基地対策に関する要望書(別冊) 〔 日米地位協定関係 〕 平成19年8月 渉外関係主要都道県知事連絡協議会 (略称:渉外知事会) 【構成14都道県】 北海道、青森県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 山梨県、静岡県、広島県、山口県、福岡県、長崎県、沖縄県 1 平成19年度基地対策に関する要望書のうち、「2 日米地位協定に 係る要望」について、別冊としたものである。 2 この別冊では、要望及び要望に至った理由について記載している。 このうち、要望については各項目前段の枠内に、要望理由について は枠外に、それぞれ記載した。 2 日米地位協定に係る要望 (注)/本項において各要望項目に付してある( )書及び〔 〕書は、 各条項の内容把握のために渉外知事会が説明を付したものである。 (1) 全体関係 【要望先:外務省】 <日米地位協定の見直し等> ア 日米地位協定について、2、3年以内等できるだけ短い期限を設 けて抜本的な見直し作業に着手するなど、実務的な対応を行うとと もに、その運用について適切な改善を図ること。 <運用についての情報提供> イ 地位協定及びその合意事項について運用実態を取りまとめ、住 民、地方公共団体等へ情報提供すること。 日米地位協定は、日米を取り巻く安全保障体制や我が国の社会経済環境 が大きく変化したにもかかわらず、45年以上もの間、見直されておらず、 社会情勢に対応できなくなっています。 当協議会では、これまでも日米地位協定の見直しを繰り返し求めてきま したが、未だに具体的な取組が行われておりません。 米軍基地に起因する事件・事故、環境問題等の根底には日米地位協定 があり、こうした問題を抜本的に解決するためには、日米地位協定の見直 しが必要と考えます。 また、日米地位協定の運用は、国民の安全を守るという観点から、適 切に行われるべきものであり、その運用実態については、住民や地方公共 団体の理解を得るためにも情報提供することが必要と考えます。 (2) 2条関係(施設・区域の提供等) 【要望先:外務省・防衛省・防衛施設庁】 ア 2項関係〔施設提供の合意〕 <返還にあたっての地元意向の尊重> (ア) 地元地方公共団体からの要望等により、基地の返還についての 検討に際しては、あらかじめ当該地方公共団体の意見を聴取し、 その意向を尊重する旨を明記すること。 <施設新設等にあたっての地元意向への配慮> (イ) 基地の機能強化及び恒久化につながる施設の新・増設にあた − 1 − っては、地元地方公共団体の意向に十分配慮する旨を明記するこ と。 <使用目的の審査> (ウ) 基地の利用にあたっては、定期的に使用目的等の審査を行うと ともに、その審査に際して当該地方公共団体の意見を聴取し、そ の意向を尊重する旨を明記すること。 <提供地の境界確定等> (エ) 提供地の境界を明確にするとともに、提供地内の土地について も、公図の整備を図るなど、将来、権利者間に紛争の生じないよ う措置すること。 (2)2条関係(施設・区域の提供等) ア 2項関係 米軍基地の存在は、まちづくりや、事件・事故、環境問題など、周 辺住民に多大な影響を与えており、米軍基地から派生する諸問題の解 決を図るためには、基地周辺住民や地元地方公共団体の理解を得るこ とが不可欠です。 このためには、基地の提供、運用、返還等に関して住民や地元地方 公共団体の意向が反映できるような仕組みや基地の使用目的等を定 期的に審査する規定を明記することが必要と考えます。 また、提供地に係る権利関係を明らかにし、権利者間に紛争が生じ ないようにすべきと考えます。 イ 4項関係〔共同使用〕 <共同利用等の推進> (ア) 基地内道路、遊休地等の共同使用及び基地周辺国有地の住民利 用を積極的に推進すること。 <民間航空利用の促進> (イ) 横田飛行場及び岩国飛行場の民間航空との共同利用について、 周辺対策を講じながら早期実現を図ること。 − 2 − <日米合同委員会等共同使用のための協議の迅速化> (ウ) 地元地方公共団体から基地の共同使用の要望がある場合、日米 合同委員会等での協議を速やかに行うこと。 イ 4項関係 広大な米軍基地の存在は、土地利用に大きな制約を与えていること はもとより、産業経済活動や通勤・通学など地域住民の身近な生活に も大きな影響を与えています。 当協議会では、これまでも米軍基地の整理・縮小及び早期の返還を 求めており、特に遊休地については積極的な返還を推進してきました が、返還が実現されるまでの間は、基地内道路や遊休地、共同で使用 することが可能な施設等については、地域住民の生活の利便性等を確 保する観点から、できる限り住民が利用できるよう共同使用を積極的 に推進すべきものと考えます。 また、周辺住民が大きな負担を強いられていることを踏まえ、基地 周辺国有地の住民利用についても積極的に進めるべきであり、こうし た住民利用は住民の要望に基づき速やかに処理されるべきものと考 えます。 (3) 3条関係(施設・区域に関する措置) 【要望先:外務省・防衛省・防衛施設庁】 ア 1項関係〔3条管理権〕 <基地機能等の変更に係る地元への協議> (ア) 基地内において、規模・機能を変更(中隊の配備等)しようと するときは、これを日米政府間の協議事項とし、あらかじめ地元 地方公共団体に協議することを明記すること。 また、米国政府は基地内における米軍施設の新・増設及び改修 の際には、日本国内法を遵守するとともに、環境アセスメントの 実施を明記すること。 <施設改修にあたっての地元意向への配慮> (イ) 基地の機能強化及び恒久化につながる施設の改修にあたって は、地元地方公共団体の意向に十分配慮すること。 <基地内への立入り> (ウ) 公務遂行のため、地元地方公共団体職員が基地内への立入りを 求めた場合に速やかに応ずる旨を明記すること。 − 3 − <生活環境の保全に係る国内法の適用等> 【要望先:外務省・環境省・防衛施設庁】 (エ) 基地周辺の生活環境の保全及び安全の確保のため、基地内にお ける大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に 関する法律など日本国内の法令(地方公共団体が定める環境保全 条例等を含む)を適用する旨を明記すること。 また、米軍が定めている現行の日本環境管理基準(JEGS) について、訳文及び解説書を作成し公表するとともに、問題が発 生した場合の立入調査はもとより、その運用実態を地方公共団体 が定期的に検査・確認できるしくみを早急に確立すること。 <環境調査等の実施> 【要望先:外務省・環境省・防衛施設庁】 (オ) 基地内及び基地周辺において、国内法による大気・水質等の環 境調査の実施、結果の公表及びそれに基づく改善を行うこと。 <各種環境汚染等への適切な措置> 【要望先:外務省・環境省・防衛施設庁】 (カ) 基地に起因する騒音、大気汚染、水質汚濁等により環境への影 響が生じた場合又は国若しくは地方公共団体が影響が生じると 想定した場合には、環境影響評価又は環境影響調査を迅速に実施 して、その結果を公表するとともに、これらの結果を踏まえて日 米両国政府において直ちに適切な措置を講ずる旨を明記するこ と。 また、老朽化した公害防止施設については、地元地方公共団体 立会いのうえ早急に点検し、整備すること。 <河川氾濫等の適切な対策> (キ) 基地内の河川等の氾濫や、雨水、油、土砂の流出などにより、 基地周辺地域に被害を及ぼさないよう適切な対策を講ずること。 <廃棄物等の適正処理と情報公開> (ク) 基地内の廃棄物等については、その分別を徹底することにより 可能な限りリサイクルを推進し、排出抑制を図るとともに、廃棄 物焼却施設等の整備を含め米国政府の責任で適正に処理するこ と。 また、地元地方公共団体の求めに応じて、基地内にある廃棄物 等の種類、数量、場所、保管方法、処理及び輸送計画等に関する 情報を公開すること。 さらに、基地内におけるPCB含有廃棄物の適切な保管に努め − 4 − るとともに、国外への搬出にあたっては、その安全確保に十分努 めること。 <害虫対策と情報提供> (ケ) 基地内での害虫の大量発生等基地周辺住民に不安を与えるよ うな事態が生じた場合には、米軍の責任で適切な対策を講ずると ともに、速やかに地元地方公共団体に情報提供すること。 また、地方公共団体が実施する基地周辺の害虫棲息調査等に要 する経費について助成措置を講ずること。 <航空機騒音の防止対策> (コ) 消音施設、防音林、緑地帯を増設・整備するなど、航空機等騒 音防止の対策に万全を期すこと。 <砲撃による振動対策等> (サ) 砲撃等による発射音、炸裂音及び振動の防止を図るとともに、 遮音壁の設置等適切な対策を講ずること。 <弾薬爆破処理時の騒音等の防止> (シ) 弾薬爆破処理時の騒音等の防止については、万全の措置を講ず ること。 <実弾演習時の環境配慮・不発弾による事故防止対策> (ス) 実弾砲撃・射撃演習により派生する環境への影響等に配慮する とともに、不発弾に起因する事故が発生しないよう演習場に残る 不発弾処理について早急に適切な対策を講じ、その結果を公表す ること。 また、一般住民に不発弾に対する危険の周知を図るため、広報 についても適切な対策をとること。 <戦車等の騒音の抜本的対策> (セ) 戦車、装軌車等の大型車両の通行に伴い発生する騒音、振動、土 ぼこり及び道路上に堆積する泥土等により、基地周辺地域に被害 を及ぼさないよう緩衝緑地帯の造成等抜本的な対策を講ずるこ と。 <環境保全への措置> (ソ) 演習・訓練等による自然破壊のないよう必要な措置を講ずるこ と。 − 5 − また、基地内の自然環境の保全、文化遺産の保存について必要 な措置を講ずること。 <米軍構成員等の規律の保持> (タ) 米軍構成員等による犯罪、交通事故を防止し、住民の不安の解 消を図るため、規律の厳正な保持、教育訓練の徹底、警らの強化 等適切な措置を講ずること。 (3)3条関係(施設・区域に関する措置) ア 1項関係 我が国においては、多数の住民が生活している地域に隣接して基地 が置かれている現状があり、基地内でとられる措置等が周辺住民に大 きな影響を与える可能性があります。 特に基地機能の変更等は、日々基地とともに不安を抱えて暮らして いる周辺住民にとっては大きな問題であり、中隊の配備等について も、あらかじめ地元地方公共団体と協議したうえで、日米両国政府間 の協議事項とすることを明記すべきものと考えます。 また、大気汚染や水質汚濁、米軍機や実弾演習、廃弾処理等に伴う 騒音等の環境問題が周辺住民の生活環境に多大な影響を与えている ことから、基地内への立入りを求めた場合に速やかに応ずることや深 刻な環境問題の発生を未然に防止するため、環境法令等の日本国内の 法令(地方公共団体が定める環境保全条例等を含む)を適用する旨明 記すべきと考えます。 さらに、米軍が定めている現行の日本環境管理基準(JEGS)に ついては、訳文及び解説書を作成・公表し、問題が発生した場合の立 入調査はもとより、その運用実態を地方公共団体が定期的に検査・確 認できるしくみを早急に確立すべきと考えます。 その他、基地に起因する環境汚染や環境被害が発生した場合又は発 生するおそれがある場合の各種環境対策や基地内の廃棄物等の適正 処理、演習等に起因する事故や騒音等の防止、文化遺産の保存等につ いても周辺住民に十分配慮し、必要な措置がとられるべきと考えま す。 また、不発弾処理の問題については、返還後の跡地利用の支障にな らないよう、あらかじめ、適正に処理する必要があり、その結果につ いても公表すべきと考えます。 さらに、米軍人等による公務外の事件・事故が発生していることか ら、それらを防止し、住民不安の解消を図るため、米軍人等の規律の 保持等について適切な措置を講じる必要があると考えます。 − 6 − イ 2項関係〔通信の確保〕 <電波障害防止制限区域の見直し> 基地に起因する電波障害防止制限区域及びその制限基準については、 周辺地域の住環境の実情に即して見直すこと。 イ 2項関係 電波障害防止区域及びその制限基準により周辺住民が建築の制限 等を余儀なくされています。 このような規制が周辺地域の住環境に影響を与えてきたことを考 慮し、地域の実情に合わせて見直しを行うべきと考えます。 ウ 3項関係〔公共の安全〕 <基地運用にあたっての安全確保> (ア) 基地の運用にあたっては、周辺住民に不安を与えないよう、安 全確保に細心の配慮を払うこと。 <航空機燃料管理等の安全確保> (イ) 航空機燃料、弾薬等危険物の管理・輸送及び演習(日米共同訓 練を含む)時の安全確保について、特に万全の措置を講ずること。 <演習・訓練情報の事前通報と公表> (ウ) 基地及び演習・訓練区域周辺住民に影響を及ぼすような演習・ 訓練に際しては、住民の不安を取り除くためにも、速やかに具体 的な演習・訓練内容等について関係機関に事前通報するととも に、演習・訓練に関係する地域において演習・訓練内容等を国の 責任で公表し、住民からの問い合わせや苦情に対して、責任をも って対応すること。 また、日本の排他的経済水域における米軍の演習・訓練につい ては、演習・訓練に関する情報の入手に努めるとともに、情報を 入手した際は速やかに公表し、関係機関、地方公共団体へ情報を 提供すること。 <演習・訓練等の活動> (エ) 演習・訓練等の際は、日本国内の環境法令等を遵守し、その影 響を提供施設または区域外に及ぼさないよう努める旨を明記す ること。 − 7 − <民間航空機への安全配慮> (オ) 民間航空路線と重なる訓練空域については、民間機の安全確保 を図るため、空域解除等、特段の措置を講ずること。 また、米軍機の民間機への急接近により、民間機の衝突防止装 置が作動することのないよう、民間機との間に十分な距離を保つ よう併せて措置すること。 <航空機の安全対策措置> (カ) 度重なる航空機事故の発生は飛行場周辺及び飛行コース下の住 民に強い不安を与えているので、航空機の整備点検、周辺住民の 安全を最優先としたパイロット等の安全教育並びに物資投下訓 練の中止等徹底した安全対策の措置を講じ、事故防止に努めるこ と。 <航空機事故による緊急時における連絡体制の確立> (キ) 在日米軍ヘリコプター等の緊急(予防)着陸が各地で多発する 中で、地元住民の不安を早急に取り除くため、国においては、航 空機が飛来する可能性のある射撃場、演習場等についても不測の 事態に対応するため「米軍及び自衛隊の航空機事故にかかる緊急 措置要領」並びに「航空機事故連絡協議会会則」を設置するなど、 緊急時における関係機関の連絡体制を確立すること。 <航空法第81条の適用除外の見直し> (ク) 米軍機の飛行については、現在、航空法第81条の最低安全高 度の規定が特例法により適用除外とされているのでこれを見直 し、航空法第81条を適用すること。 <低空飛行、模擬対地攻撃訓練に係る措置> (ケ) 低空飛行訓練、模擬対地攻撃訓練など騒音等の公害や重大な事 故につながる恐れがある訓練については、地域住民の不安を解消 するため、その実態を国において明らかにするとともに、このよ うな飛行が行われないよう措置すること。 <原子力施設周辺等の飛行の中止> (コ) 飛行場周辺及び飛行コース下の住民は、常に航空機事故の危険 にさらされているので、住宅地域、工場地帯及び原子力施設周辺 上空における飛行の中止、飛行の制限等徹底した安全対策の措置 を講ずること。 − 8 − <米軍艦船航行の安全確保> (サ) 米軍艦船の航行については、入出港時はもちろん、近海を航行 する場合にも安全確保に万全の措置を講ずること。特に潜水艦の 航行にあたっては民間船舶の安全に細心の注意を払うこと。 <原子力艦通報の遵守> (シ) 原子力艦の寄港時の事前通報及びその内容を遵守すること。 また、事前通報の公開制限を早期に解除すること。 <原子力事故対策の確立等> 【要望先:内閣府・外務省・財務省・文部科学省・防衛施設庁】 (ス) 原子力艦の原子力事故対策については、予防対策及び応急対策 の両面にわたり、国が責任を持って主導的に対応するとともに、 地方公共団体が講ずる対策への財政面を含めた全面的な支援を 行うこと。 特に、地方公共団体が実施する原子力艦の防災訓練に、国は積 極的に参加するとともに、米軍に参加するよう要請すること。 また、事前対策の確立に必要な情報を地方公共団体に提供する こと。 <事故情報の即時提供等> (セ) 基地に起因又は関連する事故が発生した場合、事故の大小にか かわらず速やかに事故等の情報を地方公共団体に提供するとと もに、地域住民にも速やかに適切な情報提供を行い、二次災害防 止のための適切な措置を取ること。 <事故後の適切な措置> (ソ) 事故の事後処理、原因究明、調査結果の公表、再発防止策等の 措置及び損害賠償等については、迅速な誠意ある対応をするとと もに、説明会を実施するなど、周辺住民の理解を得るための活動 にも十分配慮すること。 また、訓練の再開にあたっては、地元の意向を尊重し、適切に 対応すること。 <事故報告書> (タ) 事故の大小にかかわらず、基地周辺住民や事故現場周辺住民に 大きな影響を与える事故が発生した場合は、平成8年12月2日 の日米合同委員会合意に基づき、米国側に事故報告書の提供を要 求し、その内容を公表すること。 − 9 − また、地方公共団体から、事故報告書の提供について要請があ った場合には、速やかに米国政府に対し、事故報告書の提供を要 求すること。 なお、米軍が英文で公表した事故報告書等については、国にお いて速やかに翻訳した上で地方公共団体に提供すること。 ウ 3項関係 基地の存在により、今なお、周辺住民は多大な被害を受けるととも に、不安を抱えて暮らしています。 こうしたことから、航空機や艦船等の安全対策を図ることはもとよ り、周辺住民に影響を与える演習・訓練については事前に情報を公表 することが必要と考えます。さらに、周辺住民の安全を守るという観 点から、影響を基地の外に及ぼさないよう努めることを明記すべきと 考えます。 また、特に原子力艦の事故については、周辺住民や周辺地方公共団 体の不安を解消するため、国が責任を持って安全対策を確立するとと もに、万一の事故に備え、日米両国政府が防災訓練に参加することが 必要と考えます。 さらに、寄港に係る事前通報及びその通報に係る内容を遵守すると ともに、緊急時の連絡体制の確立や即時の情報提供、事故後の適切な 処理等が不可欠です。 (4) 4条関係(施設の返還) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <返還時の環境浄化等> 基地の返還にあたっては、あらかじめ環境調査を実施し、必要があ れば、原因者のいかんを問わず、環境の浄化等の適切な措置を講じた 上で返還するよう、日米両国が責任をもって対処することを明記する こと。 また、既に返還された基地跡地についても、米軍が原因者である蓋 然性の高い有害物質が発見された場合は同様に対処すること。 (4)4条関係(施設の返還) 現行の日米地位協定では、米国は基地の返還に伴う原状回復義務を 免除されているほか、基地の返還に伴う環境調査及び環境浄化の実施 手続きについても明確な規定がありません。 基地の返還に伴う環境調査や環境浄化については、円滑な跡地利用 を図る観点から、施設及び区域の返還前に取り組む必要があります。 そのためには、当該基地を使用していた米国の協力が必要不可欠で − 10 − あり、汚染原因者としての責任の観点からも、米国政府は、基地の提 供者である日本国政府と共同で対処する旨明記すべきと考えます。 また、過去において、返還後に環境汚染等が問題になったことから、 すでに返還された跡地についても、環境浄化等適切な措置を講じるべ きと考えます。 (5) 5条関係(入港料・着陸料の免除) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 ア 2項関係〔移動の権利〕 <港湾管理条例等の尊重> (ア) 米軍の艦船及び航空機(米軍に徴用された民間船舶及び民間航 空機を含む)が、地方公共団体の管理する港湾、空港を使用する 場合は、当該地方公共団体の意向に十分配慮するとともに、日本 国内の法令(地方公共団体が定めるそれぞれの管理条例を含む) を遵守する旨を明記すること。 また、米軍艦の寄港における乗組員の規律の厳正な保持と公共 の安全の確保を図ること。 <米軍機の民間空港の使用禁止> (イ) 民間機の円滑な定期運行や安全性の確保のため、米軍機の緊急 時以外の民間空港の使用禁止を明記すること。 <非核三原則の堅持> (ウ) 核兵器積載可能な艦船の寄港や航空機の飛来等をめぐっては、 平成4年7月に、米国大統領の戦術核撤去完了の声明があった が、有事の際の核配備など国民の疑惑と不安は完全に解消された わけではない。 よって、国におかれては、国民の疑惑と不安を解消するための 適切な措置を講じ、非核三原則を厳正に堅持すること。 <施設・区域間の移動の際の安全確保等> (エ) 施設・区域間の移動にあたっては、周辺地域住民や事業者等の 安全の確保に万全の措置を講ずること。 特に、沿岸水域の海上移動については、漁業の安全に細心の注 意を払うとともに、事前に、日時等その具体的内容を関係機関に 通知すること。 − 11 − (5)5条関係(入港料・着陸料の免除) ア 2項関係 米軍の艦船等が基地以外の港湾や空港を利用するに当たっては、航 空法等の法令のみならず、港湾施設の円滑かつ安全の管理に資するた めの港湾管理条例を含め国内法を遵守することを明記すべきと考えま す。また、米軍艦の入港にあたっては、乗組員の規律の保持が求めら れるとともに民間空港の利用は、緊急時以外禁止することを明記すべ きと考えます。 なお、実際の運用にあたっては、地域の特異性を鑑み、地方公共団 体の意向に十分配慮する必要があります。 また、我が国の国是である非核三原則については、引き続き厳正に堅 持し、地元住民や地元地方公共団体に不安を与えないようにすべきで す。 さらに、移動中の事故が多発していることから、施設・区域間の移動 に当たっては万全の措置を講じるとともに、事前にその具体的内容を 関係機関に通知すべきものと考えます。 イ 3項関係〔通告〕 <米軍艦船の入港時に関する国からの適切な情報提供> 米軍の艦船及び米軍に徴用された民間船舶が港湾に出入りする場 合について、港湾施設の円滑かつ安全な管理に資する観点から、国に おいて適切に情報を把握し、港湾管理者に対して速やかに情報提供を 行うこと。 イ 3項関係 米国艦船(米軍に徴用された船舶を含む。)が港湾に出入する場合 には、必ずしも港湾管理者に通告がなされていないことから、港湾施 設の円滑かつ安全な管理に資する観点から、国が責任をもって情報を 把握し、港湾管理者に速やかに通知すべきと考えます。 (6) 6条関係(航空交通管理・通信) 【要望先:外務省・国土交通省】 <航空交通管制業務の日本側への移管> ア 民間機の円滑な定期運航や安全性の確保のため、那覇空港の進 入管制業務を日本側に移管すること。 イ 一都八県にわたる「横田空域」の管制業務について、民間機の 安全で効率的かつ合理的な航空交通を確保するため、日本側に早 − 12 − 期に移管すること。 併せて、「岩国空域」における管制業務も日本側に移管すること。 (6)6条関係(航空交通管理・通信) 施設及び区域たる飛行場及びその周辺における管制業務は、米軍が 実施しておりますが、その結果、米軍機の飛行が優先され、民間機の 飛行が制限されるため、過密な飛行などを強いられ、飛行の安全性を 確保することが厳しい状況になっています。 民間機の円滑な定期運航や安全性の確保のため、嘉手納ラプコン、 横田空域及び岩国空域について、我が国が一体的に管制業務を行うこ とが不可欠であり、同管制業務を日本側に移管すべきと考えます。 (7) 9条関係(米軍構成員等の地位) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <検疫等の国内法の適用> 基地周辺の住民の生活環境の保全及び安全の確保のため、人及び動 物、植物に対する検疫並びに人の保健衛生に関して、国内法を適用す る旨を明記すること。 (7)9条関係(米軍構成員等の地位) 人、動物及び植物の検疫については平成8年の日米合同委員会合意 に基づき実施されているとのことですが、牛海綿状脳症(BSE)や 重症急性呼吸器症候群(SARS)等の新たな感染症の脅威や外来生 物の進入による生態系等への影響等を考えると、基地周辺住民の不安 を払拭するためには、日本国内法を適用し、米軍に対しても日本側当 局による検疫を実施する必要があると考えます。 (8) 10条関係(運転免許・車両) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <運転規則に関する講習> ア 米軍構成員等は、日本の運転規則に関する講習を受講するととも に、基地の外での運転に際しては、その受講済証明書を携帯する旨 を明記すること。 <米軍構成員等の私有車両の登録に係る車庫証明> 【要望先:外務省・国土交通省】 イ 基地内に車庫を有する場合の米軍構成員等の私有車両の登録につ いて、自動車の保管場所の確保等に関する法律が遵守されていない − 13 − 状況を早急に是正すること。 (8)10条関係(運転免許・車両) 米軍構成員等は自国の運転免許により日本国内を運転することが可 能ですが、日本と米国では通行区分や運転規則など異なる点も多いこ とから、日本の運転規則等を十分認識した上で運転する必要があると 考えます。 そこで、日本の運転規則に関する講習を受講すること及び基地の外 での運転の際に受講済証明書を携帯することを明記することが必要 であると考えます。 また、平成16年7月の日米合同委員会で基地の外での私有車両登 録にあたっては車庫証明を取得することが合意されましたが、基地内 の対応についても、「車庫法」(自動車の保管場所の確保等に関する 法律)が遵守されるよう改善する必要があると考えます。 (9) 13条関係(租税) 【要望先:総務省・外務省・財務省・防衛施設庁】 <自動車税等の優遇制度の是正> 米軍構成員等の私有車両に対する自動車税及び軽自動車税の優遇 制度を是正すること。 (9)13条関係(租税) 米軍構成員等の私有車両に対する自動車税は平成11年に税率が引 き上げられましたが、民間車両の税率と比較すると、著しく低い税率 になっています。いずれの地方公共団体も財政状況は大変厳しい状況 にありますので、貴重な自主財源の充実のために優遇制度を是正する 必要があると考えます。 (10) 15条関係(諸機関の管理等) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <日本人への役務提供の制限> 第15条第3項を改正し、基地内の諸機関が提供する役務について も、物品の販売の場合と同様に、日本人に対する役務の提供を制限す る旨を明記すること。 (10)15条関係(諸機関の管理等) 基地内の諸機関が提供する役務については、日本人が利用する際の − 14 − 制限についての規定がありません。これらの諸機関は、第15条第1 項(a)に基づき、日本国の租税が免除されており、日本人が諸機関の 役務や施設を利用する際の具体的な制限の内容及び利用手続き等に ついても、課税の公平性の観点から、物品の販売と同様に、制限する 旨を明らかにする必要があると考えます。 (11) 17条関係(裁判権) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <被疑者の速やかな拘禁移転> ア 日本国が第1次裁判権を有する場合、米国は日本側から被疑者の 拘禁の移転要請があるときには、速やかにこれに応ずる旨を明記す ること。 <米国の財産に係る検証等の実施> イ 基地の外における米軍の財産について、日本国の当局が、捜索、 差押え又は検証を行う権利を行使する旨を明記すること。 <基地の外における事故現場等の統制> ウ 基地の外における事故現場等の必要な統制は、日本国の当局の主 導の下に行われる旨を明記すること。なお、その場合、日本国の当 局の主導の下での統制が的確に行われるよう、改めて統制の方法に ついて早急に定めること。 (11)17条関係(裁判権) 被疑者の起訴前の引き渡しについては、平成7年及び16年の刑事 裁判手続きに関する日米合同委員会合意により一定の改善は図られ ていますが、米国に最終決定権を留保した合意内容では不十分である ので、日本国が要求するすべての場合において、被疑者の起訴前の拘 禁移転が速やかに行えるように明記することが必要と考えます。 また、米軍財産に関わる捜索等について、当該財産が基地の外にあ る場合には、原則として米国の管理権が及ばないことから、日本国の 当局が、捜索、差押え又は検証を行うべきであると考えます。 さらに、基地の外における事故現場等の統制については、日本国の 主導で行うとともに、平成17年4月の日米合同委員会で米軍機の事 故現場における日米双方の役割分担を明確化したガイドラインが合 意されましたが、日本国の主導で行う場合の統制の方法について、改 めて検討し定める必要があると考えます。 − 15 − (12) 18条関係(請求権の放棄) 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <公務外の事件等の補償> ア 公務外の米軍構成員及び軍属、並びにそれらの家族が起こした事 件・事故等により被害を受けた場合にあっても、日米両国政府の責 任において補償が受けられるよう明記すること。 <迷惑行為による被害の補償> イ 米軍構成員等のいわゆる迷惑行為等による住民被害の補償につい て検討し、救済措置を講ずること。 <事故等の損害賠償> ウ 米軍構成員等による事故等の損害賠償は、迅速かつ誠意をもって 対応すること。 なお、米軍構成員等の私有車両に係る任意保険については、補償 額の増額等により、適切な対応が行われるよう米国に申し入れるこ と。 <米軍構成員又は軍属の給料等の差押え> エ 米国の当局は、日本国の裁判所の命令がある場合、米軍の構成員 又は軍属に支払うべき給料等を差し押さえて、日本国の当局に引き 渡さなければならない旨を明記すること。 <賠償金の分担金の請求> 【要望先:外務省】 オ 国は、公務執行中の米軍等による日本国政府以外の第三者への損 害について、国が支払った賠償金のうち、日米地位協定で定める分 担案に応じた分担金を、米国の当局へ強く請求し、確実に支払われ るよう措置すること。 (12)18条関係(請求権の放棄) 米軍構成員及び軍属による公務中の損害については、日米両国政府 による補償の規定がありますが、公務外の損害の場合、平成8年12 月のSACO最終報告によって、「慰謝料」や「見舞金」の支払手続 き、前払いの請求、無利子融資制度等に関する日米地位協定の運用の 見直しが示されているものの、被害者に対する日米両国政府による支 払いについて法的義務として認めたものではなく、「支払いを行うよ う努力する」ことにとどまっています。また、慰謝料の支払いについ ても米側が自らの判断で決定しており、被害者が十分な補償を受ける ことが難しい状況にあります。 − 16 − また、米軍構成員・軍属の家族が加害者となった場合の規定がない が、被害者にとって、自ら責任を追及していく難しさは米軍構成員等 の場合と異なることはありません。 したがって、米軍構成員及び軍属の公務外の事故等、並びにそれら の家族による事故等により被害を受けた場合、日米両国政府の責任の 下、被害者が十分な補償を受けられるよう明記する必要があると考え ます。また、損害賠償の手続きについては、迅速かつ誠意を持った対 応を取ることが必要であると考えます。 さらに、交通事故の際には、車両の任意保険による十分な補償がで きるよう措置しておくことを米国に申し入れる必要があると考えま す。 そのほか、米軍の構成員又は軍属の子供の養育費を米軍の構成員又 は軍属に支払ってもらえないため、生活に困窮している事例がありま す。本条第9項(b)で私有の動産に対する差し押さえに関する規定が ありますが、米軍の構成員又は軍属に支払われる給料等の差し押さえ に関する規定はありませんので、日本国の裁判所の命令がある場合に 差し押さえが可能となるよう明記する必要があると考えます。 本条第5項では、公務中に第三者に損害を与えた場合の処理方法に ついて規定されておりますが、嘉手納、横田、厚木などの訴訟におけ る米国の損害賠償金の分担が規定通りになされていない状況にあり ますので、速やかに是正されるよう米国に働きかけることが必要であ ると考えます。 (13)23条関係(安全確保の措置等) 【要望先:内閣府・外務省・防衛施設庁】 <災害時の相互応援> ア 災害時における在日米軍との相互応援が実施できるよう明記する こと。 また、それまでの間、災害発生時の相互応援、広域避難場所の指 定等について、基地司令官と地方公共団体との協定の締結が円滑に 行われるよう支援すること。 <基地の災害時の活動拠点としての使用促進> イ 災害時の被害を最小限に抑えるため、基地を広域輸送などの活動 拠点として位置づけるとともに、災害時に直ちに地方公共団体が基 地を有効に使用できる枠組みを構築すること。 (13)23条関係(安全確保の措置等) − 17 − 自然災害などが発生した場合に地方公共団体と米軍が相互応援を行 うことは人道的見地から必要であると考えておりますが、基地レベル では事前に地方公共団体との間で相互応援のための協定を締結する ことが困難です。そこで、基地と地方公共団体が相互応援できるよう 日米両国政府間で包括協定を締結するなど、仕組みづくりを進めるこ とが必要と考えます。 (14)25条関係(合同委員会) 【要望先:外務省・防衛省・防衛施設庁】 <日米合同委員会における地方公共団体の意向の聴取等> ア 日米合同委員会の場で、基地の運用等に関して関係地方公共団体 の意向を聴取し、それを協議することを明記すること。 <合同調査委員会の設置> イ 米軍の航空機・船舶の事故に関しては合同調査委員会を設置し、 調査の実施を明記すること。 また、爆発等の基地内の事故で周辺住民に影響を及ぼしかねない 事故についても合同調査委員会を設置し、調査を実施するとともに、 調査報告の公表を明記すること。 <地域特別委員会等の設置> ウ 日米合同委員会の中に基地を有する地方公共団体の代表者の参加 する地域特別委員会の設置を明記すること。 また、政府と地元地方公共団体の代表者との定期的な話合いの場 を設置すること。 <日米合意事項の公表と地方公共団体への送付> エ 日米合同委員会の合意事項を速やかに公表することを明記すると ともに、直ちに地方公共団体へ送付すること。 また、合意以前であっても、地方公共団体に関係する事項につい ては速やかに情報提供をすること。 (14)25条関係(合同委員会) 日米合同委員会の合意に基づく基地運用は周辺住民や地元地方公共 団体にとって重大な関心事でありますが、日米合同委員会は日米両国 政府の代表者で構成されており、基地が所在する地方公共団体の意向 を反映させる仕組になっておりません。 地方公共団体の意向を反映させるため、地方公共団体の代表者の参 − 18 − 加する地域特別委員会の設置が必要であると考えます。 また、過大な基地負担を抱えている地元の状況を日本国政府として 理解するためにも、政府と地元自治体の代表者との定期的な話合いの 場が必要であると考えます。 さらに、基地に起因する事故が発生した場合に、日米両国政府によ る合同調査委員会を設置し、事故原因等を調査・公表する旨明記する 必要があると考えます。 なお、日米両国政府においては、平成8年12月のSACO最終報 告において、「日米合同委員会合意を一層公表することを追求する」 との日米地位協定の運用の改善を行い、日米合同委員会合意の公表に ついて理解を示されましたが、その後の日米合同委員会合意に関する 公表の実施状況については、必ずしも十分とは言えない状況にありま す。 さらに、日米合同委員会の合意内容については、原則として日米間 で合意した事項だけしか公表されておりませんが、合意事項及び関係 する協議の状況については、地方公共団体としていち早く把握する必 要がありますので、速やかに情報提供することを明記する必要がある と考えます。 (15)航空機の騒音軽減措置関係 【要望先:外務省・防衛施設庁】 <飛行訓練の制限等> ア 航空機の騒音軽減を図るため、離着陸訓練をはじめとする飛行訓 練を極力制限すること。 また、市街地(公共施設の上空等住民が居住する地域を含む)や、 産業振興に影響を与える地域における航空機の飛行を制限するこ と、並びに夜間・早朝、土曜日、日曜日、祝日、盆及び年末・年始 における飛行とエンジンテストを全面的に禁止することを日米間の 合意事項として明記すること。 なお、日米間の合意が成立するまでの間、騒音の激しい機種につ いては、飛行時間の短縮等の運用改善を図ること。 <飛行実態に関する情報公開等> イ 航空機の飛行に関する事前情報を、国の責任で迅速かつ適切に提 供すること。 また、航空機騒音測定局のデータを地元住民に対し公表するとと もに、航空機高度コース自動測定局を設置し、各基地飛行場におけ る離着陸回数、タッチ・アンド・ゴーの飛行回数及び飛行コース等 飛行実態を公開すること。 − 19 − <NLPの中止> ウ 三沢飛行場、横田飛行場、厚木飛行場及び岩国飛行場における米 空母艦載機による飛行訓練、特に夜間連続離着陸訓練(NLP)を行 わないことを日米間の合意事項として明記すること。 <デモンストレーションフライトの中止> エ 「厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置」「嘉手納飛行場にお ける航空機騒音規制措置」及び「普天間飛行場における航空機騒音 規制措置」中の「曲技飛行のデモンストレーション」「曲技飛行の展 示」を認めている部分を削除し、一切のデモンストレーションやデ モンストレーションフライトを行わないこと。 また、市街地上空のデモンストレーションフライト訓練等危険な 飛行を中止すること。 <苦情処理制度の充実> オ 航空機騒音等に係る苦情処理制度の充実と苦情窓口の地元住民へ の周知を徹底するとともに、苦情件数、内容などを公表すること。 また、住民からの問合せや苦情に対して、責任を持って対応する こと。 (15)航空機の騒音軽減措置関係 我が国においては米軍飛行場が市街地に隣接して置かれていること から、周辺の多数の住民が航空機騒音により、長年にわたり大きな負 担を強いられています。このような航空機騒音については、過去の騒 音訴訟において、受忍の限度を超えた違法な状態にあるものとの司法 判断もなされており、航空機騒音を一刻も早く解消することが求めら れています。 特に、深夜、早朝など住民への影響が大きい時間帯における飛行訓 練や、土曜日、日曜日、祝日、盆及び年末・年始における飛行訓練に ついては、全面的に禁止する必要があります。 さらに、米軍航空機の飛行に関する事前情報や騒音に関するデータ を公表等すること、特に騒音被害の大きい夜間連続離着陸訓練(NLP) についてはこれを行わないこと、国による苦情処理制度の充実等が必 要であると考えます。 − 20 − (16) 日本周辺海域における禁止措置 【要望先:外務省・環境省】 <新型低周波水中音波探知機の使用禁止> 米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用について、海洋生物など への影響が無いことが明らかになるまで、日本周辺海域においては使 用させないこと。 (16)日本周辺海域における禁止措置 米海軍の新型低周波水中音波探知機の使用については、現在、日米 両国政府において協議が行われていますが、新型低周波水中音波探知 機の海洋生物への影響について、これを指摘する学説があることか ら、日米両国政府は、米国が実施した海洋生物への影響を調べた科学 的調査結果を公表し、十分な説明を行うべきであると考えます。 − 21 −