警察署長会議における訓辞

掲載日:2019年10月4日

神奈川県公安委員会

警察署長会議における訓辞

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警察署長会議における訓辞

 

令和元年10月2日 定例警察署長会議 

 御紹介いただきました、公安委員会委員の岡田です。

 県下の治安維持に、日々御尽力いただき、ありがとうございます。

 私は、長く基礎自治体の行政マンとして市民生活に関わってまいりました。この間、皆様方には、様々な場面で、お世話になりました。具体例を挙げてお話しさせていただきたいところですが、個人情報の問題もありますので、お察しいただき、包括して、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

 何かお役に立ちたいと思いながら、公安委員を拝命して、1年6か月がたちました。皆様の仕事の一端を見せていただき、御苦労に感動する日々が続いています。皆様の努力は、もっともっと評価されるべきだと思います。現実は、テレビドラマよりも厳しく、複雑で、精神論では解決できないことばかりですから。

 

 さて、2015年12月に野村総研が10から20年後に「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業と代替可能性が低い100種の職業」を発表し、話題となりました。覚えておいででしょうか。国県市町村の事務職員はAIに代替される職種です。小学校中学校の教員は低い職種でした。

 警察官は?どうでしたでしょうか。

 実は、どちらにも分類されておりませんでした。ものすごいスピードで進むAIネットワーク社会において、警察官の仕事がどのように変化していくのか、公表されている研究は見当たりません。内部では検討されていると思いますが、いかがでしょうか。

 将来の人口構成、経済情勢などから、今後、警察官の人数が飛躍的に増えることは、残念ながら想定しにくいです。多様化、複雑化する社会で治安を維持していくためには、AIの活用は必然となります。

 横浜市のデータで恐縮ですが、この10年、学校で日本語指導が必要な子供の数は倍以上となりました。子供だけで横浜に来た訳ではありません。

 県下では国際的なイベントも多くなりました。多言語多文化の市民生活に、現場の警察官はどのように対応していますでしょうか。

 区役所の窓口などは、簡単な手続きは翻訳アプリを活用し、生活環境ごとに異なる福祉の支援などでは、外国語のコミュニティに応援を依頼するなど、状況に応じて対応しますが、手間もお金もかかります。多言語や複雑な法律解釈が必要となる申請手続きの現場では、AIに代替され、行政事務員の仕事は意外に早くなくなるかもしれません。

 先日、白バイのヘルメットに搭載された新しいカメラを拝見しました。この画像が、リアルタイムに本部で確認できるようになるのも遠い将来ではないと思います。もしかすると、速やかな応援体制など、現場への指示はAIが判断するようになるかもしれません。さらに進化し、追跡はロボットの仕事となる日も来るかもしれません。

 関係機関との連携も、これまで言われた、顔の見えるつながりから、質の高い情報のネットワーク化へと重点が変わっていくと考えます。福祉、教育、警察の連携では、規範意識が培われる幼少期から、子供たちの成長と育成環境を見守り、必要な時期に適切な機関から指導・支援を行えるようにならなければなりません。凶悪犯の年齢は、20歳代が最も多いと公表されています。中には、関係機関が10代の問題行動を見抜けなかった者もいます。警察の分析情報を、子供たちの育成環境を守るために活用することは、将来の治安維持には必要なことではないかと感じています。権力を持つものは謙虚でなければなりませんが、警察が主体的に他機関を動かす存在になることを躊躇してはいけないと思います。

 

 事件、事故は現場で起きます。現場の警察官が、効率よく効果的に業務を遂行するためには、何が不要で何が必要か、AIの判断を待つことなく、ぜひ、若い方に意見を求めてください。そして本日御出席の皆さんが経験から考えることと比較してください。一致したことはすぐ提案し、退官までに実現する。一致しなかったことは、なぜ、齟齬があるかを考え、若い方々と議論してほしいと思います。警察は堅固な縦型組織です。だからこそ、こうした議論がより必要だと思います。

 事件・事故は人が起こします。苦しいけれど、人が解決しなければなりません。これが、AIが代替可能かの研究が発表されない理由かもしれません。

 

 貴重なお時間に、まとまりのない話をしてしまいました。先週、警察学校の卒業式に参列いたしました。キラキラ輝く新人が皆様の職責を担うときには、どのような仕事の仕方をしていますでしょうか。私も長生きをして、見届けたいと思います。

 皆様の今後の御活躍を期待申し上げまして、私の訓辞といたします。