神奈川県保健師ナビ・仕事自慢

掲載日:2017年12月1日

仕事自慢

 神奈川県では、これからの県保健師の目指す姿や、今後の県保健師が保健活動を展開していく際に、基本な視点を確認する際に活用できるものとして平成28年3月に「神奈川県保健師の活動指針」を作成しています。

 その中で、保健師活動を展開する際の理念(=基本となる考え方、根底にある考え方)を、5つに整理し、柱としています。ここでは、5つの柱に沿って具体的な保健師の活動を紹介します。

保健師活動指針の表紙の画像イラスト 指針の柱

 

柱1 地域の特性に基づく保健師活動

<取組み事例1>

「学童保育での喫煙防止教育」(鎌倉保健福祉事務所三崎センター)

 A市は、家庭内での喫煙者数が多く、喫煙に起因した疾患による死亡や国保医療費の支出が多いことも長年の課題でした。そこで、喫煙率が近隣市町より高いことをデータ化し、住民・関係機関と共有することで、地域での喫煙防止に取り組んできました。また、喫煙者の9割が10代で喫煙を開始する点に着目し、A市ならびに学童保育指導員らの協力の元、学童保育に通う子どもたちを対象に「喫煙・受動喫煙防止対策教育」を行っています。昨年「タバコに関する内容だけでは、子ども達が飽きてしまう」との声を受け、「手洗い実習」「糖度測定」など子ども達が楽しんで参加できる内容を組み合わせながら、生活の一部としてタバコを考えてもらえるよう工夫しています。

【実施例 ~たばこってなぁに?~ 対象者:小学1年生~6年生・32名】

事例1の写真 その1 事例1の写真その2

写真左:かいわれ草の発育くらべ
写真右:グループワーク「タバコを吸う?吸わない?どっちの大人になりたい?」

柱2 個別の健康課題から地域全体の課題へ発展させる保健師活動

<取組み事例2>

「1型糖尿病児への支援」 (平塚保健福祉事務所秦野センター)

 1型糖尿病のため、小学校入学に苦慮した事例について、保健師が支援した経験から、同様の健康課題が潜在化しているのではないかと考え、他の1型糖尿病の児の状況を確認しました。その結果、小学校入学の難しさや、病気への理解不足、学校への対応上の不安があることがわかりました。1型糖尿病があっても「学校生活が送れること」を目標に、主治医や関係機関と調整をし、就学に向けて準備することや相談先を明記した、1型糖尿病児の就学支援媒体「にこにこシート」を作成しました。この媒体を参考にすることによって、今後の見通しができ、早期から教育機関と調整をすることができるようになりました。

 事例を通して、学校等とのネットワークもでき、入学後も不安がある児童・保護者の相談があり、一緒に確認を行うことで学校も安心して対応できるようになりました。保健師が、小児慢性特定疾病申請時に母の不安を受け止めることで1事例の潜在した健康課題を集団の課題としてとらえ、関係機関に働きかけながら支援方法を考えることができた事例です。

※クリックすると大きくなります。
事例2のイラストを拡大する [その他のファイル/2.4MB]
事例2のイラスト

 

柱3 予防的視点を持った保健師活動

<取組み事例3>

「妊娠SOS やまと相談モデル事業、妊娠SOS かながわ相談事業」 (県域全部)事例3の画像

 厚木保健福祉事務所大和センター管内は、10 代の妊婦の出生率が県平均より高く、児童相談所の児童虐待受理件数が年々増加している中で、特に0 歳児の割合が県全体と比較し高いという特徴がありました。また、関係機関の調査等により、若年者の妊娠や出産の実態や、「相談や支援の窓口が欲しい」というニーズが明らかになりました。

 そこで大和センターでは、思いがけない妊娠への対策を児童虐待予防として位置づけ、モデル事業として研修や関係機関の協力を得て、相談を開始しました。その後、実績が評価され、県の事業として県域全体に拡大し、継続実施されています。

柱4 市町村、関係機関と協働・連携による保健師活動

<取組み事例4>

「真鶴町と保健福祉事務所の連携による認知症高齢者等の徘徊SOS ネットワーク模擬訓練 」(小田原保健福祉事務所)

 真鶴町が高齢化率37.7%と県内最高値であり、国の認知症患者推計からも認知症患者が多く、そのため徘徊に至る恐れがある方の割合も多いと、県保健師は推測しました。あわせて、徘徊SOSネットワーク事業(※) を再構築する必要性があると考えました。県保健師は関係機関 の意見を聞き、地域の強みや課題等更に分析を進めました。その結果を踏まえ、町担当者とともにネットワークを再構築するための戦略を検討しました。県保健師は、町が実施計画を立てた中学生を対象とした認知症サポーター養成講座の実現を支援し、徘徊SOS模擬訓練を提案することで更なる地域への広がりを狙いました。模擬訓練の実施に向けては、他地域の好事例を情報提供し、町が自ら関係機関へ働きかけ調整することを後押ししました。県保健師がさまざまな関係機関と、徘徊高齢者等を近隣や地域で見守り、保護していく仕組みを考え整備をすすめるという目的を共有し、連携や協働することで、徘徊高齢者等の命を守る地域ケアシステムを構築した事例です。

 ※徘徊SOSネットワーク事業とは・・・認知症等で徘徊する方の捜索について、警察や地域の方、関係機関の協力を得て、一刻も早く発見して家族の元へ帰すこと、また、保護された高齢者の身元がわかるまで安心して過ごせるように一時的に施設等でお預かりする仕組みです。

事例4の写真 

写真:徘徊SOS模擬訓練の様子 徘徊者役の職員(右)に、地域住民(左)が声をかけてくれました。

柱5 健康危機に対応する保健師活動

<取組み事例5>

「高病原性鳥インフルエンザ対策における実働訓練と関係機関の連携」
~蔓延防止のために、発生時の保健師の初動体制の実働訓練を実施した事例~(厚木保健福祉事務所)

 高病原性鳥インフルエンザは、海外において人の死亡事例も出ており蔓延の防止は公衆衛生上重要です。相模原市を含めた県央地域では、約40 養鶏場(県全体の5 割)に約100 万羽(県全体の8 割)が飼育されており、高病原性鳥インフルエンザ対策は県央地域における大きな課題でした。

 まず、県保健師は危機事象の発生を想定し、保健福祉事務所が担う保健予防班の役割や職種ごとの動きを整理しました。次に所内保健師連絡会や地域保健師業務連絡会で所内や管内市町村の保健師と情報を共有し、課題の共有を図りました。更に、県保健師が市町村保健師や所内職員を対象に研修を実施し、平常時からの体制を整えました。また実働訓練では、県保健師が中心となり保健予防班として、地域県政総合センターや環境農政局、政令市等と連携協働し、健康調査や防護服の着脱指導などを実施し、実践的な対応ができるよう検討を重ねました。これらを踏まえ「発生時対応手順書」を作成し、保健師が危機事象の発生時に組織横断的に迅速に対応できるよう標準化を図りました。県保健師は行政の中で医療や看護をベースに、所内、他所や多機関と連携し体制を整備し、健康危機管理における感染症蔓延防止、住民の健康相談や防疫従事者の健康管理等、平時における準備として、具体的な実践までを想定し備えた取組みです。

訓練の写真  訓練の写真その2

神奈川県

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