審議結果

掲載日:2015年1月18日
様式3-2

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称かながわ人権政策推進懇話会
開催日時平成27年10月15日(金曜日)10時00分から12時00分
開催場所横浜情報文化センター大会議室
出席者

(座長)
炭谷 茂         社会福祉法人 恩賜財団済生会理事長
(座長代行)
坂田 清一        神奈川県人権擁護委員連合会会長
阿部 裕子        一般社団法人 神奈川人権センター事務局次長

今原 邦彦        公募委員

岩田 美香        法政大学現代福祉学部教授

髙橋 恭子        県立保健福祉大学保健福祉学部教授
鶴田 一子        かながわ人権フォーラム幹事

早坂 公幸        日本労働組合総連合会神奈川県連合会副事務局長
裵 安(ぺい あん)     かながわ外国人すまいサポートセンター理事長

三川 哲伸        部落解放同盟神奈川県連合会執行委員長
宮崎 紀美子         特定非営利活動法人 かながわ女性会議理事

次回開催予定日未定
問い合わせ先

人権男女共同参画課 担当:千葉
電話番号 045-210-3637
ファックス番号 045-210-8832
フォームメール(以下をクリックすると、問い合わせフォームがご利用いただけます。)

県民局 人権男女共同参画課のページ

下欄に掲載するもの
  • 議事録全文
要約した理由
審議経過

1 テーマ「人権がすべての人に保障される地域社会の実現をめざして~人権啓発のあり方について~」②

   (1) フィールドワーク「LGBTについて」

   (2) 人権に関する啓発事業の見直しについて(現状報告)

 

○炭谷座長

   今回の懇話会では、前回の懇話会に引き続き「人権がすべての人に保障される地域社会の実現を目指して~人権啓発のあり方について~」をテーマに、委員の皆様方から様々なご意見をいただきたいと思っています。

  議論に先立って、前回の懇話会でのご意見を踏まえ、フィールドワークの一環としてLGBTについて、特定非営利活動法人ReBit(リビット)の方からお話を伺い、意見交換を行います。

   その後、県の人権に関する啓発事業の見直しについての現状報告を行い、委員の皆様から、更にいろいろなご意見をお伺いしたいと思います。

   それでは、議題1 フィールドワーク「LGBTについて」です。

   昨年12月、オリンピック憲章に、人種、肌の色、言語、宗教等と並び、性的指向による差別禁止が謳われました。2020年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けて、日本全体、社会全体でLGBTを正しく理解することが必要であり、啓発の必要性がますます高まると思われます。

   本日はLGBT問題について、日ごろから取り組まれている特定非営利活動法人ReBitの藥師(やくし)氏、下平(しもだいら)氏にお越しをいただいて、当事者の方の思いやご経験、それらを踏まえた人権政策へのご提案についてお話を伺いたいと思っています。

   ReBitさんと神奈川県とは、今年度から協働事業を行っているとのことで、今後も協働して啓発を行っていくことから、この後の、県の人権に関する啓発事業の見直しについての現状報告の際にも、オブザーバーとしてご出席いただく予定でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

 
○藥師氏

   ご紹介いただきありがとうございます。NPO法人ReBit代表理事の藥師実芳(やくし・みか)と理事の下平武(しもだいら・たける)と申します。本日はよろしくお願いいたします。本日はこのような場でお話をさせていただけるということ、とても嬉しく思っています。

   最初に、少し団体の紹介をさせてください。ReBitは、LGBTを含めたすべての子どもが、ありのままで大人になれる社会を目指し、大学生や20代を中心に、約300名が属しているNPO法人です。三つの事業を行っており、一つ目に「LGBT教育」では、年間100回程度、行政、小中高等学校・大学での出張授業や研修を実施しています。二つ目に、「LGBT成人式」では全国でのイベント開催を、三つ目に「LGBT就活」では、約300名の10代〜20代のLGBTの「はたらく」を応援をしてきました。今年度からは、「かながわボランタリー活動推進基金21」にて神奈川県様との協働を開始しています。

   まず最初に、性別について考えてみたいと思います。性別は4つの軸で考えることができます。一つ目は、外性器や内性器、性染色体などから判断される、「からだの性」です。二つ目は、自身の性別をどのように認識しているか、という「こころの性」です。三つ目は、どの性別の人を恋愛対象にするか、もしくはしないか、という「好きになる性」です。四つ目は、服装、話し方、振る舞い方などにみる「表現する性」です。

   LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取った言葉です。レズビアンとゲイというのは同性が恋愛対象である同性愛者の方です。女性として女性が恋愛対象である方をレズビアン、男性として男性が恋愛対象である方をゲイ、男性も女性も恋愛対象である方をバイセクシュアル、そして、からだの性とこころの性が一致しない人をトランスジェンダーといいます。しかし、セクシュアリティ(性のあり方)はこの4つだけではなく、人の数だけあるとも言われており、とても多様です。LGBTの国内の人口比率は約7.6%と言われおり、約13人に一人、左利きとかAB型の人とほとんど変わらない割合です。

   2014年に文部科学省が、全国の小中高校に対して、性同一性障害の子どもの対応事例があるかを調査する「学校における性同一性障害にかかる対応に関する状況調査」を発表しました。その中で該当した学校は606件です。この調査を受け2015年4月、文部科学省からすべての小中高校に対して、性的マイノリティの子どもへの対応を求める通知が出されました。

   LGBTの子どもたちを取り巻く課題はどのようなものがあるのでしょう。LGBTの課題は、アイデンティティの話だからこそ、進路、就職、誰とどう生きるのかなどのライフプランに関わる話であり、LGBTであることを否定的に捉えられることは、自尊感情の低下に繋がりやすいと言われます。

   様々なデータからLGBTの困難について見ると、LGBTの人の約7割がいじめや暴力を受けたことがあります。また、性同一性障害者の約3割が不登校を経験したことがあり、約3割が自傷、自殺未遂などを経験したことがあり、約7割が死にたいと思ったことがあるといいます。希死念慮のピークは二次性徴期、小学校高学年から高校の間だと言われているからこそ、LGBTの課題は、子ども、若者の課題だと考えられます。

   しかし、ReBitが高校生にとったアンケートでは、約1割しかLGBTや多様な性に関して習っておらず、約85%がホモネタ、オカマ、おとこおんな等の言葉を見聞きしたことがあり、正しい知識を教えてもらえないけれど、揶揄する言葉だけは日常的に聞いているような現状がみえます。

   「よりそいホットライン」という24時間無料電話相談には、LGBTに関する専門ラインがあります。平成24年度には年間63万件以上の相談電話がかかっており、約半数が10代、20代からの架電であったといいます。LGBTが「見えないからいない」ということではなくて、見えないし、言えないからこそ、「いない」と思われてしまい、悩みが深まっている現状があります。

   ここからは、LGBTの子どもが困りやすいことについて考えていきます。特にLGBTの子どもが困りやすいことを5軸に分けると、まず「男女で分けられること」。トイレだったり、制服だったり、修学旅行の風呂や部屋だったり、健康診断だったり、学校現場のいろいろなところで、男女で分けられることで困りやすいです。二つ目に、「LGBTの子がいないことが前提になっていること」。例えば「重い物を持つから男子集合」、「男の子なんだから泣いてはいけません」、「この色遣いはおしとやかで女の子らしくて素敵だね」、など声かけの中に、男らしさ女らしさが前提となっていたり、「大きくなったら結婚して子育てをするんだから」などのようにすべての人が異性愛者であることが前提となっていると、困りやすい子どもがいます。三つ目「正しい知識にアクセスできないこと」。希死念慮が最も高まる小学校高学年から高校の間に、教育の中でLGBTについて教えてもらえないことは、正しい情報にアクセスすることを困難にします。四つ目に「身近に相談できる人がいないこと」。教職員や保護者がLGBTについて無理解や偏見をもっていると、子どもが相談をしても「気のせいだ」とか「そんなはずはない」と否定されてしまうこともあります。また、だれに相談できるのかわからず、ひとりで抱え込んでしまうこともあります。五つ目「ロールモデルが見えないこと」。地域の中で、もしくは自身の身近にLGBTの大人が可視化しないことで、「この地域で生きていけないのでは」「はたらけないのでは」「大人になれないのでは」など、将来の不安が生じることがあります。

   そんなLGBTの子どもたちもありのままで大人になれる社会のためには、まず教育関係者や保護者にLGBTについて知る機会を提供する必要があります。特に教職員の養成課程や教職員研修で、LGBTの研修を取り入れていくことが大切です。また、子どもがLGBTについて知る機会の提供が必要です。学校現場でLGBTについての情報を伝えていくことが大切です。また、LGBTの子どもや保護者が孤立しないためにも、支援体制を作ったり、居場所をつくることはとても大事です。

   LGBTの若者が困りやすいこととして、「はたらく」ということがあります。求職時に、セクシュアリティに関し困難を感じたことがあるトランスジェンダーは約7割、同性愛者や両性愛者の約4割にのぼります。企業や支援機関に理解がないことで、就活の面接時にカミングアウトをすると差別的待遇を受けることもあります。また、ハローワーク、若者サポートステーションなどの支援機関で相談をする際も、支援者に理解がないと二次被害に遭うこともあります。また職場の中でもLGBTの困難は多くあります。例えば、セクシャルハラスメントや差別に遭いやすい、福利厚生が同性パートナーを持つ人やLGBTを想定していないことで安全に働けない、周りの無理解により人間関係の困難などにつながることなどが挙げられます。

   LGBTも自分らしくはたらける社会のために、まず、LGBTへの差別禁止を行政の条例や企業の倫理規定で明文化することが大切です。二つ目に、職場の理解促進・対応実施が大切です。職場での研修実施や相談窓口の明確化、LGBTも想定した福利厚生の見直しなどが挙げられます。三つ目に、自立就労支援機関での理解促進・対応実施が大切です。同じく、支援者への研修実施や相談窓口の明確化などが挙げられます。

   また、LGBTが地域で暮らす上で困りやすいことも多くあります。例えば、男性同士や女性同士で住むとこと、もしくは、見た目の性別と戸籍の性別が違うことで、地域での人間関係を難しくすることもあります。困りごとを自治体に相談したくても、相談窓口や担当課等がない場合は相談することが難しくなります。

  その他にも、国内では同性婚やパートナーシップ法がなく、同性カップルは法律上家族になれないことで生じる困難もあります。長年連れ添っているパートナーであっても同性であると、ICU等に入院した場合、医療上の同意権もなく、面会ができない場合もあり、何十年も連れ添っているのに死に目に会えなかったというケースもあります。また、同性カップルは、二人の名義で家を買ったり、財産を持ったりできないため、一緒にお金を払い続けた家であってもどちらかの名義にしかできず、名義を持っている人が亡くなってしまった場合は、もうその家は自分の物ではないので出て行かざるを得ないこともあります。また、公営住宅に入れないなどといった難しさもあります。

   以上です。ありがとうございました。

 
○炭谷座長

  ありがとうございました。大変わかりやすく、私自身、初めて聞くような話が結構多くて、大変勉強になりました。いろいろと深く知りたいと思うこともあるのではないかと思いますので、これから30分間、いろいろなご質問やご意見をいただければと思います。どうぞ自由にお願いします。

 
○阿部委員

   どうもありがとうございました。非常にわかりやすかったです。

   先ほど、神奈川県との協働事業というお話が出ましたけれども、その協働事業の内容を教えていただきたいのと、その結果として、啓発用の冊子があるのでしたら、有料かもしれませんが、入手したいと思っています。といいますのも、私たちも、対人支援、相談活動をしておりますので、数は少ないのですが、LGBTではないかなと思われるような相談者もいらっしゃいます。相談員を集めて3回ほどLGBTの学習会をしたのですけれども、手元に適切な資料があると、より有効かなとも思っています。

 
○藥師氏

   協働事業で取り組ませていただいていることには、二つのことがあります。一つ目に普及啓発事業ということで、県民の皆様にLGBTのことを知っていただくために、公開講座や、公的機関への出張研修をやらせていただいています。2つ目が、自立就労支援ということで、LGBTにとってもはたらきやすい地域づくりのために、自立就労支援者に向けた公開講座や出張研修を行ったり、10代から20代のLGBTに向けたキャリアカウンセリングや就労支援セミナーなどを県内で実施してます。ちなみに10月・11月の予定がこちらになっておりますので、もし公開講座等いらしていただけましたら幸いです。冊子としては、横浜市や埼玉県等で作らせていただいた教職員向けのハンドブックがあります。

 
○阿部委員

   どうもありがとうございました。

 
○裵(ぺい)委員

   お話どうもありがとうございました。とてもわかりやすくて良かったと思います。

   いつも感じるのですが、結局マイノリティは皆一緒だなという感想です。私は日本で生まれている二世なのですけれども、外国人の支援をしていて、自分らしく生きられないということで外国に繋がる子どもたちが悩んでいたり、また、数年前にある方から、日本国内の在日の人たちの自殺のパーセンテージが非常に高いという資料をいただいたのですが、50代の男性の人口のパーセンテージからいくと、2倍くらい多いというものでした。ある程度の人生を生きてきた中で、50代になって、たくさんの人たちが自殺に追い込まれてしまう状況とか、自分らしく生きられない中で自分らしく生きようと、例えば本名を名乗ったりすると、本名の方が私は楽だと思うのですが、非常に生きにくくなってしまったりとかがあります。

   先ほどハローワークの話もありましたけれど、知人で何人も、失業したので仕事を探すということでハローワークに行くと、本名で仕事なんか見つかる訳ないじゃないかということを、平気でキャリアアドバイザーが言ったり、そういうことが非常に多いです。

   やはりどういう出自や国籍や民族や文化を持っていっても、LGBTに関しても、どんな性的指向を持っていても、普通に、自分が望むように、当たり前に生きていかれなくてはならないのに、それができないというのは非常に残念だなと思います。

   もう一つ、いつも私はここでも話をするのですけれども、差別撤廃条約や法のようなものを作るべきだと。差別をする人間は、人の心を殺すのと同じ、傷つけるのと同じだから、やはり罰せられなくてはいけないと思います。日本は綺麗ごとは言うけれども、法もないし条例もない。そこはやはり私達が、せっかくこういう懇話会を持っているので、きちんとそういうものに向けて、具体的な歩みを進めていくということが大事なのかなと感じました。差別撤廃法を作るために頑張っている人たちもいるので、ぜひ一緒に活動できたらいいかなと思いました。

   労働問題でも、力の要る仕事は男の人とか、女の人はお茶くみなどとか、今でもやはり、まだまだそういうことはあるので、労働の現場や学校などにおいて、マイノリティの教育をしっかりしていかなくてはと思います。

   実は県立高校で、人権教育の一環として、ホームレスのことに関して、昨年度と今年度、話をさせていただいています。私はホームレスの専門家ではないので、ホームレスの活動をされている方と一緒に学校に出かけて行くのですが、1時間2時間、散々話をした後で、学校の先生や校長先生が私たちへの挨拶の際に「ホームレス予備軍を作らないために頑張ります」とおっしゃる。そういうことで、かなりがっかりして帰って来ることがあるのです。

   私たちも一生懸命、学校に出向いて行って話をするのですけれども、ぜひ県の方でも、思考の仕方というか、マイノリティはいないということが前提で話をしている、考えている、そのような教育の現場を変えていくということについて、もう少し真剣に取り組んでいただければと思います。よろしくお願いします。

 
○下平氏

   日本は文京区や多摩市で、LGBTの差別を条例で禁止しています。国でもLGBTの差別を禁止するような法律をつくるために、LGBTの課題を考える国会議員の議員連盟が立ち上がりました。また、当事者団体がまとまってLGBT法連合会という団体もできました。

 
○宮崎委員

   実は私達、今度の人権メッセージ展で、セクシャルマイノリティのことについて展示をすることになっているのですけれども、やはりどういうふうに広報していけば良いのか、何を一番に出したら良いのかということと、ビデオも放映したいと思っていますので、お薦めのビデオなどがありましたら、お教えいただければと思っています。

 
○藥師氏

   ありがとうございます。LGBTをどう広報するかということでしょうか。

 
○宮崎委員

   いわゆるLGBTについて、あまり理解されてないので、まず、LGBTがあることは知らせなければいけないと思っています。その後に、どういうふうに効果的にすればよいのか。パネル三つ分のスペースなので、あまりたくさんはできず、チラシを配るとかということになると思うのですけれども。

 

○藥師氏

   「かながわボランタリー活動推進基金21」でReBitが作成したLGBTについてのパネルが12月に完成予定です。また、展示以外にも実際にLGBTの方を呼んで講演をしていただたり、映像を流すことも効果的だと思います。

 
○宮崎委員

   長い時間その場に留まっていただくのは難しいと思うのですね。そごう前の屋外のイベント広場でやるので。今、ビデオライブラリー、人権ライブラリーに5本あるということで、あたってはいるのですけれども、どのようなものを、どのようにすればいいのかということを迷っているところです。

 
○藥師氏

   ReBitと早稲田大学教育学部金井景子研究室で作成した教職員研修用DVD「先生にできること〜LGBTの教え子たちと向き合うために〜」があり、20分程度です。

 
○宮崎委員

   20分だったら興味があれば大丈夫だと思います。(出展ブースの)目の前で見てくれない方でも、柱の陰から眺めているという方もいらっしゃるんですよ。

 
○藥師氏

   今年度、ReBitも人権メッセージ展に出展させていただけるということで、よろしくお願いいたします。

 
○岩田委員

   お尋ねしたいなと思ったのは、大学の学生にもLGBTの方がいらして、教員としてもそれに配慮していくということを、学部毎にそれぞれ考えています。でも、私が悩ましいなと思うのが、私の友達の外国人のゲイの先生とある別の大学に行って、そのアメリカの大学は、ゲイやレズビアンのためのサポートプログラムもサークルも充実していますと紹介された時に、そのゲイの先生は、「ここの大学の学生はかわいそうだ」と言うのです。ここの大学では、自分がゲイだということだけで括られてしまい、サポートが必要なように扱われると。

  サポートを充実していきたいけれども、逆にサポートすることで、何となくラベリングみたいなことになってしまうのかとも思うのです。日本の大学では、個人的なサポートをしていくけれども、それを他の学生に知られない形でサポートしていく場合が多いと思います。どのようにサポートしていくのかという問題なのですが、個別で当該学生のニーズに見えないように対応して行くのがよいのか、それともアメリカの大学の例のように、自分たちがLGBTだと認識されやすくなっても、制度やサポートが進んでいくことの方がいいと思うのか、どのようにその辺りを考えたらよいか、教えていただけますか。

 
○下平氏

   サポートが必要な人が必要だと思った時に、行く場所があるということがまず必要だと思います。法政大学の多摩キャンパスにもLGBTの学生が集まるサークルがありまして、LGBTのチームと、アライ(LGBTではない人)も一緒に参加するチームの、二つのチームで活動しています。LGBTチームは、LGBTの人達に限って、コミュニケーションしたり、ご飯を食べたりしています。また、アライチームには、ゼミとかでLGBTを学んだりしてLGBTに関心がある学生もいます。現在は、大学の学生課とLGBTの学生への対応について検討したり、アンケート調査を行ったりしています。

   LGBTの学生がネットなどで、自分の大学にLGBTのサークルや団体があるかを検索した際に情報にたどりつけるように、学校のホームページに対応や取り組みについて明記したり、学内のLGBT学生団体についての情報提供をすることも大切なのではと思います。大事なのは、サポートを受けたいと思う人が受けられるように、何か目印みたいなものがあると、安心できるのではないかなと思います。

 
○藥師氏

   例えばアメリカではLGBTセンターがある大学は少なくありません。LGBTセンターには職員の方がいて、LGBT学生などの相談対応や学生生活の応援などをしています。大学側から積極的に、相談の場などを提供していくということは、安全に学校生活を送る上でも大事なことだと思います。

 
○宮崎委員

   今のお話に関連してですが、神奈川大学では、ジェンダー研究会の中で、LGBTを含めて様々な人権問題を研究しています。このようなネーミングだと、多くの人と交流ができて、より多くの方に理解してもらえると思います。

 
○藥師氏

   おっしゃる通りで、LGBT以外の学生にとっても利用しやすい場所であることは重要です。実際、海外のLGBTセンターでも、LGBTでない学生がLGBTのことを知るためにとか、友達のことを知るために来るというケースも多くあり、すべての学生が利用しやすい場というのを検討する必要があると思います。

 
○阿部委員

   情報提供だけなのですけれども、先ほどイギリスで差別禁止法の話が出たかと思いますが、イギリスの差別禁止法成立においては、労働組合が大きな役割を果たしたというふうに聞いております。それは「パレードへようこそ」という映画に描かれています。もし皆さん機会があったら、ぜひご覧になってください。炭鉱で経済的な封鎖に合った労働組合を、LGBTが非常に支援します。支援する中で、ちょっと負けてしまうのですけれども、何年か経った後、差別禁止法を作るときに、イギリス全土の労働組合が全面支援をして法律を成立させるというストーリーだったと思います。あらゆる階層の人たちとの共闘も、非常に教訓になったなと思っております。

 
○炭谷座長

   それでは私の方から質問なのですが、今お話をお聞きして、かなりLGBTの知識が深まったのですが、ただ、これは地域差あると思うのです。同じ神奈川県でも、横浜市などは進んでいるけれども、神奈川県でも都心部を離れると、まだまだということがあるのではないかと。LGBTの方が7.6%の割合でいらっしゃり、それだけ多いということですので、そういう地域差というものを、どのように考えていらっしゃるのか。そして、その相談に応じる、例えば、人権擁護委員や民生委員や福祉事務所など、そういう人の認識度というのは、私は残念ながら、渋谷区や横浜市のレベルと地方とでは、格段に差があるのではないかなと推測するのですけれども、その辺りはどのように実感されていますか。

 
○下平氏

  僕は長野の出身なので、自分もLGBTだと思った時は長野で浪人をしていた時でした。東京にLGBTの団体があることはインターネットで知っていましたが、長野での取組みを聞いたことはなく、長野でゲイなのは僕だけじゃないのかと不安になったりしていました。決してそんなことはないのですが。でも情報やコミュニティにアクセスできないということはとても不安なことですので、もっと情報やコミュニティへのアクセスがあってほしいと思います。

 
○藥師氏

   全国に対してセーフティーネットが届いていない状況で、特にLGBTの子ども・若者が抜け落ちてしまっている現状があるなと感じています。

 
○鶴田委員

   単純な感想で申し訳ないのですけれど、LGBTについて、初めてしっかり勉強をし、知ることができました。ありがとうございました。

   小学校の場合には、子どもたちを、担任の一人の教師が見るということで、割合子どもたちに対応できているのではないかなと思うのですけれど、思春期になる頃、中学や高校の子どもたちの不登校がすごく増えてますよね。いろいろな原因があると思うのですけれど、今このお話を伺って、そういうこともすごく不登校の原因になっているのだなということを感じました。

   暴力を振るったら傷ついて、それは目に見えるから、いけないということはわかるけれど、心を傷つけても(見た目では)わからないじゃないですか。そのことが人権の原点なのかなと思うのですけれども、学校で、もっと中学生とか高校生に、講演というか、こういうお話をわかりやすくするということがすごく大事なのではないかと思います。子どもも知らないし、教師も全く知らない。そのことが本当に子どもたちを傷つけていると思うのですね。ですからぜひ、講演や出前授業みたいな形で、そういう機会を作る努力をして、広く知らせたら良いのではと思いました。

 
○藥師氏

   本当におっしゃるとおりで、LGBTの子どもの希死念慮が特に高まる二次性徴期において、正しい情報や支援を子ども達に届けるということが大事です。弊団体は小学校1年生から、大学生、そして教職員を対象に年間約100回出張授業をやらせていただいていて、そのうちの約35回くらいは神奈川県内で実施させていただいています。でもまだまだ、すべての子どもに届けるには足りません。広く伝えるためにも、先生方に教育の中で子どもたちにLGBTに教えていただくことが、すごく大事だと思っています。

 
○髙橋(恭子)委員

   お話がすごくわかりやすくて、ありがとうございました。目に見えないからこそ、いないこととされてしまうという差別、それから、目に見えれば、それはそれで差別される、こういうことなのだなということをしみじみ感じながら拝聴しました。

   実は私のところのゼミ生も、今年この問題を卒論で取り扱っている学生が一人おりまして、大学にはLGBTの自主研究勉強会などもあったりして、関心を持って学んでいる学生などもおりますけれども、話しやすく、相談したいと思ったときに誰かに話せるという環境を作れているかというところは、やっぱりまだまだで、反省しなければいけないというのを、お話を聞いていて思いました。

   それで一つ質問なんですけれど、ReBitさんも対象が大学生や10代20代中心の若い方、今日の話も子どもとか若者に対してということで、そういった方々への教育とか支援がすごく大事だと思うのですけれど、年長者の方もいらっしゃるんじゃないかなと思うのです。もう少し年齢がいった方々に対する支援であったり、それからサポートする団体であったり、そういった方たちはどうしているのかといったようなことや、そういうことについての、何かご意見というかお話を聞かせていただけたらと思います。

 
○藥師氏

   LGBTの高齢者の方々の課題は、国際的にも議論になっています。例えばニューヨークにはLGBTの高齢者のための施設があります。LGBTの高齢者の課題として、孤立が挙げられます。お子さんを持たれていない方が多い中で、お一人での高齢生活になる方も多いです。またパートナーさんと暮らしていたとしても、地域でパートナー同士であることを言えないことで地域から孤立してしまうこともあります。また、例えば性同一性障害の方であれば、介護を受ける際にからだの性別で介護されるのが辛いなどの難しさもあります。

   横浜市のすごく有名な団体に、「特定非営利活動法人SHIP」があります。LGBTの方のためのコミュニティセンターを運営されたり、曜日によって電話相談や対面相談等をされています。また、「よりそいホットライン」という24時間の無料電話相談も全国で実施をしていますので、そのような相談窓口や団体にアクセスすることも有効かと思います。

 
○坂田委員

   私達は相談機関ですけれど、ここのところ、体の性と心の性の相談が増えているので、お医者さんに来ていただいて、医学的な立場というところから、体の性と心の性というお話を聞きました。今日のお話は、どちらかというと、行政的というか社会的な側面からということで、いずれにしても、社会的に広がって認知されている訳ではないので、皆さんに知っていただくために、いろいろな形で啓発をしていかなければならないのですが、いろいろな話を聞くと、やっぱり医学的な角度とそれから社会的な角度とそれぞれあって、どちらかというと日本は保守的な国というか、そういうことに慣れてない国なので、非常にまだまだ難しさはあると思います。

   神奈川県も女性の職員比率とか管理職比率が発表になり、神奈川県は少し進んできましたが、女性に対しての男性側の理解がなかなか進まない。社会的に進まないということがあって、その辺を行政的に男女共同社会とか言うのだけれども、学習して県民の皆さんにわかるようにするのが必要かなと思います。このことを知ってもらうのは大変なことですが、やっていかなくてはならないと思っています。以上です。

 
○炭谷座長

   ありがとうございます。それでは予定した時間をちょっと過ぎておりますので、ここでReBitさんのお話を終わりたいと思います。藥師さん、下平さん、どうもありがとうございました。

   冒頭でお話しましたように、藥師さんと下平氏には、この後に行う議論にも加わっていただけるようですので、またぜひ、お話をしていただけるとありがたいと思います。

   それでは、議題の2でございます。

   県の人権に関する啓発事業の見直しについて、事務局より現状報告をお願いします。

 

(事務局から説明)

 

○炭谷座長

   ありがとうございます。いろいろと県の方で工夫をされているというのが良くわかります。それではこれから30分間ぐらいを目処に、自由な意見交換をしたいと思います。ただ今の県の説明、もしくはそれを更に広めたものでも結構ですので、ご自由にご意見をいただければと思います。

 
○岩田委員

   ここ数回、会議に出られなかったので、以前に話題となっていたら申し訳ないのですが、「人権は嫌なものであるというイメージを払拭していく」と言う「嫌」というのは、多分、市民の方が嫌と思うということに対する対応だと思います。例えば、私は児童福祉が専門領域なので、「子どもの人権は大事です」と言ったら、「確かに子どもの人権は大切なもので、それに対する反論や、それから先は何も言えない・・・」と言われることもあります。「人権は嫌なもの」という議論が出ていますが、このことについて、もう少し説明してもらっても良いですか。

 
○人権男女共同参画課長

   これは、前回のこの人権政策推進懇話会でのご発言に、そういうご発言があって、ご本人に「嫌なものとはどういうことですか」とその場ではお聞きしていないので、もしかして趣旨が違うかもしれないのですけれども、つまり、「人権」と言われてしまうと、自分たちはあまり触れたくないもの、近づきたくないものみたいな、そういうことなのかなと思っています。

 
○炭谷座長

   これは多分、苦手意識とか、できれば自分の身近な問題としては考えたくないとか、進んで何かをやりたくないということなのかと思います。人権問題に取りかかろうとする人は、割合少ないのではないかと。むしろそういう人は例外的で、できれば触りたくないとか、一般的な抽象論としては、人権は、さっきおっしゃったように「子どもの人権、ああ結構ですね」という段階で終わって、最後のもう一歩踏み込んだところは、みんな避けているというのが、今の社会の風潮じゃないでしょうか。

   それから逆に、今はヘイトスピーチのように、(自分の)人権ばかり言ってけしからんというような、ああいう反発まで起こりうる社会風潮もありますし、そういうようなことを全般的に言っているのだと思います。

 
○今原委員

   私もここはすごく気になっていました。実際に市民と接して相談を受けていても、人権は嫌なものだ、ということは一言も聞いたことがない。多分皆様方も聞いたことないのではないでしょうか。無関心と言うのはあるのです。無関心というのはわかります。ここには多分、これに至る経緯というのがあって、私も良くわからず無礼になるかもしれないのですが、皆さんは多分、基本的な人権の大切さというのは十分認識していると思うのですね。ほとんどの国民はそうだと思います。それで「嫌なもの」というのは、ちょっと、いかがなものかという感じがします。

 
○裵(ぺい)委員

   私達は外国人の家のお世話をするという仕事をしているので、業者さんとのつき合いがかなり多いのですね。15年ほど活動を続けてきた結果として、表立って入居差別をするということはなくなってきました。私たちが今お世話になっている不動産屋さんは、かなりいいところばかりなのですけれども、新たな不動産屋さんから家を貸してもらえないと言われた時に、これは人権問題だということを不動産屋さんに言いますと、「面倒くさい、人権人権ってうるさいんだよ。そんなことを言ったら日本人の人権を守れないでしょうが。あんたたち外国人の人権を守るためにやっているんじゃない」みたいなことを言われたりします。

   最近は業者の団体が私達をかなりサポートしてくださるので、露骨には言われなくなっていますけれども、やはり、無言になってしまうというところに、多分「人権人権ってうるさいんだよ」という言葉を言えなくてチャックをしているだけで、もやもやしているんだなと思うことは非常にあります。

   それは外国人の問題だけではなくて、様々なマイノリティの人たちのところで起こっていることで、人権とか差別とか言われると、もう黙るしかないということで非常に面倒くさがっている。だから人権は嫌だということになっていくのかな、というのは実感的にあります。

 
○髙橋(恭子)委員

   私は初めて参加したので拝見していたのですが、実は今のところはやはり意味がわからなかったのです。それで今皆さんのお話を伺って、それはごもっともだなと思ったのですけれど、これは何かに残るのですか。もし、こういう形で出すということであれば、初めて読む人にはわかりにくいので、別の表現に変えるとか、その辺りを少し考えていただけたらいいかなと思いました。

 
○炭谷座長

   そうすると、もっと適切な、例えば「人権の無関心」とかでしょうか。そういうもの、極端な場合は反発まで出ていますね。特にヘイトスピーチが代表的ですけれども。そういうものは、まだまだ少数だと思うのですけれど、出ているのが今の現象だと思うのですね。しかし「嫌なもの」というのも、ちょっと分かりにくい表現になっていますので、「無関心」とか「理解不足」という感じでしょうか。「そういう風潮も時には見られる」という形にするとか。確かに分かりにくいですね。

 
○早坂委員

   苦手というような感覚だと思うのですね。触れたくないとか。

 
○炭谷座長

   そういう感覚ですよね。(人権問題を)積極的にやりたい人というのは、残念ながら日本ではまだ少数派なのではないでしょうか。触れたくない、避けたいとか、そういうものがありますから、そういうものを含めて、もう少し適切な表現に変えましょうか。それでは出されたご意見を踏まえて、事務局の方にお任せをしたいと思います。よろしいでしょうか。

 
○裵(ぺい)委員

   自由に語っているはずなのに、人権という言葉を出されると、俺たちは自由に物を語れなくなる、俺たちの自由を奪われているのではないかと、そういう発想の人たちが非常に多いです。ヘイトスピーチまでいかなくても、その流れに追随していくような若者たちとか30代ぐらいの人たちを見ていると、あんたはそう言うけれど、俺たちは言いたいことを言いたいんだと。(人権という言葉を出されると)自由を奪う、むしろ俺たちの人権を踏みにじっているのではないかというふうな反撃を受けたりするのです。

   「嫌なもの」というよりは「面倒くさい」と、そちらの方の思いの方が彼らにとっては強いのではないかなというふうに感じます。

 
○坂田委員

   一番難しいのですけれど、人権は何だ、というのはあります。ここのところ小学校とか中学校に行って話をしているのですけれど、生まれてきた子どもだって人権がある、寝たきりの高齢者にも人権がある、でも、ほとんどの人は、生まれた赤ちゃんに人権があるとは思っていないのです。お母さん方も意外と思ってない。だから、人権というものが何なのかということを、啓発というとまた難しい言葉になってしまうのだけれど、知っていただくための活動をしなくてはならないが、どうしたらいいかということは、やっぱり一番難しいんです。どうしても行政となると、ずばっと「人権」になって、だけど「人権」より適切な言葉というのはなかなか難しいものだから、やさしい言葉に置き換える。例えば「ハートフルフェスタ」という言葉も、本当は人権と言いたいのですよ。人権メッセージなども、メッセージは良いけれども「人権」を何か違った言い方でやったらと思うけれど、でも適切な言葉はなかなかない。やっぱり人権ということに対して、国民的な理解というか、県民の理解というものをしていただくための努力をしなくてはいけないのかなと思います。

   私ももう70歳を過ぎていますけれど、私たちが小学校とか中学校の時代は、人権という言葉は聞いたことありませんでした。40年代から60年代に、今で言うパワハラ、「パワハラ」という言葉はなかったのですけれども、(パワハラという行為は)あった。「辞めちまえ」「この野郎」なんてことを言われたことがあるけれども、今はそんなこと言ったら大変です。そういう時代を経て来ているのです。とんでもなく前ではなく、ちょっと前のことなのですよ。だから、そういうことを、少しずつ皆にわかってもらわなくてはならない。セクハラについても、警察官までセクハラするけれど、情報があるから出ているだけの話で、それは警察官だけの話ではない。だから県庁や市役所の中で、職員がせめてそういうことに対して、しっかりと研修してやっていく、行政では、職員が町民、市民、県民に対しての姿勢として、そういうことをきちんと理解した上でやろうということになっているのだけれど、やっぱり、なかなか難しさがあるというのが現実です。人権をどういうふうに優しく言ったらいいのかというのは、永遠の課題と言うわけではないけれど、相当課題ですよね。

 
○阿部委員

   ドメスティック・バイオレンスの領域では、2001年にDV防止法ができて15年経つのですが、やっと、身体的暴力についてはいけない、例え妻であっても恋人であっても、殴ってはいけない、蹴飛ばしてはいけない、ということがだいぶ浸透してきました。

   しかし、精神的に支配する、コントロールする、思い通りにする、それで、ちょっとでも気に入らないと怒鳴ったり、物を投げたりするということについては、それぐらいは当たり前だろうという気分というのがまだまだあります。

   男性の相談を担当している人たちにいろいろ聞いてみますと、自分こそ被害者だと、ゴミだらけにしているような家で、働いてきた夫である自分が何で不愉快な生活をしなければいけないのか、殴らせるようなことをする妻が悪いんだと言うと。そして、ある日妻が出て行ってしまって、何で出て行ったかわからない、というような相談はすごく多いそうです。

   実は、相手の立場に立って考えるという、もう少し柔軟な発想が欠落しているのです。自分だけを守るというか、自分の座っている椅子だけに必死になってしがみついて守っていくとなると、やっぱり違う立場の人、それから、もしかしたら辛い思いをした人に思いを馳せることはなかなか難しい。

   ところが現代は、高齢の男性が、娘が結婚していてDVに遭うと、すぐに帰って来い、我慢なんかすることないと言うと。だいたい自分が妻にやっていることはさておき、娘のことと孫のことになると、本当に優しく、それこそかわいい娘に手をあげるなんて絶対に許せないという、ここに一つの救いがあるのかなという気がするわけです。身内の、自分の娘だったら、と思ったときに、辛い立場に思いを馳せることができるのかなと。そういう意味では、少し柔軟になることや、相手の立場に立って少し考えてみるというところが、一つの切り口になるのかなと思います。

   人権とは難しいものではなくて、自分自身にも、あるいは自分の生き方や、自分の価値観も反映されることなのですから、ぜひ言葉で表現することは、柔軟に工夫していただければと思います。

 
○裵(ぺい)委員

   たしかに人権というのは、相手の立場を捉えて考えなくてはならないのが基本だろうと思います。

 
○宮崎委員

   電話相談のことですが、私も電話相談を受けています。その時、相談者が、DV防止法ができてから身体的暴力ですとアザや傷が残るので、分からないところを殴るとか言葉による暴力に変わってきたと言っていました。形を変えての暴力もあるので、いろいろ難しいですね。

 
○炭谷座長

   人権というと、どんどん変化して、だんだん上がっていかないといけませんから、児童虐待でも、今度は心理的虐待もしっかり入れるようになったのと全く同じですからね。

 
○宮崎委員

   やはり見えにくいところをやっていくみたいな、そういう心理が働くみたいなのです。

 
○阿部委員

   本当は加害者の立場の人に対する一定の支援とかサポートも必要だし、そういうサポートができるような仕組みも作っていかなくてはならない。そこが一番なのです。

 
○三川委員

   先ほど説明をしていただきました人権の見直しのポイントの中で議論がありました。「人権は嫌なものだ」ということも含めてですけれども、もちろん差別意識の関係等については、誰しも差別意識というものが、ないとは言えない部分があると思うのです。それをなくしていくというのは大事な問題であると思うのですが、私がちょっと気になったのは、「国民相互の関係における人権問題とのバランス」ということで、中立性を確保するという記載がよくわからないのです。この人権政策推進懇話会の中で話が出たということは事実であろうかと思うのですけれども、人権の問題と中立性とは何かということが、本当にちょっとわからないです。先ほどのいろいろなマイノリティの話もありまして、それを払拭するということは当然だというふうに思います。ただ、日本の社会に生きていて、やっぱり決まりというのがあるのです。それで憲法があり、法律がある。憲法の中の基本的人権、当然だと思うのです。人権の堅持というか。

   これはこの文章だけ見ながら考えても、なかなか難しい部分があるのですけれども、国民相互の関係における人権問題とのバランスをどのように取り、また、中立性を確保しながら啓発事業に取り組んでいくのかということに対しては、私は疑問が沸きました。確かに、人権問題が2種類あるということはわかるのですが、「バランスが取れ」というのは、この2種類の間のバランスをとるという意味なのか、これはどちらで書かれたのですか。2種類の人権問題がありますね。公権力と国民と、国民相互の。両方とも重要ですよね。だからバランスは取る必要はない、両方重要ということだから。

 
○鶴田委員

   相反するものとして捉えて、バランスで、中立性と捉えているのですか。

 
○炭谷座長

   両方とも目配りした方が良いというように思いますが。

 
○人権男女共同参画課長

   資料の「主な課題・論点」というところで、これはいただいた意見なのですけれども、その四つ目のポツのところに「国家権力からの自由」ということがありまして、これは前回のこの会議でご発言があった内容です。

   県の人権啓発について見直しをしていきたいということで、ご意見をいただいたところ、本当は、国家権力下での自由の問題もあるし、国民相互間の問題もあるのですけれども、県の啓発というのは、国民相互間の問題に偏っているのではないですかというご発言がありました。

   私ども実は、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」というのがあり、それに基づいて啓発事業をやっておりまして、その中で、例えば、様々な面での中立性の確保というのが必要ですよ、というふうに書かれているのです。例えば人権メッセージ展も、人と人との関係という形での啓発というのは重点を置いてやらせていただいているのですが、国との関係、国家との関係ということについては、県としてはあまり取り組まない、抑えていますね、という、そのようなニュアンスだったので、それは否定するものではないのですけれども、一切やらないということでもなく、例えば県が人権メッセージ展で、何を県民の方々にお見せするか、発信するかというところでは、非常に難しい問題があるなと。そこでゼロという訳ではないのですけれども、それはバランスを取りながらやっていくということなのだろうなと思っています。

   ただ、先ほどその裏面で書かせていただいたように、ちょっと今の時点ではお見せできるものが用意できておりませんので、もう少し基本的な考え方、法律の問題、それから、神奈川県も国の計画に沿って、県として指針を作り進めているので、そういう中で、今、私どもは人権の啓発をこういう形で進めていこうと思っており、推進会議の皆様がそれをどう受けとめていただけるかというのを、次回またご相談しようと思っています。まだ途中段階ですが、前回のご発言を踏まえて、私どもとしては課題意識を持っておりますという形で、ここに書かせていただいたものです。表現がわかりにくければ、そこはもちろん直させていただきます。

 
○阿部委員

   ちょっと質問なのですけれども、ご発言した方が今日欠席されておりますので、意図についてはあまりよく理解できていなかったと思うのですが、「国の」という問題で言えば、その時々の主に政府ですよね。国際社会の中では、ILOとか国連の女性委員会から、日本政府の不備に対して様々な勧告が出されているけれども受入れることと、今日のお話にもありましたように、LGBTのことについても、オリンピックがあるということで、やっとこですよね。政府の関係者がLGBTの人たちの人権を心底考えてやるのではなくて、オリンピックが来るからやらなくてはという、こういう動き。外圧も悪くはないと思うのですけれど、ただ私たちは人権の問題を考えたときに、時々の政府の動きや政府の幅の中だけで考えるのではなく、やはりこの幅を超える人権の視点というものも必要ですよね。

   例えば相続で非嫡出子に対しては政府は何もしなかったけれど、最高裁が、非嫡出子も嫡出子と同等の相続にしなければいけないという判決をやっと出したから、しょうがなく政府がそれに乗っかるという動きもあるわけです。そういった意味では、国との関係における人権問題と、国民相互の、というこういう分け方ではなく、むしろ地域社会の中で生きていく一人ひとりが、ぶつかって壁になっている問題については、精査していく、検討していく、当事者から学んでいく、ということでいいのではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。

 
○人権男女共同参画課長

   そのような方向で整理ができればと思いますが、前回、今日ご欠席の委員からこのような厳しいご指摘がありましたので、ぜひ、今日いただいたご意見も整理させていただいて、次回また、こういう方向でいかがでしょうかというものを出させていただきます。貴重なご意見をありがとうございます。

 
○裵(ぺい)委員

   外国人の問題で言いますと、日本政府は、日本には移民はいない、外国人政策もない。あるのは、管理と監視、それから同化という三つのものしかないと思うのです。

   だけれど神奈川県は、多文化共生、内なる国際化から多文化共生と、こういうふうに、国がやらないことを請け負って、難民も引き受け、外国人の会議も作り、「あーすフェスタ」という大きなフェスティバルも、もう15年以上も続けてきているという実績があると思うのです。これは国との関係のことを考えると、おそらく国に従ってやっていくと全くできなかったことだけれど、神奈川県独自に外国人の人権ということ考えて、進めてきた、たくさんの成果があると思うのですね。

  人権全体においても、やはり神奈川県でないとできないことはたくさんあるし、今までもしてきたと思うので、その線に沿って、これからも継続的に、この人権の問題を捉えていって欲しいなと思います。お願いです。

 
○人権男女共同参画課長

   ありがとうございます。

 
○炭谷座長

   はい、まだご意見もあろうかと思いますけれども、いろいろな問題提起もありましたので、今日出ました意見を踏まえて、手を入れるということも検討をして、なお検討を加えていくということにさせていただければと思います。

   そこで、今ちょうど話も出ましたけれども、2020年のオリンピックですが、よくモデルになるのは2012年のロンドンオリンピックなのです。ロンドンオリンピックはよく「環境のオリンピックだった」と言われるのですけれども、重要な点は、ダイバーシティ、人権問題も基本理念だったことです。なぜロンドンはパリに勝ったかというと、たくさんの移民や、貧困者、それから障害者がたくさん住んでいる地域でオリンピックをやるとして、それでパリに大逆転したのですね。それがロンドンオリンピックの一番重要なテーマだったのです。私は、もし東京オリンピックが本当に成果を出すためには、ロンドンオリンピック以上に、人権やダイバーシティ、そういうものを強調した方が良いと思い、2週間前に東京ビッグサイトで、それを提案するシンポジウムをやりましたが、集まってくれた人が少なくてちょっと寂しかったです。

  なお、今回出ました意見も含めて、非常に良い機会ですので、今後とも引き続き検討していきたいと思います。次回は、今年度の啓発の実施結果を報告いただき、更に議論を深めていきたいと思います。

   それでは、「4 その他」でございます。

   事務局より、かながわ人権施策推進指針に基づく主な事業について、お願いをいたします。

 

(事務局より説明)

 

○炭谷座長

   ありがとうございます。時間の関係上、もしご質問等ありましたら、後ほど、事務局にご質問いただければありがたいと思います。

  それでは最後に事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。

 
○事務局

   本日は貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。

   次回の開催予定ですけれども、平成27年度の第2回としまして、来年の2月頃を予定しております。近くなりましたら、事務局の方から日程等を照会させていただきますので、よろしくお願いします。以上です。

 
○炭谷座長

   ありがとうございます。それでは本日の会議はこれで終了させていただきます。

   今日はReBitの藥師さん、下平さん、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。私の感想を言わせていただければ、大変わかりやすく、印象深く、じんと響くものがありました。本当に、最後まで、ありがとうございました。

  それでは本日は終わりたいと思います。どうもお疲れ様でした。

会議資料

資料1 「Rebitの想い」(HPより) [PDFファイル/1.02MB]

資料2 人権啓発事業のうちの「人権啓発イベント」の見直し案について [PDFファイル/234KB]

Adobe Readerダウンロード

Pdf形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)
神奈川県

このページの所管所属は 県民局 くらし県民部 人権男女共同参画課 です。