神奈川県畜産技術センター 技術情報 2008.02

掲載日:2016年4月1日

神奈川県畜産技術センター 技術情報 2008年2月

「卵殻色・卵黄色の傾向について」から鶏卵審査の結果からから

 卵殻色・卵黄色は、消費者に対するアピール度が高いため、生産者の販売方法や販売先の違いによって、個々の経営ごとに特徴を持たせた生産の取り組みが行われています。直売を主体とした養鶏経営においては、消費者の購買意欲の増進をねらうため、褐色卵鶏種を主体とした飼養としたり、比較的に濃い色調の卵黄色の鶏卵を生産している事例が多く見られています。畜産技術センター(普及指導部)は、毎年県内各地域で開催されている畜産共進会や農産物品評会において、鶏卵の審査を担当しており、平成19年度は7月から11月の間に、県下10市町で計13回の鶏卵審査を行いました。
 共進会・品評会では、鶏卵10個入りパックを1点として出品され、審査は、形状や大きさの揃い・卵殻の性状・清潔さなどの外部形質を審査する外観検査と、卵殻の厚さ・卵黄や卵白の形状や色調などの内部形質を審査する割卵検査により行っています。(図1)
図1 卵質審査項目
            図1 卵質審査項目

 当センターが鶏卵の審査を実施した地域は、横浜川崎・県央・湘南・県北地域の10市町で、出品(審査)点数は合計170点ありました。この全ての出品卵を卵殻色別に分けてみると(図2)、白色卵48点(28.2%)、褐色卵104点(61.2%)、ピンク卵16点(9.4%)、青色卵2点(1.2%)で、褐色卵の出品が多く見られました。鶏種別では白色卵鶏種が7種、褐色卵鶏種4種、ピンク卵鶏種2種、青色卵鶏種ではアローカナ交雑種の1種が見られました。卵殻色別に出品の多かった鶏種は、白色卵鶏種はジュリア、褐色卵鶏種はボリスブラウン、ピンク卵はハイラインソニアで、6から9割を占めていました。(表1)

図2 卵殻色別出品点数県内
図2 卵殻色別出品点数(県内)
表1 鶏種別出品点数
表1
1 卵黄色の傾向
 検査項目の卵黄色については、カラーファン(写真)によるスコア判定を行いました。カラーファンは、色調が1から15段階に区分されており、数値の大きいものほど黄色の度合いが濃く、数値の小さいものほど淡くなっています。卵黄色の測定については、このカラーファンと対比することによって色調を判定しています。
 各地域の共進会・品評会に出品された鶏卵の卵黄色は(表2、図3)、カラーファンスコアが8から15と幅広く見られ、最も小さいスコアは8(全体の1.2%)で、最も大きいスコアは15で(全体の13.5%)した。中でも13から15のものが6割以上を占めており、出品卵全体の平均値は13.0と濃い色調の傾向が見られました。
カラーファン

表2 出品卵の卵黄色(県内)
表2
図3 出品卵の卵黄色県内
図3 出品卵の卵黄色(県内)

 卵殻色別に分けた卵黄色スコアの平均値は、白色卵12.6、褐色卵13.3、ピンク卵12.1、青色卵12.6で、褐色卵が全体的に高いスコアにありました。(図4・5・6)
図4 出品卵(白色卵)の卵黄色県内
図4 出品卵(白色卵)の卵黄色(県内)
図5 出品卵(褐色卵)の卵黄色県内
図5 出品卵(褐色卵)の卵黄色(県内)
図6 出品卵(ピンク卵)の卵黄色県内
図6 出品卵(ピンク卵)の卵黄色(県内)

2 地域ごとに見た傾向
 地域ごとに出品卵の卵殻色を整理して見ると、横浜川崎地域(図7)は白色卵が18.3%、褐色卵73.2%、ピンク色卵8.5%で有色卵が8割以上でした。県央地域(図8)は白色卵が36.1%、褐色卵44.4%、ピンク色卵19.4%で他の地域に比べて白色卵が多く見られました。湘南地域(図9)は4市町の合計では褐色卵が66.7%でしたが、2市町では褐色卵のみの出品でした。県北地域(図10)は青色卵の出品が見られました。

図7 卵殻色別出品割合 横川地域
図7 卵殻色別出品割合(横浜川崎地域)
図8 卵殻色別出品割合 県央地域
図8 卵殻色別出品割合(県央地域)
図9 卵殻色別出品割合 湘南地域
図9 卵殻色別出品割合(湘南地域)
図10 卵殻色別出品割合 県北地域
図10 卵殻色別出品割合(県北地域)

 次に地域ごとに出品卵の卵黄色を整理して見ると、卵黄色スコア平均値は、横浜川崎地域13.3、県央地域12.4、湘南地域12.8、県北地域13.1でした。市町別では県央のA市が14.0、湘南のB市が14.5と大きく、県央のC市が11.6、湘南のD市が11.8と審査を行った地域の中では小さい値でした。
 地域ごとの卵黄色スコアは、横浜川崎地域(図11)は13以上が76.1%、10以下が2.8%、県央地域(図12)は13以上が52.8%、10以下が13.9%、湘南地域(図13)は13以上が51.9%、10以下は0%、県北地域(図14)では、13以上が63.9%、10以下は0%でした。最も大きいスコア15の卵は、横浜川崎・湘南・県北地域の4市町で見られました。

図11 出品卵の卵黄色 横川地域
図11 出品卵の卵黄色(横浜川崎地域)
図12 出品卵の卵黄色 県央地域
図12 出品卵の卵黄色(県央地域)
図13 出品卵の卵黄色 湘南地域
図13 出品卵の卵黄色(湘南地域)
図14 出品卵の卵黄色 県北地域
図14 出品卵の卵黄色(県北地域)

3 卵黄色に影響する飼料
 卵黄色を改善する飼料としては、天然素材をそのまま与える天然色素と、天然色素がより効率よく吸収されるよう合成した合成色素があります。また、これらの色素は黄色系と赤色系の2種に大別されます。一般に配合飼料では、黄色系色素としてアルファルファやコーングルテンミール、マリーゴールド等を、赤色系色素としてパプリカや藻類、オキアミ等を原料として添加配合し、」目的に応じた卵黄色を作り出すことができるように飼料設計されています。(表3)

表3 卵黄色に影響する飼料
表3

4 種鶏導入の全国的傾向
 
(社)日本種鶏孵卵協会が平成19年6月に実施したレイヤー孵卵場の種鶏導入アンケート調査結果における卵殻色別種鶏の割合は、平成18年実績では白色卵鶏種62.6%、褐色卵鶏種24.8%、ピンク卵鶏種12.49%、その他0.2%で、19年計画では白色卵鶏種は63.3%、褐色卵鶏種25.6%、ピンク卵鶏種10.9%、その他0.2%となっています。(表4)
表4 卵殻色別種鶏導入割合
表4

5 卵質に関する試験研究等
最近の、卵質に関する全国での試験研究の取り組みとしては、鶏卵の付加価値を高めるための機能性強化についての研究や、地域で発生する食品副産物(廃棄物)の飼料化利用等についての研究が見られています。
  また、近年の配合飼料価格高騰等の厳しい畜産情勢を背景に、養鶏における飼料米利用についての関心が高まってきています。農林水産省では米の生産調整拡大の一環として、飼料米等の奨励施策(地域水田農業活性化緊急対策)を実施することとしており、養鶏団体等に対しての協力・支援についての要請も行われています。
  飼料米利用の取り組みは、水田農業の盛んな地域での事例が見られており、青森県の養鶏農協での事例では、玄米をトウモロコシと入れ替え、自給率75%とした飼料の給与試験が行われています。この試験ではトウモロコシのカロチンに変わる色素原料を使用せずに色素原料は牧草由来のものだけにしているため、卵黄色は通常卵がスコア10であるのに対して、玄米給与卵はスコア1で非常に淡い色調になっているが、全卵中の成分を調べた結果では通常卵に比べて脂肪融点が下がり、不飽和脂肪酸のリノール酸の値が低くなり、同じ不飽和脂肪酸のオレイン酸とリノレイン酸が増えたとの結果が報告がされています。

消費者の農畜産物に対する嗜好は、非常に多様化しています。そのため、個々の生産現場においては販売先や消費者の嗜好をしっかりと把握していくことが重要となります。最後に、今後も安定した鶏卵の生産に取り組み、安全で安心そして新鮮な鶏卵の供給に努めていただきますようお願いいたします。
(普及指導部 阪本雅紀)

神奈川県

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