日産財団不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2019年7月11日
2019年07月11日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 労働組合東京ユニオン(組合)

被申立人 公益財団法人日産財団(財団)

2 事件の概要

財団が、【1】組合員Aの人事評価等に係る団体交渉の開催を、既に評価を変更できないような時期まで遅延させたこと、【2】Aに対して差別的な人事評価を行ったこと、【3】試験制度を口実に昇格させなかったことが、【1】は労働組合法第7条第2号に、【2】及び【3】は同条第1号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

本件申立てを棄却する。

(2) 争点及び判断の要旨

(争点1)

財団が、Aに対する賃金及び処遇を含む人事考課に関する要求事項を議題とする団体交渉において、不誠実な対応を行ったか。

(判断の要旨)

〇 財団は、団体交渉において、相応の時間を費やして、組合に対し、Aの人事考課をその根拠となった具体的な事実を用いて説明し、団体交渉以外の場においても、関連資料を組合に提供するなど、使用者として相応の対応を取った。

〇 組合の要求内容は、財団が個々の労働者に係る人事評価を団体交渉で決定することを求めていたものと認められるため、こうした要求は、会社の裁量権に踏み込もうとするもので、義務的団体交渉事項とはいえない。

よって、財団が、Aに対する賃金及び処遇を含む人事考課に関する要求事項を議題とする団体交渉において、不誠実な対応を行ったとはいえない。

(争点2)

法人が、Aを昇格させなかったことが、組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるか否か。

(判断の要旨)

〇 Aは財団が求める自己研鑽に取り組む姿勢を財団に見せたことはなく、財団がAの仕事に対する姿勢及び勤務状況を消極的に評価したことは致し方ない。

〇 財団が、勤務時間中に居眠りを繰り返すAの健康状態では、昇格後の業務量及び職責に堪えることは困難であると判断して昇格試験の実施を見送ったのは、相当な対応といえる。

〇 その後、財団は、Aに昇格試験を受験する機会を与え、Aは受験したが、試験科目である質疑応答におけるAの回答内容からすると、財団がAを昇格させることができないと判断したことは、不合理とまではいえない。

よって、財団が、Aを昇格させなかったことは、組合員であることを理由とした不利益な取扱いには当たらない。

 

※不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条により、次のような行為が禁止されている。

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 大森
電話 045-633-5447