「ワーク・ライフ・バランス」と「テレワーク」の関係

掲載日:2016年7月28日

 「テレワーク」とは、「ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことです。政府が6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太の方針)」「日本再興戦略2016」「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」等、「テレワーク」という言葉が各所に記載されています。

 日本は、少子高齢化が30年以上続いたことで、生産年齢人口が減り、支えるべき高齢者が増え続けます。今、様々な少子化対策が功を奏し、生まれる赤ちゃんの数が増えたとしても、その子どもたちが「働く世代」の中心になるには、まだ30年以上かかることになります。

 そんな日本において、これまでのように、会社が決めた「場所」に、決められた「時間」に来られない人は働けない、という状況では、国はもちろん、企業も労働者も大変なことになります。そこで、働く「場所」や「時間」を柔軟にすることができれば、子育てや親の介護、病気やケガ、地方在住等で、「働きたくても働けなかった人」が、「働く」ことができる。また、「働き続けたくても働き続けられなかった人」が、「働き続ける」ことができる。言葉にするとややこしいですが、企業にとっても、働きたい人にとっても、とてもわかりやすいメリットをもたらしてくれます。これが、今、国や自治体が「テレワーク」の普及に力を入れている理由です。

 「テレワーク」は大きく2つに分類することができます。会社に勤務している人がテレワークをすることを「雇用型テレワーク」と言います。出張や営業等で移動中や移動先で仕事をする「モバイルワーク」のほか、子育てや親の介護のために自宅で働く「在宅勤務」もそのひとつです。また、企業に雇用されず、自営でテレワークをすることを「自営型テレワーク」と言います。自営業である「フリーランス」や、自宅で仕事を受注する「在宅ワーク」などが含まれます。

 では、今回のテーマでもある「ワーク・ライフ・バランス」と「テレワーク」はどういう関係にあるのでしょうか。

  ワーク・ライフ・バランスは、個人が、仕事と家庭のバランスをとりながら、どう生きるか、という非常に重要なコンセプト(考え方・視点)です。しかし、企業に雇用されている人は、「ライフ」を自分でコントロールできても、「ワーク」を好き勝手にすることはできません。会社との雇用契約のもとで働いているからです。

 「子育て(ライフ)」と「仕事(ワーク)」のどちらをとるか?・・・という選択に迫られた結果、今は「子育て」をとるしかないと、仕事をあきらめた人(特に女性)は少なくないでしょう。そして子育てが終わって、さあ仕事を再開しようとしても、長期のブランクにより、従来のような業務についたり、収入を得たりすることができません。

しかし、テレワークという新しい働き方が広がれば、

・会社を辞めずに、「在宅勤務」制度を活用して働き続ける(雇用型テレワーク)

・会社は辞めたが、「在宅ワーク」という形で働き続ける(自営型テレワーク)

という新しい選択肢が増えます。つまり、「ワーク・ライフ・バランス」を保ちつつ、仕事と家庭を両立できる人が増えることになります。

 私の「テレワーク」に関する講演では、いつもこのような話をします。

『ワーク・ライフ・バランスは、「人の生き方」です。

 ダイバーシティは、「社会のあり方」です。

 テレワークは、これらを実現する「働き方」です。』

 テレワークを長年推進してきた私でさえも、テレワークが「最良の働き方」だとは思っていません。会社に集まり、仲間と一緒に仕事をすることができるのは、とても幸せです。

 しかし、子育てや親の介護で、毎日出社できなくなる人が増えるこれからの日本においては、テレワークという「選択肢」がないと、国も企業も働く人も大変なことになるでしょう。

(執筆:株式会社テレワークマネジメント代表取締役 田澤 由利 氏)

神奈川県

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