川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)に係る環境影響評価準備書に対する知事意見

掲載日:2020年4月3日

本文へジャンプ総括事項

川崎発電所リプレース計画(更新及び増設)の事業(以下「本件事業」という。)は、首都圏における安定した鉄道輸送のための電力の確保とともに、今後の鉄道輸送サービスの向上及び駅ビルやターミナル駅周辺の大規模開発等への自営電力の供給を目的として、東日本旅客鉄道株式会社が川崎市川崎区扇町8番3号の面積67,351平方メートルの区域(以下「実施区域」という。)において、現在稼働している発電設備4機(合計65.4万キロワット)のうち2機を更新して1機を増設することにより、約13年の工事期間を経て出力合計101.8万キロワットにしようとするものである。

実施区域は、京浜臨海地域の埋立地に位置しており、南西側を田辺運河に接し、三方を工場、倉庫で囲まれている。また、取水口を設置する区域は京浜運河に接している。

実施区域周辺は、かつて深刻な大気汚染の被害を受けた地域であり、これまで窒素酸化物等の総量を削減するため固定発生源対策やディーゼル車排出ガス規制等の取組が進められてきている。大気環境基準は達成しつつあるものの、未だ川崎市及び横浜市の定める環境目標は十分に達成されていない。こうした状況において、実施区域の近傍では、本件事業とは別の発電所が平成20年度から稼働を開始し、さらに平成21年度末からはもう一つの発電所が稼働を予定している。

また、実施区域周辺の海域では、ほとんどの調査地点で全窒素、全燐の水質環境基準は達成していない。

本件事業は、このような地域において発電所の出力を増強するものであり、工事中や供用開始後の大気質の悪化や温排水の増加など、周辺環境に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、事業計画の前提となる電力需要見通しの十分な説明を行うとともに、事業の実施に当たっては技術の進展に応じた最新機器の採用や施設の効率的な運転管理をはじめ、最大限の環境保全措置を講じ、影響をできるだけ軽減するよう努める必要がある。

また、年間の二酸化炭素総排出量は現状の87.1万トンから165.8万トンとなる見込みであるが、京都議定書の目標達成に向け二酸化炭素の排出量削減のための取組が不可欠となっていることから、排出量の多い事業者として積極的な対応を期待するところである。

したがって、事業者は、環境影響評価書の作成に当たっては、次の点を踏まえ、適切な対応を図る必要がある。

 

個別事項

1 大気質

(1) 工事中の環境保全措置について

陸上輸送車両台数を低減するために大型機器類等を海上輸送するとしているが、輸送用船舶の運行に伴う二酸化窒素及び浮遊粒子状物質について、建設機械の稼動分と区分して示した上で、陸上輸送した場合と比較することなどにより、環境保全措置としている海上輸送の効果を明らかにすること。

また、工事中の大気環境への影響を低減するため、船舶についてはより硫黄分の少ない良質な燃料の使用や、建設機械については最新の排出ガス対策型の採用など最大限の措置を行うこと。

(2) 施設の稼動に伴う影響について

施設の稼働に伴う二酸化窒素については、本件事業の寄与率が小さいこと等から影響は小さいと評価しているが、実施区域周辺は川崎市及び横浜市の定める環境目標は十分達成されていないことから、施設の起動時及び停止時の非定常運転における窒素酸化物排出量や脱硝効率等の煙源諸元の設定方法等を明らかにした上で、非定常運転及び定常運転のいずれの場合においても高い脱硝効率を維持できるよう、適切な維持管理及び運転管理を徹底すること。

2 水質

(1) 一般排水について

一般排水に含まれる全窒素や全燐については、本件事業の寄与率が小さいので影響は小さいと評価しているが、閉鎖性水域である東京湾への排出負荷を低減することが求められていることから、新設する総合排水処理施設の具体的な諸元を明らかにするとともに、既設の浄化槽と併せて適切に維持管理し、負荷を可能な限り抑制すること。

(2) 環境監視について

供用時には温排水温度の環境監視を行うとあるが、下層から取水した貧酸素海水を表面放水することになるため、これによる影響や貧酸素により発生する可能性のある有害物質による影響も否定できないことから、夏季を中心に供用後の溶存酸素量等について環境監視の実施を検討すること。

3 動物

(1) 予測及び評価について

取放水温度差を7度以下とすること等により、施設の稼働に伴う温排水が海生動物に与える影響は小さいと評価しているが、調査結果から次の内容が推測されることから、これらの条件を踏まえた上で予測及び評価を行うこと。

 近年における8月の溶存酸素量の経年変化を見ると、上層は水質改善が図られたことを示している一方で、下層には水質改善が見られないが、これは温排水が海面を覆うことで空気中の酸素が下層まで混ざらないことが原因である可能性があること。

 海底付近の特に悪い貧酸素海水は取水しないとしているが、実施区域付近では、海底から水深10メートル程度までの水温と塩分にはほとんど変化は見られないことから、下層では海水の流動が少なく、海底より1.0メートルの位置から3.7メートル程度までの取水予定深さにおいても、貧酸素の状態は海底付近と変わらない可能性があること。

(2) 環境保全措置について

温排水が海生動物に与える影響については、調査海域に広く分布していることや遊泳力があることから小さいと評価しているが、実施区域周辺は、遊泳力が小さく水質の変化に敏感な海生動物にとっては生息が困難なほど既に水質が悪化している海域であることから、実行可能な範囲内でより良い環境保全措置を検討すること。

4 廃棄物等

陸上の建設発生土や取水口工事の浚渫土等のうち有効利用が困難なものについては専門業者に委託するとしているが、それらの運搬時の対策を含めた具体的な処理の方法等について明らかにすること。

5 温室効果ガス等

(1) 六ふっ化硫黄について

電力を接続、絶縁するための開閉装置に使用する六ふっ化硫黄は温暖化係数が非常に大きいことから、定期点検時や廃棄処分時の大気への漏えい防止など適切に取り扱うとともに、その方法を明らかにすること。

(2) 二酸化炭素について

ア 二酸化炭素排出量を推計するに当たっては、発電機ごとの発電効率が重要な要素であることからこれを明らかにするとともに、天然ガス等の燃焼段階のみならず、採取、液化、輸送を含めた発電電力量当たりの総合的な二酸化炭素排出量についても明らかにすること。

イ 13年にわたり順次更新及び増設していく事業であることから、施設の稼動に伴い排出される二酸化炭素を可能な限り低減するため、設置しようとするときの最新技術の採用や電力需要に応じた効率的な運転管理など、今後も対策を図っていくこと。

ウ 事業者が掲げる長期経営構想において「鉄道事業の二酸化炭素排出量を50パーセント削減(1990年度比)する」という目標の達成に挑むとしている一方で、本件事業では二酸化炭素が年間排出量78.7万トン増加するとしている。このことから目標達成のためにどのように取組んでいくのか、具体的かつ定量的な二酸化炭素の削減方法を明らかにすること。

6 その他

(1) 残留塩素について

冷却水排水口における残留塩素濃度を検出限界値以下に管理するとしているが、管理方法等の具体的な内容については明らかにされていないことから、復水器の冷却水に使用する海水について、現在と供用開始後の取水から放水に至る状況及び残留塩素濃度の測定や管理方法を明らかにすること。

(2) 環境監視結果について

本件事業による環境影響や実施した環境保全措置の効果を適切に把握するため、工事中及び供用時に環境監視を計画しているが、その結果についても積極的に公開すること。

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