アンジュエトワル不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年8月7日
2019年08月07日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 神奈川シティユニオン(組合)

被申立人 株式会社アンジュエトワル(会社)

2 事件の概要

本件、【1】組合が、会社に対し、組合員Aの労働問題を交渉事項として団体交渉を申し入れたところ、会社が組合の指定した期限までに文書回答をしなかったこと、【2】会社が、別組合のB顧問に交渉を委任したこと、及び組合と会社との間で合意していた団体交渉の日時について延期を申し出たこと、【3】会社が、組合との団体交渉の様子を秘密録音したことが、【1】は労働組合法第7条第2号に、【2】は同条第2号及び第3号に、【3】は同条第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1)主文

本件申立てを棄却する。

(2)争点及び判断の要旨

【争点1】
組合からの団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。
(判断の要旨)
組合が求めた文書回答の期限は、組合が一方的に指定したものであり、会社はその期限までに文書回答を行わなかったものの、組合が要求した日時で団体交渉に応じ、その席上やその後に提示した文書で組合の要求事項に回答しており、こうした経過をみれば、組合からの団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとはいえない。

【争点2】
第1回団体交渉後、会社が組合に対して別組合のB顧問が作成した文書を送付したこと(ア)、及び同文書で会社が開催を予定していた団体交渉の延期を求めたこと(イ)は、不誠実な交渉態度及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨)
ア 組合は、B顧問が作成した文書の記載内容から、会社が交渉をB顧問に委任したものであり、組合の運営に対する支配介入に当たると主張するが、B顧問の作成した文書には、会社がB顧問に交渉を委任したことを示す記載はない。また、B顧問は、団体交渉に出席する意思はない旨を組合の執行委員長に電話で伝えており、会社が交渉をB顧問に委任したとは認められず、組合の主張は失当である。

イ 組合は、会社がB顧問の文書において団体交渉の延期を申し出たことが、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たると主張するが、上記アで判断したとおり、会社がB顧問に交渉を委任した事実はなく、この文書による団体交渉の延期の申入れを会社の行為と認めることはできない。
会社は、別途文書を組合に送付し、団体交渉の延期を組合に申し入れているが、組合は、これに対して何ら連絡をしておらず、その後団体交渉が開催されていない原因を会社の責めにのみ帰すことは妥当ではなく、会社が、団体交渉の延期を申し入れたこと自体は、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。

【争点3】
第1回団体交渉において、会社がその様子を組合から事前の承諾を得ずに録音したことは、不誠実な交渉態度及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨)
本件当事者間において、録音を禁ずる明確な団体交渉ルールは存在しておらず、録音は団体交渉における組合の要求を正確に理解するためとの会社の主張にも相応の理由があり、本件録音行為は不誠実な交渉態度には当たらない。
また、組合は、会社が録音したことが、組合の運営に対する支配介入に当たると主張するが、その理由や根拠について何ら立証していないので、組合の主張は採用できない。

※不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 北田
電話 045-633-5447