三県省道学術フォーラム「流域水の汚染防止・管理対策」

掲載日:2011年3月1日

今回で3回目となる学術フォーラムは、「流域水の汚染防止・管理対策」をテーマに中国・遼寧省で開催されました。

  フォーラムの概要

日時・場所

平成20年10月28日火曜日 14時~17時 中国遼寧省友誼賓館1号館(瀋陽市)

内容

遼寧省発表

「遼河流域の水質汚染防止対策について」

発表者:候 永順


京畿道発表

「Paldang Basin Water Quality Management under TMDL Regulation」

発表者:宋 美英


神奈川県発表

「神奈川県の下水道事業」

発表者:岩下 博之

神奈川県の発表概要

神奈川の下水道の概要について

○現在の普及状況

神奈川県を流れる主な河川としては、多摩川、鶴見川、相模川、酒匂川があげられる。主な閉鎖性水域としては、東京湾、相模湖、津久井湖、宮ヶ瀬湖、丹沢湖、芦ノ湖があげられる。公共下水道の人口普及率は、2007年度末で95.3%となっており、東京に次ぐ全国第2位である。横浜、川崎など、東側の市町村の普及率が高く、西側の市町村の普及率はやや低くなっている。


○流域下水道事業の概要

相模川と酒匂川が水道水源河川である。両河川流域は概ね自然勾配での管渠整備が可能であり、流域下水道の整備には効率的な地形である。相模川流域下水道は9市3町、酒匂川流域下水道は3市7町の流域関連公共下水道の汚水を処理している。下水道の普及率の向上に伴い、河川水質は環境基準を満足し、下水道整備の効果が現れている。下水処理場の上部は、多目的広場として有効活用している。


○最近の取組み(地震対策)

大きな地震が発生しても被害を最小限にするよう、各施設の耐震化を図っていくとともに、仮に被害を受けた場合でも、阪神淡路大震災時のように100日も処理機能がストップするようなことのないよう、施設の構築を進めている。例えば相模川流域下水道の場合、左右岸を結ぶ幹線を造ることにより、仮に右岸処理場が被災を受けた場合でも、左岸処理場へ、左岸処理場が被災を受けた場合でも、右岸処理場へ送水できるよう計画している。


○最近の取組み(環境対策)

1998年度に、相模川右岸処理場に太陽光発電設備を実験的に設置し、2007年度から最終沈殿池上部に順次設置している。完成すると下水処理場としては国内最大級となる。効果としては、年間発電量が約40万キロワットアワーで、CO2換算では年間約140トンの削減、森林面積に換算すると約40hヘクタールに相当する。

また、焼却炉の温度を850℃以上まで上げると二酸化炭素の310倍もの温室効果がある一酸化二窒素を約7割削減できるため、今後、焼却炉の改築更新時に整備していきたい。また省電力化に貢献する「新型散気装置」の導入を今後進めていく。

神奈川県に対する質疑応答

(遼寧省より)汚泥処理について
【質問1】遼寧省では汚泥の処理が課題となっている。汚泥の処理方法にはどのような方法が考えられるのか。
【回答1】昔は脱水汚泥をコンポスト化し農地還元することもあったが、近年は汚泥を燃焼したあとの焼却灰をセメント原料として利用している。他都市の事例では、アスファルト骨材化や汚泥を炭化燃料化し、火力発電所で利用している例もある。

(遼寧省より)流域下水道について
【質問2】なぜ各々の公共下水道管理者ごとに処理場を設置しないのか(なぜ流域下水道なのか)。
【回答2】本県は北部の山麓部から南部の海までなだらかな地形となっており、水質保全を図るべき河川(水源河川)に沿って流域幹線を整備し、下流で汚水を一括して処理することが効率的な地理的条件下にある。また、汚水を一括して処理することで、処理場建設や維持管理にスケールメリットが働き経済的に有利である。

遼寧省の発表概要

遼河流域の水質汚染防止対策について

○遼河流域の概要

流域面積6.92万平方キロメートル、流域人口約2,400万人。
流域は石油、化学など重工業系の工業地域を多く抱え、都市は人口が集中(100万人以上の都市が9市)している。遼河上流に上水取水のためのダムがあるため、ダム下流域は冬季に水量の減少しており、河川水質の汚濁が問題となっている。


○河川流況及び水質の状況

年間の河川総流量の60%が7~8月に集中する。渇水期にはダム下流部は断水するなど流量が減少し排水路と化す。ダム下流の水は農業用水に利用されており、飲料水はダム上流部から取水する。洪水期の河川水には砂が多量に含まれている(1立方メートルあたり4.74kgキログラム)。26地点の水質環境基準点(全体の45%)はⅤレベル(中国で定める水質の最低ランク)となっており、流域の河川汚濁は深刻である。


○水質汚染の原因

農業・畜産排水及び都市排水(生活、工業)が原因となっている。排水の70%が都市排水であるが、畜産業の振興に伴い家畜排水による汚染も顕著となっている。


○水源地域の水質汚染

上水の70%はダム湖からの取水であるが、ダム湖では窒素、燐の流入による富栄養化が問題となっている。富栄養化の原因は、(1)ダム上流域の都市化(2)農畜産業振興(3)観光振興があげられる。特に工場排水は、60~70%の工場が排水基準を満たしていない。


○汚水処理対策

70億元(約1120億円)を投資して汚水処理場(処理能力 421.4万立方メートル/日)を整備している。工場の排水規制も積極的に進めており、排水基準を守れない工場には生産停止を命令している。汚水対策等の目標として、汚水整備率を80%に高めるとともに、中水リサイクル率を20%まで向上させたいと考えている。


○優先する対策

飲料水保護のため、ダム上流域に汚水処理場を整備しダム湖への窒素、燐の流入量軽減を図る。工場からの排出規制値を1リットルあたりCOD200ミリグラムから50ミリグラムへ強化し、規制値を満たさない工場は一律生産停止の措置をとる。その他、糞尿の処理場の建設とゴミの集中処理を行う予定。既存汚水処理場の放流水質の向上を図る。


○今後の技術協力

下記事項について、技術協力を求めたいと考えている。
(1)脱窒素、脱燐技術 (2)汚水処理の総合的技術 (3)飲料水の保護

京畿道の発表概要

○下水道の普及率は47.1%となっており、今後も下水道整備を促進していかなければならない。

○流域では国の施策として目標水質を定め、汚濁負荷の「総量管理」を実施することとしている。

○国が定める河川下流部の水質基準値をクリアするために、上流部の水質基準値と重点整備の内容について、目標を設定することとしている。

○目標設定にあたっては、現況における都市排水と河川水質を測定するとともに、何を重点的に整備すればよいかシュミレーションをする。

○また、目標の設定にあたっては、工場の排水規制を実施することとしており、規制を守れない企業には制裁を課すこととしている。

○河川水質の改善対策としては、現有施設の拡充を第一とし、第二に発生源対策を実施することとしている。なお発生源対策については、効果をシュミレーションし、最も効率的な対策を実施していく予定である。

○生活系や工業系の汚濁負荷の削減による効果は検証できるが、面源対策は効果の検証が困難である。

施設(瀋陽市北部汚水処理場)見学

施設の特徴

○遼河流域は水資源が不足していることから処理水を再利用することとし、高度処理施設の一部供用が開始されている。

○消化タンクから発生するメタンガスの発電利用や処理水の水温(常時15~16℃)と外気温(冬季は-30℃)の差を利用した発電(ヒートポンプ)構想があり、環境対策への取り組みも行われつつある。

神奈川県

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