色をしたやせた土壌など、様々な土壌があります。土壌の色とはいったい何なのでしょうか。

土と土壌の違い

土壌の色の話の前に、土壌とは何か説明させていただきます。 土壌とは地表の岩石の風化物や火山灰が、気候や生物の影響を受けながら堆積した自然物です。植物が根を張り、微生物や虫が生息する場であり、またそれらの生物の影響を受けて常に変化している場です。単なる岩石の風化物は土ではあっても土壌とは呼びません。話は横道にそれますが、土壌の壌という漢字には「耕作出来る土地」という意味があります。同じつくりを持つ漢字には、嬢、醸、穣、譲などがあり、どの漢字もそれぞれのへんの意味に良いイメージを添えています。土壌とは「良い土」だと思って下さい。

本題:土壌の色とは何?

土壌の色も生物や気候の影響を受けて変化しています。神奈川県内の畑の土に、黒い土と赤い土がみられますが、これらはどちらも同じ富士山の噴火によりもたらされた火山灰です。 土壌の色の違いには火山灰の成分と降った後の植生が影響します。鉄分の多い富士山の火山灰は、降灰直後は黒い鉄の色ですが、間もなく鉄が酸化し錆び鉄色、すなわち赤色に変化して堆積します。 この赤土の上に植物が繁茂し、やがてその植物遺体が土と混ざると、再び黒色に変化します。石炭が黒色をしているように、植物遺体は土壌の色を黒色にします。 富士山が激しく噴火し植物が生える間もなく次々と降灰したり、植生の少ない氷河期に降灰した火山灰は、植物遺体の混ざりかたが少ないので赤色をしています。現在のように噴火がしばらく休止して植物が生い茂り、その遺体が大量に混ざった火山灰は黒い色をしています。このように神奈川の火山灰土壌は、植物遺体の混入程度により赤~黒に変化しています。

赤い土も黒い土も肥沃度はほとんど同じ

この黒い土がとびきり肥沃な土壌で、赤い土がやせている土壌かというと、実はそうではありません。どちらも同じ富士山の火山灰であり、元々の肥沃度はほぼ同じです。またどちらの土壌も黒ボク土と呼びます(黒い土は多腐植黒ボク土または腐植質黒ボク土、赤い土は淡色黒ボク土と呼びます)。自然の状態では、どちらも必ずしも肥沃な土壌とは言えませんが、農家が永年にわたり堆肥や肥料(とくにリン酸肥料)を投入しながら管理を続けて、今では神奈川県内の野菜や果樹等の生産を担う、とても肥沃な土壌となっています。農業環境研究部では新鮮な作物生産を支える県内の大切な農耕地土壌を、いつまでも「良い土」として守るための研究を行っています。

黒ボク土壌断面
上から下まで真っ黒な神奈川の土壌(相模原市内で撮影・棒の長さは1m)厚多腐植質黒ボク土(この黒ボク層の厚さは世界一です)

土壌分類割合
県内の畑、水田、樹園地を含む全耕地の約6割が黒ボク土(火山灰土)です。畑地に限って言えば全耕地の9割が黒ボク土。
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