第65回神奈川文化賞受賞者プロフィール

掲載日:2016年10月18日

神奈川文化賞

北方 謙三(きたかた けんぞう)さん <文学>

北方謙三さん
 中央大学法学部在学中に『明るい街へ』が文芸誌に掲載され、デビュー。1981年、横浜を舞台にした『弔鐘はるかなり』を出版。その後、『逃がれの街』、『眠りなき夜』、『さらば、荒野』とヒット作を次々と発表し、ハードボイルドの大型新人として注目を集める。
 1989年、南北朝を舞台にした初の歴史小説である『武王の門』を発表したのをきっかけに、続く『破軍の星』では、第4回柴田錬三郎賞を受賞するなど、多くの歴史小説を執筆、作風を広げた。
 1996年、『三国志』の刊行を開始。全13巻の長編で独自の世界を築き、“北方三国志”と呼ばれ、人気を博した。1999年からは「大水滸伝」シリーズの掲載をスタート。『水滸伝』全19巻、続編にあたる『楊令伝』全15巻、3部作完結編となる『岳飛伝』は今年5月に最終17巻を刊行した。掲載開始から17年、原稿用紙2万5500枚の大作を書き上げた。
 2004年、第38回吉川英治文学賞、2006年、第9回司馬遼太郎賞、2011年、第65回毎日出版文化賞など多数受賞。2013年、紫綬褒章受章。
[川崎市]

西沢 立衛(にしざわ りゅうえ)さん <芸術>

西沢立衛さん
 1988年、横浜国立大学工学部建築学科を卒業。1990年、同大学院を修了し、同年、妹島和世設計事務所に入所。1995年から妹島氏と共同設計を開始し、SANAAを設立。1997年、西沢立衛建築設計事務所を設立し、個人の設計活動を始めながら、SANAAも並行して継続し、ユニットと個人を両立するという活動の形態をとる。
 美術館の設計も多く手がけ、金沢21世紀美術館では、正面玄関と言える所がなく5カ所の出入り口を持ち、四方から来場者を受け入れる斬新な発想の設計とした。さらに、一滴の水が地上に最初に落ちた瞬間のような形を想起させる豊島美術館では、自然と建物が呼応する有機的な空間を生み出した設計で、いずれの建物も大変評価が高い。
 2010年には、SANAAとして、妹島氏とともに建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞を受賞するなど、国内外を通して様々な賞を受賞。
 現在は、横浜国立大学大学院Y-GSA教授として後進の育成にも尽力し、新たな発想の建築や都市の在り方を発信し続けている。
[東京都]

渡辺 元智(わたなべ もとのり)さん <体育>

渡辺元智さん
 1944年、足柄上郡松田町生まれ、横浜高校在学中は外野手として活躍。1965年に母校である横浜高校のコーチ、1968年に監督に就任した。以来、昨年夏まで、半世紀近くにわたり監督を務めた。
 1973年、春の甲子園で初出場初優勝。1998年、松坂大輔投手(現ソフトバンク)らを擁して史上5校目の春夏連覇を達成。前年秋から、公式戦44連勝の偉業を成し遂げ、明治神宮野球大会、神奈川国体も制して4冠を達成。監督として、春夏合わせて27度の甲子園出場で、歴代3位タイの51勝、5度の優勝を成し遂げ、全国の高校野球界における神奈川の地位を不動のものとした。
 技術面だけでなく、精神面の指導に力を尽くしたことでも知られる。「ただ試合に勝つのではなく、仲間と一緒に目標に向かって努力する過程が大切である。」ということを信条とし、控えの選手たちにも心を砕いた。 
 「人生の勝利者たれ」などの名言でも知られ、2015年夏、惜しまれながら監督を勇退。現在は、青少年の健全育成や企業等での人材育成のための講演活動で全国を回る。
[横浜市]

小田 和正(おだ かずまさ)さん <芸能>

小田和正さん
 1947年、横浜市金沢区生まれ。日本で最初に屋根付きの通りを始めた「すずらん通り商店街」で育ち、中高一貫校である聖光学院に進学。1965年秋、高校3年生在学中に同級生4人で行った聖光祭での演奏が、後のオフコースへとつながってゆく。
 1969年、オフコースを結成。翌1970年にプロとして音楽活動を開始。「愛を止めないで」「さよなら」など、数々のヒット曲を発表する。
 1986年にソロ活動を開始。1989年のオフコース解散後には、ソロミュージシャンとして活動を本格化させ、1991年、「ラブ・ストーリーは突然に」は280万枚を超える大ヒット。その後も楽曲がドラマやCMに多く起用されるなど、ヒットメーカーとしての地位を確立する。
 自身の故郷である横浜を歌った作品も多く、地元神奈川に対する思いを今も歌い続けている。京急本線金沢文庫駅や横浜シーサイドラインの駅メロディにも採用され、地元にも親しまれている。
 今年4月、ベストアルバム「あの日 あの時」を発売。アルバム首位獲得最年長アーティストとして記録を更新するなど、現在も第一線を走り続けるアーティストのひとりである。
[東京都]

神奈川文化賞未来賞

新井 卓(あらい たかし)さん <芸術>

新井卓さん
 1978年、川崎市生まれ。大学時代に写真と出会い、写真の原点を探る内にダゲレオタイプ(銀板写真)を知り、試行錯誤の後、同技法を習得。 
 ダゲレオタイプとは、1839年にフランスのダゲールが発表した世界で最初の写真技法で、磨き上げた銀板に直接映像を写すため、画像が鏡の上に浮かんでいるように見える。時間と手間がかかり、1日に数枚しか撮れず複製もできないこの技法にこだわり、写真を撮り続ける。
 核の問題に関心を持ち始めた2010年から、第五福竜丸や元船員に出会い、その後、福島、広島、長崎と撮るべき対象にめぐり合う。
 2011年以降の福島、広島、長崎とアメリカ各地の核のモニュメントをめぐる旅などを収録した写真集『MONYUMENT』で、写真家の登竜門とされる第41回木村伊兵衛写真賞を受賞。明確な問題意識を持って、社会と向き合い、ダゲレオタイプを用いた作品はリアリティを表している、と高く評価された。
 今、最も注目を集める写真家として、今後さらなる活躍が期待されている。
[川崎市]

毛利 悠子(もうり ゆうこ)さん <芸術>

毛利悠子さん
©前田直子
 1980年、藤沢市生まれ。日用品と機械とを再構成した立体物を環境に寄り添わせ、磁力や重力、光など、目に見えない力を感じ取るインスタレーション作品を制作する美術家。
 2015年、日本の現代美術作家の国際的な活動を後押しする日産自動車による芸術振興プログラム「日産アートアワード2015」でグランプリを受賞。受賞作「モレモレ:与えられた落水♯1-3」は、駅員が駅構内の水漏れを日用品を駆使して防ぐ様子に着目したインスタレーション。フランスの現代美術の巨匠マルセル・デュシャンのオブジェ「大ガラス」を引用した木枠の中で、再現された漏水をバケツなどが受け止めているこの作品は、美術史と即興性を見事に融合させたと評された。
 今年8月には、イギリスの伝統あるアート雑誌『アポロ』により、「アジア太平洋地域で最も影響力のある40歳以下の美術家10人」に選出された。
 現在、ヨコハマトリエンナーレをはじめ国内の芸術祭に次々と参加し、ニューヨークやバルセロナ、上海など海外でも作品を発表し続けている。
 今、最も注目を集める美術家として、今後さらなる活躍が期待されている。
[東京都]
神奈川県

このページの所管所属は 県民局 くらし県民部 文化課 です。