神奈川県畜産技術センター 技術情報 2005.10

掲載日:2016年4月1日

神奈川県畜産技術センター 技術情報 2005年10月

「微生物資材による鶏ふん発酵乾燥ハウス内の臭気軽減について

1.はじめに
  畜産経営における臭気対策は、都市化の進展とともに重要な課題となっています。
 堆肥化施設についても一般住宅と隣接して設置されるケースが見受けられ、臭気が敷地の境界を越えて拡散することもあるため、適正に管理するために大変な努力を必要とします。
 この夏、O養鶏場(横浜市内)では発酵乾燥ハウス内での臭気軽減策が大きな課題となっていた折、臭気対策に効果がある米国のB社製のB剤(国内では市販されていない微生物資材)を利用して臭気の軽減を試みたので、その概要について紹介します。

2.使用した微生物資材の特徴
  使用したB剤は、堆肥化発酵に有効な微生物を含んだ粉末状の資材です。
 この資材を生ふんに散布した後、更に微生物の活動を促進するために液状の活性剤を散布するようになっています。
 双方の散布により堆肥の完熟化が早まり、臭気を低減し、安定した高品質な堆肥が生産できるとされています。

3.微生物資材の使用方法
○製品説明書による資材の使用量(いずれも生ふん1立米当たり)
B剤…初回及び1週間後には1kg、その後1週間ごとに0.25kg
活性剤…20cc(B剤散布毎に用意。500倍希釈して使用)
○B剤を散布後、活性剤を散布
※今回は、農家の作業の都合もあるため、初めのうちは散布間隔を短くし、その後は概ね1週間から10日ほどの間をおいて散布しました。(図―1)
微生物資材の使用方法説明図
                      図-1
4.鶏ふん発酵乾燥ハウスの概要
 平成7年に建設されたもので、間口5m、奥行54mで、総面積270平方メートルであり、東西に長く配置されています。(図―2)
 北側は目隠し板(縦1.2m)が貼り付けられ、南側は手動で上下に開閉できるビニールカーテンが設置されています。
 ハウス内の両側には通路(幅0.9m)が設けられており、生ふんは乾燥堆肥の上に投入し、発酵のための水分・比重調整を行ないながら西側の入口から投入されます。
 その後、発酵乾燥床(幅4.8m・深0.5m)に設置された攪拌機で撹拌され、徐々に東側にあるピットに移送されながら発酵乾燥が進みます。
 また、この攪拌機はタイマーで1日に2回(午前10時、午後10時)運転するようセットされています。
調査対象ハウスの構造図
                         図-2
5.臭気測定
 臭気は、家畜ふんで一般的に指標とされるアンモニアについて「畜産用スリーポイント判定試験紙」を用いて測定しました。
 臭気測定の場所は投入部、中央部、取出部の3ケ所で、発酵乾燥床から高さ約30cmの部分で行いました。ただし、測定資材の入手に時間を要したため、資材散布前(7月13日)の臭気測定は行っていません。
 なお、ハウス内の臭気は、投入する生ふん量及び出来上がり堆肥の搬出量等に左右されますが、今回は特に搬入・搬出の取り決めは行わず、通常の管理をしてもらいました。(搬入・搬出の状況は図―3に示すとおり)
 資材散布前の測定値がないため比較が難しいですが、散布後1週間のO氏の感覚では、徐々に臭気が軽減していると言うことでした。
 測定を始めてからのアンモニア濃度は約20ppmとほぼ一定でした。
 このことは、資材散布によって堆肥化発酵の進行とともに、臭気が徐々に軽減したものと考えられます。
ふんと堆肥の搬入、搬出の図とアンモニア濃度の推移グラフ
                               図-3

6.まとめ
(1)ふん乾燥ハウスの南側は住居が隣接しているため隣人は臭気に悩まされていたが、この資材を利用してからは臭気をほとんど感じないと喜んでいた。
(2)この資材を使用する前のハウス内は、臭気が強く目が痛くなり、とても我慢ができないような状況であったが、資材散布の1週間後にはそのような状況はほとんど無くなり、以降のハウス内の作業がやり易くなったことが体感されており、消臭効果の一面が現れている。
(3)現地での検討であるため天候等により正確な臭気の測定値が得られなかったが、農家はこの資材の効果を感じており、今後とも継続し使用していくことを望んでいる。
(4)今回の臭気測定で用いた「畜産用スリーポイント判定試験紙」は、アンモニア・硫化水素及びpHの3点を、色見本と比較することで簡単に測定できるというものであり、3点のうちアンモニアの測定においては特別な技術を必要とせず簡単に測定が出来ることが確認されました。(硫化水素については色見本の濃度を示す範囲が広く、詳細な判定は困難と思われます。pHについては使用していません。)
(普及指導部 堀与志美)

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