更新日:2021年3月15日

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平成23年度調査研究課題の概要

1プロジェクト研究

調査研究課題名 概要 行政政策上の効果

自動車等由来の難揮発性化学物質による環境負荷の実態解明

移動体排出源である自動車交通からのPRTR物質の排出量について、自動車走行量とタイヤ中の含有量等をもとに、拡散モデル式で求めた大気中濃度と実測値を比較検証するとともに、道路排水が流入する水域において濃度実態を把握する。
次いでこれらの結果をもとに、県内の主要道路周辺や河川水域における濃度分布を試算し、リスク評価を行うとともに、本県における自動車タイヤ由来のPRTR物質に対する効果的な監視手法のあり方を検討する。

自動車交通由来PRTR化学物質について、環境への排出経路や環境中の負荷量の推定手法が確立でき、効果的な監視手法の構築に向けた基礎的資料となる。また、ディーゼル規制等の本県の行政施策の効果検証に資する。

難分解性化学物質の水域における汚染源の解明 過去のダイオキシン類環境調査等で環境基準超過が見られた小出川支流の千ノ川において、底質中の化学物質を測定し、難分解性化学物質の汚染源の把握を行う。
汚染源存在エリアの推定に当たっては、PMF法を適用しその有効性について検討する。
未規制等化学物質による環境リスク低減に対し、その汚染源を効率的に特定するための一助となる。
ダム湖集水域における高度処理型浄化槽整備の効果検証 高度処理型浄化槽の整備が計画された地域から調査地点を選定して、浄化槽放流水の放流先である側溝や排水路における水量水質を実態調査し、整備による栄養塩類等の汚濁負荷削減の解析評価を行い、その効果を検証する。 水源環境保全・再生の施策事業の効果検証、さらには将来の施策展開の方向性の検討に資することができる。
水源河川における生物多様性の解明 水源環境保全・再生事業に役立てるため、多様な環境の評価が的確に行える指標生物を選定し、環境要素などとの関係について調査し、指標生物としての有効性について検討を行うとともに、地質的特性を踏まえた底質調査方法の検討を行い、生物多様性保全のための河川モニタリング手法を策定する。 水生生物等の潜在的生息域の推定などの手法を用いて水域環境の評価・解析を行うことにより、施策事業の効果検証、評価や将来の施策展開の方向性の検討に役立てることができる。
大気環境に係る丹沢ブナ林の保全に関する研究 丹沢のブナ林を大気汚染の影響から保護し、保全再生させるために、
1.ブナの複合的な衰退機構の解明、
2.山間地域におけるオゾン濃度のモニタリングと動態、
の2テーマについて検討を行う。
丹沢におけるブナ衰退に関わる大気汚染の寄与と役割が明らかになりブナ林保全対策及び再生に役立てることができる。
ヒートアイランド対策のための技術支援に関する調査 横浜市、川崎市を除く県全域を調査エリアとし、45か所程度の公立小学校の百葉箱内に温度計を設置する。毎正時の気温を観測し、気温分布や一定気温以上の観測時間数等に関する解析を行う。また、夏期以外も測定期間とし、年間を通じてヒートアイランドの発生状況を調べる。 県内のヒートアイランド発生状況の全体像を把握でき、近隣自治体との連携による広域的なヒートアイランド対策の基礎情報として活用できる。
地球温暖化影響の実態把握と観測指標の設定等に関する調査研究 庁内各機関が保有する自然現象等の既存観察結果を数値化し、アメダスや温度ロガー等によって観測された温度データと比較することで、両者の相関の有無を判定する。相関があると判断された自然現象については、温度と現象の相関関係をできるだけ数式化し、今後の観測指標として利用できるかどうかを検討するとともに、将来生じるであろう温暖化影響の予測への応用を図る。 体感しやすい指標に基づく調査結果を積極的に公表していくことにより、地球温暖化に対する理解を深めるための効果的な説明資料とすることができる。

 

2地域課題研究

調査研究課題名 概要 行政政策上の効果
電気探査技術の活用による廃棄物最終処分場の調査手法及び浸出水処理施設の適正管理手法の検討 電気探査技術の活用方法の一つとして、廃棄物最終処分場をフィールドとした調査を実施し、地下埋設物などの状況を把握する手法について検討する。
既存の浸出水処理施設を効率的に稼働させることにより、安定的な浸出水処理が可能となるよう検討し、提案を行う。
廃棄物最終処分場の地下埋立物の判別など、地下の状況を掘り返さずに把握することが可能となる。また、浸出水処理施設の適正な維持管理に向けた提言が可能となる。
光化学オキシダント高濃度の発生原因の解明 近年、光化学オキシダント濃度が漸増傾向にあることから、その発生原因を明らかにするため、常時監視測定結果を用いて光化学オキシダント高濃度日における風向、風速パターン等を解析するとともに、原因物質である揮発性有機化合物(VOC)について環境中の濃度測定や放出量の推計を行い、得られた結果をもとに総合的な検討を行う。 県内の光化学オキシダント高濃度発生の原因を把握することにより、効果的な排出抑制対策の検討に活用できる。

 

3共同研究

調査研究課題名 概要
有機フッ素化合物の環境汚染実態と排出源について

PFOS/PFOAをはじめとする有機フッ素化合物について、国環研及び多くの自治体が高感度・高精度な分析法や関連情報を共有し、地域特性を含めた排出実態、環境実態の解明を行う。

植物のオゾン被害とストレス診断に関する研究 近年オゾン濃度の上昇が著しい西日本の自治体を含め9県においてアサガオ等の野外調査を行い、オゾン濃度、気象状況及び可視被害状況と遺伝子解析の結果から、野外におけるアサガオ等のオゾンストレスを遺伝子発現解析によって診断する手法を確立する。
また、神奈川県独自の取り組みとして、ブナに遺伝子発現解析が適用可能かどうか検討し、ブナのオゾンストレスを遺伝子発現解析によって診断する手法を確立する。
最終処分場浸出水の水質変動特性の解明に関する研究 県内の最終処分場浸出水に含まれるCODや有機化合物等の時系列データの変動特性と各水質項目の相互関係を解析し、浸出水水質ならびにその変動特性により廃棄物の安定化を判断する手法について検討する。
神奈川県における温暖化影響観測指標の設定等に関する研究 自然的条件や地理的・社会的条件が多様に混在する地域を対象に、多面的な観点から温暖化影響を評価し、地域に適した適応策のあり方を共同研究方式で探求する。また、各機関が研究資源を活用して地域特徴的な研究課題に取り組むことで、現場に即した影響評価と適応策の視点から、地域の温暖化政策への反映と住民意識の向上等に貢献しうる知見を集積する。

 

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