研究情報 2014年1月

掲載日:2016年4月1日

平成24年え付け採卵鶏の経済検定成績より

はじめに

表2

 現在、国内には多くの採卵鶏銘柄が流通し、各銘柄とも年々改良されているため、銘柄選定が難しく、結局、同じ銘柄を選定しがちです。しかし、必ずしも飼養している銘柄が現在の自分の経営スタイルに合致しているとは限りません。
 そこで、本県で普及している採卵鶏の銘柄及び今後普及が期待される銘柄について、それらの特徴や経済性を明確にし、今後の銘柄選定の一助としていただくため、経済検定を実施しています。
 この度、平成24年2月に餌付けした採卵鶏の成績がまとまりましたので、ご報告いたします。
 飼養期間は平成24年2月から平成25年8月までの80週間です。
 供試鶏は白玉鶏のジュリア、シェーバーホワイト(シェーバーW)、赤玉鶏のシェーバーブラウン(シェーバーB)、デカルブブラウン(デカルブB)の4銘柄を各100羽 計400羽、当所で飼養しました。
 飼養方法は表1のとおりです。各ステージの市販飼料を不断給餌し、18週齢以降は開放成鶏舎内で3段ケージ2羽飼いしました。
 各銘柄の検定成績は、表2及び図1から4のとおりで、その概要は次のとおりでした。

 表1

育成期

 育成率は、シェーバーW、デカルブBが100%、ジュリア、シェーバーBが99%と全銘柄良好な成績でした。
 0から19週齢の飼料総摂取量は、最も少なかったジュリアが 6918gで、摂取量の多かったシェーバーB、デカルブBとの間に統計的な有意差がありました(P<0.05)。
 140日齢体重は、飼料総摂取量が多かった赤玉鷄のデカルブB、シェーバーBが1700g台で、白玉鷄の2銘柄に対して、有意に重くなりました(P<0.05)。
 50%産卵到達日齢は、ジュリアが146日齢で最も遅く、他の3銘柄との間に有意な差がありました(P<0.05)。

成鶏期(生産性)

 産卵率は、シェーバーWが92・0%で最も優れ、最も低かったジュリアと1・7%の差がありましたが、銘柄間で有意な差はありませんでした。
 また、図1の4週毎平均産卵率の推移では、全区とも48から51週齢で前4週間に比べて、赤玉鶏で7から8ポイント、白玉鶏で3から4ポイント、それぞれ低下し、56から60週齢でほぼ回復しました。この原因については天候等が考えられますが特定できませんでした。
 平均卵重は、ジュリアが64・8gで最も重く、シェーバーW、シェーバーBとの間に有意な差がありました(P<0.05)。
 図2の4週毎平均卵重の推移を見ると全期間にわたってジュリアが高値で推移しました。
 日産卵量は、ジュリアが58・7gで最も多く、最も少なかったシェーバーBと2・4gの差がありましたが、銘柄間に有意差はありませんでした。
 飼料摂取量は、最も少なかったシェーバーWが110・6gで、デカルブB、ジュリアとの間に有意な差がありました(P<0.05)。
 飼料要求率は、シェーバーWが1・92で最も優れ、以下ジュリア、シェーバーB、デカルブBの順でした。有意な差はシェーバーWとデカルブBでありました(P<0.05)。
 生存率は、シェーバーB96・9%が最も優れ、最も低かったシェーバーWと12・8ポイントの差がありましたが、各銘柄内の区間でバラツキが大きかったため、有意な差ではありませんでした。

図12

成鶏期(卵質)

 卵質検査は35、50、65、77週齢で実施し、その平均値を示しました。
 ハウユニットは、シェーバーWが88・0で他の3銘柄に対して有意に優れていました(P<0.05)。
 図3のハウユニットの推移を見ると、全銘柄とも加齢に伴い徐々に低下しましたが、産卵後期の 77週齢で全銘柄とも72以上(AAランク)を維持し、良好な成績でした。特にシェーバーWは、全期間デカルブB、シェーバーBに対して有意に優れていました(P<0.05)。
 卵殻強度は、ジュリアが4・37kg/㎠でシェーバーW、シェーバーBに対して有意に優れていました(P<0.05)。
 図4の卵殻強度の推移をみると、35週齢時にジュリアが5・1kkg/㎠で他の3銘柄に対して有意に高く、以降も有意な差ではありませんでしたが、高値で推移しました。
 卵黄重比は、ジュリアが27・2%で最も比率が高く、赤玉鶏2銘柄に対して、有意な差がありました(P<0.05)。
 血斑出現率は、赤玉鶏のデカルブBで7・5%、シェーバーBで5・0%の割合で見られ、白玉鶏では確認されませんでした。
 肉斑出現率は、デカルブBで 2・5%確認されました。
 血斑出現率、肉斑出現率とも銘柄間で有意な差はありませんでした。

図34

成鶏期(規格卵比率)

 規格卵比率では、ジュリアがLL級、L級を有意に多く生産し、シェーバーW、シェーバーBがM級、MS級を有意に多く生産しました(P<0.05 )。
 パック卵比率は、M級、MS級を多く生産したシェーバーBが  82・3%でジュリアより有意に多い生産比率でした。

収益性

 収益性は、生産卵量×卵価―(ヒナ代+育成費+成鶏飼料摂取量×飼料価格)をもとに4週毎で算出しました。
 規格卵価は、全農のLL-SSの各卵価を利用し、非規格卵価は、LL-SSの平均価格から10円を引いた価格を利用しそれぞれ算出しました。
 試験全期間中の購入飼料の平均単価は52円/kg(消費税抜き)、卵価は非規格卵価152円/kg、規格卵価M級177円/kgでした。
 これらの条件で1羽あたり年換算した収益性を見ると、規格卵価でシェーバーW、ジュリア、シェーバーB、デカルブBの順に優れていました。シェーバーWとデカルブBの収益差は248円で有意な差が認められました(P<0.05)。
 また、非規格卵価も同様な傾向を示し、シェーバーWとデカルブBの収益差は233円でした。

まとめ

 以上、成績を項目別にお示ししましたが、これを銘柄別に整理して特徴についてまとめます。
 ジュリアは、L級、LL級の生産比率が多く、卵殻強度が高いのが特徴です。卵殻強度が高いのでパッケージ工程、流通時の破卵が少なく、製品化率が高いと思います。
 シェーバーWは、飼料要求率に優れ、M級、MS級の生産比率が高いのが特徴です。また産卵後期まで高いハウユニットを維持しているので、直売所での販売に適していると思います。収益性は4銘柄で最も優れていました。
 デカルブBは、卵重はジュリアとシェーバーの中間的で、規格卵のLL級〜MS級を万遍なく生産するのが特徴です。また産卵率はシェーバーWに次で良好でしたが、飼料摂取量が他銘柄に比べて多く、結果として収益性が本調査では最も低くなりました。卵質では卵殻強度がジュリアに次いで優れていました。
 シェーバーBは、赤玉鷄としては飼料摂取量が少なくM級、MS級の生産比率が多いのが特徴です。シェーバーWに比べるとハウユニットが低く、この点が改良されると直売所での販売に適した赤玉になると思います。
 以上、平成24年餌付けの検定結果についてご報告しました。
 試験期間中、産卵率の一時的な低下があり、銘柄間で産卵率の低下が同様ではなく、同じ影響を受けたとは言えないので、この点を考慮して、成績を見ていただきたいと思います。
 今後は今まで以上に衛生対策に注意を払い、各銘柄の能力を最大限に引出した検定結果をお示しできるよう努力していきます。
  平成25年は5月に白玉鶏の ジュリア、ジュリアライト、ジュピター、ピンク卵鶏のユラヌス、赤玉鷄の岡崎おうはん、シェーバーブラウンの6銘柄を餌付けしました。
 岡崎おうはんは、卵肉兼用種として(独)家畜改良センター岡崎牧場で作出された純国産鶏です。
 現在取り組んでいる地域銘柄肉用鶏の種鶏として期待されている銘柄ですが、採卵鶏としての特徴をお示しするため、検定銘柄としました。平成26年12月には成績がまとまる予定です。

(企画研究課 引地宏二)

神奈川県

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