研究情報 2011年2月

掲載日:2016年4月1日

本県に適応したトウモロコシ二期作栽培体系の検討

 畜産技術所では、平成21年度からトウモロコシ二期作栽培体系の実用化に取り組んでいます。昨年の研究結果から、本県においてもトウモロコシ二期作は可能であり、またトウモロコシ-イタリアンライグラス二毛作と比較して、年間のTDN収量が20%程度多く土地生産性に優れた栽培体系であることがわかりました。
 そこで、本県に適応したトウモロコシ二期作栽培体系の開発のため、平成22年度は品種と播種時期について検討しましたので、その結果についてお知らせします 

1 1作目の品種及び播種時期の検討

 1作目は、表1に示したRM100から115までの極早生から早生の3品種を4月1日、8日、16日及び21日にそれぞれ播種しました。
  4月は16日から17日にみぞれが降るなど中旬から下旬にかけて平年と比べて気温がかなり低くなり、4月8日及び16日に播種したものは、発芽率が悪い傾向にありました。
 1作目の収穫期及び収量は表2に示したとおりです。
 KD500は、4月16日までの播種では7月28日、4月21日の播種でも8月4日に収穫できました。LG3520及び34B39は、4月8日までの播種では、8月4日又は5日に収穫できましたが、4月16日以降の播種では収穫は8月11日になりました。生草収量、乾物収量及びTDN収量の差は同様の傾向で、品種ではLG3520及び34B39の方がKD500より収量が多く、播種日では4月1日及び21日の方が4月8日及び16日より多い傾向にありました。乾物率は、29.3%から34.4%と品種や播種日に関わらず良質なサイレージが調製可能な水準でした。

表1 1作目供試品種

表2 1作目トウモロコシの品種及び播種時期の違いによる収量性および播種期の違い

2 2作目の品種及び播種時期の検討

 2作目は、表3に示したRM120から135までの中生から二期作用の4品種を8月4日、11日及び18日にそれぞれ播種しました。  
 8月は記録的な猛暑に加え、8月14日から9月1日まで降雨がなく、8月18日に播種したものは干ばつの影響で発芽率が悪く、9月になって発芽した個体もありました。また、10月30日に付近を通過した台風14号の影響で、8月4日及び11日に播種した30D44に倒伏及び折損が多く発生しました。
 2作目の収穫期及び収量は表4に示したとおりです。  34P41及びSH3817は、8月4日及び8月11日の播種では11月30日にそれぞれ黄熟期及び糊熟期で収穫できましたが、8月18日の播種では12月上旬に乳熟期で収穫し、乾物率も25%以下と低くなりました。NS813は、8月4日及び11日に播種したものは11月30日及び12月6日にそれぞれ糊熟期で収穫できましたが、8月18日の播種では12月10日に乳熟期で収穫しました。NS813は、全体的に乾物率が低い傾向にありました。30D44は、8月4日及び11日に播種したものは、倒伏及び折損が著しかったため、登熟をまたずに11月11日に早めに収穫し、収穫時の熟度はそれぞれ糊熟期及び乳熟期でした。8月18日の播種では、12月10日に乳熟期で収穫しました。 生草収量、乾物収量、TDN収量及び乾物率は、播種日が遅くなるほど低くなる傾向にあり、品種では31P41が他の品種に比べて少ない傾向にありました。 乾物率は、播種日が遅くなるほど低くなる傾向にあり、品種ではNS813が低い傾向にありました。特に、8月18日の播種では、30D44を除いて乾物率が22%以下となり、サイレージの調製には水分調整などの処置が必要だと考えられました。

表3 2作目供試品種


表4 2作目トウモロコシの品種及び播種期の違いによる収量性及び収穫期の違い

3 品種の組み合わせと播種期の提案

 今年度の試験結果では、2作目は8月4日の播種では、収穫時には黄熟期から糊熟期となり、乾物率も30%近くなりましたが、一週間後の8月11日の播種では収量及び乾物率も低下しました。しかし、8月18日の播種では、乳熟期での収穫となり、乾物率もかなり低くなりました。
 最近(1998年以降)の平均気温から二作目に1200℃以上の有効積算温度を確保しようとすると、8月4日頃までに播種することが目安となり、登熟を進めて乾物率を増加させて乾物収量を確保するには、遅くとも8月7日頃までに播種することが必要だと考えられます。
 1作目に利用する品種は、収量に加えて、2作目の播種が1日でも早く収穫できることも品種を選定するポイントだと考えられます。RM100から115の品種を4月8日までに播種した場合、7月下旬から8月上旬に収穫できましたが、2作目の作業を考えると多少早めに収穫できるRM100から110程度の品種を4月10日頃までに播種することが望ましいと考えられます。
 品種の組み合わせ及び播種期については、今後も反復し試験を行う予定ですが、2年間の試験結果から、現時点での本県におけるトウモロコシ二期作の品種の組み合わせ及び播種期として、(1) 1作目はRM100から110程度の品種を4月10日頃までに播種する。(2)2作目はRM120から135程度の品種を8月7日頃までに播種する。ことを提案したいと思います。

4 今後の展開

 2作目の播種が1週間遅くなると、有効積算温度が約120℃少なくなります。また、播種期の8月の1日分の有効積算温度は、収穫期の11月の1週間分に相当します。これらのことから、2作目は1日でも早く播種し、生育期間を確保することが重要となります。
 しかし、1作目の収穫から2作目の播種までの期間は短く、2作目の播種が遅くなってしまうのが現状だと思います。そこで、トウモロコシ二期作が普及している九州地方では、1作目収穫後、ロータリ耕などの工程を省略してすぐに二作目を播種できる不耕起播種が導入されています。従来の不耕起播種機は、大型で高価なため本県での導入は難しいと考えられましたが、小型の不耕起播種機(写真1)なら本県にも導入できると考え、作業性を検討しています。不耕起播種機は、既存の大豆用不耕起播種機に既存の肥料散布機を増設したもので、20から30馬力程度のトラクタで利用できます。1作目収穫後の条間にそのまま播種することができ(写真2)、作業効率は10アール当たり30分程度で、面積の狭いほ場でも利用可能でした。不耕起播種については、施肥や雑草処理方法についてまだ検討が必要ですが、今後トウモロコシ二期作の普及のために重要な技術となると考えています。

写真1 不耕起播種機の播種風景 写真2 不耕起播種機での播種後のほ場
写真1 不耕起播種機の播種風景         写真2 不耕起播種機での播種後のほ場
     作業効率は30分/10a程度であった         1作目収穫後の条間に播種する

(畜産工学担当 折原 健太郎)

神奈川県

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