大京建機等不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年8月19日
2019年08月19日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立ての一部を救済する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 神奈川シティユニオン(組合)

被申立人 大京建機株式会社(大京建機)
同 株式会社大林組(大林組)

2 事件の概要

本件は、組合が、組合員Aの労働災害の補償等を交渉事項とする団体交渉を申し入れたところ、【1】大京建機が団体交渉において実質的な協議に応じなかったこと、【2】大林組が正当な理由なく団体交渉に応じなかったことは、いずれも労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に、【3】大京建機が同社従業員に対して組合を誹謗中傷するような発言をしたことは、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1)主文

ア 大京建機は、組合が平成29年8月2日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。

イ 大京建機は、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に交付しなければならない。

ウ その余の申立てを棄却する。

(2)本件の主な争点及び判断の要旨

(争点1)
組合員Aは、大京建機との関係において労組法第7条第2号の「雇用する労働者」に当たるか否か。

(判断の要旨)

組合員Aは、大京建機の事業組織に組み入れられ、同社による時間的場所的拘束の下、作業に従事していた。また、組合員Aと大京建機との間の請負契約は大京建機により定型的、一方的に決定され、その報酬は、労務提供の対価とみるのが相当であること等から、組合員Aは、「賃金、給料又はこれに準ずる収入によつて生活する者」として、労組法第7条第2号にいう「労働者」に該当する。

(争点2)
組合員Aが大京建機との関係において「雇用する労働者」に当たる場合、平成29年8月28日に開催された団体交渉における大京建機の対応が、不誠実な団体交渉に当たるか否か。

(判断の要旨)
大京建機は、組合員Aの労働者性を否定して、組合の団体交渉権の主体たる地位を否認している上、労働審判手続のための準備行為として協議に応じたにすぎず、団体交渉による自主的解決の機会を放棄しており、不誠実な団体交渉応諾として、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

(争点3)
大京建機の同社従業員に対する発言、文書周知等が組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)
大京建機による発言等は、具体的な組合名を挙げてされたものではなく、一般的な危機管理を強調するもので、組合を誹謗中傷したものとは認められず、組合活動を抑制するような内容も認められないから、組合の活動に影響を及ぼすおそれがあるとはいえず、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為とまではいえない。

(争点4)
大林組は、組合員Aとの関係において労組法第7条第2号の「使用者」に当たるか否か。

(判断の要旨)
大林組は、組合員Aとの関係で労働契約上の雇用主でないから、直ちに団体交渉応諾義務を負うものではないが、労働災害に係る本件作業は、JR新宿駅南口バスターミナル工事を請け負う共同企業体構成員の大林組の指示の下に遂行するものとされ、安全衛生や労災防止に関して、計画の策定を主導したり、大京建機及びその作業員に対して安全指導を直接、間接に行っていた。このことから、大林組は、組合員Aの作業環境を現実的かつ具体的に支配、決定できる地位にあり、労働災害の補償に関する団体交渉事項について、団体交渉義務を負うべき「使用者」に当たる。

(争点5)
大林組が労組法上の使用者に当たる場合、組合の団体交渉申入れに対する大林組の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。

(判断の要旨)
大林組は、組合員Aと雇用関係になく、事故の発生から団体交渉の申入れまで約5年が経過していることから、組合に対し、使用者性を基礎付ける事情の回答を要求したことには相応の理由が認められる。これに対し、組合が、何ら回答しないまま、大林組が団体交渉に出席しなかったことをもって、直ちに本件申立てに至っている経緯からすれば、大林組は、組合との団体交渉を拒否したとまではいえず、労組法第7条第2号にいう不当労働行為には該当しない。

※不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 谷口
電話 045-633-5449