A不当労働行為救済申立事件の命令について

掲載日:2020年2月25日
2019年09月05日
記者発表資料

※本件は、中央労働委員会が和解認定したことにより失効したため、申立人及び被申立人を匿名化しています。
神奈川県労働委員会(会長 盛誠吾)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立てについて救済する命令を発しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 X1(組合)

被申立人 Y1こと行政書士A

2 事件の概要

本件は、Y1の代表を務める行政書士Aが、組合から申入れのあった組合員Bの雇用問題等を交渉事項とする団体交渉を拒否したことが、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1)主文(要旨)

【1】 行政書士Aは、組合が平成30年4月24日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
【2】 行政書士Aは、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に手交しなければならない。

(2)本件の争点及び判断の要旨

(争点)
組合からの平成30年4月24日付け団体交渉申入れに対する行政書士Aの対応が、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。

(判断の要旨)

ア 行政書士Aは、平成30年4月25日に、組合事務所に架電し、団体交渉に応じるか否かは自分が決める旨の発言をした。その後、同人は、組合の要求した団体交渉事項に対して何ら具体的な回答をすることもなく、団体交渉の開催に関する諾否の連絡をすることもなかった。これらのことを合わせて考えると、同人の発言は、組合に対して団体交渉を拒否する意思を表示したものと認められ、同人の対応は団体交渉の拒否に当たる。
イ 組合からの団体交渉の要求事項は、【1】退職の了承、【2】週28時間分の労働に対する給料の支払、【3】パスポート、大学及び大学院の卒業証明書等の返却といったものである。【1】退職は、労働者の地位の重大な変更であって、退職を求めても認めてくれない使用者に対し、組合が所属組合員の退職を求めて団体交渉を要求することができるのは当然のことである。
【2】は、労働者の主な労働条件である賃金の支払に関するものである。
【3】は、パスポート等の書類を行政書士Aに預けたのは、労働契約に関する契約書に定められた条件、すなわち、労働条件として行われたものである。
したがって、【1】から【3】までは、組合員Bの労働条件その他の待遇に関する事項であって、行政書士Aに処分可能なものであり、同人は団体交渉に応じる義務がある。
ウ なお、行政書士Aは、組合の主張する事実は虚構に基づくものであることから、団体交渉を拒否する正当な理由があるとしているが、事実関係の認識に相違があるということは、団体交渉を拒否する正当な理由とはならない。
以上のことから、行政書士Aの対応は、団体交渉の拒否に当たり、このことについて、正当な理由があるとは認められない。

※本件について、公表時の内容をお知りになりたい方は、問合せ先までご連絡ください。

 

※不当労働行為

不利益取扱い(同条1号):組合員であることや労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者に対して解雇などの不利益な取扱いをすること。

団体交渉拒否(同条2号):正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をすること。

支配介入(同条3号):労働者による労働組合の結成やその運営を支配したり、これらに介入すること。

報復的不利益取扱い(同条4号):労働委員会に申立てなどをしたことを理由に、労働者に対して不利益な取扱いをすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局審査調整課

労働関係調整担当課長 菅居
電話 045-633-5445

審査調整グループ 谷口
電話 045-633-5449