東日本環境アクセス等不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年5月29日
2019年05月29日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを一部救済する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 国鉄神奈川動力車労働組合(組合)
被申立人 株式会社東日本環境アクセス(アクセス)
 同 東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)

2 事件の概要

本件は、アクセスが、【1】同社のパート社員であり、組合員であるAをパート社員から契約社員に登用(以下「契約社員への転換」という。)しなかったこと、【2】Aが申し立てた退職の意思表示の撤回(以下「退職意思の撤回」という。)を認めなかったこと、【3】組合員であるBによる就業規則の全文コピーの提供要求を拒否したこと、【4】一連の団体交渉(以下「団交」という。)で不誠実な対応に終始したことが、【1】及び【2】は労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び第3号に、【3】は同条第1号に、【4】は同条第2号及び第3号に、JR東日本が、労組法第7条の使用者に当たることから、上記【1】及び【2】については、同条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。

3 命令の概要

(1)主文
【1】アクセスは、Aに対して、平成27年10月1日から、パート社員から契約社員に登用されたものとして取り扱い、平成27年12月31日に離職するまでの間のパート社員として支払われた賃金との差額に、年率5分相当額を加算した額の金員を支払わなければならない。
【2】アクセスは、本命令受領後、速やかに陳謝文を掲示しなければならない。
【3】その余の申立てを棄却する。

(2)本件の主な争点及び判断の要旨
(争点1)
アクセスが、パート社員であったAの契約社員への転換を認めなかったことは、組合員であることを理由とした不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨1)
アクセスが、Aから、組合を通じて契約社員への転換の希望を伝えられて以降、明確な理由も示さないまま、契約社員への転換の条件となる見習い勤務の機会すら与えず、契約社員への転換を認めなかったことは、Aが組合員であること及びAの組合活動を理由とした不利益取扱いに当たる。
また、上記不利益取扱いは、組合の自主的な活動に大きな影響を与えるものといえることから組合の運営に対する支配介入に当たる。

(争点2)
アクセスが、Aの退職意思の撤回を認めなかったことは、組合員であることを理由とした不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨2)
Aが上司の慰留を振り切って、退職の意向を示したことから、アクセスがAの契約終了に関する手続を進めたこと、退職意思の撤回を認めた場合、業務遂行や他の職員への影響が大きいことからすれば、アクセスがAの退職意思の撤回を認めなかったことは、組合員であることを理由とした不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入には当たらない。

(争点3)
アクセスが、Bによる就業規則の全文コピーの提供要求を拒否したことは、組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるか否か。
(判断の要旨3)
アクセスが、Bによる就業規則の全文コピーの提供要求を拒否したとの主張には裏付けがない。

(争点4)
アクセスが、一連の団交において、【1】団交の質問事項に対する回答書に表題、宛名、差出人、日付の記載がなかったこと、【2】小田原事業所長を出席させなかったことは、不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨4)
【1】アクセスが団交で組合に手交した回答書は、単なる備忘録あるいはメモのような取扱いがされており、団交の実施そのものに何らかの影響があるとは認められず、不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入に当たらない。
【2】アクセスの取締役部長が、団交で議題となった事項について交渉権限を有していたことは明らかであるから、所長が団交に出席しなかったことは不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入に当たらない。

(争点5)
アクセスが、平成28年1月27日、同年3月9日及び同年4月27日に実施した各団交において、組合に対し、契約社員への転換について十分な説明を行わなかったことは、不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨5)
使用者は、組合の要求に対して論拠や資料を示しながら、具体的な回答や主張をし、また、合意を求める組合の努力に対しては誠実な対応を通じて合意形成の可能性を模索する義務があると解されるのであるから、組合の要求に、直ちに応ずることができないとしても、なお、明らかにできない理由を十分に説明するなど、労使関係において合意形成をする努力を行うべきである。しかしながら、アクセスが、各団交において、このような努力を行ったとはいえないことから、不誠実団交に当たる。
また、組合が、組合員の労働条件に関する団交で交渉相手から不誠実な対応を示されることは、組合員に組合の団結力及び交渉力に対する疑義を生じさせ、組合弱体化をもたらす可能性があることから、組合の運営に対する支配介入に当たる。

(争点6)
アクセスが、平成28年1月27日に実施した団交と、同年4月27日に実施した団交で、Aの退職意思の撤回を認めなかった理由を変遷させたことは、不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨6)
アクセスの団交での説明に矛盾や変遷は認められないことから、不誠実団交及び組合の運営に対する支配介入には当たらない。

(争点7)
JR東日本は、労組法第7条の「使用者」に当たるか否か。
(判断の要旨7)
組合は、具体的な主張及び立証をしていない。

 

※不当労働行為
使用者は、労働組合法7条により、次のような行為が禁止されている。
不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。
団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。
支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。
報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 髙安
電話 045-633-5445

審査調整グループ 大森
電話 045-633-5447