水田からのメタン発生量(生産環境保全分野)

掲載日:2018年3月6日

<はじめに>

近年、地球の温暖化が問題となっています。1997年の12月には、京都において地球温暖化に関する国際会議も開催され、世界的な規模での対策が望まれています。

温室効果ガスといえば、日本においては発生量の約90%をしめる炭酸ガス(二酸化炭素)が特に話題となっていますが、農業の分野では、水田や家畜からのメタン、畑からの亜酸化窒素があげられます。ここでは、特に神奈川県における水田からのメタン発生量の調査結果についてご紹介します。

<なぜメタンが問題となるのか>

大気中のメタンガス濃度は1.7ppm程度で、炭酸ガスの350ppmと比較すると低い濃度となっています。しかし、1分子当たりの温室効果で比較すると、メタンは炭酸ガスの約20倍の影響力を持っています。 

また、メタンの発生源としては、水田以外に自然湿地やシロアリ、天然ガスなどいろいろあげられます。水田からのメタン発生量は、総メタン発生量の約20%を占めているといわれていますが、いずれの発生源についても十分な実測データが蓄積されておらず、大きな測定誤差を含んだ数値で示されています。そこで、1992年から農林水産省の事業の1つとして、全国の農業試験場等でメタン発生量動態調査が実施されました。

<メタン発生のメカニズム>

水田におけるメタンは、水田が湛水状態にあって土壌が還元的な条件になったとき、嫌気性細菌であるメタン生成菌によって生成されます。土壌中で発生したメタンは、気泡、田面水への拡散、水稲の茎を通過するといった3通りの方法で大気中へ放出されます。このうち、水稲の茎を通過して放出される割合が最も多く、約90%を占めています。従って、水稲を栽培していない水田からのメタン発生量は、水稲を栽培した場合に対して非常に小さくなります。

米の生産の場である水田において、水稲を栽培することがどのくらい環境に影響を及ぼしているか、その実態を把握しておくことが非常に重要となっているわけです。 

<神奈川県における水田からのメタン発生量>

1992年から始まった農林水産省の事業をうけて、神奈川県においても、平塚市寺田縄、伊勢原市大田、開成町吉田島の3カ所で、メタンの発生量の実態把握と発生抑制対策について検討しています。

メタンの測定は、メタンのほとんどが水稲の茎を経由して大気中に放出されるため、写真のように水稲全体をおおうようにチャンバー(箱)をかぶせ、その中の空気を一定時間毎に採取し、時間当たりに増加するメタンの量から発生量を計算します。測定は、水田に水がある期間の6月から10月にかけて、概ね週に1回の間隔で実施しました。


メタンの採取風景

下のグラフから期間中のメタンの発生量を積算すると、多いところで1平方メートル当たり20~25gのメタンが発生しています。神奈川県の水田面積を約4000haとすると、神奈川県の水田からは約1000tのメタンが発生しているという試算になります。この発生量は、メタン発生量動態調査の全国とりまとめからみると、全国の水田からの発生量の約0.2%程度になります。

<メタン発生を抑制するためには>

メタン発生の時期的変動をみてみると、田植え以降の6月~7月にかけて発生量が増加し、7月下旬~8月上旬の中干しによって発生量が激減し、その後8月~9月に水があってもメタンはあまり発生しないことがわかります。従って、メタン発生を抑制するために、中干しはたいへん重要なことだといえます。

また、冬作が作付けられていた場合、地上部は刈り取ってしまっても切り株や根が残っており、それが春先に鋤き込まれることになって、メタンの発生量が増大します。有機物の施用は春先ではなく、秋~冬にできれば堆肥化したものを施用することが、メタン発生の抑制には効果的です。

これらのことは従来から推奨されてきたことであり、とりたてて新しい技術というわけではありません。メタン発生の抑制という点からみても、本来の水田は、十分に環境に配慮した方法がとられていたと言えるでしょう。


神奈川県の水田からのメタンガス発生量
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