神奈川県畜産技術センター 技術情報 2005.05

掲載日:2016年4月1日

神奈川県畜産技術センター 技術情報 2005年5月

養豚における剪定枝の敷料利用
             から子豚期の事故率を軽減するためにから

1.はじめに
 従来から養豚分野における敷料はオガコが主体で利用されてきました。しかしながら、ここ数年は住宅産業の低迷により、オガコの入手が困難になりつつあることと、価格高騰から養豚経営を大きく圧迫している状況にあります。
 一方、造園業界では剪定枝を破砕した「剪定クズ」の最終処理に困っており、この剪定クズの養豚分野へのリサイクル推進策が両業界で模索検討されてきました。
 そこで、養豚分野で剪定クズをオガコの代替敷料として利用している事例を紹介します。

2.剪定クズの調達
 U造園園農家では剪定枝のリサイクルを進めるために大型の破砕機を装備し、破砕後に篩選別機を通し、粒径を従来のオガコと同程度までにし、家畜敷料及び堆肥の水分調整資材として流通させています。一般には剪定枝は生木での破砕がほとんどであることから水分が30%前後であり、豚の敷料として利用するため、この農場では堆積による自然発酵熱を利用して、水分を減量した剪定クズを利用しています。(写真1)

剪定クズの画像
写真1

3.剪定クズを利用した肥育舎及び豚房の概要
  M農家の肥育舎は間口20m×奥行24.5mで、両側と豚舎の中央部にそれぞれ幅4mの通路があり、中央通路部を挟みながら片側に7豚房(1豚房、間口3.5m×奥行7m)が並列に計14豚房となっています。(図1)この豚房に子豚約40頭を離乳時から生体重40kg位までの間収容しています。

肥育豚舎の断面図
図1

.収容時期
  従来のハウス養豚でのオガコの利用時期は肥育豚の生体重40kg位から出荷時までが主流でしたが、この農場では子豚期の事故率の軽減をはかる目的から、子豚離乳時から生体重40kg位までの肥育期での敷料に、オガコの代替として剪定クズを利用しています。(写真2)

剪定クズを敷いた豚舎と豚の画像
写真2
豚舎天窓の画像
写真3

5.豚房への剪定クズの投入量
  子豚離乳時から生体重40kgまではオールイン・オールアウト方式を採用し、離乳豚を収容前に豚房(間口3.5m×奥行7m×深さ1.2m)に剪定クズを全面的に投入し、収容後は汚れの進行を軽減するために一輪車で満杯位の剪定クズを毎日に投入しています。
 オールアウトで肉豚舎に移動した後には、深さ1.2mの敷料部の表層部分の約30cmをローダーで取り出し、新しい敷料と入れ替えています。

6.豚房の剪定クズ床の発酵分解を促進
  従来から、オガコを利用したハウス豚舎では発酵床内での外部寄生虫の発生が指摘されてきましたが、この対応策と発酵床内の剪定クズの乾燥促進も加味し、発酵温度を上げるために自社で培養した「土着菌」を定期的に少量を投入しています。

7.収容期間における豚舎の管理
  夏季には発酵促進に伴う発酵床内の温度上昇により豚がストレスを受けることから、豚舎の天井の一部が手動で自在に開閉できる天窓を設け、室内の温度上昇の程度により天窓の開閉度合いをコントロールしています。また、冬季等の寒風による室内温度のコントロール及び台風の雨の吹き込み時には、豚舎の両側にある巻上げカーテンで開閉度合いを調節しています。(写真3)

8.普及上の留意点
 (1)この方式を導入する場合には、あらかじめ発酵床内の発酵温度の促進及び室内の温度管理等から、豚房の深さ、天窓部分、豚舎の側面等の豚舎構造を吟味する必要があります。
  (2)この農場では子豚期の事故率の減少を主目的としたために収容期間は子豚離乳時から生体重40kg位までとしていますが、収容頭数及び収容豚房面積が舎内環境に大きく影響することから、導入の際には収容時期は注意を要します。
  (3)発酵床内での外部寄生虫の発生抑制と発酵床内の剪定枝の乾燥促進考慮し、発酵菌の利用が有効と思われますが、菌の種類の多様性及び高価格であることから、利活用に当たっては充分な情報収集が必要です。
  (4)剪定クズは適度な大きさが発酵促進を活発にし、その後の堆肥の品質にも大きく影響することから、粒径には注意が必要です。

9.まとめ
  子豚離乳時から生体重40kg位までの事故率の低減策は重要であり、今回の剪定クズ敷料では事故率は大幅に改善されたことから、剪定クズがオガコの代替としては有望でした。経済的にも剪定枝が無料で入手できる場合は、経費節減と肥育豚の管理技術の向上からも、期待できる技術であると考えられます。
(普及指導部 堀 与志美)

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