審議結果  

掲載日:2016年8月15日
様式3-2

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称かながわ人権政策推進懇話会
開催日時平成28年3月30日(水曜日)10時00分から12時00分
開催場所横浜情報文化センター大会議室
出席者

(座長)
炭谷 茂         社会福祉法人 恩賜財団済生会理事長
(座長代行)
坂田 清一        神奈川県人権擁護委員連合会会長
阿部 裕子        一般社団法人 神奈川人権センター事務局次長

今原 邦彦        公募委員

岩田 美香        法政大学現代福祉学部教授

杉藤 旬亮        横浜国際人権センター会長

芹沢 秀行        日本労働組合総連合会神奈川県連合会副会長

髙橋 瑞穗        神奈川県弁護士会人権擁護委員会委員

鶴田 一子        かながわ人権フォーラム幹事

長嶋 茂         神奈川県地域人権運動連合会書記長
裵 安(ぺい あん)     かながわ外国人すまいサポートセンター理事長

宮崎 紀美子         特定非営利活動法人 かながわ女性会議理事

次回開催予定日平成28年8月
問い合わせ先

人権男女共同参画課 担当:二井
電話番号 045-210-3637
ファックス番号 045-210-8832
フォームメール(以下をクリックすると、問い合わせフォームがご利用いただけます。)

県民局 人権男女共同参画課のページ

下欄に掲載するもの
  • 議事録全文
要約した理由
審議経過

1 テーマ「人権がすべての人に保障される地域社会の実現をめざして~人権啓発のあり方について~」③

   (1) 人権課題の現状「共に生きる地域をめざして」

   (2) 人権に関するより効果的な啓発手法について 

○炭谷座長

 今回は、前回・前々回の懇話会に引き続き、「人権がすべての人に保障される地域社会の実現をめざして~人権啓発のあり方について~」をテーマに、委員の皆様から様々なご意見をいただきたいと思っています。

 また今回の懇話会では、2020年オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、誰もが国籍を問わず個人として尊重される地域社会づくりを進めるため、裵(ぺい)委員から外国籍県民の方がおかれている現状や、外国籍県民の方の人権を尊重するために、県民の皆様に対してどのような人権啓発を行うべきかのお話を伺い、委員の皆様から更にいろいろなご意見をお伺いしたいと思います。

 それでは議題1人権課題の現状「共に生きる地域をめざして」です。裵委員よろしくお願いいたします。

○裵委員

 皆様にお配りした資料の中に、NPO法人かながわ外国人すまいサポートセンターのニュースレターと、「外国人の賃貸住宅入居へのご理解とご協力を!」というリーフレットがあります。

 かながわ外国人すまいサポートセンターというNPOですが、外国人の入居や生活に関わる相談を受けている団体です。本来は住宅に特化した団体で、ちょうど今年の3月に15周年を迎えましたが、困窮者の支援をずっとやってきて、生活困窮者自立支援法が施行される前から、とにかく外国人の困窮・貧困と向き合ってきた団体です。そもそもこのような団体を立ち上げたときに、それまで運動をしてきた人達に、「行政と手を組んで、外国人の問題を根本的にではなく表面だけ解決するとはなんだ」とかなり言われたのですが、本質的なところを解決していくためには、そういう現象的に現れている様々な困窮や問題を解決していかないと、その本質的なところに行きつけないのだということを、かなり強く言い返してしまいました。実はそうは言いながら15年間活動してきたわけですが、国が今年度から実施した、生活困窮者自立促進支援モデル事業の開始時期から継続的に参加し、外国人だけではなく様々な困窮を抱いている人達への支援にも、一緒に足並み揃えて参加できるようになったため、団体立ち上げの時に戦ったことが良かったのかなと思っております。

 今日は、普段皆様がお聞きになっていらっしゃる外国人の問題、個別のディティールのような話も少し取り上げながら、人権政策推進懇話会なのでもう少し根本的な、本質的なところにも触れてみたいと思っております。皆様に質問などさせていただきたいと思います。

 日本にいる外国人数というのは220万~230万と言われております。3年前の法務省のデータを見ますと一目瞭然、韓国・朝鮮人が少なくなっていて、中国人が増えているということが見受けられます。これは韓国・朝鮮の戦前から生活している人達がかなり日本国籍を取得していくという現象と、それからこれは世界的な現象なのですが、中国人が非常に増えているということです。それではここで質問です。神奈川県内に外国籍県民がどれくらい住んでいるか。

(50万、40万、30万、わからない、とそれぞれに応じて手が挙がり、各自思う数字を発言。)

 昨年度の統計で、16万6000人というところです。一昨年も去年もあまり変わってはいないと思います。一時リーマンショックの時に減ったり、震災の時に減ったりはしたのですが、大体16万~17万人です。私が外国人支援に入った時にはもう17万をちょっと超えるくらいの数でした。80年代から2000年に至る間にものすごく増えているのはなぜかということは、後にお話をさせていただきたいと思います。

 次に、どのような国の人達が多いかということです。先程お話ししたように中国人が多いです。この中国人が多いということについて、旧華僑といわれる戦前から日本に住まわれている方というのは、たぶん1万人いなかったと思うのですね。その方々を超えるようなものすごく沢山の中国人が神奈川県に生活しているということです。中華街があるので中華街を目指して来られる方々がかなり多いということもありますが、横浜市内に中華学校が2つもあるということも大きな理由といえると思います。それから、先程お話しした韓国・朝鮮人が減少傾向にあるけれども第2位です。フィリピンの方々も多い。これも後程歴史のなかでお話ししたいと思います。ブラジル、ペルー、最近はベトナムの方々が非常に増えてきています。ベトナムの方が最近増えているというのは、インドシナ難民として入った方々以外の方々が最近急増しているという現象があります。それから最近特に目につくのがネパールの方々です。インドネシアの方々も、EPAの協定によってかなり増えてきています。増えてはきているけれども、また帰られてしまうということも現実かと思います。

 神奈川県の特徴としては、他の都道府県というのはある一定の国の人達が偏って生活しているのですが、神奈川県は万遍なく沢山の国の方々が、200ぐらいの国の方々が生活されているということ、もう一つは、ラオス、カンボジア、ベトナムの方々が多いということです。これはやはり人権神奈川として、ある意味誇るべきところだと思いますが、ボートピープルとして日本に入ってきた方々を引き受けるということが、それまで日本は先進国の割には非常に遅かったのですね。国連や先進国から責められ、アジアで一番豊かな国が一番近くにある難民たちを救わないとは何事だとかなり叱咤されたということを伺っております。1976年にベトナム戦争が終わって日本近海に沢山いたボートピープルを、一旦日本の船に乗せて日本に連れてくるのですけれども、さらに他の国に連れて行くなんていうことがかなりあって、それではいけないだろうということで80年代に入ってから難民の方々をかなり遅くなって引き受けたという事情があります。その中で神奈川県と兵庫県がインドシナ難民の方々を引き受け、そして定住センターにおいて日本で生活していくための様々な学習や訓練を受けて、そこからステップアップしていくという、そういった経緯がありました。

 これはまた後程少しお話をさせていただきますが、ではさて、外国人とは一体どういう人たちなのでしょうか。いろいろ定義があると思いますが。

(国籍の違い、文化やカルチャー、国籍については一部国籍のない人もいる、などの発言がある。)

 実は外国籍住民というのは国籍になるのですけれども、外国人支援の世界では国籍だけに止まらないケースが非常に多いのですね。例えばブラジルに移民で行かれて、またユーターンをしてきたその子孫たちの場合、向こうの国籍を持っている人もいますけれども、日本の国籍を頑なに守られて戻って来られる方々もいらっしゃいます。けれども日本語は全くしゃべることができない。日本の文化の中で生活していないので、日本人1億人が皆同じと言うことも変ですけれども一般的に言われる日本人的な思考ですとか生活の仕方はしない。さらにもう一つ、大きな問題があります。中国の残留の方々ですね。その方々とお子さんお孫さんにあたる方々。こういう方々は国籍が日本でいろいろな制度の対象にはなるのですが、日本人として町の中で生活しているのかというとそこがまた難しい。反対に日本の国籍を持っていない私、日本生まれの私、彼ら、彼女たちに比べると、うーんと唸ってしまうような部分もかなりあります。

 この外国人という括りは非常にボーダーがあってわかりにくい。では何が大事なのかというところが、今日のテーマとなると思います。要するに、住民というところであれば皆が同じになるのですけれども、外国人というところで括られていることが外国人問題のかなり大事なところです。それなのにもかかわらず、この外国人問題というと、外国人が置かれている状況から起きる様々な問題ではなく、外国人が騒いでいる、人殺しをした、交通事故を起こした、踏み倒した、ルールを守らない、といった外国人が起こす問題そのものを外国人問題として捉えられているところがかなりあるのではないかと思います。ということは、住民としてであれば、誰もが問題を起こして良いわけではないですけれども起こすこともある、間違いを犯すこともある、良いことをする時もある、悪いことをする人もいる。様々な捉え方をしていかなくてはいけないのですが、外国人こうだよねというようなイメージだけで1人歩きをしてしまっている。神奈川県内にいる17万人の外国人が皆同じかというと皆違いますし、私のコミュニティであるコリアンコミュニティでもやはり一人一人皆事情が違いますし、考え方や生活の仕方すべてが違うわけです。そこは外国人問題として括ってしまっているこの世間、社会、法、制度といったものが、やはり問題になってくるのではないかなというのが私の考え方です。

 ということは、外国人の権利は保障されているのか。住民としての権利が保障されているのか。日本人でも保障されていない場合が多いにも関わらず、二重苦、三重苦というところに置かれてしまっている外国の人、外国にルーツを持つもしくは外国に繋がりのある人達が、非常に権利から遠ざけられているようなことがあるのではないかというように感じることが多いです。大体外国人が困っていると、日本人は良い人達が多いので、困っている人がいると助けたいと思う人が多いですね。日本語教室なんかも良い例なのですけれども、外国人が日本語を話せないから大変な思いをしている、助けてあげなくてはといってこんな神話が生まれてきてしまう。日本語さえ話せれば仕事につける、生活していくことができる、子育てできる、学校で勉強することができる。果たしてそうでしょうか。日本語を話すことができる在日の私達は就職もできなかったし、家を借りることもできなかったし、生活していくことも非常に大変でした。子育てにおいても、私は割合幸せな家庭環境で生活してきたかもしれませんけれども、やはり日本人と違うアイデンティティーを保持するような教育をしていく子育てをするということは非常に難しかった。皆と同じでなければいけないというところで、皆が苦しんできた。子ども達が学校で友達と遊ぶ時の言語はわかるけれども、学校で勉強するための言語、社会生活をしていくという意味での日本語、学問を身につけるための言葉、その他のことがなかなか難しかった。

 ちょっとこれを皆さんに見ていただきたい。(県立高等学校が設置した、立ち入り禁止と書かれた立て看板の写真を示す。)以前の事務所へはこの道を通って行くので、最初韓国語が間違っているのに気が付いて、笑ってしまって写真を撮りました。「ここから先には立ち入らないで」と書かれていますが、たぶん中国語も間違っていると思うのですね。韓国語も完全にネットで翻訳したもので全く間違っていて。あとで注意していただければと思うのですが、学校と警察署がこんなものを設置している。書くならば少なくとも神奈川県の上位5言語で書くべきだ。英語でも書くべきだ。でもここに入り込む人は中国人と韓国人しかいないという前提でこういうものを建ててしまって、一昨年あたりに見つけたのですがこの前たまたま通ってみまして、今でもありました。電話をかけて文句を言ってやろうかなと思ったのですけれども誰か気がつくかな、と思ってそのままにしてきましたが、こういったことが公然と行われてしまう。それも学校と警察署というところがそういうことをしてしまう。もう10年ぐらい前になりますが中国人が増え始めたころに、「中国人が3人固まっていたら警察に通報しなさい」とか、「中国人が携帯電話で話していたら通報しなさい」とか、そういったことを警察署がチラシやポスターを作って貼ったりしていたことがかなりありました。これというのは、やはり外国人という括りの中で外国人問題を捉えていて、外国人が犯罪を犯す、外国人が悪いことをする、外国人がけしからんことをするといった先入観から来るものではないかなと思います。これが現実です。多文化共生を推進していかなくてはいけない学校がこんな状況であるということはちょっと嘆かわしいことです。

 外国籍だという理由だけで権利や制度から除外されている事実はどういうことなのでしょう。医療、言葉、制度の違い、病院内のシステム。家族が大きな病院にかかっていますが、3ヶ月ぐらい通ってやっと病院のシステムがわかってきました。病院によってシステムが違うということもありますけれども、言葉がわからないともう右往左往してしまって時間が経ってしまって、折角行ったのに治療を受けられないようなこともあります。言葉の壁、制度の違い。いろいろなことがあって病院で治療を受けることができない。大体外国人は、わからないと言うと面倒くさがられると思うので、分かったか聞くと、はいって答えてしまうのですね。そういったところから診療過誤が起きたり、命に関わるかなり沢山の問題が起きてきました。

 80年代に入って、外国籍住民、在日の人達すべてが国民年金に加入することができるようになりました。戦後35年経って初めて国民健康保険と年金に加入することができるようになったということは、普通の人達にはわからない事実だと思うのですが、それまで保険証も持てない、病院にも行かれないという状況がずっと続いたわけです。その頃、年金に加入できるようになった人達のうち、ある世代の人達が無年金状態に置かれてしまった。それをかなり国に訴えていったのですが、それはできないということで結果的に突っぱねられてしまい、一世のかなり多くの方々が無年金状態で亡くなっていったということがあります。この無年金というのは一世の方々ばかりではなくて、実は私の世代にもかなり無年金者がおります。なぜというと就職ができなかったからです。一般企業への就職だけでなくやはり役所、公的機関への就職がほとんど不可能だったということがあって、年金に加入できる時期になっても、加入をしないということがかなり長く続きました。ですので、私の世代にもかなり多くの人が無年金状態でいる。景気の良い時は商売をして、それで生活していかれるからと言って結果的に加入されなかったのですが、今景気が悪くなり、還暦を迎える年齢になって無年金状態で置かれていて、どんどん事業が破綻している方々が私の周辺にもかなりいます。昔は羽振りが良かっただけに、見ていてとても気の毒になってしまうような、そういった事情があります。

 家探し。言葉や習慣の違いで、不動産屋さんから、とにかく外国人は問題を起こすから絶対嫌だと言われるようなことがかなり長く続きました。今も全国的に見た場合はあまり大きく変わりません。

 学校。外国人に義務教育の義務なし。日本では学校に来ても来なくても良いよ、というスタンスなのです。外国人の子ども達は絶対来なくてはいけませんという話ではなくて、来ても来なくても、来たら入れてあげますよって。仮に入れてみたところで、その本人達一人ひとりの文化や、アイデンティティーが大事にされるのかというと、そういったことはなかなか難しい。母語教育ですとか母文化を伝える活動を学校の中でしたいと言っても、この神奈川県内でさえもそんなことができる学校はほとんど一校もありません。そういった活動していた人達も、学校の中である一定の国の子達が沢山集まっているところに行って、子ども達が自信を持って生きていかれるためにサポートしていきたいという話をしても、結果的には「何度来ても学校を提供してもらえるとは思わないでください」と何度も追い返されて、結局その方々は諦めて公的な場所を得て活動を続けてきました。日本人からすると日本語で勉強さえできれば良いというようにしか見えないかと思いますが、自分の心の言語、自分の正体、そもそも何者なのかというところに確固とした何かがないと、いつも揺らぎながら生きていかなくてはいけないというのが人間の性だと思います。これはおそらく、皆さんも海外で生活されて、そして子孫を持たれた場合に分かると思うのですが、私自身もやはりそうだと思います。

 就職。この就職ということが色々なところに関わってくる。国籍条項。例えば、学校教員にはなれるけれども教諭にはなれない。今では神奈川県は国籍条項がありませんけれども、神奈川県で働いている外国籍の方々って、私の知るところではいらっしゃらなかったと思います。川崎は何人かいらっしゃるのですけれども。

 それから誰よりも早いリストラ。どういう意味かと言いますと、リーマンショックの時に派遣村ができますよね。派遣村ができる前に、私達の団体にも少なからぬ外国人が「助けて!」と言って駆け込んできました。これはえらいことになるなと思ったら、やはり本当に大変なことになっていった。

 言葉と習慣。これも基本的なところです。

 参政権。地域のことを担って一緒に生きているにも関わらず、地域のことを決定したり、選択していくということからは外されている。こういった問題は10年くらい前までは非常に活発に言われてきたのですが、最近この言葉すらも聞かれなくなってしまっていてとても残念なことだと思っています。

 マイノリティではない人はいるのでしょうか。皆それぞれ違った属性を持っている。口には出さないかもしれないけれども、様々な人達が私達と同じ地域で暮らしているということ、ここが一番大事な問題ではないかな、と常日頃から思います。この問題解決のために、実は神奈川県はいろいろなことをしているのですね。私達は結構文句ばかり言っているのですけれども、他の都道府県の感覚からすると神奈川県というのはかなり進んでいます。昨年度まで3年間程ある地域で多文化共生事業のお手伝いをしたことがあったのですが、多文化共生とは何と言うと、外国から唄や踊りができる人を連れてきて舞台の上に乗せるとか、講演会をやるとか、外国人のスタッフを国際交流協会の窓口に座らせていかにもビジュアル的に外国人を置いておくとか、相談し易いようにするとか、そのようなことを言っていて、とてもびっくりしました。いやそれってちょっと、という話をしまして、共に生きるということは共に担っていくことで、お互いに理解し尊重し合うことが大事ではないですかと話をしたのですが、なかなか通じませんでした。確か人権センターみたいなところにも行って多言語相談は受けないのですかというお話をしました。ニーズがありませんとバシッと言い切られてしまって、とても驚いたことがあります。

 私自身がこの神奈川県で色々と関わりを持つようなったのがもう約20年くらい前なのですが、あーすフェスタかながわというイベントについて、後程またアピールをさせていただきますが、もう17回になります。私も初回から企画員を務めてきまして、本当に色々な国の人達が楽しそうに、俺の祭りだという感じでやっているというのはとても気持ちの良いものです。このイベントと他のイベントは何が違うのかと申しますと、他地域の国際交流イベントというのは、日本人がお膳立てをして外国人を舞台の上に乗せる、外国人に話をさせるというものなのですが、これは様々な国や民族、そして出身の方々が一緒に考えて日本人と一緒に作り上げていく、というお祭りなのです。最初の頃は誰にも知られていないので、県の方々と一緒にいろいろなところに歩いて行って出て下さいとか、協力して下さいとお願いをしたのですけれども、もう2回目、3回目となっていく度に、え、出してもらえるのですか、あーすフェスタに出演させていただけるのですか、と言われるようになって、本当に積み上げていく喜びを感じたものです。本当に沢山の人達が自分達をアピールしたい、自分達をわかって欲しい、そして、地域の住民としてこれからも一緒に暮らして生きていきたいと思っているということを、作り上げていく過程でひしひしと感じた、そういったフェスタです。皆さんも是非今年はいらしていただけると嬉しいです。

 このお祭りだけではなく、外国籍県民かながわ会議、NGOかながわ国際協力会議といった、私も1、2期の委員だったのですけれども、外国籍の当事者達から、生活し、勉強し、働く中で県に提案したいこと、こういうことをして欲しい、こういうことで困っている、一緒に実践していきましょうといったことを、県知事に提案、提言する会議があります。この会議が今9回目に入っていると思いますが、実は1回目から9回目に至るまで提言の内容で大きく変わったところはほとんどありません。ただ、これは神奈川県らしいなというところは、外国人の入居差別の問題が取り上げられて県知事に提言されたのですが、神奈川県がそれを引き受けて民族団体や業者団体、そして行政の人達、それから国際交流団体、外国人を支援している個人や大家さん等いろいろな人達を集めて話し合いを進め、外国人の入居問題を解決するための一歩を踏み出した。何かというと窓口を作って終わりですとか、制度を作ってお仕舞いとか、ここの部署がやってねというところで終わっていたのですが、やはり外国籍の人達の住居に関する相談を受けられるところがないといけないということと、それを県が責任を持って実践していくためには、県が制度までいかなくても緩いネットワークを築く要の役割をしなくてはいけないということが話し合いの中で見えてきたため、県庁内に正式に外国人入居支援システムを設けて、それを実践するためのパートナーとしてすまいサポートセンターが設立されたというところです。

 今でもこの緩いネットワークというものが生きていて、1年に1回ネットワーク会議を開いて1年間の活動について報告し合ったりしています。ここはあまり注目されていないところなのですが、とても大事なところです。足かけ3年の議論の末に作られた団体なので、手間もかかっております。そもそも外国人支援というところに業者の団体が入ってくること自体がなかなか難しいですが、宅建協会と全日本不動産協会から私共のところに理事まで出していただいています。空き住宅が今や国を挙げての大問題となっているときに、やはり15年以上前から空き家や空き部屋の問題というのは業者さん達にとっても非常に深刻な問題になっていました。また議論を重ねていく中で、単に貸せば良いという話ではない、金儲けをすれば良いという話ではなくて、住まいというものは人間が生活していく上で必要な3要素のひとつで非常に大事な要素であり、責任を持っている業種なのだということを自覚していただくことができたのかなと思います。議論を始めた時は、先程の外国人とは何か、外国人問題とは何かいうところの話と重なりますが、夜逃げする、踏み倒す、又貸しする、人を呼んできて住まわせる、臭い、うるさい、ゴミはちゃんと出さない、そういったことばかり言われました。また、同じお金、同じ条件で、日本人と外国人が同じ部屋を借りたいと言ってきたら、日本人に貸す。なぜか。面倒くさいからと、そこまでおっしゃいました。そこで私が頭にきて、では言葉のわかる在日になぜ貸さないのですかとお話をしたら、本当に素直な方だなと思ったのですが、立ち上がってすみませんでした、認識不足でした、と。その方は結果的に私共の初代理事として宅建協会から出ていただいたのですが、知らなかったということを認めて、そして知っているという一歩を踏み出すために、やはり人と人との交わりの中や議論の中で、喧嘩しながらでも議論を重ねていくということはとても大事だなと感じました。人権を守っていくということは、単に私達の権利を守れとか、大きな声を上げていくということも大事だけれども、やはり協議し、話し合い、わかり合うということの、そのプロセスが人権に繋がると思うのです。本当はそうではいけない、生まれつき持っていなくてはいけない問題だけれども、今の状況では話し合っていくということはとても大事だなと感じました。

 先程の医療の問題ですが、同じようなプロセスを経て、MICかながわ(特定非営利活動法人多言語社会リソースかながわ)という医療通訳の団体も立ち上げました。ここはお医者さんとの話し合いなので本当に大変だったと思いますが、私もこの団体でコーディネーターをしていたことがあり、今は通訳としてだけ登録をしています。年に何千件という依頼があり、現場は非常に大変な状況になっております。こういった神奈川県の取り組みを私は非常に素晴らしいものだと思っています。私は東京生まれの東京育ちなのですが、神奈川県に来てよかったなと思うところは、やはりこういうところに参加ができたということ、参加ができるきっかけを作ることができたのは、やはり県の姿勢にあったのかなというように思います。

 ちょっとここで一度立ち返ってみて、外国籍の人達が、なぜ日本に住むようになったのかということを考えてみたいと思います。まず開港があります。欧米から来る方々が香港に立ち寄り、自分達のために働く人を雇って日本に来たということが、まず近代以降に外国人が日本に住むようになったきっかけのひとつです。それがきっかけとなって中華街が形成されていくわけですが、問題はこの先だと思います。戦前から、朝鮮などからいろいろなかたちで日本に来ました。非常に大変な状況の中で、日本に来ざるを得ないようなことになりました。戦後、そこからかなり長く日本は経済発展を遂げていくわけですが、戦前、募集や強制連行などで連れてきた人達に、経済発展のために継続的に無理に仕事をさせることはできなくなっていったため、地方からの集団就職などの形で労働力を確保していきますが、日本が高度成長するにつれて、日本もそういった働いている人達を正規雇用として保障していく道にどんどん進んでいきます。もちろんそれも十分ではないと思いますが。1980年代になっていくと、バブル期を迎えはするのですが、この時に先程お話ししたベトナム戦争終結によりボートピープルが現れます。このボートピープルが入ってくる前、私はどういう法の下で管理をされていたのかというと、出入国管理令なのですね。法律ではなくて「令」として管理をしており、ボートピープルとして難民の方々が入ってくるにあたり、これではちょっとまずいだろうということで、非常に時間がかかりましたが難民引き受けのために法の整備を行った。そして、出入国管理及び難民認定法という法に変えるわけです。そこから、難民の方々が入ってくるとやはり社会保障も必要である、ということになって今度は国民健康保険ですとか、国民年金に加入できるようにしていくわけですね。そのあたりから少しずつ外国人、特にその頃はもうほとんど80%以上が韓国、朝鮮の国籍を持つ人達が生活していて、そういった人達が少しずつ住民としての権利を幾らか持ち始めます。神奈川県がまたここで少し進んでいるのは何かと言うと、80年代を越さないと他の自治体では県営住宅ですとか市営住宅に入れなかったのですが、おそらく都営住宅と同じくらいの時期に、神奈川県は1976年から県営住宅への入居が外国籍の人達にも認められる。そういうところが早かったということもあります。そして私は外国人学校ネットワークかながわという団体にも参加しているので色々とお話を伺ったところ、朝鮮学校だけでなく中華学校も含めて、外国人学校への助成というものも、神奈川県はかなり早くから進めていて、やはり地盤にあるものがちょっと違うのだなということを非常に強く感じます。国が気がつかないことを地方自治体が担ってきたというところも大きく、他とは違うところだと思います。

80年代になると、景気が良くなってきていろいろな活動や訴えから、だんだん在日の人達もそれなりの企業に就職ができるようになってきたり、暮らし向きもかなり変わってくるのですが、90年代を迎えてバブルが崩壊すると大変なことになっていくわけです。今の外国人問題の形態というものが始まったのは、大体この80年代の終わりから90年代の初めなのではないかなと思います。ちょうど私は90年代の初めの1年をアメリカで過ごして1993年に帰ってきたときに、ちょっと町の様子が違う、外国人の姿が街中でかなり頻繁に見られるようになったと思いました。昔は焼肉屋しかなかったのですが、韓国料理屋というものが出てきたり、ちょっと時代が変わってきたなとすごく感じた時期です。このバブル崩壊と共にブラジルを初めとした中南米から日系人が入ってきた。これはなぜでしょう。

(委員から、労働力不足という意見が挙がる。)

 労働力不足、そうですね。バブル崩壊と共に正規雇用からどんどん派遣ですとか契約社員になり、リストラもありましたが、労働力はなくてはいけない。しかし日本の国というのは、単純労働者は受け入れないという法律を持っている国です。ブラジルの日系人だったら、日本の血を引いていて日本人と同じように使えるだろうと思って連れてきたところが、日本語はわからない、日本での生活の仕方もわからない、日本人とは生活の形態が全く違う。ここから大爆発を始めます。実は今日の午後にブラジル人女性の相談を受けに行くのですけれども、この時期に日本に来た人で、中学生ぐらいの時に日本に来ましたが、学校で放置されてポルトガル語でのサポートも受けられないまま中学校を終えて、それから10代のころに結婚している。それから5人の子どもを産んで離婚というような、そういった悲惨な状況になっている。時代を見ていていくと、なぜかということがわかるのですね。この頃、沢山入ってきた日系人達を迎え入れるにあたって、言葉のケア、学校での教育のケア、社会保障のケアということがほとんどされないまま、ただ労働力として受け入れたというところから、こういったことが始まりました。研修生、実習生というのは以前からいたと思いますが、日本の労働力として受け入れていく。農村花嫁など、30年ぐらい前から韓国から来ている人達もかなり多かったのですが、中国の田舎や東南アジアの田舎の方から、日本の農村で結婚できない男性達のために、女性達がブローカーを通して日本に入ってくる。こういう人達が3.11以降、非常に大変な思いをして地域を支えているという事実があります。

それから、観光ビザで入ってきて働き続けるオーバーステイの労働者達。私は90年代に法廷通訳などをしていましたので、オーバーステイの労働者の通訳をさせていただいたのですが、本当にその国の状況が丸見えになります。要するに日本も大変だけれども、本国も大変。日本からすると、経済事情が大変な国から日本で働かせてあげているのではないかと、非常に格差ですとか差別感を生んでいくということがあります。なのに、先程の日系人もそうですが、協定や制度を作ると単純労働者も入れられてしまうのですね。フィリピンから来た人たちの中で唄を歌える人、踊りを踊れる人というのはごく一部です。その他の人達はお酌をしたり、運んだり、成れの果てには皆さんご存知の通り、売ってはいけないものを売ったりなどして生活を繋いでいった。

 大丈夫だと思った日系人がだめなので、今度は従順なフィリピン、インドネシアからEPA協定を結んで看護士、介護士として受け入れていく。そして日本語がきちんとできて、日本での試験に2年以内に通るという条件を付ける。けれども、日本語をかなり高いレベルで話すことができ、2年間で試験に通るというのは、ものすごく高いレベルを要求されており、実際に働いた人達のほとんどは、ここになかなか到達できないで帰国していく。そして資格が取れた人達でも、働いてみたら、まだ神奈川県や横浜市などの都会ならともかく田舎の方に行くと、朝、病院や施設に出勤して職員の人達に挨拶をしても、返してももらえないという状況で、制度は制度としてあっても、人の心を変えるということまではできていないため、そういったところで非常に苦しみ、悲しみそして結果的には本国に戻ってしまうということがあります。

 ベトナム、ネパールからの移住者。最近非常に増えています。ベトナムは今、中国に代わって日本企業がどんどん東南アジアに進出しているので、日本企業で働くために日本語の勉強をしに来る。日本に留学に来る人達が増えています。ネパールも国内の事情で非常に貧困状態が続いて、地震もあったため、今非常に増えてきています。その他にバングラデシュ、ネパールやインドの周辺の国々から移住者が増えてきています。

 これから2018年問題そしてオリンピックを日本は控えているわけですが、このような様々な状況、背景を背負った人達が今、日本に住民として住んでいる。こういうことを踏まえながら、2018年問題やオリンピックを考えていかなくてはいけないかなと思います。

 昨日、今日お話しする内容をいろいろと整理しながら、ちょっと考えてみたのですが、結局外国人とは何なのだろう。とりわけ私自身の、私の親世代、祖父母世代の人達のうち、日本にいたくていた人達がどれくらいいたのだろう、と思います。外国籍の人達が権利から切り離されて遠ざかっているということと、日本人が差別をされて権利から遠ざかっていることとは、根本的に問題が違います。何が違うかというと、外国人は存在の仕方ではなく存在のさせられ方そのものが差別なのです。要するに、日本人ではない。

 日本の経済と産業発展のために日本に来ざるを得なかった人達が権利から切り離されているということは、存在のさせられ方がもう差別に当たる。どういう意味かというと、これは一般の日本人に責任があるわけではありませんが、就職にあたっての国籍条項、例えば入居問題、学校での問題、そういうものは言葉が違うから、文化が違うから、生活の仕方が違うから起こるのではなく、外国人の立ち位置がまず違うということが、外国人問題の根本的なところだと思います。要するに、会議に参加して一緒に話をしたり、楽しんだりすることは全く違わない同じ人間だけれども、日本の国籍と外国の国籍とは、もう立ち位置そのものが違うのです。そこが、マイノリティの感じ方とマジョリティの感じ方の違いなのではないかなと思います。だからこそ、人権、共に生きるということを大事にして生きていかなくてはいけないと思っています。

 私は幸いなことに非常に多くの良い仲間に恵まれ、あまり卑屈にもならずに生きて来られたのですが、皆さん最近いろいろなところでヘイトクライムという言葉をお耳にされると思います。川崎、新宿の大久保、大阪の鶴橋で派手にやっていますけれども、ちょうど2010年に私がカナダから戻った時ですが、12月に京都の朝鮮学校に在特会が押しかけて、小さな子ども達が学校の中にいるにもかかわらず、朝鮮人帰れ、お前たち俺たちを恨むな、お前たちが朝鮮人に生まれたことを恨めと言ったり、小さな幼稚園の子達までいますから、そういった子達がもう怖くて泣き喚いて、非常にかわいそうな状況に置かれました。そういったヘイトクライムが起きて行く背景には、やはりこういった本質的なところへの認識や歴史、外国人がなぜ日本に住むようになったのか、日本の産業と経済の発展のために欠かせない人達だったという事実の確認ができていないということがあるのではないか。それをまた敢えて知らせようとしない。そこから沢山の無知な人達がそこに連なっていく。日本の歴史は多くの国や地域から人が流入しながら築いてきた。

 ここが大事なところなのですけれども、本当にごく一部の、非常に確信犯的な中心になる人達の周辺にいるヘイトクライム、ヘイトスピーチを行っている人達というのは、驚いたことにほとんどお金で雇われている人達なのですね。企業の会長や社長など、そういった人達がかなりお金をかけてヘイトスピーチを行う人達を雇っている。このヘイトの最前線にいる人達のほとんどは、平日の真昼間にジャージを着てヘイトスピーチに参加できるということそのものが非常におかしな話で、もちろん普通の会社員などもいるのですけれども、自分達の貧困や困窮を抱えたまま、自分達の苦しさはこいつらがいるからだ、と煽られて雇われて参加をしていく人達が非常に多いです。ヘイトスピーチやヘイトクライムが起きて行く背景には、日本の格差、貧困、困窮ということと切っても切れない仲にあるということも知っていただければと思います。

 ヘイトスピーチを行う団体は在日特権を許さないと言っているのですね。特権があるのなら私も欲しいのですけれども、特権とは何かというと、特別永住資格を挙げています。出入国管理に関する特例法を根拠に、旧日本国民であった韓国人や朝鮮人などを対象に与えられた特権ですと言っている。どこが特権なのか、来て話をしていただければ非常に助かるのですけれども、特権を持ったという認識は私にはなくて、特権があれば権利がないと苦しむこともなく、私達のコミュニティにいる小さな子ども達が朝鮮帰れと言われたりすることもないと思うのですが、かわいそうな在日という妄想が未だに払拭されていない。かわいそうな在日ではなくて、かわいそうにさせられてしまった在日なのです。この人達が言っているのは主に韓国、朝鮮の人達のことですが、最近はなり振り構わず、どこにでも言って騒ぐといった、そういった現象が起きています。

 川崎では今年に入って3回程、ヘイトスピーチがかなり派手に行われるということで、戦々恐々としていたのですが、驚いたことに、川崎にヘイトスピーチをする団体の数倍のカウンターが現れて、ヘイトスピーチをする団体を追い出してしまいました。何と素晴らしいことだろうと思いました。私はなかなか参加ができなったのですが、日本人が、これは誰かがやられているという話ではなく日本人の問題である、弱い立場に置かれている人達をがなり立て、恐怖心を煽って、そして攻撃をしていくということは、日本人として許されないといって、3回行われたものを全部カウンターが追い出して、とうとう桜本という地域には近づけもさせなかったという非常に素晴らしい活動が日本人の中でも起きていることが、最近の流れかなと思います。

 韓国本国の人のなかにはすごく差別的な人達がいて、日本人を非常に嫌っている人もかなり私の周辺にいます。これは個別のことですけれども、アメリカではアフリカにルーツを持つ人達を罵倒したり、馬鹿にしたりということをするのですけれども、私はそれが自分の友人であっても知人であっても、絶対にそんなこと許しません。人を肌の色や出自がどうだとかということで差別することは許さない、と言って喧嘩にもなるのですけれども、私の目の前で差別発言がされたからといって、日本人が戦うところはあまり目にしたことがありません。ですので、それだけに今回のこの川崎の行動は非常に胸打つものがありました。私の周辺のコリアン達も、本当に共に生きていると実感したという様な感想を言っていました。ヘイトスピーチが行われ、ヘイトスピーチに走る暴力的な連中が出てくれば出てくるほど、反対に日本人の当たり前の気持ちというものが噴出して、最近行動力として変わってきているなと感じます。東京オリンピックどうかなと思いましたけれども、やるとなったらみんなで協力して良いものにしていかなくてはいけない。

 昨年度、日本に来た観光客が1973万7000人に達しました。これはすごいことで、どこの国が一番多いかということは皆さんご存知だと思います。雪崩のように現れて、雪崩のように帰って行くという集団がいますけれども、これは世界的な現象で、日本人も80年代に欧米でさんざんやっているのですね。かなり嫌われたということを聞いておりますが、同じようなことを今度は日本で、アジアの国々から来た人達が起こしている、旋風を巻き起こしているところですが、そのうち嵐も止むと思います。この1973万人という数は看過できない。おそらくオリンピックになると、もっともっと沢山の人達が、日本を訪れることになるのではないかと思います。その時に、200以上の国から少なくとも200万人以上の外国籍の人達が日本に住み、200くらいの国から17万人の外国籍の人達が神奈川県に住むというこの環境のなかで、この人達の権利が守られ、そして生活が安定していかないことには、オリンピックの成功というのはありえないと思います。

 テレビを見ていたら、いろいろな国の子ども達に、日本で東京オリンピックをやるよと言ったら、日本に行ってみたい、素敵な国だよねと言っていました。日本を知っているのか問いかけたら、知らないと言っていました。きっとイメージで言っているのだと思うのですけれども。私自身は、日本は法や制度などはかなりいろいろと修正していかなくてはいけないと思いますが、日本人は本当に良い人達なので、日本人は良い人だけれど日本が良い国かどうか、そんな感想を抱きながら見ておりました。だけれども、皆が持っている良いイメージを本当のものにしていくためには、お客様としての外国人も大事だけれども、ここで共に住む人達の権利を守っていかなくてはいけないかなと思います。

 一番強調したいのは、アジアにおいて共生のモデルケースになって欲しいということです。モデルケースを作っていくために、私達外国籍の者も皆さんと一緒に、地域住民としてできることを担っていかなくてはいけないかなと思います。日本の経済、産業の発展のためだけではなく、それぞれの幸せのために、皆が一緒に良い地域を作っていきたいなと思います。

 様々な国の人達が、誰もが心地良く安心して過ごせる神奈川県を目指していきます。あーすフェスタ、是非いらしてください。多文化共生を実感していただければと思います。以上でございます。ありがとうございます。

○炭谷座長

 どうもありがとうございました。やはりこれまでの長い当事者としての立場から、私どもの感じないところのお話が多かったのではないかと思います。外国人問題を考える際に、大変参考になる、いろいろな示唆に富む重要なお話をいただいたと思います。それでは、いろいろなご質問またはご意見があろうかと思います。自由に出していただければと思います。

○阿部委員

 2020年のオリンピック問題はわかるのですが、2018年問題とは。

○裵委員

 日本の人口が2018年を機に極端に減る、その時期のお話です。

○長嶋委員

 1990年代の研修生や実習生の日本国内における実態は、どうだったのですか。広島県で事件が起きて、時給が250円だったと聞いたことがあるのですが、信じられないことです。まるで奴隷ではないかと思うのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

○裵委員

 おっしゃる通りですね。地域によっては、支援団体がきちんと給料を支払わせて、確認をし、そしてそれなりの補償もして、時期になったら本国へ帰すということをしているようです。もともと安い時給からさらに食費などを除いて時給200円や250円にして、本国に帰ったら送ると言って送らないということもかなり起きたみたいなのですが、そこも支援団体が入らないと、本人たちは奴隷状態で全く声を上げられず、本国に戻ってもお金がもらえないということがかなり続いてきていて、これこそ国がきちんと管理をしなくてはいけない問題ではないかなと思います。先日岐阜でもそのような事件があり、新聞で報じられていました。

○長嶋委員

 日本で働かせるのであれば最低賃金を守るように、何とか規制はできないのですか。

○裵委員

 最低賃金までいかないから、そもそも雇っているのでしょうね。そこは事業主に丸投げになっていて、やはり国の法や規制でどうにかするように訴えていかなくてはいけないのかなと思います。

○長嶋委員

 研修や実習というのは隠れ蓑ですよね。実態は単純労働を長時間やらせている。

○裵委員

 単純労働者を入国させないという決まりがあるにもかかわらず、制度や協定では単純労働が可能になってしまっているというところが大きな問題だと思います。

○阿部委員

 出入国管理法により、27の資格がなければ日本には在留できない。単純労働者は、日本は入れないのです。その代わり、労働力不足の際、1992年に定住者ということで南米の日系人達を入国させて労働力不足を補ったという経緯があるのですけれども、今でもまだ、単純労働者を労働力不足だからといって、受け入れる在留資格はないです。

○裵委員

 あのあたりから日本の風景が変わってきた、肌の色が違う人達がかなり日本に入ってきたという実感がありますね。

○阿部委員

 この90年頃というのは、オーバーステイで、危険、汚い、キツイという日本の3K職場に出稼ぎにくる。ベイブリッジやランドマークタワーの基礎工事というのは、そういう人達が本当に低賃金で働いたのだろうと思うのですけれども、主にそういうところは男の人達が多かった。その流れの中で女性達も日本に行けば稼げる、収入が得られると言って、工場やベビーシッターなどでアジアから日本に連れて来られた人達が、結局ヤクザやブローカーの管理下の元に売春を強要される。それを10年以上も日本国内では、出稼ぎという形で見ていたのですけれども、やっと2005年になって、彼女達は被害者であり、保護しなくていけないと、アメリカの指摘も含めて日本政府が考えを変えていった。90年の頃にはアジアから人身売買で連れて来られた女性達が駆け込んできて、私共の団体が初めてシェルターを作りました。そういう意味では、人権侵害の極致とも言うべき被害に突き動かされて、今のような活動が始まったかなという経過があるので、今の裵さんのお話を随分前に遡って、じっくり私も振り返って考えたなと思っています。

○炭谷座長

 最後の方でおっしゃった、神奈川県民の人達がヘイトスピーチに対抗して、反発して、反対運動を行ったというのは、何か組織的なバックがあったのですか、それとも自発的に起こったのでしょうか。大変たくましい動きですね。

○裵委員

 安全保障法制と同じように、皆が集まってきたようです。それも川崎の人達ではなく、周辺の都道府県などからかなり集まって、川崎の地域の人達が驚くほど多様な人達が集まってきたという話です。ヘイトが来ることを受けて、これは守らなくてはということで。

○鶴田委員

 神奈川新聞にとても詳しく載っていましたね。上中下くらいに分かれて載っていた後も、戦ったおばあさん達が話しているものが載っていて、私もとても関心を持って読ませていただきました。ガードした人達からヘイト達を守るために警察が大勢出動したと聞いて、そうなのかと思ったのですが、ヘイトを禁止することは決まりがないために出来ないのですね。ヘイトスピーチをするぞという申請があったら、その人達を警察は守らなければいけない。これに対して住民達が、どういうことだと防波堤を築いたというようなことが書かれていました。やはり、いわゆる行政的な問題、先程の研修生の問題も同じですが、人権が大事だということが実際の現場では欠けている、どちらを守るのが人権なのかというような矛盾が、とてもあるなと思いました。

○裵委員

 実際に神奈川県警や川崎警察署の人達と、1年に1回くらい隣り合わせに坐る会があるのですが、その時にぶつけてみたことがあります。ヘイトデモの時に警察はヘイト側に立って守っている、と皆が言っていますという話をしたところ、驚いて、そんなことはないです、皆さんの安全を守っていますと言っていたのですけれども、これはやはり、ヘイトスピーチ、ヘイトクライム禁止法や禁止条例などがないから、こういうことになってしまうのですね。そういった法や条例があれば、警察の動き方が変わらなくてはいけないし、変わろうとはしないだろうけれども、それに従ってやっていかなくてはいけなくなると思うので、私は県にヘイトスピーチ、ヘイトクライム禁止条例のようなものを、是非作っていただきたいと思います。これは別に外国人だけではなくて、いろいろな意味でのマイノリティの人達を傷つけていく。ある大学の先生がアイデンティティーの殺人だとおっしゃいましたが、私も全く同感で、要するに見た目は生きているけれども心を殺されてしまう。これは非常に罪の重いものだと思います。

 実際にカナダで経験したのですけれども、2人の白人男性が中国人を罵倒するような内容の落書きをして、逃げるところがたまたま監視カメラに映されていたのですが、きちんと警察に捕まるのです。差別を禁止する法があるためです。カナダはいろいろな移民で成り立っている国なので、ある一定の民族や国の出身者を差別するようなこと言ったりすると、それは罪になる。捕まるのです。それはLGBTの人達に対しても同じで、ゲイだからと言って同じように暴言を吐いた人もやはり捕まる。そういうことがテレビに出ているのですね。そういうものを見ながら、日本での権利意識というものが私自身も麻痺させられているなと非常に感じさせられる良い経験だったと思います。やはり法や条例は大事だと思います。

○長嶋委員

 ヘイトスピーチのカウンターの様子は、ラインやツイッターで時々刻々、秒単位で動画で入ってきます。警察がいかにひどいことをカウンターにしているかということも描写されています。見れば一目瞭然です。ですからツイッターでそういうところを検索して見ていただければ、今日でも明日でもすぐ出てきますので、参考にしてください。

 それから、ヘイトスピーチは私たちの運動団体としても、人種差別は許せませんので何とかしなくてはいけない、国会でも法規制をしなくてはいけないと思います。県も考えなくてはいけないと思いますけれどもただ一つ、気がかりなことがあります。人種差別の人種の概念に、世系があります。この世系の中に、国連のロビー活動である団体が部落民を入れたのです。それが今、日本の外務省あたりでいろいろな議論になっています。人種差別撤廃法案を作ると、その中に部落民が入ってしまうのです。同和問題に関する部落民というのは、民族でも何でもなく同じ日本人です。それなのに部落民というものを人種の中に入れるのは正しくない、と私達は考えています。ですからそこがひとつのネックになって、国でなかなか前へ進まない。部落民を入れてしまうと、部落差別撤廃条例や法案などが、また国で出てきてしまうのですね。そうするといろいろとおかしくなるので、そこをうまくクリアして、人種の問題でヘイトクライムやヘイトスピーチが起きないようにする規制は必要だと、そのように思っています。

○阿部委員

 EUを含めた国際社会の中では、表現の自由とヘイトスピーチの規制は両立するという考えが基本になっている。それから国連も同じように、表現の自由とヘイトスピーチの規制は対立するのではなく、両立するものなのだと考えられているから、さっき裵さんがおっしゃったように、カナダでも表現の自由はある。しかし、ヘイトスピーチは許さないという両立した考えになっているようなのですね。そういう意味では、日本が人種差別撤廃条約に批准しているにもかかわらず、国内法が全然整備されていないという問題があります。それから神奈川県について言えば、川崎の桜本の住民が日常生活を営んで暮らしている学校や住居があるところにデモの申請を許可するとは、警察は無謀な判断をしたなと思います。ですから、是非、人権の神奈川と言われるぐらい、外国人との共生を積み重ねてきたという経過から言うと、デモの申請への対応の仕方は現実的な判断を持って。川崎市長も国に対して何らかの規制をということで動き出していますから、県も国を後押しして、規制をきちんと作り上げていかないと、それこそ多くの外国の人達が来るオリンピックも開催される一方で、ヘイトスピーチが怒鳴り散らされるなどという状態は、やはり避けてもらいたいなと思っています。

 それからもう1点。神奈川県が特区ということで外国人の家事労働者を受け入れるということになっています。フィリピンやインドネシアから受け入れて、働く日本の女性達の家事を手伝うということなのですが、やはりILOの条約なり規制をきちんと守らせないと、家庭という密室の中でどんな問題が起きるかわからない。ちゃんと労働者を受け入れるなら受け入れるで、労働基準法やILOの条約をきちんと守らせるということは県の役目だと思いますので、是非その辺もお願いしたいなと思っています。

○炭谷座長

 裵さんがおっしゃいました言葉の問題ですね、確かに言葉だけではないのかもしれないけれども、最近はランゲージバリアというものによっての差別が、やはりあるのではないかなと思います。特に多いのは、例として挙げられましたが、私自身がいま直接仕事をしている中国残留孤児問題ですね。私はいま無報酬で支援団体の理事長を引き受けています。一世の人はもちろん日本語をしゃべられない人がかなり多いのですけれども、2世、3世の人も日本語が不十分なために安定した仕事に就けない、社会から排除される人が多いような感じです。やはり言葉の問題は大変重要で、言葉による差別、言葉ができないことによる差別が起こっているのではないかなと思いますね。これは中国残留孤児だけではなくて、いろいろな場面で感じています。医療が十分に受けられない。私はいま病院の経営をしていますが、日本人の私でさえ病院に行ったら戸惑いますので、なお一層戸惑われると思いますね。

○裵委員

 中国残留の方々は私共の団体にかなり相談に来られるのですけれども、言葉ではなく、残留であるということ自体が差別の対象になっている。ある方の話を伺ったところ、大学の教員になられた方で、小さいころ親に連れられて日本に帰国したけれども、残留ということをずっと今まで隠してきたということです。残留ということが分かると周りから差別されるということが、やはり彼らの骨身にしみている。在日の人たちは、今も隠している人がたくさんいますけれども、隠しながらでないと生きていかれないという苦しさがあるのです。言葉というものは学べるし、私達もサポートができますけれども、その人そのものの存在がどうなのかということが非常に大事です。そして日本人も多様化している。いろいろな国の人達、国籍を持つ人達、民族的背景を持つ人達によって多様化しているけれども、日本人そのものも多様化しているはずなのに、日本人自身がひとつの枠の中にはめられてしまっている。この苦しさもやはり日本人自身が乗り越えていかなくていけない問題なのかなと思います。

○炭谷座長

 言葉の問題を言うと、例えば10代の時は割合誰でも言葉を覚えやすいのですけれども、30代、40代で日本に来た人に日本語を教えることは極めて難しいです。独特の教育の仕方があって、普通の日本語学校へ行っても困難なようです。独特のメソッドでやらないとできないので、そういうものをもっと普及しなくてはいけないのではないかと思っています。

○裵委員

 先程はお話ししませんでしたが、いろいろな外国の人達を引き入れ、残留孤児の人達の帰国も認めましたが、その人達の生活や様々な場面での困ったことを誰が解決しているのかというとボランティアなのですね。日本人は本当に人が良いから、地域の人が困っているというとサポートを引き受けたり、そのサポートが正しいかどうかということはまた別ですが、とにかくどうにかしなくてはという人達がやっている。一方で国はどうしているのかと言ったら何もしない。日系の人達はお金をかけて支援するなど、非常に偏った支援の仕方をしていて、では他の国の人達はというと、知らないとなってしまう。残留の人達もほとんど日本語のサポートは地域のボランティアの日本語教室に通っていて、彼女、彼等のための日本語学校というものが設立されているわけではなく、全然公金は使われない。カナダやアメリカに行くと、きちんと公金を使って学校を作り、そこで移民達に教育することはNGOに任せたりしているのですけれども、そういったスキームが全く日本には存在しないということが一番大きな問題かなと思います。

○鶴田委員

 横浜市では、一部の小学校で子ども達を集めて、そういうサポートしていますよね。

○裵委員

 学校によります。

○鶴田委員

 学校によりますけれども、今も続いていると思うのですが。

○裵委員

 日本語や学習支援に関しては多少やっているけれども、母語や母文化の保持というところには全く繋がらない。要するに、残留の人達はちょっと別ですけれども、私達が求めているのは日本人と同じ姿、日本人になることではなくて、それぞれのものを大事にしながら住民として皆と共に生きていくということで、横浜の学校も校長先生によってはとても理解があって、一生懸命やっていらっしゃるところはあるけれども、やはり南区や中区などのかなり限られたエリアの話だと思います。

○芹沢委員

 学校の話が出ましたので。私は横須賀でずっと組合の仕事をしていまして、今から25年くらい前に、三浦半島全部の中学校に、外国の子ども達に対して進路指導でどういうことをしていますかということを調査しました。すると、真面目な人ほど、全く日本の子ども達と同じようにやっているということでした。ですからさっき、外国人とは何ですかと聞かれたときに、私がカルチャーというお話をしたのは、国籍だとか、それぞれの子どもが持っているアイデンティティに寄り添うよりは、自然と同化をさせたほうがその子のためになるのではないかという教育的な観念がかなりあるということなのです。このような傾向も随分と県教育委員会の取り組みの努力で変わってきています。私達で言うと、組合の文章も、外国にルーツを持つ子ども達の教育課題に向かい合います、というような表現に変わってきました。

 高校からはいろいろとレポートなどが出ていますが、義務制の場合は本当に学校によって、学校長さんによって違います。教育委員会自体は横浜市など相当そのような意識を持っているのですが、実際のところ本当に外国にルーツがある子ども達と一緒にやった教育実践が報告されてこないのですね。きちんと対象化するために教員が記録をしていかない限りは、やはり内面化されない、共通化されないということが、残念ですが今の課題の状況なのかなと思っています。

 ただその一方で前向きな話もあって、日本教育新聞というどの学校にもあるような業界紙があるのですが、そこに文部科学省の前川さんという審議官が、まさに今日話があったように、誰もがマイノリティであるという巻頭言を書いています。昨年話題になったように、文部科学省が性同一性障害の子ども達が学校のなかにいることを前提とした通知文を出しました。巻頭言では、教育課題としていくということ、そのことにとどまらず、実はそれ以外にも「部落問題」もあり、「アイヌの問題」もあるのだと徹底されています。社会全体の課題には、まだなってはいないが、そういうことを課題として認識しなければ今の学校教育はできないというところの入口には立ってきているのかなと思います。ただ文部科学省の職員が皆わかっているかというとそうではなくて、私は実はごく一部の人達のみではないのかなという危惧もあります。このようなことを思いながら、今日お話を聞かせていただきました。

○裵委員

 今日の朝刊にも出ていましたが、朝鮮学校の助成金の問題では皆様にご心配をおかけしましたけれども、神奈川的なやり方で解決をみたということで、これは神奈川ではないとそこには至れなかったと思います。本当にいろいろな人達が心配してくださって、それで本当に解決に向けて頑張りぬけました。中央省庁の担当者も実はこのようなことはしたくないと思うのです。それだけ政治的な圧力がとても強いのだと認識しております。政治の在り方によって子ども達の教育が変わってしまうのはとても残念です。本当はそうではいけないのに、そこが本当に残念なところだなと思います。ただ、先程のヘイトスピーチのカウンターやこの問題もそうですが、いろいろなところで日本人が組織的ではなくて自発的に、違うと言い始めたということは、今の芹沢さんのお話と重なりますが、時代がまた別の方向に動き始めているのかなという実感はあります。

 そして、昨日の夕刊には、ヘイトスピーチが全国的に1152件あったとありましたが、私はもっとあると思います。国はヘイトスピーチ禁止法のために動き始めていて、川崎でも動きがあるので、是非神奈川県も条例化や規制をするための何かを作っていただければと思います。

○人権男女共同参画課長

 私から、皆さんにお伝えしておいたほうが良いことをお伝えします。

 ヘイトスピーチについては、昨年の3月に開催した懇話会でご報告しましたように、県議会としてもあってはならないことということで、規制について、警察を含めて動くのであれば、法制度をきちんと作っていただきたい、と国に意見書を出しました。また、私共も知事の名前で2月と7月に2回要望を出し、国に伺ってその時の状況を確認しています。7月の時はちょうど法案がどうなるかという状況でその段階での話でしたが、最近の新聞報道をご覧いただくと、野党側だけではなくて自民党、公明党側も法案について動き出しているという話があります。先程新聞報道の話がありましたけれども、今年から国が調査を始めて、今年、来年と2年かけてやるということです。県は通していませんが、神奈川県でいうと政令市に対して、どういう状況か(国が直接調査し)、或いは川崎の桜本周辺の実際の現場に何度かヒアリングに入るようなことをして、その結果を今年度分は今年度公表し、また来年度はさらに外国籍の方を対象に個別の調査をすると聞いています。そういう動きの中で、私共は本当にあってはならないことで、どういう方法であれば規制ができるのかということを考えながら、国が動くかたちをバックアップできるような動きをしたいということで、川崎の状況もですけれども、ずっと状況を見ています。日々状況を把握しながら、いつどのタイミングで私共がどういう動きをするのか、考えている状況です。

 それから、阿部委員がおっしゃった外国人の家事支援労働者の話ですけれども、おっしゃることは関係者全員が本当に同じことを考えております。当然、労働関係の法令やILOの決まりなどについてはきちんとクリアすること、何かあればいつでも相談に乗れるようにすることなど、きちんとしたかたちでやらないと受け入れることをOKすることはできないと、県議会の中でも相当議論があり、この方向で進んでいます。ただ、実際にそれが始まったときに何が発生するかということは、ヘイトスピーチもそうですが、常に見ていかなければいけないと思っています。相談の窓口になっていらっしゃるところには、もしかしたら行政が把握できないような情報が入るかもしれませんので、それはまた共有をさせていただければなと思っております。

○長嶋委員

 ヘイトスピーチに関連して、なぜなかなか法律が進まないかということと関係するかも知れませんけれども、参考資料「平成27年度第1回かながわ人権政策推進懇話会で頂いた主なご意見」とあり、そこに人権問題には「公権力と国民」と「国民相互」の2種類があると書かれています。しかし、私達は2種類ではなく、公権力・国家権力による人権侵害と、国民相互間の人権侵害の間にもう一つ、社会的権力による人権侵害があると考えています。公権力とは、国・県・市町村ですね。社会的権力とは、大企業や大宗教団体、それから全国人権連、解放同盟、全日本同和会などの大きな団体、さらに労働組合などです。こういったところが社会的権力に位置づけられると思います。

 ヘイトスピーチを規制するための法律は必要ですが、先程言いましたように世系というものがありまして、そのなかに部落民と入っているために外務省がうんと言わない。国連から人種差別撤廃条約などできちんとやりなさいという勧告が来ていますけれども、なかなかできない。ここをクリアするように早く国会で相談をしてもらわないといけないと思います。ですので、是非この参考部分を、2つの人権問題ではなく3つとしていただきたい。社会的権力による人権侵害もたくさんありますから、それをここに入れてもらい、解決していただきたいと思います。

○炭谷座長

 裵さんのお話には、非常に教えられるところが多かったと思います。私自身いろいろと外国人問題に沢山の場面で関わってきましたけれども、まだまだ考え方が浅いなと感じ、学ばせていただくことが大変多かったと思っております。また、裵さんのご意見はいろいろな場面で教えとなることが多いのではないかと思います。本当にどうもありがとうございました。

 それでは議題2の人権に関するより効果的な啓発手法について、事務局から説明をお願いします。

(事務局から説明)

○坂田委員

 資料2-1に「気づき」を啓発するための教材(人権研修の教材等)を使用した啓発を検討と書いてありますが、学校における人権研修の教材にどのようなものがあるか、今わかりますか。

○教育局

 教育委員会では、人権学習ワークシート集を3年に一度ずつ作っています。3年に一度というのは、今年度は高等学校用、昨年度は社会教育用、一昨年度は小中学校用というように対象を変えて、毎年作っています。ここ数年は11ある人権課題に即したワークを作って、各学校等に提供しています。また、HPにも掲載していますので、それを使っていただくようなかたちで情報提供をしているところです。

○炭谷座長

 それは生徒が読む教材なのですか、それとも学校の先生が読む教材なのですか。

○教育局

 基本的には授業で使うようになっていますので、生徒用の学習教材がついていますが、解説というかたちで教職員が利用する部分もあります。また今年の高等学校用にはありませんけれども、過去には教職員がまず人権を学ぶ、ということで教職員向けの学習教材を掲載したものもあります。

○阿部委員

 参考までに、それらの教材を委員に資料として配布していただくわけにはいきませんか。

○教育局

 新しいものについては在庫を確認いたします。古いものはもう在庫がありませんのでお配りすることができません。あとはHPにも掲載するようにしていますので、そちらからダウンロードしていただくことも可能です。

○岩田委員

 特に小学生だと、お母さんやお父さんの価値がそのまま子どもにきていることがあると思いますが、その教材が親御さんに伝わるような使い方はしないのですか。

○教育局

 直接お配りしているわけではありませんが、先程もお伝えしましたとおり、例えばPTAの活動のなかで使っていただくよう社会教育用教材を作成し、学校や社会教育施設にお配りしていますし、こちらもHPからダウンロードできますので、保護者向けに活用することは可能だと思います。

○坂田委員

 そういう教材を使った時の効果は数字では出てきませんが、生徒の対応や感じ方がいろいろだと思います。杉藤委員は現場に行かれているので、本当はそういった部分のお話をしていただいて県でまとめてもらえば良いのですが。

○杉藤委員

 学校を回らせていただいて一番感じるのは、先生方にとって人権というものを子ども達に教えることがいかに大変かということです。人権はすべての人の問題ですから、範囲が広くてどのように教えたら良いか、先生方が悩んでいらっしゃるのではないかと思うのですね。だからどうしても、対象の方が目に留まる事例、例えば同和問題、在日の方の問題、ハンセン病の問題などを並べて紹介しながら、そこにまつわる差別や偏見の問題を人権侵害の問題として教えていくという形になってしまうのだと思います。

 私は啓発事業を主たる目的として、横浜国際人権センターを立ち上げて国連に登録しました。国連に登録したときに担当課長から、主たる目的が啓発事業っていう団体は世界であなたのところだけだ、と言われました。何をやるかは決められないし、どういうことをやれば効果があるかということもわからない。だからとりあえず手当たり次第に、考えつくことにはすべて手を挙げていくことが啓発事業だと思います。先程からお話に出ておりますように、例えば言葉の問題ひとつにとっても、表現の自由や言論の自由という問題ありますね。表現の自由や言論の自由は無制限に何でも許されるのかという問題が出てくると思うのです。さらに、権力という問題。そういう一つひとつの言葉の問題まで徹底討論をして、小さいときから理解していく。そういう基礎、グランドベースがすべてにわたって出来上がっていなくてはならない。未だに在日の方に対する目の向け方、被差別部落の人に対する目の向け方など、朝鮮半島を植民地化してきた時代からのものの考え方というような古い思想が残っている部分があります。ですから、いろいろなことを教育していくしかないと思うのです。学校教育のなかでどのように取り組んでいくか、これは本当に大変なことですが、日頃から先生方がいろいろなプログラムを組んで、子ども達が小さい時から人権の尊さを教えていただきたいと思います。

○髙橋(瑞穂)委員

 私は子どもがいますが、今の子ども達は同和問題や朝鮮問題を知らないという子が多い。私達はそれなりに歴史で学んだ気がするのですが、今の子ども達は本当に知らない。これらは今日でも解決している問題ではないのですが、基本的な、歴史的な問題を教えてくれないと、ネットだけ見て、あれはまずいね、よくないね、というような話になってしまうと思います。教えると問題を掘り起こすから良くないということではなくて、やはりちゃんと教えてくれないと、情報化社会の中のいい加減な情報だけで判断してしまう。歴史的な差別や人権侵害についての教育は是非やっていただきたいなと思います。

○炭谷座長

 いまご指摘のあったように、神奈川県の場合は学校で人権教育をやっていらっしゃるということなのですが、日本全体を見てみると、自分の印象ですけれども、いろいろな場面を見ると20代、30代の若い人の方が、むしろ人権意識が希薄ではないかなと感じます。やはり小学校、中学校の時の人権教育が、日本全般的にやや弱くなったのではないかなと考えることがあります。神奈川県はしっかりやっていらっしゃるのであまり言いませんが、若い人より、むしろ50代、60代の我々の年代のほうが人権の知識が豊富だと思います。というのもインターネットを見ていると、インターネットを使う世代がそうなのかもしれませんが、反人権的な発言をするのは若い世代ですよね。そうすると、私は学校教育における人権教育が最近不足していると思います。

○杉藤委員

 90年代初期はまだ携帯があまり普及していませんから、テレホンカードがあったわけです。学校を回った際に、使い切ったテレホンカードを集めてもらいたいと、授業が終わった後に子ども達に言っていました。そして、当時は団体からNTTに持ち込めば、1枚4円、一番良いときは6円くらいで買ってくれました。そのお金が資金にもなりますし、寄付もできます。また、テレホンカードを見てもらうことで子ども達がその授業を思い出してくれますので、そういうことをやっていました。要するに、子どもだけではやはりだめで、親御さんを引っ張り込むのに良い方法がないかなと思ってやったのです。保護者の方はやはり社会人教育の部類に入ってしまいますので、なかなか簡単にはいかない。出てくる人の顔ぶれは決まってきますし、広がりを求めるのは難しいところだと思うのです。

○宮崎委員

 今の発言と関連していますけれども、学校教育はとても大事で、力を入れていらっしゃると思うのですが、そこへ行く前の幼児教育の部分での啓発が一番大事なのではないかと思うのですね。ですから、社会教育の中での広がりを作るようなしかけを、人権というものはしつけや育ての中から生まれてくる部分があると思うので、学校教育に行く前の教育をやっていただけると良いかなと思っています。

○杉藤委員

 家庭教育は皆思っているのですよね。家庭教育を広める方法がなく、本当に一番難しいところだと思います。子どもさんは学校に来ているので、学校で先生が何とか授業できるわけですが、親御さんになると難しい。本来は親子の会話の中で、しつけの中で人間の生きるすべを親御さんが教えていかないといけないと思うのですが、その辺のところが最近非常に問題なのですよね。ですので、親御さんに対してどうやって広めるかということは大きな課題だと思います。

○今原委員

 私は、高齢者の方が人権に対する認識が足りないのではないかと思っています。むしろ若者に期待しております。少数意見に耳を傾けるということが民主主義の良いところだと私は思っていますので、そうなればマイノリティの問題も解消されるでしょうし、その点についても若者達に大いに期待したいと思っています。

○炭谷座長

 予定した時間がまいりました。いろいろな問題があり、また貴重なご意見が沢山出ました。まだご発言されたい方が沢山いらっしゃるだろうと思いますが、次回の懇話会に繋げていきたいと思っております。必ずしも一致した意見ではないと思いますけれども、今後の県の人権啓発活動に活用、参考にしていただければありがたいと思います。それでは最後に、事務局から連絡事項ございますか。

○事務局

 本日は貴重なご意見をたくさんいただきましてありがとうございました。次回の開催予定は、平成28年度の第1回といたしまして、今年の8月頃を予定しております。近くなりましたら、日程等につきましてはご連絡させていただきますのでよろしくお願いいたします。

○炭谷座長

 では本日の懇話会はこれで終了させていただきたいと思います。皆様どうもお疲れ様でございました。

会議資料

資料1-1 「共に生きる地域をめざして」レジュメ [PDFファイル/174KB]

資料1-2 神奈川県による統計(2014年度) [PDFファイル/114KB]

資料2-1 人権啓発事業のうちの「人権啓発イベント」の見直し案について [PDFファイル/270KB]

資料2-2 「公権力と国民との関係における人権問題」と「国民相互の関係における人権問題」について [PDFファイル/108KB]

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神奈川県

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