研究情報 2009年2月

掲載日:2016年4月1日

平成19年え付け採卵鶏の経済検定成績より

はじめに
 現在、国内には多くの種類の採卵鶏の銘柄が流通しており、この中から自分の経営に合った銘柄を選定するのは難しいことと思われます。そこで、本県で普及している採卵鶏の銘柄について、それらの特質と能力を明確にし、養鶏農家のみなさんの銘柄選定の一助とするため、経済検定を毎年実施しています。
 この度、平成19年2月にえ付けした採卵鶏の成績がまとまりましたので、お知らせします。  飼養期間は平成19年2月から平成20年9月までの80週間です。
 供試鶏は白玉鶏のジュリア、ジュリアライト(ライト)、シェーバーEX(EX)、マリア、ピンク玉鶏のソニア及び赤玉鶏のボリスブラウン(ボリス)の6銘柄です。 飼養方法は、表1のとおり、養鶏農家で一般に実施されている方法を用いました。
 各銘柄の検定成績は、表2及び図1から5のとおりで、その概要は次のとおりでした。

表1 飼養方法
表1 飼養方法

表2 平成19年え付け採卵鶏の経済検定の成績(1から80週齢)
表2 平成19年え付け採卵鶏の経済検定の成績
注)同一項目内において異符号間に有意差あり(P<0.05)
(1)育成期
育成率は、全銘柄で98%以上と良好でした。20週齢体重は赤玉鶏のボリス、次いでピンク玉鶏のソニアが重く、ジュリア、ライト、マリアが軽い傾向でした(統計的有意差あり。以下、P<0.05)。0から19週齢の飼料摂取量は、体重が重かったソニア、ボリスが多く、体重の軽かったマリアが少ない値でした(P<0.05)

(2)成鶏期(生産性)
 50%産卵到達日齢は、赤玉鶏のボリスが143日齢と早く、最も遅かったマリアとの銘柄間の差は3日程度でした(P<0.05)。  産卵率は、全銘柄が80%以上と良好でしたが、52週齢以降マリアが他の5銘柄に比べて、やや低く推移しました(図1)。
 平均卵重は、マリアが軽く、ジュリア、EX、ボリスが重く(P<0.05)、マリアとジュリアの差は約3g程度でした。図2に示した平均卵重の推移ではジュリア、ボリスが、産卵全期にわたって他銘柄に比べて卵重が重く推移し、EXは産卵前期までの卵重増加が早いが、44から47週齢時の64.9g以降は横ばいからやや減少で推移し、マリアは産卵全期にわたり、他銘柄に比べて低く推移しました。
 日産卵量、飼料要求率については、銘柄間に統計的な差はありませんでした。
 飼料摂取量はジュリアとEXが多く、マリアが少なく(P<0.05)、ジュリアとマリアの差は約4gでした。 
 生存率はライト、ソニアが96.9%で、最も低かったEXとの差は4.2%でした

図1 産卵率
図1 産卵率(20から80週齢)
図2 平均卵重
図2 平均卵重(20から80週齢)

(3)成鶏期(卵質)
 卵質検査は33、44、54、65、77週齢で計5回実施し、その平均で示しました。
 ハウユニットは、全銘柄の平均84以上と良好で、特にマリアは87.2でソニア、ボリスに比べて優れていました(P<0.05)  卵殻強度は、ジュリアが4.44kg/cm2で、EX、マリア、ソニア、ボリスより統計的に有意に優れていました(P<0.05)。図4に示した卵殻強度の推移では、産卵全期間にわたって、ジュリアの卵殻強度が優れていました。
 卵黄重比は、ライトが28.0%で、最も少なかったボリスの 24.5%に比べて3.5%の有意な差がありました(P<0.05)。
 肉斑は、白玉鶏の四銘柄では、EX1%、その他は0%でした。一方、赤玉鶏のボリスは12%と最も多く認められました(P<0.05)。

図3 ハウユニット
図3 ハウユニット(33から77週齢)
図4 卵殻強度
図4 卵殻強度(33から77週齢)
(4)成鶏期(規格卵比率)
 規格卵比率では、平均卵重の軽い白玉のライト、マリア、中間色のソニアでM吸以下の比率が66%前後と多く、逆に平均卵重の重いジュリア、EX、ボリスではL級以上の比率が50%前後と高い傾向がありました。
 産卵期後半に卵重が重かったジュリアは、LL以上の比率が最も高く、LからMSのパック卵比率は、産卵期後半に低く推移し(図5)、平均でも最も低い値でした(P<0.05)。
図5 パック卵比率
図5 パック卵比率(20から80週齢)


(5)収益性
 収益性は生産卵量×卵価―(ヒナ代+育成飼料費+成鶏飼料摂取量×飼料価格)の式とし、新聞相場の全農の規格卵価及び東京鶏卵事業協同組合の非規格卵価の月平均卵価を用いて計算しました。この結果、非規格卵収益、規格卵収益ともに、ボリス>ライト>ジュリア>EX>ソニア>マリアの順となり、特にマリアは規格卵収益で他の5銘柄に比べて統計的に有意な差が認められました(P<0.05)。
  なお、平成20年2月え付け鶏の経済検定を、白玉鶏のジュリア、ジュリアライト、B400、マリア、ピンク玉鶏のソニア及び赤玉鶏のボリスブラウン(ボリス)の6銘柄について、現在実施しており、成績がまとまり次第、ご報告させていただく予定です。

(企画経営流部 引地宏二)

神奈川県

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