土壌還元消毒後の施肥を考えていくために(2)

掲載日:2018年3月9日

化学合成農薬を用いない土壌消毒方法として土壌還元消毒が注目されています。

この土壌還元消毒については以前(2004年5月)ご紹介し、「土壌還元消毒後の施肥上の問題点」や「土壌還元消毒後の作物の生育」についてご説明しました。

そこで、今回は土壌還元消毒による土壌中の無機態窒素の増加量を考慮した施肥を行ってコマツナを栽培した結果についてご紹介します。

 

1 土壌還元消毒処理に伴う有機物の分解

 

土壌還元消毒ではフスマ等の有機物を土壌に大量に施用(1Kg/1平方メートル)します。

このときにフスマ等の有機物から放出される窒素が問題になっています。

図の1に土壌還元消毒によりフスマ等の有機物がどのくらいの時間で分解するのかを示しました。

その結果、図の1に示したようにフスマ等に含まれる炭素は4週間、窒素は8週間で放出されることが分かりました。

フスマ散布有機分解表

2 土壌還元消毒処理に伴う土壌の無機態窒素の変化

 

(1)深さ方向への影響

土壌還元消毒では施用した有機物を土壌によく混和します。

表2に示した結果によると表層の土壌より深さ15cmから30cmの土壌でECや硝酸態窒素が増加していることがわかりました。

通常、土壌の分析(土壌診断)を行うときには土壌の表層部の成分量だけを考慮していますが、土壌還元消毒後に行う土壌診断では、表層から深さ30cm程度までの土壌中の肥料分についても考慮する必要があることが明らかになりました。

平塚市と大磯町のガラス温室で行われた土壌還元消毒の結果を表2に示します。

耕耘化学性表

 

(2)灌水の影響

土壌還元消毒ではフスマ等の有機物を土壌混和した後に、大量の灌水(150リットル/平方メートル)を行います。表2に示した結果をみると、土壌中の無機態窒素は硝酸態窒素(NO3-N)よりもアンモニア態窒素(NH4-N)が大きく増加しました。

一般的に畑の土壌中には硝酸態窒素が多く存在していますが、水田では土壌が還元状態になりアンモニア態窒素が多く存在しています。

通常、畑において作物への施肥を考えるときには硝酸態窒素の量だけで施肥量を決めていますが、土壌還元消毒後にはアンモニア態窒素の量も考慮して施肥量を考える必要があるようです。

潅水被覆

 

(3)土壌消毒後の残存無機態窒素を考慮したコマツナの栽培 

土壌消毒後に土壌中に残存している無機態窒素量を考慮して窒素肥料の施用量を調節し、コマツナを栽培しました。

この結果を表3に示します。土壌中に十分に無機態窒素が存在していれば、窒素肥料を施用しなくても、コマツナの収量に有意差は生じませんでした。

さらに、窒素肥料の施用量を調節してコマツナを栽培しても、収穫後の栽培跡地では太陽熱消毒より土壌還元消毒で硝酸態窒素が多く残存していることが明らかになりました。

よって、次の作付けにおいても、施肥量の調節が必要になることが示唆されました。

 

収量

 

 

コマツナ1コマツナ2

 

 

 

 

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