審議結果
掲載日:2011年3月1日
様式3
次の審議会等を下記のとおり開催した。
審議会等名称 | 平成21年度 神奈川県環境放射線監視委員会 | ||
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開催日時 | 平成21年8月7日(金曜日) 午前10時から正午まで | ||
開催場所 | 災害対策本部室 | ||
出席者 | ◎ 稲 葉 次 郎 財団法人 環境科学技術研究所 相談役 森 内 茂 財団法人 原子力安全技術センター 特別フェロー 赤 羽 恵 一 独立行政法人 放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター ◎印は、委員長 | ||
次回開催予定日 | 未定 | ||
問い合わせ先 | 所属名、担当者名 安全防災局危機管理対策課 加藤、生天目 電話番号 045-210-3465 | ||
下欄に掲載するもの |
| 要約した理由 | |
審議経過 | (議題) (1)平成20年度原子力施設稼働状況等について (2)平成20年度県環境放射線モニタリングデータの評価について (安藤危機管理対策課長) それではこれより、稲葉委員長に神奈川県環境放射線監視委員会運営要綱第5条により議事の進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。 (稲葉委員長) それでは、議事に入りますが、その前に事務局より報告があるということですのでお願いします。 (事務局) ご報告事項2点ございます。 まずは、前回の委員会におきまして、委員からご指摘があったことがございました。 環境放射線の積算線量のガラス線量計の素子の数につきまして、前回まで2個ということでご報告させていただいておりましたが、3個と数を増やして調査をするようにとのご指摘がございました。 県では、平成20年度からガラス線量計の素子を2個から3個に増やしまして調査を実施いたしました。 その結果、本日の委員会では3個に素子を増やした結果でもってご審議いただくことになりましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 それからもう1点ございます。 横須賀には8局GNF-Jを囲むようにモニタリングポストがございますが、そのうちの1局の久里浜局を昨年度移設いたしました。 従来あった所から約3kmほど移動しまして、ちょうどGNF-Jの隣にあります、横須賀市の久里浜第二ポンプ場という所に土地をお借りしましたので、そちらに移設をしてございます。 移設期間は昨年平成19年の11月から本年の3月まででございます。 3月中旬から改めましてデータの収集を行っております。 以上でございます。 (稲葉委員長) ありがとうございました。只今の報告につきまして、何かご質問があれば。 よろしいでしょうか。移設された場所に関して、いずれ私ども見たほうがいいですかね。そういう機会をいつか作ることをお考えですか。 (事務局) では、今年度中にそのような機会を設けさせていただきまして、ご案内させていただきたいと思います。 (稲葉委員長) モニタリングにあたってポストの場所というのは重要な一つのファクターですので、一回見ておきたいと思います。 ありがとうございました。 それでは、議事次第に従いまして進めさせていただきたいと思います。 議題の(1)として、平成20年度原子力施設稼働状況等についてということがあります。 原子力施設の事業者から20年度の説明をお願いいたします。 まず、 (株)東芝原子力技術研究所の説明をお願いいたします。 (東芝) よろしくお願いします。 それでは、20年度の当社の施設について、ご報告いたします。 当社には2つの原子炉がございまして、まず一番目の東芝教育訓練用原子炉(TTR)ですけれども、こちらは、現在廃止処置中でございまして、運転は行っておりません。 次のページの放射線の管理状況について、ご報告いたします。 まず、気体廃棄物についてですが、ダストの方は4月から3月まですべて検出限界以下でございまして、放射能の放出はございませんでした。 排水の方ですけれども、排水はございません。 次に固体廃棄物ですけれども、一昨年度と変化はございません。 数字は21年3月31日現在、年度末の実績値になってございます。 原子炉の運転でございますので、廃棄物は特に発生しません。 汚染のない綿とかゴム手袋が多少発生する程度で、この間は処分をしていないということで、ドラム缶の増加はございませんでした。 ところで、ドラム缶の換算本数ということですけれども、200リットル換算してございます。 ここで、端数がございますけれども、これは200リットルのドラム缶でしたら、その中に半分入っていれば0.5本というようなカウントをいたしますので、そういう端数が発生しております。 また、ドラム缶に入らないものに対しましては、実際に寸法から推測いたしまして、200リットルあたりで換算すると何本になるという計算をしてございますので、当然このように端数が発生してまいります。 次は敷地境界における線量当量ですけれども、すべてバックグラウンドでございます。 次に被ばくの管理状況ですけれども、全員5mSv以下で被ばくはほとんどないという状況でございます。 次にもう一つの原子炉でございまして、こちらは実際運転しております東芝の臨海実験装置NCAというものでございます。 こちらの方は4月から3月まで、途中11月及び12月は点検で止まっておりますけれども、運転期間といたしましては、だいたい年間で400時間くらい、平均出力も非常に小さくて0.8ワット、最大でも50ワットというような小さな運転をしてございます。 次にこちらの放射線の管理状況についてご報告いたします。 まず気体廃棄物ですけれども、4月から3月まですべて検出限界以下でございました。 また排水につきましては、10月から12月、1月から3月と2回放流しておりますが、すべてこちらも検出限界以下のものを排出してございます。 量につきましては8m3以下とか、5m3とか非常に少量でございます。 次に固体廃棄物の状況ですけれども、こちらもドラム缶の増加はございません。 一昨年と同じ状況でございます。 次に敷地境界における線量当量率でございますが、こちらもすべてバックグラウンド程度という状況でございました。 次に被ばく管理状況ですけれども、こちらもすべて5mSv以下と非常に少ない被ばくで収まっております。 以上でございます。 (稲葉委員長) ありがとうございました。 東芝からのご報告に、何かご質問、コメント等がありましたらお願いいたします。 (教育訓練用原子炉について)廃止措置計画がなされていて、認可されていて、今後モニタリングの対象としてはどういう話になるんでしょうか。 廃止計画があって、それに従って廃止されると、モニタリング対象から外れるということですか。 (東芝) そうですね。そういう形になっております。 (稲葉委員長) そうすると、今、稼働中と稼動していなくて廃止ということで休止しているのとでは、対象としてはそんなに変わらない扱いになる。 存在し続けるから、モニタリングはしてという、そういう話になるんですね。 (東芝) 実質的には、廃止措置中ですので、ほとんど点検しかやっていませんので、ほとんど何もTTRから出ることはないです。 実質的に今運転していますNCAの方は、近い状態にあります。 距離的にですね。 ですからNCAの方が対象になるということです。 (稲葉委員長) わかりました。 たぶん、規制の観点からのあり方がちゃんと定まっていて、それに従ってなされていると思いますが、どんな存在になるのかなというのがあって、お聞きしました。 たぶん、ちゃんと決まっているのだと思うんですけれども。 何か技術的な点でありますでしょうか。 (森内委員) お話をお聞きしまして、運転している施設、していない施設とございますけれども、本質、モニタリングの結果そのものは非常に低いレベル、あるいは検出されないということで、特に異常があるというようなことは考えられませんので、特に私の方からは意見ございません。 (稲葉委員長) はい。よろしいでしょうか。 (赤羽委員) 固体廃棄物についてなんですけれども、この2年間変化がないという感じですけれども、3年ほど前には、固体廃棄物、フィルタに関して若干の増加が見られましたけれども、それ以降は運転のレベルが少ないので、廃棄物の増減がないというふうに考えてよろしいでしょうか。 (東芝A) そうですね。基本的に運転していないということで、廃棄物がないということになります。 (東芝B) ええ。定期的にやっていますので、だいたい2~3年毎に交換するというような形になりますので、今回、20年度はないんですが、21年度にはフィルタが出てきます。 (稲葉委員長) では、次に移りたいと思います。 (株)グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンからご報告お願いいたします。 (GNF-J) よろしくお願いします。 では、お手元の資料に従いまして、平成20年度の弊社の施設運転実績についてご報告させていただきます。 まず最初に、弊社におけるウランの出入りの説明から入らせていただきます。 この図の見方は、棒グラフが月次のウラン入出庫量、折れ線グラフがその在庫量を示しております。 昨年1年間の実績で入出庫につきましては、実績0の月や月に80tレベルの入出庫があるなど、各月の入出庫量がばらついております。 在庫量につきましては、近年、弊社構内には、400~500tのウランが常時保管している状況となっております。 以上が、ウランの入出庫の推移でございます。 それでは、次に排水、排気の説明に移らせていただきます。 左の図は弊社から工場排水として排水処理する水のウラン濃度を測定した結果でございます。 いずれも弊社の保有しております測定器の検出限界である3×10-4Bq/cm3以下で、これは例年と同じ状況でございます。 右半分の図は、排気中におけるウラン濃度の測定結果を示したものでございます。 こちらも弊社測定器の測定限界未満ということで、3.1×10-11Bq/cm3以下で、これも例年と同じ状況でございます。 それから、次のページに弊社の敷地境界での空間放射線測定について説明いたします。 弊社には構内2地点にヨウ化ナトリウムのシンチレーション検出器に相当する低線量計と電離箱の高線量計、これをセットにしたモニタリングポストを設置してございまして、常時測定を実施してございます。 実際には北側にNo.1、西側にNo.2を設置しておりますが、規格、機種は同一仕様のものでございます。 測定結果を次の4ページ目にまとめてございます。 これは昨年度の4月から今年の3月、1年間の月次結果をNo.1とNo.2のそれぞれについて数値とグラフ化したものを記載してございます。 表の見方は、神奈川県さんでのモニタリングとだいたい似た形式にしてございまして、一番上のセルが1時間の最大値、それから最小、その月の平均、それから年間での積算、そしてメンテナンス上の調整時間等でダウンしている時間といった形でまとめております。 No.1につきましては年間を通じて最大が48.2nGy/h、最小が20.5といった数値でございまして、12ヶ月の月平均レベルでは23.0でございます。 No.2につきましても、若干数値は異なりますが、ほぼ同等レベルで、最大が51.9、最小が26.6、月平均として29といった数値です。 それらを積算するとNo.1では0.2、No.2で0.25mGy/yという状況でございます。 累計の一番右に一昨年度までの全てのデータを集計した統計値を比較参考に掲げてございますが、今回の結果はその範囲内となっております。 以上が弊社のモニタリングポストの測定結果でございます。 次のページは、周辺の環境モニタリングとして試料採取し、ウラン濃度を測定するための弊社周辺の川、土壌及び海についての測定箇所を示したもので、測定結果は次ページ以降に纏めてございます。 次ページが海を除く、川と土壌の結果を取りまとめたものでございます。 1番から4番は周辺というよりむしろ、敷地内の境界4地点を参考に測定しており、それ以外は弊社周辺の土壌と弊社が工場排水している平作川での各地点から採取した測定結果でございます。 サンプリング頻度等の手法は協定上の取り決めに従い、四半期毎に実施し、そのうち弊社工場排水が平作川に注ぎ込む地点の川泥は毎回、第三者機関の(財)日本分析センターさんにも分析依頼しております。 また、年1回は全測定ポイントのサンプルについて、同じく第三者機関に分析をしていただいております。 これらの4四半期毎の結果を表で示しましたが、今回は、ほぼ弊社と第三者機関との数値がよく似た状況で、特に問題は無いと思います。 四半期毎での4回の測定で若干の変動はございますが、特異的に高い数値のものはなく、参考として集計した平成12年以降の8年間の統計データと比較して、今回の数値は全データとも過去8年間の変動の中にが入って、特に問題となる測定値はなかったと判断しております。 次の7ページ目でございますが、これは例年、年1回執り行っている、久里浜湾内における海水、海底にある泥、ならびにワカメの養殖場から採取した海産物の中に含まれるウランを測定してございます。 今回報告値で海底の泥につきましては、大体1μg/g前後の測定結果となっており、弊社と第三者機関との両者間にさほど差はなく、また、この8年間分の参考データの範囲に入っているということを確認してございます。 以上が周辺環境のモニタリング結果でございます。 最初のご挨拶にもございましたように、弊社では、昨年立て続けに2回のウラン飛散事故を発生させてしまいまして、それについての報告をさせていただきます。 事象そのものにつきましては、前回の委員会開催時に因果関係等々の詳細を報告してございますので、今回重複するよりも、むしろその時点で計画していたものがその後どうなったかというような弊社の取り組んできた、今日に至るまでの結果を中心にご報告させていただきます。 実際の事象についても、若干の補足はさせていただきますが、そういう方向にてご説明させていただきます。 まず、最初のページでございますが、昨年は7月9日と1ヶ月満たない翌月の8月8日に弊社の管理区域、加工施設内で、ウランを飛散させてしまいましたが、量的には7月はおよそ8g、翌月は18gレベルのウラン量でございまして、そこで作業していた作業員等が被ばくした事象でございます。 次ページに7月9日の事象について上段、8月8日を下段にして、施設の設備対応等の実績結果をまとめました。 それぞれのケースとも、左の列に対策前、右に対策後の状況を示してございます。 7月9日ですが、弊社には二酸化ウラン粉末を押し固めるプレス機(成型機)がございます。 その成型機の3メートルくらい上に、点検口がありまして、それを拡大した写真を示しましたが、胃袋みたいなL字の配管となっており、2階から落とし込んだウランを下の成型機に供給する機構をここで点検する仕組みとしております。 点検時には機械を停め、点検口の蓋を一旦外して、クリーンナップ後に確実に蓋を閉めてから作業するべきところを忘れてしまって、ウランを飛散させた事象でございます。 これは点検後の確認を行わないまま、生産再開してしまったという、いわゆるポカミスでございます。 これにつきましては右の方に掲げました対策を施しました。 まず、プレス制御盤にキースイッチで起動をON/OFFするものがありますが、このキーをOFFにして引き抜き、そのキーを上に持って行って点検口の施錠を解かないと蓋が開かない構造にしました。 一旦そこにセットしたら蓋を閉めない限りはそのキーが外せないようにしまして、確実に蓋が戻されたことをもってこの成型機が再起動できるよう、全ての成型機にこの処置をいたしました。 その外、色々な水平展開として、例えばフードのところにリミットスイッチを設けて、フードを閉めないままでは再稼動できないような、当社の加工施設の設備全般についてポテンシャルのあるものは、処置し完了してございます。 これが、7月の事象後の対策でございます。 8月の事象も左側が対策前、右が対策後を示しました。 左の赤く矢印で示した部分に隙間があり、これは床を上面にしたタンクがあるわけですが、写真に示すようにパイプがございまして、2階からの薬液をパイプを介して出入りさせております。 事象そのものは、2階にある過酸化水素水タンクというものを、その8月の夏季連休中に交換工事をする計画にしておりまして、そのタンクをリプレースする関係で、作業員が自発的に、過酸化水素水の中にある薬液を抜く作業を当日に実施し、その過程で、最初に少しずつ液を抜き、確認しながら慎重に実施しましたが、完全に全部抜き切ったであろうという、作業員の錯覚でもって2階タンクの蓋を開けたところ、若干そこに残っていた液が1階に流れ落ちて、水蒸気のような水煙が舞ったという事象です。 実際、この赤く示した隙間からウラン粉末を含んだ飛沫が周囲に漏れ出たもので、試算量としては、およそ18gのウラン量に相当しますが、そこでの作業員が被ばくしたというものでございます。 対策として、ウランを含んだものが漏れないように気密構造、且つ、タンク内を換気することにし、気密の蓋をして換気ダクト等の施工後、対策を完了してございます。 以上が当該事象2件の対策前後状況でございます。 それでは、前のページに戻らせていただきます。 本事象を踏まえ、当該工程の改善だけではなく、それらのポテンシャルのある、いわばウランを取扱うすべての総点検等、網羅的に摘出し、必要となる対策等を1年がかりでやってまいりました。 ハード以外の管理面を中心とした再発防止策につきましては、2回目の事象で、本来は、夏休みにやる工事ということを関係者に周知徹底せず、知らずに作業者判断で実施して事故に至ったという不適合がございました。 再発防止のための対策として、実作業そのものの管理改善以外に、そういう危険因子がないかどうかを摘出して、それらを徹底的に予防するために組織そのもの、人材育成の立場から、安全文化の醸成、定着といったことを、この1年執り行ってまいりました。 一部は今後継続してやるべきものでございますが、継続して実施中というものを含め、このページに状況を示しました。 この1年間の具体的な実施例を、3ページ目以降、写真が中心になりますが、説明させていただきます。 まず作業指示の徹底でございまして、朝礼等は従来から執り行っている訳でございますけれども、これにボードを設けて周知徹底を図るということで、朝礼の作業前ミーティングで指示する側と、やる側との横の繋がり、縦の繋がりを徹底し、認識し合って作業するということにし、この方式は昨年の9月から実施しております。 下段は、組織体制、人材育成等について、管理する立場とか作業する場合のショップリーダー、それらの各々の役割等を再定義して、育成の場を設けるようにしました。 ショップリーダー会と言う新たな会合や工場を離れたオフサイトの場とか、色々な場を設けて、やってまいりました。 これは、本年2月に実施した時の写真でございます。 最後のところに掲げてございます、安全文化の醸成と定着というようなことも、取り組んでおります。 コミュニケーションを良くしていこうということで、定期的に課長、主任クラスの勉強会等々をやっているのと、下段につきましては、第三者機関、日本原子力技術協会のピアレビューを受けたり、あるいは労基署の署長さんに研修会を開いていただいて、周知徹底するなり、色々取り組んでまいりました。 最後でございますけれども、(事故のあった)8月8日は弊社の安全の日と定めて、本事象を風化させず、徹底して安全を再認識する日としました。 今年は休日の関係で、本日(8月7日を)、最初の安全の日として、社長の訓示をはじめ、ヒヤリハット、構内外における清掃活動等のイベントを正に執り行っております。 以上でございます。 (稲葉委員長) ご説明いただきましてありがとうございました。 ただいまの報告に対して、何か御質問等ありましたらお願いいたします。 被ばくされた方のその後は如何でしょうか。 (GNF-J) 被ばく者の状況ですけれども、7月9日は1名、これは成型工程で夜勤の朝方起きた事象で、1名が被ばくしました。 内部被ばくに相当する測定結果は、1.1mSv相当でございました。 それから8月8日は、作業員ら4名でございますけれども、一番高かった被ばく者のレベルが1.9mSv、一番低いのが0.1mSvというレベルでございます。 国が定める限度値というのは、年間50mSvとか、あるいは女子については3ヶ月5mSvなどの数値がございますが、そういうしきい値レベルからすると、最大でも 1.9mSvであり、また被ばくマニュアルで事業所の記録レベル対象としているのは3ヶ月2mSv相当ですので、これらのレベルにも満たない状況ですので、被ばく量そのものはかなり低い状況であったと言えるかと思います。 しかしながら、通常のルーチン作業では有り得ない、起こしてはならない事象で被ばくしたという観点で、直ちに本人の被ばく量を測定したり、医師の診察等を実施してまいりました。 医師の診察につきましては、メンタルケアも含めて、1回だけではなく継続してその後、フォローしてまいりました。 被ばくした本人は至って健康で、全員、今日に至るまで平常通り元気に働いております。 被ばく状況につきましては、以上でございます。 (稲葉委員長) ありがとうございました。 細かい話ですが、周辺環境モニタリング結果、サンプリング測定の中で、7ページの久里浜湾内での海底堆積物の測定結果が出されておりますが、今年度は地点で14、15、16があって、それぞれ誤差を考えるとたいした違いではないのだけども、0.5、0.7、1.3、このポイントで違ってくるというのは何か理由が考えられますでしょうか。 (GNF-J) 実際私も責任者としてサンプリングに立ち会い、実作業しておりまして、海に限らず川等から採取する時に、全く同じ地点で3ヶ月ごとに執り行っているんですけれども、採取したものは、ある時はすごく砂地であったり、粘土質であったり、色々な形態があり、いつもそこの地点の土壌というものは全く同じ性質という訳ではなくて、何らか変動するというようなことを目の当たりにしております。 また例えば、大きな台風などがくると、河口からかなり奥の方まで川底の様相が変わるというようなことも言われたりしておりますので、そういう変動は若干あっても然るべきではないかと思っております。 サンプルそのものが全くの同質ではないというようなことからして、こうした状況にあるのではと考えております。 (稲葉委員長) わかりました。 海水はそんなに変わってこなくて、沈積物になるとそういうことがあるのかなと。 ご説明了解いたしました。 他に何かありましたら。 (赤羽委員) 今のですけれども、年の変動を見ますと同じような傾向が見られます。 海底のNo.16のデータもどの年度でも高いという傾向がありますので、そういう絶対値だけでなくて、ここはこういった傾向なのだといったところも、把握しながら変動は見ていった方がいいかと思います。 (稲葉委員長) 他に、よろしいでしょうか。 (森内委員) 敷地境界における空間放射線測定結果ですが、これを見せていただきましたところ、非常に安定に測定ができているということで、異常は特に観測はされておりませんが、例えば、先程の1時間最大値、48.2とか51.9とかいうのがありましたけれども、これは1時間の中での最大の線量率なのか、それとも1時間の中での測定結果の平均値なのか、いかがでしょうか。 (GNF-J) 大変申し訳ございません。明確に確認した後に、ご回答したいと思います。 (森内委員) 非破壊検査のようにピークが短時間ですと非常に高くなりますし、時間平均しますとかなり低くなりますので、その辺の情報をもし、教えていただければと思います。 それから、先程からウラン濃度測定結果についてのお話がございましたが、非常に第三者との比較がよく一致しているなという感じはしております。 これは当然のこととは思いますが、2つのサンプルをとってというのではなくて、1つのサンプルを2つに分けてそれぞれの機関で分析するというような方法を取られているんでしょうか。 (GNF-J) まず、形態が2つ、液体と固体に分かれますが、水の場合には全く同じと考えた方がよろしいかと思っております。 というのは、大きなサンプル容器をまず汲み上げて、とも洗いした後、一括してサンプル採取した中から各分析所用に小分けしております。 液体ですので、当然均一化しやすい状態にあると考えております。 一方、固定である泥については、測定するそのものの対象がやはり、ミクロ的にいえば違うものを測っているということになろうかと思います。 但し、同時に採取した1つのパック、およそ手の拳程度のものですが、これを各分析所用に分けていますので、さほど違わないはずではありますが、水のように均一ではないという程度の違いは存在するものと思っております。 (森内委員) わかりました。 サンプルを別々に取って分析したのではないということですね。 (稲葉委員長) よろしいでしょうか。 今度はウラン飛散事故の報告について何かご質問あれば。 (赤羽委員) 内部被ばくの線量評価についてお聞きしたいのですけども、内部被ばくの線量評価、非常に難しいと思うんですが、どのような形で1.1、1.9というような数字を評価されたのでしょうか。 (GNF-J) 当社には2つの方法しかございませんが、鼻スミヤテスト(ろ紙で鼻の粘膜を綿棒でふき取って採取し、その放射能を測定するもの)とバイオアッセイ法による尿検査でございます。 特にフルボディカウントのような高度なものは持ってございませんが、この1年前のデータは尿検査と鼻スミヤの両者の結果を示してございます。 (赤羽委員) 鼻スミヤを定量化するのは非常に困難だと思うのですが、バイオアッセイデータからの計算ということになると思いますけれども、いわゆる事故の時間は正確にだいだい分かっているので評価できたと考えてよろしいでしょうか。 (GNF-J) さようでございます。 確かに体内被ばく量は時間とともに減衰してしまいますので、採取時間が鍵となります。 尿検査は測定に時間がかかりますが、被ばく者からは何時採取したか、測定とのタイミングとは関係なく、できるだけ回数を増やし時間をパラメーターに採取して、時系列的に測定結果がどう変わるかなどをポイントにしました。 確かに測定は難しく、かつ、色々と評価が難しい部分がございますが、なるべくきっちりデータが取れるような体制で測定し、評価しました。 (稲葉委員長) ありがとうございました。 次に移りたいと思います。 議題(2)に移ります。 県の方から平成20年度の環境放射線モニタリングデータ結果について説明をお願いいたします。 (事務局) それではご説明申し上げます。 資料3をご覧ください。 平成20年度の空間放射線測定結果でございます。 これは県が設置しております川崎市内の5局、横須賀市内の8局の計13局の測定局、モニタリングポストあるいはモニタリングステーションと呼ばれておりますが、そこで計測した結果の一覧でございます。 1枚目には川崎市内、その裏面には横須賀市内での結果が記載してございます。 まずは表の成り立ちでございますが、一番左に測定局名が書いてございます。 測定局ごとに集計項目が5つございます。 上から1時間最大値、1時間最小値、月平均値、積算値、これは1ヶ月の合計値です。 最後の調整時間といいますのは、何らかのトラブル等で測定ができなかった時間でございます。 以上5項目の平成20年4月から本年の3月までの月ごとの計測結果をまとめたものでございます。 そして表の右側には、平成20年度の年間を通した最大、最小、平均及び積算値、並びに調整時間を記載してございます。 最後に一番右に、平成18年度及び19年度の2ヶ年度における年間値を比較できるように参考に記載してございます。 それでは、1時間最大値からご説明申し上げます。 川崎市の一番上の行の千鳥局の8月をご覧いただけますでしょうか。 220.2という数字が出てございます。 単位はnGy/hでございます。 この数字につきましては1年を通しまして、川崎、横須賀を通じましてもこの平成20年度で一番大きな値となってございます。 この1時間最大値に関しましては、資料を1枚おめくりいただきますと、モニタリングポストで線量率上昇を観測した平成20年度での件数を示した表がございますので併せてこちらもご説明させていただきます。 この表につきましては、1番下の計の行をご覧いただけますでしょうか。 モニタリングポストでの線量率上昇に関する警報の発生件数が年度間で26件、それから線量率の上昇を観測した件数が150件となってございます。 これらは前年度の平成19年度と比べますと、発生件数としては増えておりますけれども、警報が鳴るような大きなものというのは減っていることを示してございます。 この線量率の上昇を観測した理由でございますが、これにつきましては、いずれの場合につきましても非破壊検査であると県の衛生研究所のMCA解析の結果から推定されております。 それでは1枚前の表に戻っていただきまして、平成20年度の年間値の列をごらんいただけますでしょうか。 右から2番目の列でございます。 それでは平成20年度間の各局の合計値である年間積算値をご覧ください。 まず川崎市では年間積算値が一番低いところが一番上の千鳥局で0.20mGy/y、一番高いところが下から2番目の塩浜局で0.37mGy/yとなっておりますが、公衆の年間の線量限度であります1mSvを十分に下回っている結果となってございます。 次に裏面の横須賀市ですが、年間積算値が一番低いところが一番上の久里浜局で0.14mGy/y、一番高いところが一番下の長沢局で0.29mGy/yとなっておりまして、こちらも公衆の年間の線量限度を十分に下回っている結果となってございます。 資料3のご説明につきましては、以上でございます。 続きまして、資料4をご覧下さい。 1ページでございますが、これは平成19年度から20年度にかけまして神奈川県が実施いたしました環境放射線積算線量の調査の結果でございます。 測定対象としております測定局は先ほど資料3にありました13局のうちの5局、川崎の浮島、殿町、千鳥、それから横須賀の久里浜、日の出町でございます。 それでは、次ページ以降に詳細のデータがございますので、2ページをおめくりください。 環境放射線積算線量調査にはガラス線量計素子を用いますが、素子の設置期間により調査は2種類がございまして、2ページには平成20年度1年間を通じて調査した結果が記載してございます。 ガラス線量計素子の設置期間は平成20年3月28日から本年3月27日までの366日間でございます。 但し、久里浜局につきましては、先程申し上げましたとおり移設工事の期間がございまして、欠測期間がございました関係から、久里浜局につきましては、263日間の設置期間となっております。 その設置期間内に積み重ねられた積算値が表の中央の列に記載されております。 なお、これも冒頭申し上げましたが、今回の平成20年度調査分から1局あたりのガラス線量計素子の数を従来の2個から3個に増やしておりまして、このことにより、素子数が2個の場合よりも高い精度での把握が可能になったと考えております。 次に積算値を他の年度と比較できるようにするため、365日、つまり1年間に置換えました365日換算値を表の一番右の列にお示しをしてございます。 この365日換算値をごらんいただきますと、一番高いところでNo.(1)の川崎の浮島局の素子Bが522μGy/yとなっておりまして、この数字も先ほどの空間放射線測定結果と同様、公衆の年間線量限度1mSvを十分に下回っている結果となってございます。 3ページ以降は、四半期ごとに素子を回収して調査した結果が記載してございます。 ガラス線量計素子の設置期間は第1四半期から順に93日、91日、90日、92日となってございます。 久里浜局につきましては、先程申し上げましたとおり欠測期間がございまして、第4四半期には測定を行っておりません。 四半期ごとの積算値も他の四半期と比較できるようにするため、91日、つまり1年365日を4等分しました91日換算値を表の一番右の列にお示しをしてございます。 この91日換算値をごらんいただきますと、一番高いところでNo.(1)の川崎の浮島局の素子B及びCの第4四半期に係る値が109μGy/91日となっておりまして、この数字を4倍しましても先ほどと同様、公衆の年間線量限度を十分に下回っている結果となってございます。 ご報告は以上でございます。 (稲葉委員長) ありがとうございました。 ただいまの県の報告に関しまして、何かご質問があればお願いいたします。 (森内委員) 先程、グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパンさんにつきましてもご質問申し上げたんですが、ここで1時間最大値というのは1時間平均最大値なのか、その他の、例えば実効データがありますとその中の最大の値なのか、どちらでしょうか。 (事務局) 県につきましては、1時間の平均の最大値でございます。 (森内委員) 1時間平均の最大値ですね、わかりました。 (森内委員) それから、追加してよろしいでしょうか。 積算線量についての質問なのですが、年間を通して19年度から20年度にかけましての積算線量の図が示されておりますが、冒頭の説明では(ガラス線量計を)2個から3個にしたということで、ガラス線量計の方の誤差範囲というのは小さくなったと思いますが、この結果を見ますと、非常に大きな変動が出てしまっています。 通常はこの変動というのは環境が大きく変わらなければ変わることはないと思いますけれども、全体を見ますとそのうちの1箇所が高いとかではなくて、全体的に同じ傾向で変化しておりますね。 これは何か原因としてお考えになっていることがございますでしょうか。 (事務局) すみません、ここのところは私どもも十分に把握していなかったところでございまして、次回までに実際に測定を行っている事業者と協議を進めたいと思っております。 実際に2個のときの変動と3個になったときの変動も、もう一度重ね合わせた段階で改めてデータを眺めてからご回答申し上げたいと思います。 (森内委員) はい、このデータを見させていただきますと、3素子の値も一緒に示されておりまして、これを見る限りでは素子間の変動も非常に小さいと思いますが、ただ、絶対的に大きくなってしまうのは気になるところです。 もしわかりましたら、教えていただきたいと思います。 それに関連しまして全く同じ場所での測定かどうかはわかりませんが、モニタリングステーションでの空間放射線測定結果の方の月々の変化を見ますと非常に安定して、変化しておりませんので、これと積算線量との方の違いも理解しかねるところがございますので、もしわかりましたら後日お知らせいただきたいと思います。 (稲葉委員長) 今の森内先生のご質問、難しいかとは思いますけれども、よろしくお願いいたします。 サンプリングのモニタリングですと結構季節変動というのが出てきやすいものですが、この場合にはそういうのではない要因が働いている気もいたしますので、何かわかりましたらよろしくお願いいたします。 それ以外に何かどうぞ。 (赤羽委員) ガラス線量計が2個から3個になったのは何よりと思います。 これを見ますとほぼ3つの間の差はないように見えるのですけれども、浮島局がほかと比べますとい若干素子間の差があるように感じられます。 置き方はどの所も同じような形でくっついて置いているのでしょうか。 (事務局) いずれも同じような置き方はさせていただいております。 (赤羽委員) わかりました。 絶対値が小さいので、変動の差といってもそれほどはないと思います。 (稲葉委員長) よろしいでしょうか。 時々高い線量率を空間放射線では計測しておりますがそれは非破壊検査の影響を受けているものでありますということで、全体としては低レベルであったということを確認しましたということでよろしいでしょうか。 それでは「平成20年度神奈川県環境放射線モニタリングデータの評価結果について」ということで、評価結果を出す必要があろうかと思っております。 事前に事務局から案が提出されておりますので、それを元にして考えたいと思います。 事務局で読み上げていただきたいと思います。 (事務局) はい。かしこまりました。それでは読み上げさせていただきます。 平成20年度神奈川県環境放射線モニタリングデータの評価結果について(案)でございます。 神奈川県環境放射線監視委員会において検討、評価した結果は次のとおりである。 1 県内原子力施設起因の放射線による施設周辺住民等の被ばく線量は、公衆の年間線量限度(1mSv)を十分に下回っており、非破壊検査など自然でないものも検知されているが、周辺住民等への線量としてみれば、周辺住民等の健康並びに安全上、問題となるものではない。 2 県内原子力施設周辺地域の放射線による影響は、自然放射線の変動範囲内である。 以上でございます。 (稲葉委員長) ありがとうございます。ご意見がありましたらよろしくお願いいたします。 (森内委員) この内容は毎年同じでしょうか。 (事務局) はい。 (稲葉委員長) それでは、いろいろな表現があろうかとは思いますが、実質的にモニタリング結果の状況等々が例年とそれほど変わっていないものですから、従来の言葉をそのままにしたいと思いますが、よろしいですか。 (各委員) 了 (稲葉委員長) それでは、これを評価についての結論にしたいと思います。 それでよろしいですか。 (事務局) はい。 (稲葉委員長) それでは、最後に議題の(3)でその他ですが、何か県あるいはほかのご出席の方でご報告すべきことがありましたらよろしくお願いいたします。 よろしいでしょうか。 なければ予定しておりました議事を終了いたしましたので、これでもって司会にお返しします。 (安藤危機管理対策課長) 稲葉委員長、長い時間どうもありがとうございました。 それではこれをもちまして、21年度の神奈川県環境放射線監視委員会を閉会いたします。 本日は、委員の皆様ならびに関係者のみなさま、どうもありがとうございました。 |
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