かわさきFM 川崎県民センター情報 放送アーカイブス 平成29年4月5日放送

掲載日:2017年4月5日

「県立神奈川近代文学館 正岡子規展」のご案内

電話出演者:県立神奈川近代文学館 鎌田 邦義(かまた くによし)

問:川崎県民センターの廣瀬さんにスタジオにお越しいただいていますが、今日は、どんな情報ですか。

廣瀬:「神奈川近代文学館 正岡子規展のご案内」をしたいと思います。県立神奈川近代文学館は、横浜山手の港の見える丘公園にあり、緑豊かで散策するのにとてもお薦めの場所です。神奈川近代文学館では、今年で生誕150年を迎える「正岡子規展」が開催されているということで、神奈川近代文学館の鎌田 邦義(かまた くによし)さんとお電話がつながっていますので、どんな展示になっているのか詳しくきいてみたいと思います。

問:神奈川近代文学館とは、どんなところなのでしょうか。

鎌田:神奈川近代文学館は、神奈川県ゆかりの作家や文学作品に関連する肉筆資料・書籍・雑誌の収集や展示を行う博物館、日本近代文学専門の図書館、講演会などを開催するイベントホール、という三つの機能を併せ持つ国内屈指の総合文学館として、神奈川県が1984年(昭和59年)に設置し、県出資の公益財団法人神奈川文学振興会が運営を行っています。これまでに収集した資料は百万点以上に上ります。文学館のある横浜の山手地区は横浜港を一望できる緑豊かな小高い丘陵になっており、「港の見える丘公園」の一画、横浜ベイブリッジを見下ろす高台に文学館は建てられています。

問:現在、特別展「生誕150年 正岡子規展 ――病牀六尺(びょうしょうろくしゃく)の宇宙」が開催中とのことですが、どんな展示になっているのでしょうか。

鎌田:正岡子規は、今から150年前の1857年(慶應3年)に愛媛県の松山で、下級武士の子として生まれました。今回の展覧会では、わずか35年に満たない生涯に、俳句、短歌の革新、写生文による文章の革新などの業績を残した子規の生涯と作品を紹介しています。会場では、少年時代に子規が編集した回覧雑誌や、東京大学予備門時代以来の親友夏目漱石に宛てた手紙、俳句や短歌の原稿などのほか、晩年の随筆「病牀六尺」の原稿、そしてプライベートな日記として書いた「仰臥(ぎょうが)漫録」、絵が好きだった子規が実際に描いた絵画作品といった、数々の貴重な資料を展示しています。友人たちが病床の子規を慰めるためプレゼントした小物類なども展示していますので、子規を身近に体感していただけることと思います。開催期間は5月21日日曜日までです。

問:正岡子規は、晩年病に苦しみながらも、短い一生をとても精力的に生きた人という印象がありますが、今回の展示では、正岡子規のどんな魅力が紹介されているのでしょうか。

鎌田:会場全体をご覧いただくと、短かった生涯にも関わらず実に多くの仕事をし、日本という国家がこれから作られて行く時代を精一杯生きようとしたことが伝わってくると思います。子規は、明治21年、第一高等中学校時代に最初の喀血をしました。病は次第に重くなり、結核菌が脊椎にまで達する「脊椎カリエス」になって、最後の6年間は歩行も困難となりました。今回の展覧会で紹介している「病牀六尺」という随筆の中にこんな言葉があります。

「病気の境涯に処しては、病気を楽むといふことにならなければ生きていても何の面白味もない」

子規の随筆にはこれ以外にも読むものをハッと思わせる言葉がたくさんあり、展示会場ではそのいくつかを紹介して、子規の言葉の持つ魅力に触れていただけるようにしています。

問:鎌田さんは正岡子規のどんな部分が特に魅力的だと思われますか。

鎌田:まずその好奇心旺盛で博物学者のようなところです。子規の偉大な業績のひとつに「俳句分類」というものがありますが、これは室町時代からのちの俳諧の発句を徹底的に本から集め、季語別、用語別などによって分類したものです。この編集作業を通じて子規は自分がめざす理想の俳句を認識しました。ほかにも面白いところでは、学生時代に友人たちを性格や交友関係に応じて分類して呼び名をつけています。例えば、漱石のことは「畏友」(畏れ多い友?)と記しています。

もうひとつ魅力的なのは子規の手紙です。漱石や虚子ら友人、後輩、親戚たちにあてた書簡を何通も展示していますが、そこからは、結核の進行によって余命を意識しながら生きた子規がどんな思いでいたかがうかがえます。同時に、悲惨な境遇にありながらユーモアさえ感じられる文章には、読者のほうが励まされます。

問:今回の正岡子規展とあわせて、講演会などの関連イベントも開催されるそうですね。どのような内容を予定されているのですか。

鎌田:<子規をつなぐ>という総合タイトルのもと、講演会、朗読会などを5回開催します。

既にチケットが完売したものもありますが、現在お申し込みいただけるものをご紹介します。

4月22日土曜日 朗読会「子規 最期の一年」 講師=瀬戸口郁(俳優、劇作家)

5月6日土曜日 講座「子規の芭蕉」 講師=復本一郎(国文学者、本展編集協力)

5月20日土曜日 講演会「正岡子規-文学という夢」 講師=三枝昻之(歌人、文芸評論家)

いずれも午後2時開演です。料金はイベントにより異なりますので、館にお問い合わせいただくか、文学館ホームページをご覧ください。

問:関連イベントの中の「山会(やまかい)」とは、どのような内容なのですか。

鎌田:変わった名前の会ですが、これは子規の提唱で1900年(明治33年)9月に始まった文章を磨くための会です。会の名の起こりは、「文章には山がなければならない」という子規の言葉に由来します。子規は日本語の文章の革新にも取り組んだとさきほど申しましたが、子規は西洋絵画の手法である「写生」(スケッチ)の概念を文章にもあてはめ、見たまま、感じたままを言葉に置き換えて、誰でもが日常の発見や思いを綴れる「写生文」の普及を目指しました。子規と門人ら参加者は、山会に自作の写生文を持ち寄り、子規のまわりで互いに朗読をし、批評を交わしました。子規没後は高浜虚子が継承し、優秀作を俳句雑誌の「ホトトギス」に掲載しました。漱石の「吾輩は猫である」や伊藤左千夫の「野菊の墓」もこの山会で朗読され、「ホトトギス」に発表された作品です。山会は現在も、稲畑汀子さん主宰のもと続けられています。今回展覧会に合わせ文学館での開催となりました。

問:それでは、改めて、神奈川近代文学館へのアクセス、開館時間などを教えていただけますか。

鎌田:神奈川近代文学館へは、みなとみらい線の終点・元町中華街駅が最寄り駅になります。6番出口から徒歩約10分です。開館時間は午前9時30分から午後5時までです。入館は午後4時30分までとなっています。正岡子規展の観覧料は、一般の方600円、65歳以上と20歳未満及び学生の方は300円、高校生100円、中学生以下は無料です。お問い合わせは電話045-622-6666、または神奈川近代文学館ホームページをご覧ください。当館は、月曜休館ですが、ゴールデンウィーク中の5月1日は開館していますのでどうぞご利用ください。

問:最後にリスナーの皆さんに何かメッセージをお願いします。

鎌田:特別展「生誕150年正岡子規展」は、5月21日日曜日まで開催中です。全国の子規関係資料の所蔵館、御所蔵者から、多数の貴重資料をお借りして展示しています。明治という近代日本の変革期に生きた正岡子規の人間像に、この機会にぜひ触れていただきたいと思います。会場には、文学資料のほかに、子規が愛した渡辺南岳の「四季草花図巻」などの美術作品や、根岸の子規庵に保存され、今回初公開となる遺品類も展示しています。ゴールデンウィークの4月28日金曜日から5月11日木曜日には、子規が亡くなる前日に書いた「絶筆三句」の軸を2週間限定で特別に展示します。国立国会図書館所蔵の貴重資料で、オリジナルが公開されるのは極めて稀です。お見逃しないよう御案内申し上げます。港の見える丘公園の桜も満開を迎えようとしています。お花見かたがたぜひ御来場くださいますよう、お待ちしています。


「県立神奈川近代文学館 正岡子規展」に関するお問い合わせ

県立神奈川近代文学館

所在地:〒231-0862 横浜市中区山手町110

電話:045-622-6666

ファクス:045-623-4841

神奈川県

このページの所管所属は 県民局 くらし県民部 情報公開広聴課 です。