研究情報 2010年5月

掲載日:2016年4月1日

系統豚「カナガワヨーク」を利用した優良種豚の生産について

1 はじめに

 系統豚カナガワヨークは「1日当たり増体重」、「背脂肪の厚さ」、「ロース断面積の大きさ」を改良目標として造成され、平成3年度に完成しました。翌平成4年に系統豚として認定された後、これまで18年間、改良目標の遺伝能力をよく保持しつつ、血縁係数、近交係数の上昇を抑えながら、維持されてきました。また、認定当初に言われた肢蹄の細さについても後継豚の選抜時に体型や能力に加え肢蹄の強健性を重視した選抜を行うことによって徐々に改良されています。しかし、県内の養豚生産者の皆様からは、より大柄で、強健性に富む大ヨークシャー種種豚に対するニーズがあり、当所としてもより多様なニーズに対応するべく、これまでとタイプが異なる種豚を生産する必要性が生じてきました。そこで、当所では平成19年度より体型、肢蹄を改良目標として、民間種豚場等に繋養されている大ヨークシャー種雄豚とカナガワヨーク繁殖雌豚との交配を試みています。平成20年度までに、7腹の分娩があり、65頭の産子が得られました。その中から、雄4頭、雌9頭を選抜、育成し、産肉能力調査及び体型調査を行いましたので、その概要についてご紹介します。

2 方法

 まず、種雄豚の選択ですが、写真等で体型が確認できること、宅配便等で容易に精液が入手できること、疾病のリスクが少ないこと等を条件に静岡県、埼玉県の民間種豚場及び(独)家畜改良センターから体型、肢蹄を主眼に5頭の種雄豚を選び、精液を購入しました。一方、雌豚は、カナガワヨーク維持群の繁殖雌豚からこれまでの繁殖成績及び体型の良好な経産豚及び2次選抜終了後の体型、肢蹄の良好な未経産豚を選びました。

3 調査結果

(1)繁殖成績
 平成19から20年度に7腹の分娩があり、雄33頭、雌32頭計65頭の産子が得られました。生時体重は1.82kgで、同年度のカナガワヨーク維持群の1.49kgを上回りました。また生後三週齢での平均体重は5.89kg、八週齢では、20.67kgとカナガワヨーク維持群の5.79kg、17.8kgを上回っており、子豚の発育についてはカナガワヨークより優れているという結果になりました。育成率は89.2%とカナガワヨークの例年と大きな違いはありませんでした(表1)。

表1 繁殖成績

(2)産肉能力調査成績
 雄4頭、雌9頭を一次選抜で候補豚として選び、約100kgまで育成後、調査を行いました。平均一日当たり増体重は、雄795.8g/日、雌741.4g/日であり、カナガワヨーク維持群の雄743.5g/日、雌723.5g/日を上回っています。背脂肪の厚さ、ロース断面積は、カナガワヨーク維持群と大きな差は認められませんでした(表2)。

表2 産肉能力調査成績

(3)体型調査成績
 産肉能力調査と同時に体型調査を実施しました。体長は雄106.5cm、雌108.3cmと、カナガワヨーク維持群(雄110.9cm、雌109.0cm)より若干短くなっている他は、前幅、胸幅、後幅、胸深等はほとんど差がありませんでした。改良の主眼に置いた肢蹄の強健性の目安となる管囲については雄18.3cm、雌17.9cmとなり、カナガワヨーク維持群(雄18.2cm、雌17.2cm)に比べ特に雌で太くなっています(表3)。

表3 体型調査成績

4 今後の調査について

 平成21年度から今までに選抜、調査を実施したカナガワヨークと外部の優良種豚の交配によって得られた候補豚を再度カナガワヨークと交配させ、繁殖能力調査、産子の体型、産肉能力調査を実施していく予定です。

5 おわりに

 今回紹介しましたように、系統豚カナガワヨークと他の異なる血統の大ヨークシャー種優良種豚の交配では、発育、体型、肢蹄の強健性という点において一定の改良効果が認められました(写真1から4)。

写真 選抜豚の状況1

写真 選抜豚の状況2

写真 選抜豚の状況3

写真 選抜豚の状況4

 なお、今回使用しました外部の精液や研究の具体的情報については当所研究担当、または普及指導担当までご連絡頂けたらと思います。 今回の研究成果が生産者の皆様の改良の一助となれば幸いです。

(畜産工学担当 山本 禎)

神奈川県

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