かわさきFM 川崎県民センター情報 放送アーカイブス 平成29年5月10日放送

掲載日:2017年5月10日

県立金沢文庫 特別展「国宝 金沢文庫展」のご案内

電話出演者:県立金沢文庫 西岡 芳文(にしおか よしふみ)

問:川崎県民センターの廣瀬さんにスタジオにお越しいただいていますが、今日は、どんな情報ですか。

廣瀬:県立金沢文庫で現在開催中の特別展「国宝 金沢文庫展」のご案内をしたいと思います。
金沢文庫は川崎から少し距離がありますが、京急川崎駅から30分くらいで最寄りの金沢文庫駅に着いてしまうので、意外と行きやすいです。
私も先週行ってまいりましたが、とても充実した展示内容でした。隣接するお寺の庭園もきれいに整備されていて、過ごしやすい今の季節に是非訪れていただきたい所です。
それでは、県立金沢文庫の西岡 芳文(にしおか よしふみ)さんとお電話がつながっていますので、詳しく聞いてみましょう。

問:県立金沢文庫とは、どんなところなのでしょうか。

西岡:県立金沢文庫は、鎌倉時代に北条氏が建てた金沢文庫を記念して、昭和五年(1930年)に神奈川県が創設した歴史博物館です。
蒙古襲来に直面した文永四年(1267年)ごろ、鎌倉幕府のブレーンであった北条実時(さねとき)が、金沢の別邸の隣に文庫を設け、蔵書を納めたのが始まりで、孫の貞顕(さだあき)が、京都に派遣されて六波羅探題を長年にわたって勤めたことから、京都に伝わる公家の古典や、中国から輸入された漢籍(かんせき)などの膨大なコレクションを作り上げ、金沢文庫は鎌倉で最も大きな書物のコレクションとなりました。
鎌倉幕府滅亡後は、蔵書の管理は実時が建てた菩提寺の称名寺(しょうみょうじ)に委ねられました。しかし、足利氏をはじめ、時代ごとの権力者が、武家文化の象徴として金沢文庫本を求めたことから、蔵書はほとんど散逸し、全国各地の文庫や図書館で大切に保存されています。
現在の県立金沢文庫は、称名寺に残されたわずかな金沢文庫本と、称名寺が大切に守り抜いた「聖教」(しょうぎょう)と呼ばれる仏教の書物2万点余り、そして鎌倉文化を代表する称名寺に伝わった彫刻・絵画・工芸品などを保管し、博物館として公開しています。

問:現在、特別展「国宝 金沢文庫展」が開催中とのことですが、どんな展示になっているのでしょうか。

西岡:「国宝 金沢文庫展」は、昨年8月に「称名寺聖教・金沢文庫文書」2万点余りが一括して国宝に指定されたことを記念して、聖教・古文書だけでなく、「四将像」(ししょうぞう:金沢北条氏歴代の肖像画)と「文選集注」(もんぜんしゅうちゅう:中国の古典文献の注釈書)を合わせて、金沢文庫で保管する国宝を一挙に見ていただこうという企画です。6月18日まで開催しております。

問:今回の特別展は、称名寺(しょうみょうじ)の聖教(しょうぎょう)が国宝に指定されたことを記念して開催されているそうですが、この国宝指定に至るまでにはスタッフの皆さんのいろいろなご苦労があったのではないでしょうか。

西岡:「称名寺聖教」と「金沢文庫文書」は、もともと一体のもので、中世の学僧たちが、手紙の裏側を利用して写本を作ったものです。金沢貞顕の手紙など、歴史的に貴重な資料が多かったことから、文書の方を表にして整理したものが「金沢文庫文書」として一括され、約4200通あります。残りの「称名寺聖教」は、さまざまな形状の中世の書物で、大きなものから小さな断片まで含めて、16,000点以上あります。
ちゃんとした本の形をしているものは良いのですが、断片になって何が書いてあるのか分からないようなものをつなぎ合わせ、目録をとる作業に20年ぐらいかかりました。
歴史・仏教・文学などの外部の若手研究者に大勢加勢していただき、ようやく目録が完成し、文化庁に提出して国宝に指定されました。

問:展示品は、主に鎌倉時代のものだというお話ですが、それらが作られた時代背景は、どんな様子だったのでしょうか。

西岡:金沢文庫が創建された時代は、蒙古襲来に直面し、日本中が極度の緊張状態にありました。軍事指揮権をもち、朝廷から国土の防衛を任されていた鎌倉幕府は、対外戦争に備えるため、内政も掌握する必要があり、実質的に日本の政治を動かしていました。「金沢文庫文書」には、鎌倉時代の終わりごろに「執権」という幕府のトップになった金沢貞顕が、幕府の内情をつづった手紙や、幕府が国政を牛耳ることに反発して行動を起こし始めた後醍醐天皇の動向など、鎌倉時代の終末期の状況を示すリアルな情報が残されています。
称名寺聖教は、中世の仏教をそのままタイムカプセルに封印したような状態で伝えられたことから、日本の仏教の歴史を考える上で最も重要な資料群として注目されています。華厳や戒律などの高度な理論的な学問から、現世利益を追い求めるまじないや呪術まで、中世の人々の信仰や世界観を知ることができます。また鎌倉仏教と呼ばれる新しい仏教運動の様子を示す資料が沢山含まれているのも貴重で、法然や道元・一遍などの有名な開祖たちの資料が残されており、日蓮が17歳の時に千葉県の清澄山(きよすみさん)で写した本も含まれていて、戦前に発見された当時は大ニュースとなりました。

問:実際に展示会場で、このような詳しい説明をうかがえるような機会はあるのですか。

西岡:展示解説は、土曜日と日曜日の2時と3時にボランティアスタッフによって展示室内で実施されます。また担当者によるさまざまな解説講座も用意されております。詳しい日程は金沢文庫のホームページや「県のたより」などでお知らせしています。

問:西岡さんは、今回展示されている国宝の中では、どれを特に皆さんに鑑賞してほしいと思われますか。

西岡:今回展示されている国宝のうち、まず「四将像」を御覧ください。金沢文庫を作り上げた金沢北条氏の歴代の人物の容貌を見ることができます。鎌倉時代の政治を動かした北条一門は、歴史的に重要な役割を果たしたのですが、一族滅亡したために、同時代の肖像画が残されていません。金沢北条氏だけは、菩提寺の称名寺で大切に保存されてきたために、現代まで残されてきたのです。全部を一挙公開するのは十年ぶりぐらいになりますので、滅多にないチャンスだと思います。
また新しく国宝になった古文書や聖教については、さまざまな切り口で注目すべき資料を並べています。紙背文書(しはいもんじょ)と呼ばれる、書物の裏側から出現した中世の手紙には、普通の古文書とは違い、パズルのような複雑な手続を経て復元されたものが多く、その作業の途中でさまざまな発見がありました。なかなか言葉では説明できない聖教と古文書の関係について、実物を御覧になれば、すぐに理解できるように展示してあります。歴史の素材を加工する面白さを味わっていただければと思います。

問:それでは、改めて、県立金沢文庫の利用方法と、特別展「国宝 金沢文庫展」の開催時期などを教えてください。

西岡:金沢文庫は、月曜日が定休日で、開館時間は朝9時、閉館時間は午後4時30分で、入館は4時までとなっております。「国宝金沢文庫展」は6月18日までですが、だいたい2カ月ごとにテーマを替えてさまざまな展覧会を開催しておりますのでぜひお出でください。
観覧料は、一般の方は500円、20歳未満および学生は400円、高校生は100円、中学生以下は無料。65歳以上の方は、証明書を提示の上、200円です。

問:最寄り駅から県立金沢文庫への行き方と、詳しく知りたいときの問い合わせ先を教えてください。

西岡:金沢文庫へ行くには、京急・金沢文庫駅から徒歩13分です。駅に案内図が掲示してありますので、ご参照ください。またシーサイドライン海の公園南口駅からも13分ほどでお越しになれます。
お問い合わせは県立金沢文庫、電話045-701-9069です。

問:最後にリスナーの皆さんに何かメッセージをお願いします。

西岡:金沢文庫は、国指定史跡・称名寺境内に隣接しておりまして、金沢貞顕の時代に作られた浄土庭園が復元されています。史跡探訪と合わせて中世の鎌倉文化を体感していただけます。また、裏山に登ると、東京湾から三浦半島、鎌倉、房総方面を一望にすることができ、鎌倉の重要な港湾として栄えた六浦津(むつらのつ)の景観を知ることができます。1時間もかからない程度の山歩きで、鎌倉の東のカナメであった六浦・金沢を一望してください。


県立金沢文庫 特別展「国宝 金沢文庫展」に関するお問い合わせ

県立金沢文庫

所在地:〒236-0015 横浜市金沢区金沢町142

電話:045-701-9069

ファクス:045-788-1060

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