更新日:2023年11月17日

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平成14年度外部評価課題

外部評価課題の一覧と評価結果を掲載しています。

外部評価課題一覧

課題名 研究期間 課題の詳細 評価結果 主な指摘事項への対応
特定
化学物質の地域リスク評価手法に関する研究-河川の生態リスク総合評価手法及びDEP由来リスク評価手法の構築 H15~16 詳細を見る 結果を見る(PDF:14KB) 対応を見る(PDF:14KB)
重点経常
最終処分場の廃止に係る安定化指標に関する研究 H15~17 詳細を見る 結果を見る(PDF:14KB) 対応を見る(PDF:13KB)
新規規制有害物質の処理に関する研究 H15~16 詳細を見る 結果を見る(PDF:14KB) 対応を見る(PDF:10KB)

平成14年度特定研究及び経常研究の研究概要

特定研究

課題名 研究概要 期待される効果
化学物質の地域リスク評価手法に関する研究 【背景】
PRTR法の施行により、県内の化学物質排出量データが整備されつつある。一方、市民が提供を望む情報は排出量や濃度ではなく「リスク」である。化学物質のリスク評価は、過去の特定研究でも実測データに基づき部分的に行われているが、特定の物質に限定した試算は行われているものの、リスクが高いと推定される物質が除外されているなどの制約があり、地域の環境リスクをより正しく評価するに至っていない。
【研究の具体的内容】
1.水域に係る生態リスク評価
農薬を中心とした化学物質を対象に、濃度予測モデルを用いて季節別のPEC(予測濃度)を推定する。並行してPECを検証するための測定方法を検討し、評価対象水域内で実測を行う。次に、対象物質のPECと実測濃度の検証を行い、これをもとにQuotient法で対象物質のリスク評価値(PEC/PNEC比)を算出するとともに、評価基準の未確定な物質についてQSAR(構造活性相関)等を活用したリスクの推定値を算出する手法を検討し、これらリスク評価値の地域間比較を行う。(注PNEC;推定無影響濃度)
2.大気に係るDEP由来健康リスク評価
DEP中の健康リスクが高いとされるPAHs(多環芳香族炭化水素)を対象とし、DEPの挙動をEC(元素状炭素)で評価する。自動車走行量とEC排出係数から拡散モデルで対象地域のメッシュ別EC濃度を算出する。メッシュ別SPM中のECを実測し、モデルから求めたEC濃度と検証を行う。PAHsは、SPM中濃度を実測しPAHs/EC比とEC濃度と組合せてメッシュ別PAHs濃度を算出する。健康リスクはSuperfundのリスクアセスメントガイダンスマニュアルに基づく評価値(発ガン性等)を算出するとともに、評価基準の未確定な物質は、QSAR等を活用したリスク推定値の算出手法を検討する。これらのリスク評価値の地域間比較を行う。
【これまでの関連する成果】
特定研究の「環境における化学物質の移動と地域環境リスクに関する研究」(9-11年度)からは、非点源由来化学物質による負荷が無視できないこと、また「PRTRデータへの地域性の付加と活用に関する研究」(13-14年度)では、推計精度が不十分な農薬と自動車排ガスに関する地域別排出量の推定手法、及び非点源発生源の道路からのPRTR対象物質の溶出可能性を検討し溶出状況を推定しているところである。
<本研究の位置付け>
・かながわ新総合計画21の重点政策課題「化学物質等の環境影響低減化の推進」
・神奈川県環境基本計画の重点的課題「化学物質環境保全対策の総合的推進」
・神奈川県科学技術政策大綱の重点研究分野「化学物質による地域環境汚染の低減に関する研究」

○排出量や活動量などの発生源データをもとにしたリスク推定が可能となる。
○過去に実施したリスク評価で欠落していた項目のリスク推定が可能となり、より実態に近いリスク推定値を表示できる。
○県の重点プロジェクト「化学物質環境保全対策の総合的推進」で必要な“リスクコミュニケーション”を実施するための基礎資料を整備できる。
○具体的な研究成果
1.化学物質曝露量の予測手法の構築
2.地域生態リスク評価手法の構築
3.事業所からのPRTRデータや農薬使用による排出量、及びディーゼル自動車の活動量などの発生源データを基にした地域環境リスクの推定が可能となる。

経常研究

課題名 研究概要 期待される効果
化学物質による地域環境リスクの低減に関する研究
新規規制物質の処理に関する研究(重点) 平成13年度に亜硝酸・硝酸化合物、ホウ素等が水質汚濁防止法の規制項目に指定され、排水基準も定められたが、一部業種については排水実態に見合う適当な処理技術が整備されておらず、一律基準の達成が困難であるため、3年間暫定基準が適用されることになった。このため、暫定基準適用期間が終了するまでに、上記物質のほか県内で地下水汚染問題を抱えているヒ素、シアン、モリブデン等も含め、排水の特性に応じた汎用性のある効果的な除去技術を開発する。 対象業種における排水処理の適切な発生源指導ができる。また、汚染地下水の修復にも役立つ。
海洋深層水と沿岸海水の性質比較による海洋環境評価研究 東京湾及び相模湾は、都市化の進展や人口増により大きな流入負荷を受けている。環境基準の達成率は近年横ばい傾向にあり、赤潮や底層での貧酸素化減少等、人為的影響が懸念されている。本研究では、東京湾及び相模湾地域と相模湾深層部における窒素、りん等の分布状況と汚濁現況を水産総合研究所と共同で調査する。また、海洋深層水の基本的性状も合わせて明らかにする。 海域の環境評価及びその利活用が期待されている相模湾深層水の基礎データを得る。
汚染土壌中の特定有害物質等の計測技術の研究 近年、土壌汚染件数が急増し、対策要請が高まったことから、「土壌汚染対策法」が施行され、土壌中の有害物質の含有量としての要措置レベルが示された。しかし、土壌は組成が複雑なため、含有量についての公定分析法が確立されていない。本研究では、土壌中の有害物質について正確かつ実際的な分析方法を確立し、汚染土壌対策の基礎資料に資する。 土壌中の有害物質の分析方法を確立することにより、土壌汚染対策の基礎資料が得られ、実汚染土壌への即対応が可能となる。
資源循環型社会の実現と廃棄物の適正処理の推進に関する研究
最終処分場の廃止に向けた安定度評価に関する研究(重点) 埋立終了後長期間経過した処分場では、その廃止条件となる安定度の診断法の確立が行政課題となっている。処分場の廃止基準は省令に示されているが、浸出液や発生ガス等の具体的調査方法が不十分なため、廃止手続きを進める上で廃止基準の補完手法が求められている。そこで、廃止手続きの促進に向け、処分場の安定度を診断するため、浸出液や発生ガスの現場観測データに基づき季節変化や処分場からの放出物質量を明らかにすることにより、現在の廃止基準を補完する手法を構築する。 最終処分場の廃止に向けての技術支援に有効である。また、県独自の安全基準に反映でき、最終処分場の安全性や信頼性の向上に貢献できる。
自動車環境対策の推進に関する研究
ディーゼル車対策による環境中へのPM2.5及び有害化学物質排出量削減効果の推定(重点) ディーゼル車から排出される、2.5μm以下の粒子(PM2.5)及び有害化学物質の排出実態と排出係数を求めるための調査を行う。 県内の浮遊粒子状物質による大気汚染は深刻であり、その主原因となっているディーゼル車から排出される粒子状物質、特にPM2.5の対策効果を検証し、有効な削減施策の推進に役立てる。
被害感を評価するための騒音と振動の統合指標の開発 都市交通機関から発生する騒音と振動に焦点を定め、主としてアンケート調査と実測値を合わせて解析することによって、被害感を客観的に評価するための騒音と振動の統合指標を開発する。 現状では、騒音及び振動に対する被害は、それぞれの基準値に基づいて判断されている。しかし、基準値以下で被害を訴えている場合や複合的な問題が発生している場合に、問題解決を図る上での目標値を示す。
道路に面する地域の環境騒音の推計方法に関する研究 「騒音に係る環境基準」の改正(平成11年)で、騒音評価量として等価騒音レベルが導入されるとともに、評価方法の考え方の変更なども加わったことから、新たな環境騒音の推計方法を確立することが求められている。そこで、本研究では特に道路に面する地域の環境騒音の推計方法について検討する。 実態に即した効果的な騒音対策を促す資料が得られ、自動車騒音の常時監視が効率的に行える。
自動車排ガスによる局地的高濃度汚染地域の大気環境の改善 自動車排ガス単体規制の強化に伴い、大気汚染レベルは低下傾向を示すことが期待されるが、交通量の増加や車両の大型化等悪化要因もあり、単体規制と平行して沿道環境対策を進めることが必要である。本研究では、局地汚染対策を進める上で必要な道路沿道における自動車排ガスによる汚染分布の把握及び汚染濃度の推計手法を開発する。 高濃度汚染地域ごとの汚染状況に合わせた沿道環境対策手法を構築する際の基礎資料として役立つ。
その他の研究
神奈川県における地域別の二酸化炭素排出量の推計及び大気中二酸化濃度変動の把握 近年増加が著しい県民の日常生活からの二酸化炭素排出量を抑制するためには、市町村など地域レベルでの地球温暖化対策の強化が必要不可欠である。そこで本研究では、市町村単位の二酸化炭素排出量の推計手法を検討するとともに、地域別の大気中二酸化炭素濃度の継続的なモニタリングを行う。 市町村が地球温暖化に対する施策を策定、実施する際の基礎資料として役立つ。
オープントップチャンバー(OTC)法によるオゾンのブナに対する影響評価方法の検討 丹沢山地のブナ衰退への大気汚染物質、特ににオゾンの関与を確認するため、ブナの衰退地にオープントップチャンバー(OTC)を設置し、オゾン濃度とブナの生長量、葉緑素活性等との定量的な関係を調べる。OTC調査法によるオゾンのブナへの影響評価法を確立する。 ブナ林保全のためのオゾン許容量の設定に役立てる。
環境総合統計データベースの構築と効果的な提供手法 県民の環境意識の高まりとともに、環境情報提供の環境整備が求められている。県が行った調査や行政施策は報告書として情報公開されているが、県民にとって体系化された情報として提供されているとはいえない。そこで、環境を評価する際の基礎的な情報についてその所在を明らかにし、体系的に整理するとともにわかりやすい形で提供する手法を確立する。 環境を評価する際の情報を世界共通の体系で提供することで、県民と行政の評価の視点を一致することができる。

 

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