信愛学園不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年11月26日
2019年11月26日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立ての全部救済命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 神奈川労連・県央地域合同労働組合(組合)
被申立人 学校法人信愛学園(法人)

2 事件の概要

本件は、法人が、理事である組合員Aの雇止めを交渉事項とする団体交渉に1回は応じたものの、2回目以降は応じていないことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

ア 法人は、団体交渉に誠実に応じなければならない。
イ 法人は、本命令受領後、速やかに文書を申立人に手交するとともに、文書の内容を理事会及び評議員会で報告しなければならない。

(2) 主な争点及び判断の要旨

(争点1)
Aは、労組法上の労働者に当たるか否か。

(判断の要旨)

Aと法人との契約は、契約内容が記載された書面の標題が「雇用契約書」等となっている以上、形式的には雇用契約である。
また、Aの業務は、委任ないし委託を受けた者として、専らA自らの責任において遂行することは困難であったと認められる以上、Aと法人との契約は、実質的にも委任契約ないし業務委託契約とは言えず、雇用契約である。
以上より、Aと法人との契約は、実質及び形式の両面において雇用契約であり、Aは労組法上の労働者に当たる。

(争点2)
Aは労組法第2条ただし書第1号に定める使用者の利益を代表する者に当たるか否か。

(判断の要旨)
人事の決定権限は理事会にあることがうかがわれる以上、Aは労組法第2条ただし書第1号がいう人事について直接の権限を持つ監督的地位にある労働者であると認定することはできない。
なお、Aが法人において重大な権限と責任を有していたとしても、同人の雇止めについて争っている本件において、いわゆる合同労働組合である申立人組合に参加したことによる組合の自主性喪失の恐れは、認められない。
以上より、Aは労組法第2条ただし書第1号に定める使用者の利益を代表する者に当たるとは認められない。

(争点3)
法人が、第1回団体交渉の後、団体交渉を拒否していることに正当な理由があるか否か。

(判断の要旨)
Aは労組法上の労働者に当たる以上、Aが労組法上の労働者ではないという法人の主張は、団体交渉応諾拒否の正当な理由とは認められない。
また、法人は、第1回目の団体交渉において議論が平行線をたどり、議論を続けても平行線をたどることが明らかであったことを正当な理由として主張するが、1回の交渉のみで、これ以上は議論が平行線をたどるのみであると判断することは困難である。
さらに、法人は、第1回団体交渉における組合の人格非難的発言、法人の宗教的人格権への無配慮な発言及び表現についても正当な理由として主張するが、これら自体は違法なものではなく、正当な理由とはならない。
以上より、法人が、第1回団体交渉の後、団体交渉を拒否していることに正当な理由は認められない。

※不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 大森
電話 045-633-5449