高圧ガス事故のトレンド(平成25年)

掲載日:2018年3月23日

1 高圧ガス事故の推移(平成15年から平成25年まで)

平成15年から平成25年までに神奈川県内で発生した高圧ガス事故並びに容器の盗難・喪失等を除いた災害事故についての推移を示します。

発生件数は増加から横ばい、製造事業所以外における事故は増加傾向

神奈川県内での高圧ガス事故の発生件数は平成9年頃から増加傾向にあり、平成24年は過去最多記録更新となり、55件もの事故が発生しました。平成25年は若干減少したものの、高圧ガス事故は52件と多く発生しています。事故区分による内訳では製造事業所が23件(前年比2件減)、消費先が15件(同5件減)であり、例年どおり発生件数の多くを占めていますが、それ以外の区分でその他の事故が12(前年比5件増)と増加傾向にあります。(図1.1)

図1.1 高圧ガス事故件数の推移【神奈川県】(平成15年から平成25年)

次に、容器の盗難・喪失等を除いた災害事故の推移を事故区分別に図1.2に示します。災害事故も同様に発生件数は増加から横ばいの高止まりの傾向であり、平成25年には38件(前年比3件減)と過去2番目に多い発生件数となっています。

このうち、製造事業所が前年とほとんど変わらず23件(前年比2件減)であるのに対し、次に割合の多くを占めたものが、その他の事故で9件(前年比2件増)となりました。平成20年頃から製造事業所以外の事故の増加傾向が見られます。

なお、顕著な増加傾向を示しているその他の事故には、高圧ガスの貯蔵中の漏えい事故が多くを占めています。

図1.2 災害事故件数の推移【神奈川県】(平成15年から平成25年)

災害事故の多くを占める製造事業所について、法区分別の発生件数の推移を図1.3に示します。平成19年頃からは冷凍則や一般則適用事業所における事故が増加しています。

平成25年では一般則の事故は大きく減りました(前年比11件減)が、それ以外の事故が軒並み増加(合計前年比9件増)しました。

図1.3 製造事業所の災害事故件数の推移【神奈川県】(平成15から平成25年)

2 平成25年の災害事故について

平成25年には神奈川県内で52件の高圧ガス事故が発生しました。内訳は災害事故が38件(73.1%)で容器の盗難・喪失等が14件(26.9%)となっています。ここでは、災害事故のトレンドを考察します。

製造事業所における事故が多く、事象では噴出・漏えいが大部分を占める

平成25年に発生した災害事故を事故区分別及び事象別に分類して図2.1に示します。事故区分別では製造事業所が最も多く23件(60%)、次いでその他が9件(24%)、消費先が4件(11%)、移動中が2件(5%)となっています。平成24年に引き続き、製造事業所以外の事故が40%を占めています。

事象別では噴出・漏えいが32件(82%)と大部分を占めており、破裂破損が5件(13%)、その他が1件(3%)ずつとなっています。なお、これらは一次事象により件数をカウントしています。

図2.1 災害事故の事故区分別割合(左)と事象別割合(右)(平成25年)

また、事故の多くを占める漏えいについて区分別にみてみると、冷凍則製造事業所とその他が多く占めているのがわかります。(図2.2)

その他に含まれるほとんどが高圧ガスの貯蔵中における漏えいになります。

法で許可・届出を要する第一種貯蔵所、第二種貯蔵所には該当しない量の高圧ガスを貯蔵する場合であっても、法第15条の技術上の基準に従って貯蔵しなければなりません。また、設備の定期的な点検は事故防止の観点から必要です。

他にも放置されている容器からの漏えい事故もありました。高圧ガス容器を放置することは重大な事故につながるおそれがあります。(参考:容器の取扱について(KHKホームページ)

高圧ガス容器の管理は販売店の皆様のご協力がなにより重要です。神奈川県では容器適正管理指針を定めていますので、これを参考に容器管理を徹底してくださるようお願いします。

→ 神奈川県高圧ガス容器適正管理指針

図2.2 噴出・漏えい事故の区分別割合(平成25年)

原因別では腐食管理不良及び誤操作・誤判断によるものが多く、設備の老朽化対策及び保安教育が重要

次に、災害事故を原因と事象別に分類して図2.3に示します。原因別では、その他を除くと腐食管理不良による事故が最も多く7件、次いで誤操作・誤判断が6件、容器管理不良が4件、締結管理不良が3件と続いています。

その他としては10件中、経年劣化(振動や疲労による。)が8件、締結部の緩み(振動による。)が1件報告されています。

設備の老朽化が課題となる今、災害事故を減らすためには設備の腐食と疲労の対策が重要です。

また、人的被害を出した事故は誤操作、誤判断によるもの3件(H25-11,14,21)であり、高圧ガスを扱うときの手順や注意点、イレギュラーなことが起きたときの対応等、日ごろからの保安教育が重要になります。

図2.3 災害事故の原因別分類(平成25年)

配管の腐食、冷凍設備の疲労による事故発生が多い

災害事故の原因で特に多い腐食(7件)及び経年劣化という報告のうち疲労(6件)の計13件について、設備区分、機器及び部位別に分類して図2.4-1に示します。平成25年の事故の多い設備区分は、腐食が配管等(配管・継手・弁)(4件)、疲労が冷凍設備(6件)となっています。

次に平成22年から25年までの蓄積したデータを図2.4-2にまとめました。腐食・疲労による事故は冷凍設備とコールドエバポレーター(CE)で約62%を占めていることがわかります。これらは設置件数が多いこともあり、冷凍則及び一般則適用事業所における災害事故の主な要因となっています。

図2.4-1 腐食・検査管理不良に起因する災害事故の詳細内訳(平成25年)
図2.4-2 腐食・検査管理不良に起因する災害事故の詳細内訳(平成22から25年)

これまでと異なり、年数をあまり経ないで発生する疲労による事故

次に平成25年の腐食及び疲労による災害事故13件について、設備の設置経過年数で整理して図2.5-1に示します。

経過年数5年以内の事故は塩化水素容器が湿度の高いところで保管されていたもので、それを除いても昨年とは異なり、経過年数が20年以内の事故が半数以上(疲労によるものだけをみると全数、そのうちほとんどが冷凍設備における。)発生しました。

また、平成22年からの腐食・疲労による事故を合計したものを設備の設置経過年数で整理して図2.5-2に示します。

疲労・腐食ともに経過年数に限らず発生していますが、腐食は20年を過ぎたあたりから、疲労は20年以内の発生件数が多くなっています。

高圧ガス事故の統計と解析(高圧ガス保安協会発行)の全国の冷凍製造事業所の事故の解析によると、「疲労はほとんどが圧縮機の振動に起因している。疲労の部位は、疲労強度が低い銅管(ろう付け部含む)が多い。原因は、疲労に対する検討の不足であり、設計不良が大半を占める。」とされ、さらに、「フルオロカーボンを冷媒として用いる冷凍空調設備では疲労を考慮した設計、製造、維持管理が必要であるが、現状では疲労は考慮されていない。」とされています。

近年の冷凍設備からの漏えい事故の増加は、フロンを冷媒とする設備の増加であり、事故届の届出の徹底が一因と考えられますが、不活性ガスであっても人的被害を生じる危険性があります。経年劣化という言葉だけでなく、十分な原因の追求をし、メーカー・ユーザー共に事故防止を図っていくことが必要と考えられます。

図2.5-1 腐食・検査管理不良に起因する災害事故の設置経過年数(平成25年)
図2.5-2 腐食・検査管理不良に起因する災害事故の設置経過年数(過去22~25年分)

人身事故の発生、高圧ガスの取り扱いについて十分な保安教育が重要

高圧ガス保安法は、高圧ガスによる災害を防止することを目的としており、労働安全の観点からも人身事故を起こさない、起こさせないことは事業所の責務といえます。ここで、平成14年から平成25年に発生した人身事故の推移と主な災害を図2.6に示します。発生件数はほぼ横ばいで推移しており、なかなか減らせていないのが現状です。

平成25年には3件(前年比1件減)の人身事故が発生し、合わせて3名が負傷しています。すべて誤操作・誤判断が原因であり、高圧ガスを扱う上での手順や安全管理、イレギュラーな事態への対応について十分な保安教育が求められます。

図2.6 人身事故の推移と主な災害(平成14年から平成25年)

次に、平成14年から平成25年に発生した人身事故34件について事故区分別と取扱いガス別に分類したものを図2.7に示します。事故区分別では消費先が14件(41%)、製造事業所が12件(35%)で全体の7割以上を占めています。

また、取扱いガス別では最も多いのが液化石油ガスの事故で11件(32%)、次いで炭酸ガスと窒素ガスが各5件(各15%)と続いています。不活性ガスであっても高圧ガスの事故は人的被害をもたらします。近年では気密試験等で窒素ガスを使用する際の人的被害が発生しているところであり、あらためて高圧ガスを取り扱う場合の手順を確認してくださるようお願いします。

→ 高圧ガス事故に係る注意喚起等(工業保安関係事故のページ)

図2.7 人身事故の事故区分別割合(左)と取扱いガス(右)(平成14年から平成25年)

メンテナンス業者やメーカ等と積極的に情報交換を行い、計画的な腐食・疲労対策を

過去の事例を振り返りますと、腐食については保温材等の被覆配管の継ぎ目から空気が入り込み、運転時の温度変化により結露と蒸発を繰り返すことにより、冷凍機で主に使用されている炭素鋼配管が外面から腐食され、局部的な減肉が進行して噴出・漏えいに至る事例が多く見られます。

疲労については圧縮機等の回転機器の振動や、常温と極低温の間欠運転を繰り返す熱サイクルにより配管等に応力が加わり、最終的には強度が劣る溶接部やろう付部に亀裂が入って噴出・漏えいに至る事例が多く見られます。

被覆配管下の外面腐食対策については設計・施工段階では防食材料の選定や、保温材のシール施工を確実に行うこと等が重要であり、設置後は経過年数を考慮し、保温材を解体して目視検査を行うことや、適切な非破壊検査を実施すること等が有効と考えられます。神奈川県では配管の外面腐食対策についての技術資料を提供しているので、参考にしてください。

ダウンロード
高圧ガス配管外面腐食検査に係る技術資料[PDFファイル/543KB]

疲労対策では設計・施工段階で応力を緩和する措置が重要であり、設置後は応力のかかりやすい部位を把握して日常や定期点検時のポイントに加え、経過年数を考慮して非破壊検査等の計画的な点検を実施し、評価を行った上で補修や設備の更新に活かすことが有効と考えられます。高圧ガス保安協会ではCE設備における疲労事故対策の注意事項をまとめた資料を提供しているので参考にしてください。

リンク
コールドエバポレータ(CE)設備における配管溶接部、ろう付け部の疲労事故対策の注意事項

冷凍設備やCE設備は保守をメンテナンス業者に委託している場合が多いので、事業所では責任を持ち、高圧ガスを管理する立場から、これらメンテナンス業者やメーカ等と積極的に情報交換を行い、日常点検における検査ポイントの見直しや計画的な検査、補修等の対策を行うことが重要です。

自主保安活動を推進して事故の無い事業の継続を

関係事業所では、従業員だけではなく協力会社の作業員などに対して、高圧ガス設備の取扱いに関する保安教育の徹底はもちろんのこと、必要な作業要領や手順書の作成と周知、及びKY(危険予知)などの作業前ミーティングの実施と、作業段階での安全確認を確実に行うなどの管理がとても重要です。

一たび高圧ガス事故が発生すると本人や関係者はもちろんのこと、事業に及ぼす影響も大きなものになります。関係事業所では安全を最優先に高圧ガスを取扱うことの危険性をあらためて認識していただき、引き続き自主保安活動を推進して事故の未然防止に努めてください。

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