日立オートモティブシステムズ不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年10月31日
2019年10月31日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 神奈川シティユニオン(組合)
被申立人 日立オートモティブシステムズ株式会社(会社)

2 事件の概要

本件は、会社が、組合との間で、組合員Aの労働契約を終了するに当たっては、組合と協議する旨の協定書(以下「本件協定書」という。)を締結していたところ、【1】組合への連絡、組合との団体交渉等を行わずに、組合員Aに対して正社員登用試験(以下「本件試験」という。)の説明会を開催し同試験を実施したこと、【2】本件試験について、組合と組合員Aのそれぞれに対し説明した内容に齟齬を生じさせたことは、いずれも労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号及び第3号に、【3】組合員Aの時間外労働時間が平成29年11月以降減少したことは、同条第1号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

本件申立てを棄却する。

(2) 本件の争点及び判断の要旨

(争点1)
会社が、組合との間で、事前に団体交渉等を行わず、組合員Aに対して本件試験を実施したことは、労組法第7条第2号及び第3号に該当するか。

(判断の要旨)

本件試験は、会社の有期契約社員のうち希望する者を対象に、正社員へ登用することを目的として行われたものであり、本件試験に不合格となった場合でも従前の労働条件が維持されることが認められる。したがって、本件試験の実施によって、組合員Aに不利益な影響が生じるとはいえないし、本件協定書に照らしても事前に協議すべきであったとはいえないから、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に該当しない。

(争点2)
会社が、本件試験について、組合と組合員Aのそれぞれに対し説明した内容に齟齬があったことは、労組法第7条第2号及び第3号に該当するか。

(判断の要旨)
会社が本件試験の説明のために組合へ送付した資料には、組合員Aが出席した説明会の資料と比べると欠落があるものの、本件試験の実施を議題とする団体交渉に支障を生じさせるものではなく、会社は団体交渉において異なった内容の資料を送付した理由を説明している。したがって、会社が、本件試験について、組合と組合員Aのそれぞれに対し説明した内容に齟齬を生じさせたことが不誠実とまではいえず、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に該当しない。

(争点3)
組合員Aの時間外労働時間が平成29年11月以降減少したことは、労組法第7条第1号に該当するか。

(判断の要旨)
時間外労働の減少が組合員Aに対する差別的取扱いである等、会社の行為が不当労働行為に該当することについて、組合は主張立証を一切していないことから、かかる会社の取扱いが労組法第7条第1号の不当労働行為に当たるとは認定できない。

※不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 大森
電話 045-633-5449