(仮称)武田薬品工業株式会社新研究所建設事業に係る環境影響評価審査書

掲載日:2020年4月3日

1 総括事項

(仮称)武田薬品工業株式会社新研究所建設事業(以下「本件事業」という。)は、武田薬品工業株式会社が国内研究拠点を集約し、新薬研究の効率化を図ることを目的として、藤沢市村岡東二丁目26番地1号外の面積約25ヘクタールの敷地(以下「実施区域」という。)に、研究開発プロセスの初期を担当する研究施設を整備しようとするものである。

実施区域は、藤沢市と鎌倉市の両市にまたがる同社の旧湘南工場の敷地であり、藤沢市側は工業専用地域に、鎌倉市側は工業地域に指定されている。実施区域の西側から北側にかけては住宅地が隣接し、東側は工場、住宅等が混在した地域である。南側はJR東海道本線を挟んで主に工場が立地している。

本件事業は、このような地域において、既設建物を解体するとともに最高建物高さ約39メートルの実験棟15棟をはじめとする、延床面積約31万5,000平方メートルの大規模な研究施設を建設するものである。

事業の実施に当たっては多くの建設機械の稼働や、ピーク時で1日当たり約1,100台の工事関係車両の出入りが見込まれている。供用開始後には熱源施設からの排出ガス量が最大で1時間当たり約17万ノルマル立方メートル、上水の使用量が最大で1日当たり約4,500立方メートルとなる計画であるとともに、1時間当たり約150キログラムの処理能力を有する動物由来の廃棄物焼却施設が2基稼働することとしている。また、研究機材の搬入等の車両や従業員の通勤車両の出入りは1日最大約900台が見込まれている。

これらのことから、工事中や供用開始後の大気質の悪化や交通渋滞の発生などといった周辺環境への影響が懸念される。

さらに、供用開始後の研究事業において遺伝子組換え操作に関連した実験等を行うことや、将来的に病原性の強い微生物類を利用した感染症治療に係る創薬研究を行う可能性は否定できないとしていることから、施設や研究事業の安全性についての懸念や安全対策等について丁寧な説明を求める意見が周辺住民から寄せられている。

したがって、事業者は、環境影響予測評価書の作成に当たっては、次の点を踏まえ、適切な対応を図る必要がある。

2 個別事項

1 大気汚染

工事中においては、浮遊粒子状物質及び二酸化窒素について、評価目標とした環境基準を満足するとしているが、建設機械の稼働による寄与率がそれぞれ12.3パーセント、36.1パーセントと大きいことから、排出ガス量のより少ない建設機械を採用するなど、可能な限りの環境保全対策を実施するとともに、その効果を定量的に示すこと。

2 悪臭

(1) 予測及び評価について

悪臭の発生頻度が最も高い条件で予測しているが、悪臭は短時間の発生であっても生活環境へ影響を及ぼす公害事象であるため、臭気濃度が最も高くなる条件を設定し予測及び評価を行うこと。

(2) 臭気対策について

実験施設等の排気処理においては活性炭フィルタ等により臭気対策を行うこととしているが、アセトアルデヒド等一部の悪臭物質については活性炭に吸着されにくい特性を有することから、これら悪臭物質に対応可能な活性炭の採用やその維持管理方法について検討すること。

3 植物・動物・生態系

(1) 緑化計画について

緑化計画として、地域特性に合った樹種を選定し植栽するとしているが、選定された樹種の中にはトウネズミモチなど、この地域に本来自生していない種が含まれていることから、生態系復元の観点に立ち郷土種を選定し直すこと。

(2) 注目すべき植物種の移植について

環境保全対策として「注目すべき植物種」であるハマカキランとミゾコウジュについては移植し保全を図るとしているが、それらは活着が難しいことから、専門家の意見を踏まえた上で適切な方法で実施すること。

(3) 注目すべき動物種の予測及び評価について

オオタカやクロイトトンボなど「注目すべき動物種」が実施区域及び周辺地域で確認されていることから、これらの種が樹林環境等をどのように利用しているのかなど、生息環境との関わりを十分に踏まえた予測及び評価を行うこと。

特に、鳥類については繁殖に係る調査手法とその結果が示されていないことから、それらも含めて予測及び評価を行うこと。

4 交通安全対策

供用開始後の関係車両台数を1日最大約900台と見込み、交差点によっては現況交通量に匹敵する交通量の増加を想定しているため、車両台数の一層の削減を図るなどの対策を実施するとともに、事後調査により交通流への支障が認められた場合は新たな交通安全対策を講じること。

5 廃棄物焼却施設

廃棄物焼却施設のダイオキシン類対策は法令の基準に則して実施するとしているが、具体的な施設構造や排ガスのモニタリング等の運転管理方法を明らかにすること。

6 配慮事項

(1) 有害化学物質の排出抑制措置について

新薬研究に当たり多様な試薬の使用や化学合成に伴う副生成物の発生が想定されることから、配慮事項として「有害化学物質の排出抑制措置」を選定すること。

(2) バイオハザードの防止措置等について

配慮事項「バイオハザードの防止措置」として記載している内容を確実に実施し、遺伝子組換え操作に関連した実験などの安全性を高める観点から、法令等に規定されている水準に留まらず二重、三重の安全対策を講じるとともに、研究事業における次の項目に留意すること。

ア バイオ実験排水は滅菌処理を行うとともに排水貯留槽において水質管理した後に公共下水道に放流するとしているが、排水貯留槽における水質管理の方法を明らかにすること。

イ 使用する研究材料や実験操作から予測される危険性に適合した実験機器や設備を設置するとしているが、これらについて危険性に応じた定期点検の実施方法及び頻度並びにその記録の保管期限を定めること。

ウ 非常時の対応については施設の稼働時までに詳細の計画を策定するとしているが、設備不良、人為的ミス、地震時等の具体的要因に応じた発災時の対応方針とともに、ハード及びソフト両面からの未然防止措置を明らかにすること。

エ 研究事業の特性として様々な安全対策に取り組む一方、一人一人の研究者倫理が重要であることから、社会的責任を正しく認識した判断基準を醸成するよう倫理教育を徹底すること。

(3) 温暖化の防止措置について

熱源設備としてコジェネレーションシステムを採用するなどにより二酸化炭素排出量の低減を図る計画としているが、地球温暖化対策についてはあらゆる事業分野において削減に向けた一層の努力が求められていることから、可能な限りの対策に努めるとともに、それらの効果を明らかにすること。

7 その他

(1) 周辺住民とのリスクコミュニケーションについて

周辺住民から寄せられている施設や研究事業の安全性への懸念等について、事業者はこれらを真摯に受け止め、誠意をもって対応することが必要である。具体的には、地元市等関係機関の協力を得て、周辺住民との対話の場作りを行い、また、情報開示により事業の透明性を高めるなど、継続的にリスクコミュニケーションに取り組んでいくこと。

(2) 建物基礎構造の一部変更について

建物基礎構造を既成杭の圧入工法又はオールケーシングによる現場打杭工法から格子状地盤改良工法に変更するとしているが、当該変更に伴う環境影響については評価項目毎に記載すること。

なお、地下水位への影響については評価項目として「水象(地下水)」を選定すること。

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