ナシの新品種 「なつみず」

掲載日:2018年2月27日
なつみずの実
なつみずの樹

背景と目的

神奈川県産ナシの販売方法は直売や宅配がほとんどで、完熟の美味しい果実を販売できる特徴があります。特にお盆前の贈答用の需要が多く、対応できる品種が求められていますが、主要品種の‘幸水’は収穫の中心がお盆過ぎになってしまい、他の既存品種でもお盆前の贈答用に適した品種がありません。そこで‘幸水’よりも早く収穫でき、お盆前の需要に対応できる大玉で品質良好な赤ナシ新品種‘なつみず’を育成しました。

育成経過

‘なつみず’は平成10年(1998年)に農業技術センターで‘喜水’に、‘あけみず’を交配した実生から選抜しました。2005年に初結実し、2006年に‘幸水’より10日程度早く収穫され、大玉で果実品質も優れていると認められたので、有望系統と判断しました。平成24年(2012年)10月23日付けで種苗法に基づき品種登録されました(登録番号第22054号)。

特性

樹・花の特性

樹勢はやや強く、ほう芽始期は育成地(平塚市)で3月30日頃です。満開期は4月11日頃で‘豊水’とほぼ同時期です。腋花芽の着生は少ないため、短果枝を中心に着果させるようにします(第1表)。

第1表 ‘なつみず’及び対照品種の生育特性(2007から2009年の平均)

品種名 樹勢 満開日 収穫始め 収穫終り 短果枝着生 腋花芽着生
なつみず やや強 4月11日 8月1日 8月11日
新水 4月10日 7月30日 8月12日
幸水 4月14日 8月12日 8月31日
喜水 4月11日 7月28日 8月7日
あけみず 4月8日 7月26日 8月7日

果実の特性

‘なつみず’の収穫期は主要品種の‘幸水’よりも10日程度早く、8月上旬から中旬で、お盆前の需要期に収穫盛期となる品種です(第1表)。
果実は円形で果皮色は黄赤褐色、果形が良く外観良好です。3年間の平均果重は442gで、早生としては極めて大玉です。糖度は12.8%でわずかに酸味がありますが、糖酸のバランスは良く食味は良好です。果肉硬度は4.7lbsで‘幸水’と同程度の硬さです(第2表)。


なつみずの実

第2表 ‘なつみず’及び対照品種の果実特性(2007から2009年の平均)

品種名 果形 果皮色 果実重(g) 糖度(Brix%) 酸度(pH) 硬度(lbs)
なつみず 黄赤褐 442 12.8 4.9 4.7
新水 偏円 黄赤褐 259 14.0 4.7 4.9
幸水 黄赤褐 437 12.6 5.3 4.6
喜水 偏円 黄赤褐 349 12.3 5.3 4.2
あけみず 黄赤褐 351 13.2 4.9 5.3

栽培管理

‘なつみず’は主要品種の‘幸水’と比べて軸が短く折れやすいため、上向きの果実は摘果します。種子親の‘喜水’は黒斑病罹病性の品種ですが、‘なつみず’は黒斑病抵抗性です。黒星病やその他の病害虫は慣行の防除で対応可能です。

※当所では、平成25年度以降、収穫時期が遅れた一部の果実に果芯部分が褐変する症状が見られていますので、注意が必要です。