審議結果

掲載日:2017年3月7日
様式3-2

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称かながわ人権政策推進懇話会
開催日時平成29年2月8日(水曜日)10時00分から12時00分まで
開催場所横浜情報文化センター大会議室
出席者

(座長)
炭谷 茂        社会福祉法人恩賜財団済生会理事長
(座長代行)
坂田 清一       神奈川県人権擁護委員連合会会長

大谷 啓一       公募委員

桑原 正則       全日本同和会神奈川県連合会会長

佐藤 繭美       法政大学現代福祉学部教授

杉藤 旬亮       横浜国際人権センター会長

芹沢 秀行       日本労働組合総連合会神奈川県連合会副会長

髙橋 瑞穂       神奈川県弁護士会人権擁護委員会委員   

鶴田 一子       かながわ人権フォーラム幹事

宮崎 紀美子      特定非営利活動法人かながわ女性会議理事

尹  卿恵                 YMCAつるみ保育園保育士

次回開催予定日平成29年7月
問い合わせ先

人権男女共同参画課 担当:二井
電話番号 045-210-3637
ファックス番号 045-210-8832
フォームメール(以下をクリックすると、問い合わせフォームがご利用いただけます。)

県民局 人権男女共同参画課のページ

下欄に掲載するもの
  • 議事録全文
要約した理由
審議経過

テーマ「ともに生きる社会かながわの実現をめざして」

議題1 座長選出・座長代行指名

議題2 かながわ人権施策推進指針の概要説明/平成28年度人権啓発事業の実施報告

議題3  部落差別の解消に向けて

 

 座長選出・座長代行指名について、座長に炭谷委員を推薦する発言があり、就任について了承された。また、座長代行には坂田委員が指名された。

 

(座長)

 それでは議題2に移ります。今期の懇話会のテーマは「ともに生きる社会かながわの実現をめざして」としています。県はこれまで、「ともに生きる社会かながわ」の実現を目指してきましたが、昨年7月に県立津久井やまゆり園で起きた痛ましい事件を受けて、昨年10月に「ともに生きる社会かながわ憲章」を定め、改めてこのメッセージを広く発信しています。

 当懇話会においても、第13期のテーマとしてこの言葉を掲げ、人権の各課題について理解を深め、「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けて、皆様方から様々なご意見をいただきたいと思います。

 さて昨年12月の委員改選後初めての懇話会ということで、新任の委員の方々もいらっしゃいますので、事務局から指針の概要を説明していただきたいと思います。その後、平成28年度人権啓発イベントについて、実施結果の報告をお願いいたします。 

<事務局説明> 

(坂田委員)

 (横須賀市で開催したハートフルフェスタで来場者に配布した、全国中学生人権作文コンテスト神奈川県大会入賞作文集について)今年は横須賀でやったのですけれども、法務省がもう36年になりますけれど、毎年全国から中学生の作文を募集しています。これは神奈川県大会ですが、全国大会もありますけれども、神奈川県の優秀な作品をここに集めまして当日2点ですかね、朗読しました。この朗読が非常にその日の参加者から評価が高くて良いかなと思っておりまして、今日これを皆さんにお配りしたのは、昨年は横須賀市のものをお配りしたのですけれども、神奈川県全体もあるよということで、皆さんに参考としてお配りをさせていただきました。私達が学校等でですね、私達は教育とは言わないのですけれど、いろいろな人権啓発とかをやるときにこういう作文を朗読したりして、子ども達はこういうことを今、皆日頃考えているよということを話すとですね、子どももそうですし保護者の人達も意外と目に涙を溜めてですね、なるほどこういうことを若い子達が考えているのかなと。まさに人権啓発になっているのかなというように思っております。参考までにお配りいたしましたのでご覧いただきたいと思います。以上です。

(座長)

 これは神奈川県と全国の2つがあるのですか。

(坂田委員)

 3つ。市町村がありますので。市町村と県と全国があります。全国は法務省が出していまして、神奈川県は県と横浜地方法務局で、市町村は市町村で作っておりまして、それぞれやっているのですけれど。入賞したとかしないとかにつきましても、それはたまたま入賞したとかということで、内容は結構良い作文を皆書いていただいております。

(座長)

 次の議題に移りたいと思います。議題3は「部落差別の解消に向けて」でございます。昨年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。これを受けまして、事務局から同和問題に関する県の取組みについて説明をしてもらいたいと思います。それではお願いいたします。

(事務局)

 神奈川県人権男女共同参画課の伊藤と申します。日頃人権啓発と同和対策の担当をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 県はこれまでも、部落差別、同和問題の解消に向けた取組みを進めて参りましたけれども、今座長の方からお話しいただきました通り、昨年の12月16日に部落差別解消法が施行されました。そこで今回は少しお時間をいただきまして、これまでの経緯、取組内容、今回施行されました法律の概要、それから今後の課題のようなところをお話しさせていただきたいと思います。お手元にも資料はございますけれども、こちらのスクリーンを使ってご説明させていただきたいと思います。座って説明させていただきます。

 始めに、同和問題がどのような人権問題であるかということを改めてになりますけれども、確認から入りたいと思います。同和問題とは日本社会の歴史的発展の過程で形づくられました身分階層構造に基づく差別によって、国民の一部の人々が長い間、経済的、社会的、文化的に低位の状態を強いられ、日常生活の上で様々な差別を受けるなど、そういった我が国固有の重大な人権問題であります。詳しくは今日お配りしております、「同和問題の正しい理解のために」という冊子に載っておりますので、後程参考にしていただければと思います。この同和問題につきましては、その解決に向けた基本的な考え方を示しました1965年の同和対策審議会答申において次のように分類をされております。1つは就業ですとか教育の機会均等が実質的に保障されていない、或いは住宅や道路等の環境整備が立ち遅れているといった実態的差別、もう1つは差別的な言葉や態度で蔑んだり、偏見から結婚や交際を避けるといった心理的差別、このように分類されています。そしてこうした問題の解消に向けて、答申では地域の生活環境の改善、社会福祉の充実、産業職業の安定、教育文化の向上、基本的人権の擁護など、こういったものを総合的に推し進めていくよう国や地方公共団体に促した、そういった内容になっております。この答申を受けまして1969年に制定されました同和対策事業特別措置法、これを初めといたしまして、1982年には地域改善対策特別措置法、そして1987年には地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律といった法律が制定されまして、これらの法律に基づく特別対策がこの1969年から2002年3月まで、33年間にわたって行われてまいりました。具体的には、まず環境改善事業として地域の下水排水路の整備、道路、橋梁の整備・改良、公園・児童館の整備、住宅の建設などが行われました。また、社会福祉の充実ですとか、産業職業の安定、教育文化の向上のため、生活資金の貸付、同和対策特別融資、住宅新築資金等の貸付、それから高等学校・大学等への進学奨励金の交付、こういった個人給付的事業を実施したほか、こちらにありますが、同和問題の解消に向けた各団体の活動を支援する団体活動費補助、それから今申し上げましたような様々な制度を活用して、実際に地域の方々が抱える課題の解決に導いていくための相談員の設置事業などが進められました。そして、基本的人権の擁護というところでは、人権・同和教育ですとか啓発といったことで、具体的には、学校における人権・同和教育、それから県職員、学校の教職員に対する人権・同和研修、また一般の方々に向けた人権啓発事業の実施など、こうした取組みが進められております。こちらの特別対策は2002年に法律が失効して終了したわけですけれども、それ以後の地域の施策ニーズに対しては、所要の一般対策を講じることで対応していくということになってございます。33年間行われてきましたこの特別対策の成果といたしまして、次のことが言われております。1つは、劣悪な生活環境が差別を再生産するような状況、実態的差別は大きく改善された。ただ一方で、差別意識については解消に向けて進んではいるけれども、結婚問題を中心として依然として根深く存在していて、人権侵害が生じている状況も当時見られております。また、記載はしていないのですけれども、そういった地域にお住まいのご高齢の方の中には、かつて学校になかなか行かれなかったりして文字の読み書きが苦手な方がいらっしゃったり、或いは過去の差別された体験から同じ境遇のその団体の相談員さんを介してではないと行政の相談窓口といったところになかなか相談しにくいというような方々もいらっしゃいまして、そういった課題が残った形となっております。そういったかたちで成果があり、課題も残ったのですけれども、それでこういった流れを汲みまして、その少し前の1997年以降は、同和問題に係る差別意識の解消に向けた取組みというものについても、すべての基本的人権を尊重していく人権教育、人権啓発の一環として推進していくということで行われてきております。

 続いてここから先は、この人権教育とか人権啓発につきまして、現在行っております同和対策について説明をしたいと思います。まず人権教育について、教育局行政課の猪飼専任主幹からご説明いたします。よろしくお願いいたします。

(教育局)

 では、教育委員会の取組みということで、ご紹介をさせていただきます。4点ほど項目を挙げておりますが、まず今の小中高等学校、それから特別支援学校の教員の状況を皆さんにお話をしないといけないかなと思っています。というのは、団塊の世代が退職して、今若い世代の人達が沢山学校現場に入ってきています。毎年初任者に対してアンケートを取っているのですけれども、同和問題についてどのくらい知っているかという質問に対して、やはりあまり知らないというのが現状になっています。ですので、教育委員会としては、まず初任者研修で教員として採用した全ての人に人権研修という形で研修を行います。その中で、同和問題についても課題の1つとして紹介をしています。それから、その初任の人達とともに、人権教育を推進する立場の人、指導者養成もしています。その養成研修会では丸1日使いまして、今日桑原会長もいらっしゃっていますが、同和3団体のご協力をいただいて当事者の方からのお話も含めて1日しっかりとした研修を行っています。それから県立学校では、人権教育校内研修ということで必ず毎年1回校内の教職員に対して研修を行うということをしています。その中で様々な人権課題があるので、それを振り分けて、毎年毎年課題を変えながら何年かに1回は同和問題についても研修ができるという体制をとっています。昨年度は6校指定をさせていただいて、当事者団体の方に来ていただいて講話をいただく、というようなことしています。続いて、児童生徒向けですけれども、残部がなくお手元にお配りをしていないのですが、人権学習ワークシート集というものを発行しています。コピーして、先生が生徒向けに授業で使えるようなものなのですけれども、これに同和問題についても掲載をさせていただいているところです。最後に、就職、進学における不適正事案への対応という一文を載せてあるのですけれども、かつては高校生が就職する、中学生が就職するというところで、いわゆる被差別部落出身の方が就職差別を受けていたという実態があって、それに対応するという形で全国統一応募用紙という、調査書と履歴書なのですけれども、それを全国で統一して、そこには本籍地を書かないとか、現在では保護者の名前も書かないというようなことで対応してきています。現在被差別部落出身者に対する就職差別というのは私どもでは把握していないのですけれども、ただ会社がその統一応募用紙を知らなくて、独自に自分のところの履歴書を使って募集をしてしまったりとか、面接の中でお父さんの職業は何ですかと聞いてしまったりとか、いわゆる不適正事案と我々は呼んでいるのですけれども、そういう事案が毎年10数件発生をしているというような状況です。これについては0になっていくように、学校に対してもこういうことがあるのですよと啓発を行う一方で、労働局から雇用する側の会社に対しても指導を行っていただいて、その事案を学校と労働局と教育委員会と共有をしながら不適正事案がなくなっていくようにということで取組みを進めています。人権教育については、以上です。

(事務局)

 続きまして、人権啓発についてお話をさせていただきたいと思います。人権啓発につきましては先程今年の取組みでご紹介したのですけれども、各種の人権全般の啓発の中で様々な人権課題の1つということでご紹介したり、或いは県のホームページで啓発情報の発信をしたり、また先程も見ていただいたこのような冊子を作成いたしまして配布したりということで、県民の皆様に部落差別というものがあってならないのだということを啓発させていただいております。

 次に相談事業でございますけれども、現在、行われている相談事業は2つございます。1つは人権相談、もう1つは生活相談ですけれども、1つ目の人権相談は法務省の方で取り組んでいるものでございまして、人権全般、人権問題全般に係るものでございます。本日ご出席いただいている坂田座長代行は神奈川県人権擁護委員連合会の会長でもいらっしゃるのですけれども、法務省では法務大臣から委嘱を受けた人権擁護委員の皆さんの協力を得て人権相談に取り組んでおりまして、その相談の中で実際に人権が侵害されているといったものがあった場合には、人権侵犯事件ということで救済措置、調査をしたり、当事者に話合いを促したり、或いは説示したりということを行っております。それからもう1つの生活相談ですけれども、こちらにつきましては、先程お話ししました文字の読み書きが苦手なご高齢の方ですとか、過去の体験、被差別意識から行政の窓口にご自分で相談することが難しいといった方々と、行政の相談窓口、これの架け橋としてなるべく、団体の皆さんの取り組んでいらっしゃる活動に県として支援、補助をしているというものであります。実際には3つの団体の皆さんが構成員になって、今日の桑原委員も構成員のおひとりとしてお世話になっているのですけれども、神奈川県の場合は神奈川県地域相談連絡協議会というものを1つ作っていただきまして、その協議会がそれぞれの実際の、各支部と書いてありますけれども各現場で、相談活動なさっている相談員の方々を支援していく。例えば、研修会を開いたりですとか、ケース検討を行ってそれを相談員の皆さんにフィードバックするというような支援を行ったり、或いは実際の本当に困難な事案については、この連絡協議会に統括相談員さんという方がメンバーでいらっしゃるのですけれども、その方が直接対応するというようなことで、地域の皆さんの実際の生活の中での課題というものを解決するよう相談活動を展開していただいているということになっております。

 続いて、同和問題の現状について少しお話をさせていただきたいと思います。まず、先程の人権相談のところで少しお話をしたのですけれども、人権侵犯事件、差別待遇の件数について、少し整理しております。表が小さく見にくいのですけれども、ここ10年間の法務省さんのデータを見ますと、全体的には同和問題に関する人権侵犯事件の数は何となく減少傾向にあるように見えます。また年度ごとにばらつきがあるのですけれども、残念ながら依然として人権侵犯事件は発生しています。神奈川県につきましても件数は少ないですけれども、27年は0件ですが、その前の年までは毎年人権侵犯事件が継続的に発生してきているというような形になっております。実際に、これはどこの地域ということは公表されないのですけれども、実際に法務省が公表しております人権侵犯の具体例を少しご紹介いたしますと、平成27年には公営住宅の掲示板に、その住宅の住民を、同和問題を引き合いに出して中傷する内容の文書が掲示されたという事件がございました。これについては、法務局の方で関係者に事情を聞いたところ、その住宅の住民の1人が自治会に対する不満からご自身の意見を主張するためにこの文章を掲示していたということがわかりまして、この方に対して人権尊重の理念について理解を求め、今後そうした行為を行うことがないようにということで、法務局が説示しております。また、平成26年にはかつての同和地区の出身であるということを理由として、交際相手のご両親から結婚に反対されたという事案がありました。こちらの方も交際相手のご両親に事情を聞いたところ、申告した方の出身地を理由として結婚に反対しているということをお認めになられたため、このご両親に対して同和問題に対する理解を深めるよう働きかけを行って、そうした出身地であることを理由に結婚に反対するといった発言をすることは不当な差別なのですよと、人権侵害であるとして理解を求めたというような事案が紹介をされております。

 続いて意識調査について少しご紹介したいと思います。2012年に、内閣府が実施いたしました人権擁護に関する世論調査、こちらの中で「同和問題に関し、現在、どのような人権問題が起きていると思うか」という質問がございまして、これに対しては「結婚問題で周囲の反対を受けること」と答えた方が37.3%、「身元調査をされること」27.8%、「差別的な言動をされること」24.9%、「就職・職場で不利な扱いを受けること」23.2%という結果になっております。それから、県で行った調査についてご紹介いたします。2013年に神奈川県で実施しました県民ニーズ調査の中で、次のような問いをしております。「あなたは、仮に、日ごろ親しくつきあっている職場や近所の人が同和地区出身者であることが分かったとしたら、どうしますか」という問いに対して、「これまでと同じように親しくつきあう」という方が86.6%いらっしゃいます。これに対して同じ調査でもう1つ質問しておりまして、「仮に、あなたにお子さんがいるとして、そのお子さんの結婚する相手が同和地区出身者であると分かったとしたら、どうしますか」という質問に対しては、「子どもの意志を尊重して結婚を認める」という方が61.4%、「親としては反対するが、子どもの意志が強ければ結婚を認める」という人が22%ということになっております。ご自分がつき合っている方の場合は86.6%なのですけども、お子さんの結婚となると61.4%、子どもの意志が強ければというのが22%。少し、ご自身の交友関係と比べて家族の結婚話ということになりますと、慎重になったり躊躇したりする傾向があるのかなというように思われます。

 それから、次に話が変わりますが、今回の新法ができる際のきっかけにもなっておりますが、インターネットの悪用ということであります。インターネット上で、特定の地域をかつての同和地区、被差別部落はここだと指摘をする、そういったことがございまして、部落差別に関して不当な差別的取扱いを助長・誘発する恐れのある情報が掲載をされております。法務省では、その情報の削除というものをプロバイダーに要請するなどの対応に努めているのですけれども、一度ネット上に公開された情報というのは次々と転載されたりしますので、完全に削除することは非常に困難でありまして、新たな問題となっています。こうした形で現在もなお部落差別が存在していること、そして情報化の進展に伴って部落差別に関する状況が変化しているということで、背景として今回の法律ができて施行されております。

 この法律については、部落差別のない社会を実現することを目的として、国、それから地方公共団体の責務を定めていますので、簡単にご紹介をいたします。今回の法律では、まず国の責務といたしまして部落差別の解消に関する施策を講ずること、それから、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報提供や指導、助言を行うこと、これが国の責務として明記されています。それから地方公共団体の責務といたしましては、部落差別の解消に関して国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めることと明記されております。そのための施策としては、相談体制の充実、教育及び啓発、それから、実態調査。これは国による調査になりますけれども、この3つが掲げられております。本県といたしましては、これらについて今法務省に考え方を確認しておりますが、そういった確認をしながら、また他の都道府県或いは県内の市町村と意見交換して、連携しながら、各施策を効果的に進めていきたいというように考えています。

 最後に、施策を進めていくにあたっては様々な課題が出てくると考えておりますけれども、本日は、私どもの今後の課題と考えている事柄を1つご紹介したいと思います。書かせていただいた通り、参議院の法務委員会における附帯決議が何項目かあるのですけれども、そのうちの1項目です。読み上げますと、教育及び啓発を実施するにあたっては、当該教育及び啓発により新たな差別を生むことがないよう留意しつつ、それが真に部落差別の解消に資するものとなるよう、その内容、手法に配慮すること、という一文がございます。何か新しい取組みを始めたり、或いは新たな情報を提供しますと、必ずそれに反応する人がいて、それが学校であれば生徒さんだったり児童さんだったりするかもしれませんけれども、プラスの面ももちろんあるのですけれども、そのことが誹謗中傷ですとか、いじめとか、そういった問題に繋がる危険というのは常にあるわけでして、このことについては、今後私どもが新たな取組みを考えていく中で整理をして乗り越えていかなくてはいけない課題なのですけれども、ちょっとご紹介させていただいています。本日はこうしたことも含めて、皆様から様々なご意見を伺えればと考えております。よろしくお願いたします。私からの説明は以上でございます。

(座長)

 それでは意見交換を行いたいと思います。ただいま詳しく、今回できました部落差別解消法についてご説明いただくとともに、県のこれからの取組みについて、ご説明をいただきました。それでは、自由にご意見をいただければと思います。

(大谷委員)

 質問なのですけれども、パワーポイントの13ページに児童生徒向けのワークシート集とあるのですが、これはウェブか何かで拝見することはできるのですか。

(教育局)

 ホームページに載っております。「神奈川 人権教育」と検索していただくと行政課のページが出ますのでそこから見ていただけます。

(大谷委員)

 今度拝見したいと思います。それから、今お話を伺った中で、結構対策ということでいろいろと説明していただいたのですけれども、子ども達への教育はすごく大切だと思うのですね。気づきがあって、子ども達の意識が変わっていくということがすごく大切だと思いますので、ここには是非力を入れていただければと思いました。

(鶴田委員)

 同和問題の現状(1)と(3)にはすごくギャップがあるような気がします。ページ数で言えば17と19ですが、実際に事件として現れている数としてはすごく減っているし、神奈川県など昨年は0となっています。(3)を見ると被害というか、差別を受けている方が非常にパーセンテージとしては高いですよね。だから実際事件として捉えたものと、実際問題とのギャップがすごくあるということが問題なのだと思うのです。その辺はどうなのかなと。

(事務局)

 実はこの人権侵犯事件の中身について、どういった問題が何件あるかというところまではさすがに個別の内容になってしまうのでそれは表に出てこない。おそらくこの質問自体は、差別を受けている方、受けていない方にかかわらず、世論調査ですから、どういった問題でというときに、例えば結婚問題ですとか、身元調査をされて住所を突き止められてというようなことが、啓発の中では結構紹介されたりします。ですので、どういった問題が起きているかという時は、実際にご自身が差別を受けたり、或いは自分の近しい方が同じようなことを受けたりしない方については、やはり啓発したものの中からこういうことがあるのではないかなと思って答える方も、中にはいらっしゃるのかなというのはちょっとあります。ただ、いずれにしても事件の数として減っているけれども、実際の調査をするとまだありますよねという結果になるので、おっしゃる通り、私どもも分析してみたいなと思います。

(大谷委員)

 今のご意見に関連してなのですけれども、多分これ数字の取り方の問題じゃないかと思ったのですね。19ページのパワーポイントの方で何を分母にしてパーセンテージを拾っているかということ、19ページに限らずそれ以降に出てくるいろいろなパーセンテージは何を分母にしているかということが大きいと思うのと、あと19ページに関して言うと、人権問題が起きているということではなくて起きていると思うか、なのでこれは第三者的に感じているかどうかって部分があると思うのですね。従って17ページのパワーポイントの表とは大分ずれが出てきているような感じがします。

(事務局)

 今おっしゃる通り、19ページの同和問題の現状の意識調査は分母としては3000人なのですね。無作為に抽出して3000人の方から選んでいると。確かに言われている通り「思うか」ですので、実際に事案が起きているとかではなくて、意識の調査になっている。どういうふうに思っていますかということの意識調査で、17ページの方は実際にその人権の侵犯事件、事件があって法務省に届けてやりとりがあったというところなのでちょっと捉え方が違ってくるのかなと思います。ただ傾向としては、この意識調査も何年か置きにやっていますので、傾向を見るとだんだん減っているという状況です。

(事務局)

 この17ページの人権侵犯はあくまでその被害を受けた方ご自身が訴え出るという行動に移したものですので、中にはもちろんそういう侵害を受けていても自分の中で閉まってしまっている方もいらっしゃると思いますので、思い切ってご相談された方の数ということですね。そこは大分違ってくるのかなと思います。

(杉藤委員)

 実態で、差別件数というのは決して減っていないのですよ。でも、部落差別の問題というのは今言ったように、法務省に届出までしてやるというのはごくごくほんのわずかなのです。まず第1に、事件が起こっても当事者間で内々で話をする、差別問題は隠してしまう、隠蔽するという体質がずっと昔からあるわけですよ。だから同和問題、今頃そんな問題あるのっていうのが一般の方の大体の反応なのですね。だから、実際に私も全国的にいろいろ調査もしていますけれども、かなりの数なのですね。だけど、実際にこの前の横浜の原発の児童のいじめと一緒で、いじめ問題だって皆隠しちゃうわけですね。だから、なかなか表面に出てこない。実数が表面に出ないような、この差別問題っていうのはそういうところがものすごくあると思うのです。具体的にそういう件数をきちっと把握しようと思ったら、並大抵のことではないですね。だからギャップあって当然。それとこの意識調査ですが、設問でやったら皆こんな数字が出てくるのですよ。大体ね、決まりきっているのです、何回やっても。だから、実際に回答しているのと、人々の心の中に本当に宿っている偏見とか差別意識というものの間に大きな落差があるということですね、それをどういうふうにしていくかということはもう啓発しかないとすごく感じます。

(桑原委員)

 前もそうなのですけれども、意識調査を神奈川県が最後にやったときもそうなのですけれども、県民全体に向けてやると低いのですよね。皆さんもう終わったとか、もう知らないっていう人達が多いのですよ。でも、いわゆる旧指定地域の周辺では皆知っているのです。ということは、要は先輩、親の世代、おじいさんの世代、昔からの世代から言い伝えみたいな形で伝わってきている、差別問題というものは。地域周辺の市町村がやれば意識がぐんと上がると思います。神奈川県全体でやれば、僕なんかのときもそうですけれども、日本史の身分制度を我々が教わったときにも士農工商までしか教わらないのですよ。その下のえたひにんというのは教わっていないのですね。そういう中から見てくると、今の時代にその身分制度を取り上げたとしても、知らないっていう人が多いと思う。ただ、旧指定地域周辺だとか、横浜の地域の周辺の意識調査をやれば全然変わってくると思います。

(大谷委員)

 今お話に出たヒエラルキーの問題なのですけれども、多分ここにいる皆さんだと子どもの時にそういう教育を受けていたと思うのですけれども、ちょっと聞いた話なのですけれども、90年代ぐらいからそういう身分制度自体が実際はなかったとか、2000年以降になると小学校の教科書とかからもそういう表現がなくなってきているのですけれども、その辺ちょっと私まだ不勉強なのですけれどその辺どうなのですか。

(座長)

 大変重要な問題で、事務局の方で答えられますか。

(教育局)

 以前は「士農工商」という身分階層があったと教えられてきましたが、今は武士、百姓、町人という3つの区分で掲載されています。

(大谷委員)

 ヒエラルキー自体は、その時代に存在したというような教え方をされているのですか。

(教育局)

 身分の差別ということですか。それはそういうふうに教えていると思います。

(座長)

 今の話は、大変重要なところです。我々はたぶん士農工商の下に「えた」「ひにん」があるという縦の関係で習ったと思うのですね。この考え方というのはどうも間違いじゃないかと、縦の関係じゃなかったのではないかということが、確かに20年前ぐらいからそう言われました。武士、百姓、町人という身分はあったのだけど、「えた」「ひにん」についてはそれとは「別に」と言っているのですね。これは斎藤洋一先生、長野県の信州農村開発史研究所の方ですが、そういう先生達が中心になって研究されました。今教科書は大体そういうふうに書いてあります。確かに一番読みやすい本は新書版で講談社から一般的に出ている斎藤先生が書かれた本で、よりわかりやすく今のことを詳しく説明されております。それで先程、大変良い問題提起を鶴田さんからしていただきましたけれども、私の理解はこのパワーポイントの17の数字というのは、多分これは地方法務局が実際に受け付けて処理した件数じゃないかなと思うのですね。19ページの一般的、日常的に起こっているものが、常に地方法務局に行くとは限らない。だからそこはまた今回の部落差別解消推進法の1つのポイントでして、部落差別解消推進法では相談する部門をもっと充実させろというのが1項目入っているのですけれども、まさにこのあたりが、桑原さんや杉藤さんがおっしゃったけれども、表に出るものが少ないというところが、同和問題の1つの問題じゃないのかなというふうに思うのですね。

(鶴田委員)

 いじめの問題も同じですよね。統計上は少ない、学校では認めていない、横浜市なんか教育長まで認めない言い方をしているわけです。実際ひどい扱いを受けているのに認定されない。他の県では知事さんが謝ってくれたのに何で僕には謝ってくれないのって子どもが言う程ひどいことをしていながら、委員会としては認めていないというような言い方をしています。それが実情だっていうのはよくわかるのですけれど、現実とのギャップが余りにもありすぎて。

(座長)

 そうですね。同和問題が本当に解決しない理由というのはそこにあるのだと思うのですね。私は同和問題をしっかりと議論して、解決するのが一番正しい道だというように思っていますが、桑原さんが一番よくご存知のとおり、人によっていろいろな立場があり、違いますけれども。

(坂田委員)

 この前、地域改善対策の法律がなくなったときに、実は私は横浜市でこの関係の会合をやっていたことがあったのですけれども、そのときに3団体の方達がおっしゃったことで、私それはもう本当にそうかなと思ったことがあったのです。地域改善対策というのは必要なのだけれど、あまりそれを表に市民として出してもらうと、かえってその人達が浮き彫りになって非常に差別を出してしまうと。実はないことはないけれども、今、もう市民としては市民権を皆得ているから、しかも横浜市にも何ヶ所か指定地域がありますけれども、いろいろと財政的支援とかいろいろな支援を受けているので全くなくなりましたとは言わないけれども、得てきているのであまり表へ出さないで、むしろそういう偏見差別がなくなるような方策はしてもらわなくてはならないけれども、あまり表へ出してもらっては困るのだっていう話をその方達がしたことがあるのですよ。今回これまた法律ができてきたので、私たちも実はこういうことを研修とかで県民とか市民に知らせるということは、非常に杉藤さんもおっしゃったけれども大変なのですよね。要するに、やろうとする人は当事者ではないから。当事者の人に話してもらうのが一番いいのだけれどそうはいかない。なかなかいかないから、どういうふうにしていったらいいのかなということを私達なんかは特に思っていまして、今更同和問題じゃないだろうという意識はない、ないのですけれども、さあ今出てきてこれをどういうふうにして、市民、県民に啓発というか、わかってもらう、理解してもらうためにどうしたらいいのかなと。こういう問題は下手するとすぐ誤解を生むものですから、ちょっとその辺を注意しているところです。

(桑原委員)

 この新法はあくまでも理念法なのですよね。やはり作った側も、これから地方行政との話し合いの中でどう進めていくかということは、団体さんなんかも努力しなさいと。その中で、いろいろな研修会にしても方向性を決めた方がいいのだと。全日本同和会は自民党系ですから、自民党の方針は、基礎は作りました、あとの積み重ねはあなた達がしていくのですよというような言い方をするのですよね。1つ難しいなと思うのは、神奈川県の場合、協議会を3団体で構成しています。そして協議会として月1回のケース会議と企画運営会議を持っているのですけれども、その中で、1団体は(同和問題は)もう終わったって言い方をするのですよね。我々は終わっていない。現在も、なお部落差別はあると思っています。結局この新法を作るに当たっても、一政党だけが反対だったのです。これはヘイトスピーチの法律と同時進行で進めていったのですけれど、同和が遅れたというのは、議員立法ですから、あくまでも全会一致で賛成を得ようとしていたと思うのですね。我々もこの法律を捉えて、これからの課題として難しいなと思うのは、やはり学校教育等の講演会に講師として出してもらっても、質疑応答の中である団体の人はもう終わったと言っていましたよねと尋ねられるのですよ。あくまでも終わったのはハードの面で、今杉藤会長もいらしていますけれど、我々運動団体が3団体のうちの1団体でも入って事業を進めた、改善事業もできたのです。ハードの面で言えば、改善事業が終わった地域に来て、ここはそうだったのですよといっても皆さんわからないと思うのですよね、はっきり言いまして。それほどやっぱり我々の子どもの頃からがらっと変わっている。そういうハードの面は確かに終わったのですけれども、先程も周辺の地域の意識っていうのは全然変わっていませんと述べたと思うのですけれど、実際にその意識の面はもう全然変わっていないというのが現状です。僕も同じ地域で育った周辺の人と、中学時代の同級生の新年会をいつもやるのですけれど、僕の友達も同和問題には触れたがらない。毎年新年会に行って、中には出る時もあるのですよ、そんな話がちらっと。でも深くは追求しないというのが実情です。小さい町ですから、小学生からずっと中学まで、9年間一緒に過ごした同級生でも、やはりおじいさん、おばあさんのを聞いている人達は、やっぱりそういう意識が多少なりともどこかにある。

(芹沢委員)

 少し観点を変えまして、当該教育及び啓発による新たな差別がないように留意しつつというこの部分に関わって発言させてください。この場の議論の前提としてそういうことはないと思っておりますが、この文言が啓発や教育をしていくことにブレーキがかかる要素として作用をしてしまっては、その趣旨と違うのだろう。その次が、私自身が中学校の教員で、本当に初任の頃に誤った同和教育をしたときの経験です。私の授業の中で、結婚問題や就職差別のことだけを全面にただ出して、マイナス要素の刷り込みになってしまったような授業展開になってしまったことがあります。授業を受けた子どもの方がただただマイナスに受けて、自分はそういう者になりたくない、または自分はそういう者じゃなくてよかった、みたいな結果になってしまったことがあるのです。今振り返ってみて、今県の教育委員会もそういうことがないようにされていると思いますが、学校全体の取組みにならないと、私がしたような個人プレーの授業展開になると失敗してしまうことがあり得る。とりわけ若い教職員の場合、やろうと思っても結果が違うところに行ってしまうということについては十分ご留意をいただきたい。その次に、事象中心の授業になってしまうと、それは結婚差別だったり、今日も出たネット上の部分のところだけを取り出して事象だけをやると、きちんとした理念形成にならないで、現象の刷り込みになってしまう。内面化しないで外材的に捉えてしまうことになるので、そこはそういう注意をしていただいた方がいいと思いました。今やられている初任研や人権教育の指導者講師養成のようなところで、今私が言ったことにはならないようにしていただいていると私は十分思っておりますけれども、大勢の教職員が対象になりますので、先程冒頭申し上げた新たな差別にならないようにというところが、そこだけ出てしまうと「じゃあやらない方が失敗しない、転ばぬ先の杖だね」ということにならないことだけを改めてお願いしたいなと思います。以上です。 

(髙橋委員)

 この法律が出てきた背景には、インターネットの普及の影響が大きいと思います。そういう意味できちっとした法律ができたことは非常に良かったと思います。また県で既に行われている、同和問題とは何かについて歴史的な面を含めて地道に教えて広報していくということが、大事だと思います。現状では一般の人達が、同和問題を知ろうとしてネットを見るということになった時に、出てくる情報というのは、悪意に満ちた情報の方が多いと思います。そのときに、県はこう言っているし、法律はこうなっている、県で様々な情報を発信しているということがあるかないかっていうことは、情報収集をする中で非常に影響があることだと思います。たしかに、同和問題について情報を発信することについては、懸念する意見もあるかもしれません。しかし、基本的なことをきちっと広報して伝えること、例えばネットの中でもその県の情報が先に見られるようにするとか、国の情報が先に見られるようにすること、そこまではいかないとしても、歴史的な背景をきちっと伝えていくことが大事だと思います。他の問題でも、例えばヘイトスピーチの問題についても、ヘイトスピーチはいけないよ、というのは良いのだけれど、じゃあその背景はどうなのか、例えば在日特権というものは実際あるのかないのか、公の機関ではどう考えているのかについて、説明しているサイトは全く見られないので、何となくあるような印象を一般の人は受けてしまうと思います。まずは、歴史に基づいた、客観的な情報を発信していくっていうことが大切だと思います。以上です。

(尹委員)

 私は在日コリアン2.5世、生まれは京都です。周りはみんな日本人で地域の日本の学校の中で自分をずっと隠して生きてきました。家の中の韓国の文化と、家の外の京都の文化の中で日本の「侘び寂び」も知って育ちました。若い頃、まわりの人と違う自分のアイデンティティをどう理解したら良いのか悩みました。小中学校では、通り一遍の人権教育はありましたが、「在日」のことはだれも教えてくれませんでした。自分はだれか悶々とした気持ちのなかで、私は本屋さんの人権問題のブースで、数少ない「在日」の本と出会うのですが、この本を手にして買えば、「在日」である自分がバレると買うのを躊躇しました。そして同じブースに同和問題書籍が数多く並んでいて、私は「在日」の本の上に「部落」の本を重ねてレジに行って、いたって「普通」の人権の勉強をしている学生のふりをして買いました。「部落」の歴史や文化、そして自分史を語る人々の聞き書きを読みながら、在日の自分の思いと重ねて差別の痛みを共感しました。在日の集住地域と同和地区は隣接しているところが多いのですが、しかし差別の実態は本当に悲しく、お互いに「うちは朝鮮人だけど部落ではない」、「うちは部落やけどチョーセン(朝鮮)とは違う」と、差別されている者同士が差別する差別意識が、親から子へ伝えられていました。私は現職の前に、川崎市南部にある桜本保育園に勤めていました。もう20年前になりますが、在日の傷痍軍人の戦後補償を求める運動の中で、大黒町にある横浜屠場の労働組合の人たちと出会いました。ある青年が「ぼくは中学生の頃、朝鮮人差別をした。けんかして殴って、本当に悪いことをした。でも今となっては謝りたくても謝れない。だから殴ってくれ!」と言ってきました。彼は屠場で働くようになって、職業差別や様々な差別のことを学び、自分にひきつけ、幼い頃の記憶の痛みを語ってくれました。しかし、その痛みはどのようにしたらなくなるのか? そこで保育園の子どもたちに「屠場の仕事」を教えて、今ここから、差別や偏見のない新しい一歩を共に歩みましょうと、屠場の「と」と、保育園の「ほ」を合わせて、「とほの会」をつくりました。「おいしいお肉はどうやってできるの?」と保育園の職員が屠場に行ってその仕事を見学したり、紙芝居を作ったり、車座ミーティングを重ね、思いを語り合いました。屠場の職業差別は、部落差別とつながり、結婚問題でクローズアップされると聴き、これは在日にも共通すると思いました。「見学に来る人は肉ばかり見て、働いている俺たちを見ない」と日本の屠場文化の継承者たちは、差別と人権問題に真摯に向き合っています。ヘイトスピーチの中で語られる「ごきぶり」だとか「死ね」とか、何回も目の前にして辛いですね。えって。自分の子ども、孫まで「ごきぶり」と言われるこの世の中。本当に日本って何なのでしょうか。だけど、それに一緒に反対してくれる日本人の友だちがいた。たくさんの人がこんな良い街はないよって、差別デモをする人たちに呼びかけていましたし、在日のハルモニ(おばあさん)たちは、「ごはんたべよう」と声をかけておられました。草の根の出会いが大切です。同和問題をはじめすべての差別の問題が、私の問題だと思います。そのように感じ合えるような社会をつくりたいと思います。

(座長)

 体験に基づく大変貴重なご意見だったと思います。今日初めてご参加される佐藤先生、ご専門が違うのですけれどもご意見がありましたらお願いします。

(佐藤委員)

 私は社会福祉を担当しておりまして、少しお話を伺っている中で16ページのところにあります生活相談体制が、やはり許可されているというように先程お話を伺って、そうなのだろうなというように想像していたのですけれど、実際大学なんかですと、多分就職の時にそういった同和問題って多分出てくるのだろうなと。私自身が直接関わったということはないのですけれども、そういったことも含めまして生活相談ということに対して今現在は実際どういう生活相談を沢山受けられているのかなということですとか、あとは困難事案に対するそういった生活相談というところの延長線上に困難事案ということがおありなのかなと思うのですが、実際にどういうふうに解決に動かれるのかということを少しご教示いただけたらなと思って聞いておりました。

(桑原委員)

 ケース会議の中で3団体等がやることが今一番多いのは、福祉の関係。特に生活保護の関係なんかが多いですね、取り扱うのは。確かに民生委員の方とか各市町村にいらっしゃると思うのですけれど、民生委員の方に相談するのは、意外とこれは我々その地域に住む人間の一番悪いところでもあるのですけれど殻にこもるのですよ、昔から。意外と自分を出さない。やはり生活保護をもらうってことはものすごくそれだけでも意識がかかりますから、負担がかかりますから、そういう中でやはり地域の民生委員の人に頼みにくいと思う。その前に3団体に頼ってくるのですね。では3団体の方はどういうあれを今しているかというと、まず窓口に行って橋渡しをする。橋渡しをして、あとの細かい手続は、当人同士でやっていただく。そういう形を取っていますね。

(事務局)

 桑原会長にお話しいただいた通りで、私の方で全体的な話として補足するとすれば、今協議会さんで年間で相談を受け付けている件数というのは、約1600件です。その地域の方を全部足した件数なのですけれど、その中の半分は70歳以上の高齢の方の相談です。若い方は自分でちゃんと学校に行って就職をしたりすると、地域から出て独立するということが多いと伺っていて、それでご高齢になってお子さん達はそばにいなくて、2人世帯とか中には1人の世帯になってしまったりすると、なかなかもう自分で相談すること自体がしんどくなってきたりする。そうすると見守りというか、こちらから行ってお話を聞いて、そういった普段の話、生活の話の中から困っていることを引き出して、それを福祉につなげていくということを伺って、そこの部分はすごくご苦労なさっていると伺っています。

(宮崎委員)

 今まで啓発について、内容をよく理解していないといけないのではないかというご意見があったと思います。昭和の時代に、製薬会社のコマーシャルで「お疲れさん、よっ」という言葉があって、「よっ」という言葉はやっぱり「4」ということをイメージするので、差別用語だということで抗議が来て、製薬会社のコマーシャルが、「よっ」ではなくて「よお」に変えたそうです。本当にその「よっ」と「よお」では受け取る側にとって大きな違いなのですけれど、そういうところまで解らないで、私達は無意識のうちに「よっ」だって「よお」だって関係ない、普通じゃないのかと思ってしまうところがありますけれど、やはり当事者はそういうことに対して敏感で心が傷つくというか、そういうことがいっぱいあると思うのですね。やはり啓発教育でも、そういう無意識で発せられている言葉とか、コマーシャルだけじゃなくて私達が普通だなと思ってしまっていることが、相手を傷つけてしまっていることはいっぱいあると思うのですね。そういう意味で啓発教育では、実態だけではなくてメンタル面の教育というものもしていかなければと感じています。

(杉藤委員)

 関連でよろしいですか。これは県の方に要望したいのですけれど、同和問題とかハンセン病の問題とか在日の方の問題とかいって、私が過去振り返って経験した中で、同和問題というテーマで講演会を開いても人が来ないですね、来ないです。タイトルを見ただけで来ない。どんなに良い学者さん、どんなに良い人が来ていてもね、もうその看板を見ただけで人が寄りつかないということがもう実態なのですね。だから私は、これはそれぞれがご意見あるだろうとは思いますけれども、やっぱり人権とは何かという、人権を侵害するということはどういうことか、それがどれほど大変なことなのかという、その辺の一番ベースのところをきちっとやれば、その中の1つの項目としてハンセン病の問題、同和地区の人達の問題、また在日の方の問題、そういう問題は同じような視点で見ていくと。そのことがもう一番大切だとつくづく思うのですね。そうしないと、啓発を幾らやっても届かないですね。先程座長がおっしゃったように、私どもの講演会は斎藤洋一さん、私友人なので呼んでいますけれども、いわゆる同和問題、本当に知っていただきたいのですけれども、そのことを全面に押し出していくと人が寄りついてくれないという寂しさがあるわけで、そういうことをどういうふうにして解消していくかというのは、人権っていう議論を、人間が人権侵害されるということがいかに大変なことかということを、徹底的に教育するという、その辺のところをこれは教育委員会始め、また県の方にお願いしたいのです。ところが残念なことに、啓発事業に関してはだんだん予算も削ってしまうし、力を入れていないように思うのですね。何か目に見えないことをやっていますから結果は出ませんし、非常に厳しい問題でやっているわけですけども、その辺のところでいろいろな意味で考慮していただければなと思います。

(座長)

 予定した時間が来まして、大変今日は議論が深まったのではないかなと思っております。部落差別解消推進法、実は私自身も絡んでいて、これはむしろ座長の立場というよりも一委員としてお話しさせていただきますと、平成14年3月に法律がなくなったときに果たして大丈夫かなと思いました。同和行政はもういらないのではないかという誤解が、国民の間や行政の間に広がるのではないかなと。実際は今日ご説明があった通り、決して法律がなくなったからといって同和行政をしなくてもいいということではなかったはずなのですけれども、きっとそういう誤解が広がるのではないかなという懸念を、私は法律が廃止になった後から一貫してずっと言って参りました。でもやっぱり残念ながら予想した通りの状態になって参りました。ですから私は去年の4月に自民党の法務部部会の検討チームに招かれまして、意見を求められました。そのときにやっぱり私は部落差別、同和問題は解決していない、むしろ深刻化している部分もあるのではないだろうかと。だから法的措置を含めて対策を講じて欲しいということを4月にお話をさせていただきましたが、お話をさせていただいた事項がほぼ盛られています。

 私は、法律制定自体は非常に高く評価をしております。これは理念法でございますから、具体的にどう進むかはそれぞれ国、地方自治体のこれからの取組みに関わっているのだろうと思っています。また私自身の一委員としての意見ですけれども、これからの展開については、今日は時間がありませんので、詳しいことはもしご関心があるのでしたら3月号の部落解放という、研究雑誌がありましてそこに相当わかりやすく書きましたので、もし機会がありましたら読んでいただければありがたいと思います。これはあくまで座長としてではなくて一委員としてお話をさせていただきました。ちょうど予定した時間が大体過ぎて参りました。まだまだご意見があるのではないかなと思いますが、最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。

(事務局)

 本日は貴重なご意見を沢山頂戴いたしまして、ありがとうございました。次回の開催予定ですが平成29年度第1回といたしまして、7月頃を予定しております。近くなりましたら事務局の方から日程等につきましてご照会させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 

会議資料

資料1 平成28年度人権啓発事業の実施報告 [PDFファイル/142KB]

資料2 部落差別の解消に向けて [PDFファイル/764KB]

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神奈川県

このページの所管所属は 県民局 くらし県民部 人権男女共同参画課 です。