神奈川県畜産技術センター 研究情報 2006.10

掲載日:2016年4月1日

神奈川県畜産技術センター 研究情報 2006年10月

子供たちがペットボトルで透視度計を作ったよ 

かながわサイエンスサマー
 神奈川県では、科学技術の理解を深めることと将来の科学技術人材育成のために、平成13年度から子供たちの夏休み期間に「かながわサイエンスサマー」を実施しております。今年度は、7月15日から9月3日まで県内の科学館、大学、研究機関等の120以上の機関でさまざまなイベントが開催されました。
 当センターでは、8月23日に小学生を対象に「牛や豚の尿をきれいにする微生物のひみつ」と題したおもしろ科学教室を企画しところ、20数名の小学生たちの応募がありました。今年は、家畜とのふれあいや浄化槽の活性汚泥の働きを学習することを通して私たちの食生活や自然界の物質循環なくてはならない微生物の働きについて、学んでもらいました。

微生物の豆知識
 まずは教室内で微生物に関する講義から始めました。私たちの肉眼では見ることが出来ない微生物が、実は私たちのすぐそば、口の中や手のひらにいること、また土1gの中には、10億もの微生物が住んでいることなどを学びました。さらには、牛や豚の尿をきれいにする微生物は、ドロのように見えるため「活性汚泥」と呼ばれていることや、この活性汚泥によって尿がどの程度きれいになったのか透視度計で調べることなど参加した小学生は普段学校では聞けない微生物の話に興味を示していました。

ペットボトルでの工作
 浄化槽の維持管理をする上で必要な活性汚泥の活動の善し悪しは、活性汚泥の量(SV)や透視度を測定して判断しますが、みなさんの中には、透視度を測る専用の透視度計が手元にないので測定したことがないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、ペットボトルを用いて簡単に透視度計を作成することができます。
 今回子供たちは、カッターナイフをおっかなびっくりで使いながら、約20分ほどでペットボトルの簡易透視度計を作り上げました。

牛と豚の観察
 次に場内を歩きながら、牛や豚がどんな餌をどの位食べるのかを観察してみました。みなさんは、牛や豚を見て驚くことはないでしょうが、子供たちは体重650kgの牛や体重100kgを超える豚の大きさを体験し、1日で40kgもの餌や70リットルもの水を飲む牛に驚いていました。また、牛の餌やりを体験しましたが、大きな体をした牛にビクビクして腰が引けた状態で餌を与えていました(写真1)。
牛にえさをあげている写真 写真1 長い舌にびっくり

浄化槽での実習
 曝気槽で尿をきれいにする役割を果たしているのが沢山の微生物が集まった活性汚泥です。この活性汚泥には、どんな微生物がいるのか顕微鏡で観察してみました。ドロのように見える活性汚泥をスライドガラスにのせ顕微鏡でのぞき込むと様々な形をした微生物が見えました。ユリのような形をした微生物を初めて目にした子供たちは、目をキラキラさせ顕微鏡にかじりついていました(写真2)。
 一方では、子供たちが自作した簡易透視度計で処理水や池の水の透視度を測定しました。当日センターの浄化槽処理水は、透視度30cm以上あり、微生物が尿をきれいにする力を肌で感じることが出来たようです(写真3)。

顕微鏡が大きい!
写真2 顕微鏡で微生物スケッチ
自分で作った透視度計
写真3 透視度計で測ってみよう

イベントを終えて
 当センターでは、畜産農家の方々が活用できるよう様々な技術について研究を推進しておりますが、今回実施したような子供向けのイベントや消費者を対象とした食育や環境教育にも力を注いでいます。将来を担う科学者の卵たちに恥じぬよう、研究に励まなければならないと感じる一日でした。ペットボトルで簡易透視度計を作るにはではここで簡易透視度計の作り方を紹介します。
 同じ形の500ミリリットルのペットボトル2本、カッターナイフ、はさみ、ビニールテープ、油性ペン、定規及び耐水性の紙をご用意下さい。 (1)カッターナイフでペットボトルの底を切り取ります(写真4)。(2)2本のペットボトルを同じ向きでつなぎ、水漏れしないようにつなぎ目をビニールテープでしっかりと巻きます(写真5)。(3)油性ペンでペットボトルのふた側から1cm単位で目盛りを書き込みます。(4)耐水性の紙(いらない写真の裏などを利用)に油性ペンで標識(二重線)を書きます(写真6)。(5)丸く切り取ってペットボトルのフタの内側に貼り付けて出来上がりです(写真7)。

ペットボトルの底を切る
写真4 2個とも底を切り取る
つなげる
写真5 2個をつなぐ
標識の写真
写真6 標識を作る
ペットボトル透視時計と本物
写真7 できあがり(左側は本物の透視度計)

簡易透視度計の使い方
 (1)透視度計に処理水をいっぱい入れる。(2)上から標識の十字をのぞく。(3)フタをゆるめてゆっくり水を抜く。(4)標識の十字がはっきり見えたらフタをしめる(写真8)。(5)その時の水の高さを測る。○○cm、これが透視度です。

最後に
 子供たちを含めた一般県民の目は、みなさんが生産した牛乳、肉や卵といった畜産物だけでなく、生産現場にも目を注いでいます。子供たちが神奈川県を流れている川の透視度を測定した時に透視度が測れないほど汚れた状態にならないようにするためには、浄化処理水を河川に放流している畜産農家の方々の努力が必要となります。是非みなさんもペットボトルで透視度計を作って、ご自分が維持管理されている浄化槽の処理水の透視度を測ってみて下さい。
(企画経営部 川村英輔)

神奈川県

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