神奈川県畜産技術センター 研究情報 2006.01

掲載日:2016年4月1日

神奈川県畜産技術センター 研究情報 2006年1月

平成16年度採卵鶏の経済検定試験より

 現在、国内には多くの種類の採卵鶏銘柄が流通しています。この中から自分の経営に合った銘柄を選定するのはとてもむずかしいと思います。そこで、本県の採卵養鶏にふさわしいと考えられる銘柄について、それらの特質と能力を明確にし、養鶏農家のみなさんの銘柄選定の一助とするため経済検定を毎年実施しています。
 ここで平成16年2月にえ付けした採卵鶏の成績がまとまりましたのでお知らせします。
 飼育期間は平成16年2月から平成17年9月までの80週間です。
 供試鶏は白玉鶏のジュリア、ジュリアライト(ライト)、イサホワイト、マリア、ピンク玉鶏のサクラC(サクラ)及び赤玉鶏のボリス・ブラウン(ボリス)の六銘柄です。
 飼育方法と給与飼料は、表1のとおり、一般に養鶏農家で実施されている方法を用いました。
 検定成績から各銘柄の特徴等は、表2及び図1から5のとおりで、その概要は次のとおりでした。

表1 飼育方法と給与飼料
0から3週齢:立体育すう機

4から17週齢:陰圧ウインドウレス鶏舎
        群飼ケージ(6羽飼い)
        点灯時間:8時間

18から80週齢:開放成鶏舎
         成鶏用ケージ(2羽飼い)
         点灯時間:15時間
0週齢:市販え付け用(CP24%-ME3050kcal)

1から3週齢:市販育成前期用(CP21%-ME2920kcal)

4から9週齢:市販育成中期用(CP18%-ME2800kcal)

10から17週齢:市販育成後期用(CP14%-ME2750kcal)

18から80週齢:市販成鶏用(CP18%-ME2870kcal)
表2 平成16年度採卵鶏の経済検定試験育成期成鶏期卵質の成績(0から80週齢)
ジュリアライトイサ
ホワイト
マリアサクラボリス
育成期 育成率   %
20週齢体重 g
飼料摂取量  g
0から19週齢  g
87.0a
1331b

7857b
95.8c
1399c

7768b
96.2c
1315b

7100a
93.2bc
1279a

7397ab
90.6ab
1550d

7667b
96.0c
1629c

7675b
50%産卵到達日数 日
142.0ab
141.8ab
141.0ab
143.3b
140.8a
140.0a

成鶏期
産卵率     %
平均卵重    g
日産卵量    g
飼料摂取量 g/日
飼料要求率   
生存率    %
82.2ab
61.8b
50.7ab
106.8b
2.11b
95.0
88.4c
61.6b
54.4c
106.8b
1.97a
90.6
85.1bc
60.0a
51.1ab
104.8ab
2.06ab
87.5
82.3ab
59.3a
48.8a
102.7a
2.11b
92.5
81.0a
62.3b
50.3ab
106.7b
2.12b
91.0
83.9ab
62.2b
52.0bc
107.0b
2.06ab
96.9
卵質ハウユニット  
卵殻強度  kg
卵殻厚   mm
  卵殻重     g 
卵殻比率   %
血斑     %
肉斑     %
83.5ab
4.18b
0.375ab
5.94bc
9.28ab
1.67
0.00a
84.7ab
4.21b
0.375bc
5.92b
9.36ab
0.83
0.83a
84.7ab
3.67a
0.388b
5.98bc
9.59b
2.22
0.00a
85.9b
3.71a
0.360a
5.56a
8.95a
0.00
1.67a
80.6a
4.05ab
0.384b
6.14c
9.56b
0.83
4.17a
82.6ab
4.02ab
0.379b
5.97bc
9.27ab
3.33
19.17b
規格卵比率3L
LL


MS

SS
パック卵(LからMS)
3.1b
11.6c
32.2ab
32.3ab
15.0ab
5.2ab
0.7ab
79.5ab
1.5ab
10.8c
33.9ab
32.8ab
15.4ab
5.1ab
0.6ab
82.1ab
0.9ab
6.7b
26.4a
38.5bc
19.7c
7.0bc
1.0ab
84.6bc
0.1a
2.6a
27.7a
43.5c
16.7bc
8.2c
1.3b
87.9c
1.9ab
13.0c
38.5b
27.8a
12.8a
5.3ab
0.8ab
79.1a
2.7b
13.0c
32.9ab
30.3ab
17.0bc
4.3a
0.2a
80.2ab
収益非規格卵価  円
  規格卵価  円
1195a
1405a
1438b
1681b
1264ab
1563ab
1154a
1401a
1170a
1379a
1268ab
1494ab
※ 異符号間に有意差あり、子文字(P<0.05)
  育成期は0から19週齢、成鶏期は20から80週齢の成績  
  卵質は34,43,48,54,66,78週齢の6回の平均成績        

1.育成期成績
育成率は、ライト、イサホワイト、ボリスが95%以上と良好でしたが、ジュリアは90%を切る低い値となりました(5%の統計的有意差あり(以下、P<0.05)。20週齢体重は赤玉鶏のボリスとピンク玉鶏のサクラが重く、マリアが軽い体重でした(P<0.05)。0から20週齢の飼料摂取量は、イサホワイトが少ない値でした(P<0.05)。

2.成鶏期産卵成績
 50%産卵到達日齢は赤玉鶏のボリスとピンク玉鶏のサクラが早く(P<0.05)、銘柄間の差は3日程度と少ない差となりました。産卵率はライトが最も優れており(P<0.05)、図1に示したように他の銘柄より高く推移しました。
 図2に卵重の推移を示しました。イサホワイト、マリアが他の銘柄より軽く推移しました(P<0.05)。平均卵重の銘柄間差は約3gでした。日産卵量は産卵率が高かったライトが良好でした(P<0.05)。飼料摂取量はマリアが少なく(P<0.05)、他の銘柄との差は2から4g程度でした。飼料要求率はライトが2以下と良好でした(P<0.05)。生存率はジュリア、ボリスが95%以上と他の銘柄より高い値でした。

品種別産卵率の推移グラフ
図1 20から80週齢産卵率
品種別平均卵重の推移グラフ
図2 20から80週齢平均卵重 

3.成鶏期卵質成績 卵質検査は34から78週齢に6回実施しました。ハウユニットは、図3に示したとおり、マリアが高くサクラが低く推移し、6回の測定結果の平均でも同様の結果でした(P<0.05)。卵殻強度は、図4に示したとおり、イサホワイト、マリアが低く推移しました。また、6回の測定結果の平均では、ジュリア、ライトが高く、イサホワイト、マリアが低い平均値を示しました(P<0.05)。卵殻厚、卵殻重、卵殻比率は卵殻強度の低かったマリアが低い値を示しました(P<0.05)。肉斑は赤玉鶏のブラウンが多く(P<0.05)、次に多かったピンク玉鶏のサクラの5倍程度の出現率となりました(P<0.05)。

品種別ハウユニットの推移グラフ
図3 34から78週齢ハウユニット
品種別卵殻強度の推移グラフ
図4 34から78週齢卵殻強度 

4.成鶏期規格卵成績

 規格卵比率の特徴は、卵重の重い銘柄はL級以上の比率が高く、軽い銘柄はS級以下の比率が高い傾向でした。卵重の軽かったマリアのS級以下の比率は10%程度と高い比率を示しました(P<0.05)。LからMSのパック卵比率の推移を図5に示しました。卵重が軽いマリアは32週齢まで他の銘柄に比べて常に低い比率で推移しましたが、以降高い比率で推移し、20から80週齢の平均でも他の銘柄より高いパック卵比率となりました(P<0.05)。品種別パック卵比率の推移グラフ
図5 20から80週齢パック卵比率

5.収益性
 収益性は生産卵量×卵価―(ヒナ代+育成飼料費+成鶏飼料摂取量×飼料価格)の式として、全農新聞相場の規格卵価及び事業協組の非規格卵価の月平均卵価を用いて計算しました。この結果、非規格卵価で計算した収益ではライト∨ボリス∨イサホワイト∨ジュリア∨サクラ∨マリアの順となり、規格卵価で計算した収益ではライト∨イサホワイト∨ボリス∨ジュリア∨マリア∨サクラの順となりました。なお、非規格卵価、規格卵価いずれの場合も、上位のライト、イサホワイト、ボリスの銘柄間及び下位のジュリア、マリア、サクラの銘柄間には有意な差(P<0.05)はありませんでした。非規格卵で販売するか規格卵で販売するかにより銘柄の収益順位は異なり、経営の形態により選択する銘柄が異なることが分かると思います。
(畜産工学部 平原敏史)

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