研究情報 2011年12月

掲載日:2016年4月1日

平成22年度え付け採卵鶏の経済検定成績より

1 はじめに
 現在、国内には多くの採卵鶏銘柄が流通しており、この中から自分の経営に合った銘柄を選定するのは難しいことと思われます。
 そこで、本県で普及している採卵鶏の銘柄及び今後普及が期待される銘柄について、それらの特質と能力を明確にし、養鶏農家のみなさんの銘柄選定の一助とするため、経済検定を実施しています。
 この度、平成22年2月にえ付けした採卵鶏の成績がまとまりましたので、お知らせします。
 飼養期間は平成22年2月から平成23年9月までの80週間です。
 供試鶏は白玉鶏のジュリア、ジュリアライト(ライト)、B400、ジュピター、赤玉鶏のシェーバーブラウン(シェーバー)、ボリスブラウン(ボリス)の6銘柄 各100羽づつ計600羽を用いました。
 飼養方法は、表1のとおり、各ステージの市販飼料を不断給餌し、18週齢以降は開放鶏舎内で3段ケージ2羽飼いで飼養しました。  各銘柄の検定成績は、表2及び図1から4のとおりで、その概要は次のとおりでした。

表1 試験期間中の飼養方法


表2 平成22年度え付け鶏採卵鶏の経済検定の成績


図1産卵率の推移 図2平均卵重の推移 図3ハウユニットの推移 図4卵殻強度の推移

2 育成期
 育成率は、ジュリア、ライト、B400が100%と優れ、ジュピター、シェーバー、ボリスに対して危険率5%以下の統計的に有意な差がありました(以降、危険率5%以下の統計的に有意な差が認められたときにはP<0.05と表します)。
 0から19週齢の飼料総摂取量は赤玉鶏のシェーバー、ボリスが8700g台と多く、白玉鶏のジュリア、ライト、B400、ジュピターの7536gから7819gと比べて、有意に多く飼料を摂取していました(P<0.05)。
 20週齢体重は、飼料総摂取量の多かった赤玉鶏のシェーバー、ボリスで1824g、1764gで白玉鶏の1400g台に対して有意な差がありました(P<0.05)。

3 成鶏期(生産性)
 50%産卵到達日齢も、赤玉鶏のボリス、シェーバーが137日、139日と早く、ボリスは全ての白玉鶏に対して、シェーバーはB400以外の白玉鶏に対してそれぞれ有意な差がありました(P<0.05)。
 産卵率はジュリア、シェーバー、ジュピター、ライトが、ボリスに対して有意に優れていました(P<0.05)。また産卵率の推移では、ボリスが試験全期間にわたって、6銘柄中ほぼ最低値で推移したこと及び60週齢で白玉鶏のみ一時的に産卵率が低下した点が特徴的でした(図1)。
 平均卵重はボリスがライト、B400、シェーバーに対して有意に重く(P<0.05)、卵重の推移でも40週齢以降66から67g台と高値で推移しました(図2)。
 日産卵量は、産卵率に優れ平均、卵重がやや重かったジュリア、ジュピターがボリスに対して有意に優れていました(P<0.05)。
 飼料摂取量は、B400が107.6gと少なく、シェーバー、ジュピター、ジュリアと有意な差がありました(P<0.05)。
 飼料要求率は、飼料摂取量が少なかったB400が1.91と最も優れ、産卵率は優れていたが飼料摂取量が120gで最も多かったシェーバーに対して有意な差が認められました(P<0.05)。
 生存率は、88から90%で銘柄間では有意な差は認められませんでした。

4 成鶏期(卵質)
 卵質検査は34、42、53、66、78週齢で計5回実施し、その平均値で示しました。
 ハウユニットは、B400が89.1でジュリア、ジュピター、シェーバーに対して有意に優れていました(P<0.05)。図3に示したハウユニットの推移でも、B400が各調査週齢とも最高値で推移しました。逆にシェーバーは、試験全期間に渡り、6銘柄中最低値で推移し、78週齢時にはAAランク(72以上)を下回り、加齢によるハウユニットの低下が顕著に現れました。
 卵殻強度は、ライト、ジュピターがB400、ボリスに対して有意に優れていました(P<0.05)。
 また図4に示した卵殻強度の推移をみると、ライトとジュピターは53週齢まで他銘柄より高値で推移していましたが、53週齢以降は他銘柄と同様な傾向になりました。
 加齢への影響を比較するため、33週齢時の各銘柄の卵殻強度を100として78週齢時の下落率を見ると、ライトが61.7で最も加齢による影響が大きく、逆にシェーバーは77.6で加齢による影響が最も小さいものでした。
 卵黄重比は、ボリスが25.0%で最も少なく、他の5銘柄に対して有意な差がありました(P<0.05)。
 血斑出現率は、ジュピターで1%、シェーバー、ボリスで2%ありましたが、銘柄間の有意な差では認められませんでした。
 肉斑出現率は、ジュリア1%、シェーバー8%、ボリスで6%ありましたが、銘柄間で有意な差は認められませんでした。

5 成鶏期(規格卵率)
 規格卵比率ではボリス、ジュピターでLL級の生産比率がライトに対して有意に高く(P<0.05)、一方ライトはM級以下の生産比率が高くM級34.1%、MS級15.9%、S級4.4%でいずれも各銘柄間で最も高い生産比率でした。
 LからMS級のパック卵比率でも、M級以下の生産比率の高かったライトが85.1%でボリスに対して有意な差がありました(P<0.05)。

6 収益性
 収益性は、生産卵量×卵価―(ヒナ代+育成費+成鶏飼料摂取量×飼料価格)の式より、4週毎の生産卵量と新聞相場の全農の規格卵価及び東京鶏卵事業協同組合の非規格卵価の4週毎平均卵価を用いて算出しました。試験全期間中の飼料単価は45.6円/kg、卵価は非規格卵価181円/kg、規格卵価M級197円/kgでした。これは、過去3年度のM級平均卵価179円/kgに対して18円高いものでした。そこで、平成19から21年と平成22年餌付けで週齢を揃えて、各年度のM級卵価の推移を比較すると(図5)、過去3年度の3月以降の卵価は、夏に向けてほぼ同一水準か低下傾向で推移しているのに対し、今年は3月から4月にかけて50円以上上昇し、以降7月まで過去3年より高値で推移しました。このことから、震災やその後の計画停電等通常には無い要因が、本年度の卵価に影響していると考えられます。
 それを踏まえての収益性で白玉鶏のジュリア、ライト、B400、ジュピターが規格卵価で1羽当たりの年換算収益1600円以上と高く、赤玉鶏のシェーバー、ボリスと続きます。また非規格卵価による収益性はジュリア、ジュピター、B400で1300円台と高く、ライト、ボリス、シェーバーと続きました。銘柄間の収益差はありましたが、いずれも有意な差はありませんでした。

図5 餌付け年度別M級卵価の推移

 なお、本年2月にえ付けした鶏は、白玉鶏のジュリア、ジュリアライト、ジュピター、ノボホワイト、赤玉鶏のノボブラウン、シェーバーブラウンの6銘柄でこのうちノボブラウン、ノボホワイトは初めて実施する銘柄です。成績がまとまり次第、ご報告させていただきます。

(企画研究課 引地 宏二)

神奈川県

このページの所管所属は 畜産技術センター です。