更新日:2024年3月13日

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平成28年度「黒岩知事との“対話の広場”地域版(川崎会場)」実施結果

平成28年度 黒岩知事との“対話の広場”地域版(川崎会場)の実施結果

H28対話の広場

集会の概要

日時

平成28年10月25日(火曜)午後6時30分から午後8時

会場

ソリッドスクエアホール

テーマ

人生100歳時代の設計図

地域テーマ

"川崎発"新時代の人生設計図

参加者 112名
内容
  • 知事あいさつ
  • 事例発表
    内田裕久(うちだ ひろひさ)氏(株式会社ケイエスピー 代表取締役社長)
    青木恵美子(あおき えみこ)氏(川崎市地域女性連絡協議会 会長)
  • 意見交換
  • 知事によるまとめ

知事あいさつ

こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。お天気の悪い中、わざわざお運びいただきまして、本当にありがとうございます。

本日のテーマは、「人生100歳時代の設計図」ということでありますが、この話をする前に、一つ皆さんにお話ししておきたいことがあります。この7月ですけれども、神奈川県では非常に残念な事件がありました。相模原で起きました津久井やまゆり園事件。障がい者はいなくなった方がいいというとんでもない間違った考えのもとに、障がい者の皆さんを残虐な形で殺すという信じられない出来事がありました。

そんな中で、障がい者の皆さんが大変不安に思っていらっしゃるということも聞いておりますので、「そんなことは絶対ない。我々はともに生きる社会をずっと目指してきたんだ。この思いを一歩も後退させることなく、さらに前に前に進めていくんだ」という力強い決意を示すために、神奈川県議会の皆さんとしっかりとご相談をしながら、そして障がい者の皆さんの声とか、いろんな家族の方の声とか、専門家の方の声を集めて、憲章というものをつくりました。

それをちょっとご紹介したいと思います。「ともに生きる社会かながわ憲章」ということです。

この悲しみを力に、ともに生きる社会を実現します。

一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします

一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します

一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します

一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます

ということであります。

この理念を、我々は神奈川県内にしっかり広げるだけではなく、日本全体に広げていきたいと考えておりますので、どうぞ皆さんのご協力もよろしくお願いしたいと思います。

それでは、今日のテーマに入りたいと思います。なぜ「人生100歳時代の設計図」というようなことを言っているのかですが、まずはこちらのグラフから見ていただきましょうか。

超高齢社会の到来

これは神奈川県の人口構成なんですね。1970年を見ていただきますと、きれいな人口ピラミッドです。85歳以上ってほとんどいらっしゃらなかったんですね、1970年というのは。

2050年になりますと、見てください、まったく逆の形になりますね。一番多いところが、なんと85歳以上という。今、この劇的な変化の途中にあります。

このグラフを見たときに、いろんなことが見えてまいります。何が見えるか。

医療のシステム、社会保障のシステムは、今のままでいるとすべて崩壊するということですね。これだけたくさんの高齢者がみんな病院に行ったら、病院が病院としての機能を果たすことすらできなくなりますね。健康保険証が1枚あったら、いつでも、誰でも、どこでも医療を受けられるという、こんな状態はもうとっても無理になります。だから、今のうちに変えなければいけないということですね。

そのためのキーワードが「未病」という言葉なんですけれども、今は、健康ですか病気ですかって、こう考えるのが普通ですね。健康か病気か。

未病とは_1

ところが、自分の実感から考えると、こんな健康か病気かっていう感じじゃないですよね。実はこっち。未病というのは、健康と病気との間ですね。なんとなくこのグラデーションの間を行ったり来たりしているというのが実感ではないでしょうか。

未病とは_2

病気になってから治すのではなくて、未病の状態はグラデーションですから、自分がどこにいるのかということを、どこにいても自分でそれを分かって、自分で少しでも白い方に持っていこうとすることが大事。

言い方を変えれば、病気にならなくするということですね。健康な時代を長くして病気にならなくすると、みんながハッピーになって、お互いを支え合えるということにもなりますね。これを目指していこうということです。

このためには「食」、「運動」、「社会参加」、こういったものが大事です。病気になってから病院に行って、薬をもらって治すのではなくて、普段の日常生活の中の食のあり方とか、運動習慣とか、社会参加。社会参加が入っているところなどが非常に重要なんですよね。

千葉県の柏市で、東京大学がいろんな高齢者の実態を調べたんですね。その時に、フレイルということが大きな課題でございました。フレイルというのは、虚弱、足腰が立たなくなってくるという。こういうふうになってくると、ご老人は外に出たくなくなるんですね。そうすると、閉じこもりきりになりますね。すると、体の状態がどんどん悪くなっていきます。

やっぱり外に出ていって、人と触れ合う。社会と接点がある。それと社会の役に立っていて、みんなに期待されてるんだ。そういう社会参加ということが、実は健康のために非常に重要な要素だ。こういうふうな発表があって、それを神奈川県は取り入れて、3つの要素にしているわけなんですね。

こういうことを考えていくと、この先どんなことが起きてくるのかなと考えたときに、超高齢社会がどんどん進んでまいりますね。今、100歳以上の方が、日本全国で6万人を超えています。これが2050年になりますと約70万人になります。142人に1人が100歳以上ということですね。2050年は、私がまだ100歳に届いていないんですけれども、それでも142人に1人が100歳以上という、そんな時代が来るんですね。

そんな時代はちょっと困ったな、なんて思ったらいやじゃないですか。せっかくみんなが長生きできる時代が実現するわけですから、それはやっぱりハッピーに過ごしていきたいじゃないですか。そのためには、健康になればそれで良いというだけではなくて、どうやって生きていけばいいのかという、いわゆる「人生100歳時代の設計図」というものが必要なんじゃないでしょうかね。

もちろん、これは100歳まで生きなければいけないと言っているわけではないのです。残念ながら若くして亡くなってしまう方もいらっしゃるわけですよね。多様な生き方があるんだけれども、そんな中で100歳まで生きるということまで想定した上で、自分の人生を考えていくということが必要ではないでしょうか、ということですね。

個人の人生の生き方を考えていくのと同時に、社会として、それに備える形が必要ではないでしょうか。今までだったら、普通は学校に行って卒業して、会社に行って定年制60歳で、60歳になったら、はい老後。大体のパターンはそんな感じですね。60歳から老後になって、100歳まであるとしたら40年間もあるわけですからね。40年間の老後生活って、なかなか無理でしょう。体は元気なんですからね。

だから、どうすればいいのかをみんなで考えていきましょう、ということでありまして、このテーマを、皆さんどのようにお考えになるでしょうか。今日はお二人のゲストのお話をまず聞いていただいてから、皆さんとともに対話をして進めていきたいと思います。

それではよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

事例発表

司会

はじめに、株式会社ケイエスピー代表取締役社長、内田裕久様をご紹介します。

株式会社ケイエスピーは、神奈川県が再生・細胞医療の実用化拠点として、今年、殿町地区に立ち上げたライフイノベーションセンターにおいて、県と連携しております。ライフサイエンス分野のベンチャー支援や再生・細胞医療の実用化、産業の促進に取り組んでいます。

内田様は東海大学工学部教授でもいらっしゃり、水素エネルギーや材料学の研究者として数々の功績をお持ちです。大学では長年にわたり、産学官連携部署を担当し、大学と社会の橋渡しをたくさん経験していらっしゃいます。

それでは内田様、よろしくお願いいたします。

内田 裕久氏(株式会社ケイエスピー 代表取締役社長)

大変ご丁寧なご紹介、ありがとうございました。内田でございます。

今日は、もう知事が非常に重要なポイントをずいぶんお話しされてますので、それをちょっと周辺からまた改めて見直す、そのような感じで話を進めたいと思います。

京浜工業地帯

この写真は皆さんもよくご覧になっていると思います。手前が羽田空港、それから京浜工業地帯ですね。ここは皆さんご承知のとおり、非常に優秀な企業さんもたくさんありますし、研究所もたくさんあります。

私どもKSPは、まず溝の口に主たる一番大きな建物、センター持っております。それからKSPシンクと、もう一つ今度新しく、多摩川の羽田空港国際線の対岸に、LIC(ライフイノベーションセンター)、これは神奈川県と民間事業者が共同で建てたものでございまして、私どもはこの中でのベンチャー育成、それから企業間のネットワーキングを担当しています。

主たる溝の口のかながわサイエンスパークでございますが、西棟、東棟、R&D棟とございまして、今は、ベンチャーが50社、それから大手が70社、計120社が入っております。皆さんがよくご存知の会社も何社かあると思います。5,300人ほど会社の社員の方がいらっしゃいますけれども、アイスクリームのハーゲンダッツが実は溝の口に入ってるんですよね。それからデュポン、イメリス、ロレアル、モンデリーズとか、ユニリーバとか、かなり外資系の企業もたくさん入って来ておられます。

私どもは、こういうベンチャーをこれから立ち上げようという方々にも、お部屋を貸したり、あるいはラボを貸したりしながら、一緒になって支援をしてると、そういうことをやっているところでございます。

既に知事が人口ピラミッドのデータを示されましたが、今後、若い人たちにどれだけ負荷がかかっていくかということが、ここではっきり見て取れると思います。これは日本にとっても本当に大変な問題でございます。これは海外でお話しすると、皆さんも大変驚くんですが、日本がなんとか越えていかないといけない問題です。

これも先ほど知事からお話のあったとおり、100歳以上の人口が6万人を超えました。2つポイントを挙げます。2050年の高齢男性は女性と比較してとても少ないですよ。これはね、どうするんですか。これもね、ぜひ何とかしたいですよね、男としては。それから、これだけ人口が増えていく中で、どれだけ私たちが健康に過ごせるか。平均寿命というのは延びていくけれども、健康に生きる健康寿命、これをどれだけ延ばせるかが非常に重要な問題ですよね。この辺をしっかり見ていきたいなと思うところでございます。

“未病”は、知事が日々おっしゃっている言葉ですね。病気と健康のちょうど間にあって、日々これが、今日はこっちかな、今日はこっちかなと、変わるわけですけれども。こういうことに対して私たちは、あらゆる方法を使って対処していこうということです。KSPというのは、基本的には科学技術を利用して皆さんの幸せになるような社会をつくっていく、そのための新しい産業をつくり出していくということを主としてやっております。

神奈川県は今、東の方の川崎を中心に、LICなどライフサイエンスに力を入れて伸ばしているわけでありますが、一方、県の中央部には、さがみロボット産業特区というところがあって、ここで介護・医療ロボットとか、高齢者向けの生活支援ロボット、災害対応ロボットなどの開発・実証などを具体的に進めているというところでございます。

LICと羽田空港

LICは羽田国際線ターミナルの対岸にあります。私たちはここの4階を主としてベンチャー育成に使うということで、KSPバイオテックラボと呼んでおります。

おかげさまでほぼ8割以上の入居が決まっておりまして、現在さらに次々と決まってるところでございます。見学会をときどきやっておりますので、ぜひ今度見に来ていただきたいと思います。中に入っていただくと、吹き抜けで、また非常に見通しの良いところでございます。対岸には羽田空港が見えるので、ぜひ一度おいでください。景色は非常に良いところなんです。

LIC内部

内部でございます。4階の部分に、私どもがベンチャー企業を入れておりまして、外国からも入ってきております。一方1階には、例えば京都大学のiPS細胞を研究している研究グループ入ってきます。iPS細胞をつくって、例えば人工の心臓の筋肉などができます。これをどうやってビジネスに生かしていくか。例えば人工の筋肉ができたとしたら、それをすぐに何かに使うのではなくて、新しいお薬ができた時に、ネズミとか豚ではなくて、人の心臓の筋肉そのものでテストをして、ビジネスとして動き出してるんですね。

今、私どもは4階のみならず全体のネットワーキングを進めています。例えば2階にはサイバーダインが入ってきまして、障がい者の方々を、ロボットがサポートする形で、普通に歩けるようにするとか動けるようにする。こういうこともこれから進めて行くところでございます。これから徐々に整備していきますので、ぜひご期待ください。

今日は、これ以外にちょっと付け足しで、ここには中高年の方がけっこういらっしゃいますよね。このお話をちょっと付け足します。これは私自身の問題でもありまして、私は東海大学で大変こき使われまして、ある時体重は84キロ、今は75キロなんですけど、高血圧、高血糖で、医学部の仲間から、お前はもうこのままではすぐ死ぬぞと言われました。どうしたら良いのか。

最初、「食べ物を減らせ」と言われました。食べ物を減らしてカロリーを減らせば良いんだということで、栄養指導科に行きました。あれを減らせ、これを減らせとか言われて、きっとこの中にも体験者がいらっしゃるかもしれませんね。しかし、あのとおりやるとね、歩けなくなっちゃうんですよ。もうパワーが出ないんですよ。階段上るのも必死なんです。私はこれをやりきれない、勘弁してくれと言ったらですね、スポーツ医科学研究所に行けと言われました。スポーツ医科学研究所に行って、何をやらされたかというと、高地トレーニングなんです。

今年オリンピックで金メダルを取った金藤理絵さん。実は彼女はここに来るまで猛烈な努力をしてきたんです。東海大のOGなんですが、北京オリンピックの時は、一応出場はできたんですけれども7位でした。彼女を鍛えてきた東海大学キャンパスの中に秘密の部屋がありまして、そこは部屋の中の空気を減らしていって、1,000メートル、2,000、3,000、4,000メートルというように空気の薄さを変えられるところですね。

高地トレーニング

これを使って今までいろんなアスリートを養成してきたんですが、この中で、いろんな人たち、山登りの方なども鍛えました。ここにいる寺尾保先生という方が、この道のプロでございまして、これは私が走っているところです。走っているというよりは歩いているんです。私は昔、登山やスキーで膝を壊してしまったものですから、週2回1時間歩くだけです。大体高度1,500メートルの条件でした。

これを週2回12週間続けてどうなるか。結局、低酸素の雰囲気で心肺機能を高め、さらに交感神経を抑えて副交感神経を引き出すという効果があり、それで一回の心臓の心拍で血液がよく流れるようになり、脂肪の燃焼が促進できるということです。一応12週間のデータをお見せします。このように、体脂肪は減り、除脂肪体重は変わりません。運動してますから、筋肉量は変わらないんですが、脂肪だけは落ちます。その後、リバウンドしないことが分かりました。体質が変わってしまったのです。

体脂肪と除脂肪体重

このトレーニングの後、普通に食べて、普通にお酒を飲んでいました。

高地でトレーニングをすることで、無理な食べ物のコントロールをしなくても体質改善ができるということが分かり、四国の石鎚山でも高度1,700メートルの林道を使ったウォーキング大会等をやってまいりました。高度1,400メートルある群馬県の東海大嬬恋研修センターのようなところで歩くこともしました。楽しめて、しかもメタボ解消もできるということで、食と運動のバランスをしっかりやっていけば、楽しみながら、健康寿命を延ばせるということなんですね。

総合的な視点からみた健康

東海大学は新しく「健康学部、健康マネージメント学科」を開設しますが、これはたぶん知事の影響を受けたんじゃないかと思います。要するに健康をマネージメントしなきゃだめなんだという考え方です。総合的な視点から見た健康。先ほど知事もおっしゃったとおり、栄養、運動、ソーシャルウェルネス、それからメンタルヘルス、この4つをしっかりとやりましょうということです。

新時代に活躍するベンチャー企業として、例えば先ほど申し上げた医療支援用ロボットの開発を行うサイバーダイン、あるいは無人のロボットタクシーの開発を進めているZMPという会社があります。谷口社長は私どもも投資して応援していますが、彼は天台宗のお坊さんの資格を持った非常に面白い方です。「闇を照らす」という考え方で、恵まれない、特に田舎の電車もない、車もない人たちに無人ロボットタクシーを供給して、なんとかしたいということで、無人ロボットタクシーの開発、ビジネス化を始めました。ご自分自身の経験でもあるということであります。そしてさがみロボット産業特区というところで、私どもはこういった動きをさらに加速していくつもりでおります。

最後に、新時代の価値観とは、ひと言、「健康」ということですね。もうこれ以外に何もないと思うんです。以上でございます。

司会

続いて、川崎市地域女性連絡協議会の会長でいらっしゃる青木恵美子様をご紹介します。

川崎市地域女性連絡協議会は、学習・奉仕・親睦を信条として、戦後の混乱期に結成されました。以来、平和・環境・子育てなどの分野で幅広い活動を続けていらっしゃり、今年70周年を迎えます。

青木様は同会の会長として多方面にわたる地域の課題に取り組んでいらっしゃいます。また、俳句にも深い造詣をお持ちで、川崎市俳句連合会、俳人協会などの会長を務められ、角川書店からご自身の句集「玩具」も出版されています。

それでは青木様、よろしくお願いいたします。

青木 恵美子 氏(川崎市地域女性連絡協議会 会長)

ただ今ご紹介いただきました青木でございます。なんか過分なご紹介をいただいて、ちょっと恥ずかしかったんですけれども。内田先生が大変スムーズに素晴らしい発表をなさいました。私は年寄りですので、なかなか素人ですから、そんなきれいな話し方ができないんだと思います。どうぞその辺をご寛容にご覧いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

先ほどもご紹介がありましたように、川崎市地域女性連絡協議会(※以下、川女連)は70周年を迎えました。はじめは川崎市婦人連盟を昭和22年に結成しまして、母親学級を開設、その後、昭和33年に川崎市婦人団体連絡協議会と改称いたしまして、婦人学級を実施いたしました。昭和59年、会員の募金によりまして、「平和の像はばたけ」を平和公園に建立しまして、市に寄贈いたしました。圓鍔(えんつば)先生という作者の像でございます。それから、婦人という表名を女性に変えまして、現在は川崎市地域女性連絡協議会という形で、広報誌「女性かわさき」も発行いたしております。

「学習」、「奉仕」、「親睦」。この3本の柱を私どもは掲げまして、活動をいたしております。その他に、6つの専門部会、それから各地区単位によって構成されております。

川女連の活動目標は、「国際的な視野において平和について考え行動する」、「高齢社会に対応し、いきいきと生活するための支援活動を推進する」、「青少年の問題に対して、地域で子育て活動を暖かく見守り支援に努める」、「男女共同参画社会を身近なものにするための学習に努める」、「環境市民の輪を広げ、持続可能な社会の実現をめざす」。こういうふうな形で活動目標にいたしております。

まず、定例会は毎月第1火曜日、約20人の理事さんが集まります。この場が基本で、議題を検討・協議、みんなで話し合い、共有し、活動計画を決めてまいります。和やかな雰囲気ですが、時には議題によっては、皆さんの意見がいろいろと錯綜することもありますが、結果的には一番その中で良いのを選んで、活動のもとにいたしております。話し合うことで、みんなで決めていくことが大切だということになります。

毎年4月に来賓をお迎えして、総会とミニ講演会を開催いたしております。最も大きな意志決定の場として、けじめとなり、新年度をスタートいたします。ミニ講演会は、地域の今や昔のことを知るいい機会ということで、地域のことをよく知る方たちのお話などもお聞きいたしております。

環境消費部がございまして、こちらは生ゴミ堆肥化活用、生ゴミのダンボールコンポストとか、いろいろな形で肥料に活用しております。会員さんがその堆肥でつくったスイカとか、たわわに生ったミニトマトとか、大変甘くて美味しいということでございました。その堆肥を「みどりっこ」と名付けております。使ってくださる方に差し上げております。今日もホワイエの方に置いてございますので、数に限りがございますけれども、よろしい方はお持ち帰りくださいませ。生ゴミ堆肥の講習会や説明会を年に数回、開催しております。また、ダンボールコンポストの一式材料をお分けしたりいたしてもおります。

川女連環境消費部

生ゴミの資源化だけではなく、食用のてんぷらやフライをした後の廃油の資源化も推進しております。各地区ではそれを使って石けんを作ったり、燃料のもとにしたりということでございます。川崎の石けんプラントでは、石けんをつくっております。川女連では廃食油をそちらの方に提供いたしております。

環境消費部では、CO2削減のライトダウン・キャンペーンなどをいたしておりまして、2012年より、夏至と七夕に、川崎駅前の集合住宅において実施しております。煌煌と照明がついているところからライトダウン、さらにLEDのキャンドルをともしております。LEDのキャンドルを並べたり、マンション掲示板にチラシを張ったりしております。

これらの環境に対する活動が評価されまして、川女連は、CO2削減等で川崎市のスマートライフスタイル大賞の奨励賞を受賞いたしました。ありがとうございました。

次は子育て支援部です。子育て支援部では、子育て、心のケアネットとして、研修を受けた会員さんが電話相談を行っております。相談者のお話の傾聴に徹しておりまして、月1回以上研修を継続しています。現在は火曜日と金曜日に電話相談を受けております。こちらのチラシもホワイエの方に置かせていただいております。どなたでも、若いママさん、相談事やご心配事があったら、どうぞお電話をくださいませ。食の安全やお金の遣い方など、タイムリーなセミナーなども、毎回満席で好評でございます。

川女連子育て支援部

文化部では春と秋に年2回、芸能大会と芸能のつどいを開催しております。こちらは収益事業の一つで、この収益より、少しではございますが、毎年、市の社会福祉協議会の方に寄付をさせていただいております。プログラムはフラダンスやウクレレ演奏、日本舞踊、歌など、盛りだくさんで、発表者の皆さんは日頃のお稽古の集大成として、とても生き生きされてご出演くださっております。皆さんとても若くてきれいです。でも、実はけっこう皆さんお年なんです。

川女連文化部

私たちは、発表者の皆さんのために、裏方の準備や進行をてきぱきと運営しております。会員さんに、適材適所になっていただき、目の回るような忙しさですが、全員力を合わせて、無事に会を運営しております。

プログラム最後のフィナーレでは、全員参加で踊りましょうということで、舞台に上がって踊っていただきます。ステージだけではなくて、客席や通路でも皆さん踊っていただいて、一体感に包まれております。発表者の方に喜んでいただき、川女連としても、無事にやり遂げた満足感、達成感、やりがいがあり、社会福祉協議会への寄付など地域貢献にもつながって、すべてウィンウィンの関係です。この芸能大会はつい先日、10月23日に開催いたしました。ありがとうございました。

川女連平和女性部

さて、こちらの写真は平和女性部、平和のつどいです。昨年第32回平和のつどいでございます。北方領土問題の講演会を、商工会議所にて、開催いたしました。多摩区在住の元島民の方のお話を伺いました。 会場の向こう側にはパネルの展示をいたしております。北方領土のいろいろな資料、パネルを展示いたしまして、皆さんに見ていただきました。会場では、普及啓発を目的に、歯舞昆布も頒布いたしております。

防災についての講演会も開催いたしました。お話の合間に、ビオラ奏者の方にお越しいただきまして、音楽を聴かせていただきました。

一昨年、第31回平和のつどいでは、「日本の未来は科学技術しかない」というテーマで、藤嶋昭先生にお話をいただきました。いくつかの実験を交えた、ユニークな講演となりました。

本年度、第33回平和のつどいは、来年2月ごろに開催を予定いたしております。

これは昆布、納豆、ちふれ化粧品の頒布とご案内なんですが、先ほど申しましたが、北方領土問題の普及啓発を目的に、歯舞昆布の頒布などを行っております。また、納豆は地元かじのやさんの納豆を定例会ごとに、会員に販売いたしております。昆布も納豆もとても体に良いものなので、おすすめです。身体は食べ物から作られます。昆布や納豆など、日本食は良いものです。元気の秘訣は昆布と納豆かもしれません。昆布の料理教室なども行っております。

ちふれ化粧品は、川女連が加盟しております、全国地域婦人団体連絡協議会の全地婦連から“ちふれ”という名前を取って、ちふれ化粧品と命名されております。

川女連ふれあい会食

各地区単位で、お年寄りのために、ふれあい会食会というお食事会を催しております。これは田島地区浜町3丁目の婦人会さんのふれあい会食会のお料理の様子です。川崎区は、高齢者が大変大勢いらっしゃいまして、このような活動も80歳前後の会員さんたちが協力してくださってやっております。本来はご招待される側なんですが、そちらよりお手伝いの方をとおっしゃってやっていただいてます。私の地域でも、90歳の町会長さんたちを始めとして、80歳代の方たちが大勢しっかりと地域の活動をしていらっしゃいまして、本当に頭が下がります。70歳くらいの方々は本当に昨今、現役でお仕事をしていらっしゃいますので、やはり人生100歳時代も今やここまで現実となって来ているように思います。

川女連見学会

これは川崎市内にある会社を見学したところなんですが、昭和電工でしょうか。

川崎市内には世界一を誇る企業が何社もありまして、私たちは各企業を見学させていただいて、知識を広めております。我が川崎のまちを誇りにも思っております。

親睦交流を目的に、新春のつどいを開催いたしました。

敬老パスは、川崎市も横浜市もあると思いますけれども、こういうパスを発行していただいていますので、なるべくお年寄りがおうちにこもらないように、そして外に出歩くようにというような趣旨で発行されてるんだと思いますが、私もこれを使わせていただいて、いろいろと外の行事に参加いたしております。ありがたいと思っております。

こうして川女連の会員は元気に活動しておりまして、やはり健康は食、なるべく自然の中で育てられたものを、よく噛んで、よく食べるということが、一番体にも良いし、そして健康につながると思います。あと睡眠が大切でしょうか。それと、体の健康もですが、もっと大切なのは心の健康ではないでしょうか。川女連では話し合い、協議する中で、スムーズなことばかりではありませんが、皆さんと意見を交換し合って、いろいろな知識を高め、自分も動いて、皆さんのために役に立つことをしたいと思って、これが生きがいと思って、皆さん活動しておられます。

つたない説明で、大変にお聞き苦しかったと思いますけれども、川女連のご紹介をさせていただきました。ありがとうございます。

意見交換

知事

では、いよいよ皆さんとの対話が始まります。

冒頭に言わなかったんですけれども、未病を改善するというアプローチを、神奈川県は最先端の医療技術を追求するアプローチと一緒にやっていこうとしているんですね。それが内田先生のおっしゃった話であります。特に川崎というのが、その最先端のエリアなんですね。今、世界から注目されています。

皆さんも一度、殿町地区に行って見てきてください。今、どんどん生まれ変わっていますから。羽田空港のすぐ向かい側ですけれども、今、新しいビルがどんどん出来ていて、ここには2020年までに多摩川を渡る橋ができます。橋が出来たらもう空港の一部みたいなものですけれども、ここは世界の最先端の再生・細胞医療等の関連機関が今、どんどん集積している所なんですね。

この人生100歳時代においても、そういったテクノロジーによって元気にしていこうというアプローチが重要だということなんですね。

青木さんのお話からは、本当に、女性は長生きするんだということが伝わってきましたね。失礼ですが、何歳くらいの方が多いんですか。

青木 恵美子 氏

80歳前後の方が多いですね、地域で活躍してらっしゃる方は。

知事

80歳前後の方が、ああやって皆さん集まって、いろいろなことをやっていらっしゃるんですね。そういう伝統、これがやっぱり先ほど社会参加と言った部分、正にそうですよね。こういう活動があるというのは、本当にやっぱり素晴らしいですね。

川女連の男性版というのはあるんですか。

青木 恵美子 氏

男性もいらっしゃいます、会員として。

知事

川女連に入ってるんですか。男性だけの会はないんですか。

青木 恵美子 氏

男性だけの会はありませんけれども、賛助会員とか、県会議員さんが会員になってくださってます。

知事

そうですか。このように女性が地域で力強く集まって、しっかりとコミュニティを作って何とかしていこうって、これがまさに100歳時代を元気で生きていくという大きな力になるわけですよね。

ところが男性の場合には、別の課題があります。仕事人間として、地域のことは放ったらかして会社で働いてきて、はい60歳で定年ですって、ぽんと放り出された時に、地域に帰ってきて、隣の人とあまり話したこともない、地域のコミュニティとのつながりがないという状況に置かれて、さあどうするかという形が実は多かったりするんですよね。

こういった問題を含めて、さあ、皆さんと議論していきたいと思いますけれども、ここから先はシナリオがありません。皆さんとともに掛け合いをしながら進めていきます。質問でも良いですし、意見でも良いですし、私に対する注文でもいいです。私は一応知事ですから、皆さんの陳情があったら、そのまま受け付けますから。この距離の近さで進めていきたいと思います。

それでは皆さん、発言をよろしくお願いします。

参加者1(川崎市幸区・男性)

幸区のさいわい活動支援をやっております。

幸区では、その制度を使わせていただいて、ぴんぴんころり講座を市民館の自主企画としてやっております。昨年から2年目を迎えました。

知事にご質問と申しますか、ご要望と申しますか、申し上げますと、7月24日のキックオフシンポジウムに参加させていただきました。そして大変感銘も受けました。私どものやってることは間違ってないな、という強い確信も持ちました。

しかし、これからわずか30年後、人口構成があんなにすごい状態になる。それよりも前に既に25年問題というのも指摘されている。それまでに、どのように県は、県中に活動みたいなものを展開されるというふうに考えておられるんでしょうか。そういうご意図をお持ちなんでしょうか、というのをお聞きしたいんです。

知事

ありがとうございます。

これは早くしないと間に合わないと思っているんですよね。危機感があります。さっきのグラフを見ればすぐに分かるでしょう。

ですが、その時になって、県がこれをやってください、あれをやってくださいと言って押しつけるのでは、なかなか上手くいかないですね。皆さんにまず問題意識を共有していただきたい。こうなるんですよ、こういう時代が来るんですよ。

そういう時代にどうすればいいんですか、といった中で、国の方は一億総活躍と言っていますね。一億総活躍と言ったって、もう俺は活躍したくないよという人もいますよね。無理に活躍しろと押しつけることはできませんので、神奈川県は一億総活躍とはちょっと違って、100歳までみんなニコニコ元気で楽しく生きてください、生きましょうよ、ということを進めるわけですね。

それで我々は、そのために何が大事であるかという大きな目標、方向性を示しています。それが未病を改善しましょうという方向性ですね。そのためには食事が大事ですよね、運動習慣が大事ですよね、社会参加も大事ですよね。はい、ここから先は皆さんで考えてくださいというお話をしています。

そんな中で、例えば「私には素晴らしい技術がある、この科学の技術はこんなふうに使えるんですよ」と言って手を挙げてくださる方もいらっしゃるし、生き方として、「こんなふうにすれば人生を楽しく過ごせるんですよ」と提言してくださる方もいらっしゃいます。あとはみんなで考えて、みんなで自分のやってることをテーマに話をして、それをみんなが共有して、「それはいいな、これもいいな」と共感したり、人生100歳時代に意識をもってくるということ。それがやっぱり全体的に機運を広げていくことにつながるんじゃないかなと思っています。

だから、こういう中で、皆さんとともに話をしていきたいというのが今日の会の趣旨でもありますね。ありがとうございました。

ぴんぴんころりのチラシもいただきました。これをやってらっしゃるんですね、幸市民館で。ぴんぴんころりのパート2、夢は健康長寿だ。まったく私と同じことですね。

参加者2(川崎市幸区・女性)

私は健康から、未病を飛び越して病気になってしまいまして、その結果、障がい者という形になってしまったんです。でも、勉強とかしたいし、いろんな催し物にもどんどん参加したい、その気持ちは萎えてないんです。

だけれども、幸区に住んでおりますが、歩道がものすごく狭いんです。狭いしガタガタだし、そこに電信柱が入っちゃってるもんですから、車椅子を押していくと、とても歩道を歩けない状況なんですね。

私の場合は、すごく幸せにも、力のある息子が押してくれますので、なんとか行けるんですが、老々介護となった場合、とても本当に歩ける状態にないという歩道がすごく多いんです。

そういうところで、あそこを見に行きたいとか、勉強しに行きたいと思っても、あの不便な道を通るんじゃな、というところで止めてしまおうかって、あきらめてしまう方もいらっしゃるんじゃないかと思うんです。

愚痴ですけれども、JRの関内駅にホームから改札へ下りるエレベータがないんですね。エスカレータのところに昇降機みたいのがついてるんですけども、それも駅員さんに来ていただいてお願いして、エスカレータを止めて上り下りしなければならない。駅員さんにも負担がかかってるし、駅員さん自体も早くエレベータつけてほしいんですよねって、愚痴をこぼしていらっしゃるんですよね。

ですから、元気にやっぱり私も表に出ていっぱい勉強したいし、そのためにもやはり歩道とかなんかもう少し整備してほしいなとは、本当に愚痴なんですけれども、思いますが、いかがでしょうか。

知事

ありがとうございます。そういう声が聞きたくて、来ているんですよね。

本当に切実な問題ですね。先ほど社会参加って軽く言いましたけれども、自分はその気があっても、社会の形がそれを許さないようなものになっているということ、これはやはり非常に大きな問題ですね。

冒頭で申し上げたように、「ともに生きる社会かながわ憲章」というものを作った。だからもう、一切差別をなくそうということ。ともに生きるんだということですからね。それも同じことですよね。

だから、どの歩道がどうなってるのかというあたり、後で具体的に県の職員がお伺いしますので、どう改善していくべきかということを川崎市と相談しながら進めていきたいと思いますね。

グラデーションの絵を出してくれますか。今、私は未病なんて言っている状況ではなくて、もう病気なんですよとおっしゃいましたけれど、この未病という概念は、実は、全部グラデーションなんです。

例えば、私は前から思っているんだけれど、神奈川では「かながわパラスポーツ推進宣言」をしているんですけどね、パラスポーツ。オリンピックは健常者のスポーツ、パラリンピックは障がい者のスポーツと分ける発想というのは、さっきの白と赤に分ける発想に近いですよね。

でも、完全な障がい者と、完全な健常者って、分かれるものなのかなということですね。だって、障がいということから言うならば、普通は、年を取ってだんだんみんな足腰が弱くなってきたりします。これはある程度の障がいですよね。例えば、若くても、目が悪い、近視だとか言ったら、それも一種の障がいですよね。

障がいというのはグラデーションではないのかなと考えた時に、あなたたち障がい者、私たち健常者っていう分け方そのものが、違うんじゃないのかな。そういうことからすれば、自分の中にも障がいがある。私だって何らかの障がいがありますよね。そうしたら、同じ障がい者のレベルの違いということの中で、共感していくというか、思いを持つということが大事じゃないかなと思っているんですけどね、私は。

だから、そういう意味で、今、お話をなさったことというのは、明日は我が身の話ですからね。「私は今、健常者ですから、今の話は障がいを持っていらっしゃる方だけの話ですね」という言い方は全然違いますよね。今は元気な高校生にとっても、他人の問題じゃないんです。

そういう発想ってすごく大事ですね。こういうことをみんなで共有するということも、とても大事なことだと思いますね。

参加者3(川崎市中原区・男性)

今の方と歩道つながりで、私の母は車いす生活で、押したりしてるとですね、歩道が自動車優先のつくりになってるんですね。何を言ってるかというと、車道側からどこかの家、あるいは店への入り口部分の歩道が、自動車が入りやすいように低くなっているんですね。そうすると、車椅子を押していると、波打って車道側に転がりそうになっちゃうんです。そういう歩道を、人を優先になぜできないのかな、というふうにいつも思います。

それから、歩道でも駅が近くなると、例えば障がいの方のための点字ブロックなんかがあるんですけどね、そういうところに駐輪しているとか、あるいはお店が看板をどんどん外まで出しているとか、なかなか歩きづらい。そういったことをどこへ注意すればいいのか、いつも悩んでいるんですが、その辺は何かうまい考えがあったらばお願いします。

知事

ありがとうございます。こういった本当に生活者目線の、具体的なご指摘というのは、行政マンとして本当にしっかりと受け止めなければいけないなと思いますね。

だから、どこの道路がどんなふうになっているのか、後で教えていただきたいと思いますね。それは一部分のことだけではなくて、そんな所は山ほどあるんでしょうけれどね。やっぱりそういうことを意識しながら、我々も、例えば道路を作る時には考えていかなければいけないなということですね。

これ川崎市と神奈川県で連絡を取りながら、やっていかなければいけないなと思います。よくあるのは、あ、これ川崎市の仕事ですから県と管轄が違うんですよって。そういうことは絶対うちの県の職員には言うなと言ってありますから。もちろん管轄の違いはあるんですよ。川崎は特に政令市ですからね。政令市ですから、川崎は独自の権限を持ってやっていらっしゃるんだけれども、しかし生の声を聞いた時には、皆さんからすれば県だとか川崎市だって関係ないですからね。それは、お伺いしたことはしっかり受け止めながら、川崎市にしっかり連絡しながら、少しでもそういう所がなくなっていくように努力したいと思います。

ありがとうございました。

参加者4(川崎市麻生区・男性)

今、私は75歳なんですけれども、今年の3月まである産業用のロボットメーカーで働かせていただきました。実は、後期高齢者になるので、企業の方もこれ以上は対外的にも無理なので退職してほしい、ということを言われまして、私ももっともだなと思いまして素直に受けました。

その後、いろいろ就職活動をしたんですけれども、やはりもう5か月くらいですか、何十社というところ、これも昔、多少縁があったところにお願いしたんですけれども、やはりもう私の年ですと、働こうという意志を持っていても対象外になってしまうんですね。

私は、行政が、健康でやる気があり、そしてまた若干の専門知識を持ってる人たちへの就労機会を、今の単なると言ったら言葉が悪いんですけれども、シルバー人材センター以外で、高齢者で、健康で、意欲のある人たちの働き場を、もう少し作れるような形の部門を、行政として設けて展開していただければと思っております。

私は、たまたま今、内田先生がいらっしゃったので、若い頃を思い出したんですけども、KSPが出来る時に、飛島建設がジョイントベンチャーの大手として担当してたんです。今でこそ、ICカードを使った入出管理というのが、ほとんど全日本どこでも標準で使えていますけど、確かあの時は、実際の現場で多人数に使われてということであれば、KSPがICカードの入出管理は最初だったと思っています。私もそれを手がけまして、今、内田先生のお話を聞いて、非常に昔のことを懐しく思い出しました。

意欲ある人が、働ける場所、働ける機会を、行政として積極的に推進するような形のセクションを持っていただければというふうに思ってます。

知事

ありがとうございます。素晴らしいご意見だったと思いますね。正にそういうことがやりたい。で、こういう対話をしているんですね。

同じようなことを昨日も県庁の幹部と、もう本当に侃々諤々と議論をしたところなんですよ。正にさっき言ったとおり、社会参加によって生きがいを持って元気でいられるとなったときに、働ける場所があるというのは一番大事なことですよね。75歳まで働かれたということ自体がすごいと思います。普通は、なかなかそうはいかないですよね。大体60歳。私も、もう62歳ですからね。フジテレビにそのままいたらもう定年退職なんですが、まだ本当に元気じゃないですか。自分でエネルギーをもて余すくらい元気なんですけれどもね。

75歳まで働けたということ自体がすごいけれども、ご様子を拝見すると、まだまだ何の問題もないんじゃないですかね。そういう方にどうやって企業で働いてもらうのか、役所の中で何か特別にお願いするような仕事はないのか、どんな仕事がどうやって提示できるのかとか。そういう意欲を持っていらっしゃる方とそういう仕事をどうやって結びつけるのか、そういう仕組みというのを作らないといけないよねという話を、ちょうど昨日していたところでありまして、もう正にその生の証言をいただいたなという感じであります。

今日は副知事まで来ていますからね。今のご発言は、ずしんと来ましたよ。それがやりたいんですよね。だから、どういうふうにすればいいか、皆さんにも考えてほしい。

企業の経営者の意識改革も必要ですよね。だからちょっと、敢えて議論として、60歳定年制というものをもう一回考え直すということもありえます。うちは定年制はなしにするっていう企業が出てきてもいいかもしれないし、逆に高齢者だけを雇って、それでやる仕事を考える、シルバーの人たちだけを集めたそういう企業をやるぞという人が出てくるかもしれないし。皆さんの意欲を刺激するという意味でもこういう議論をしているんです。

非常に重大なご指摘ありがとうございました。

参加者4(川崎市麻生区・男性)

地域社会でのボランティアですとか、そういう形の展開はできるんですけども、私の場合は、残念ながら人生失敗続きで年金も非常に少なくて、年金ではもうとても暮らせないんですね。

ただ、自分としては、健康・未病・病気というこの3つに関しては、昔から、ずいぶん前からテーマを考えておりまして、私の家内も実は外国の大学の医学部の先生なんですけれども、家内は「あなたの今の経済状態では、あなたが最も心身ともにこれだと思って社会参加のボランティアをやっても、自分で生活を成り立たせることができなければ社会で評価してもらえないんだから、やはり自発的に何か仕事をしていかなきゃいけない」と言うので、やむを得ず、僕は75歳なんですけれども、昔の気持ちに帰って、もう一度小さなビジネスを始めようと思って、今、考えて計画しているところです。

知事

もう我々がやろうとしてることとぴったり一致していますね。我々は、シルバーベンチャーっていうのをどうやったら支援できるか、ということも考えてるんですよ。

正におっしゃったとおりで、同じ会社にずっといると言っても、会社として見れば、若い世代がどんどん活躍するような流れを作っていきたいという思いがある。いつまでも大ベテランがずっといると、やっぱりちょっと重すぎるということがあるかもしれない。

だからそのときに、今までの経験を軸にして、シルバーベンチャー、ある年齢になってから新しい企業を立ち上げるといったとき、やはり若い人のベンチャーというのとちょっと質が違うんじゃないかな、という感じがするんですよね。若い人が、勢いに任せて、さあいくぞと言ってやるベンチャー。これは素晴らしい。その時にある程度リスクを冒しても勝負をかけるぞと。若いから、失敗したってまたやり直しもきくだろうと。

ただ、シルバー、高齢者になってからベンチャーというときに、あまり大勝負をかけて、気がついたら身ぐるみ剥がされていたという状態になったら、これは大変じゃないですか。だから、そうはならない形で、しかもその中でベンチャーができていくような形に対して、何か県がサポートできないかなというふうなことを考えている。

実はこの“対話の広場”は、ずっと継続してやっているんですけれども、つい先日やった“対話の広場”で、藤田巌さんという方が来られて発表してくださったんですね。実は、宣伝になっちゃうんですけど、私は「百歳時代ー“未病”のすすめー」という本を書いたんですよ。この本の中で藤田さんをご紹介したんです。

この人は面白いですよ。富士通でバリバリのサラリーマンをやっていて、50歳を過ぎてから、ある日新聞を読んでいたら、福祉施設に美容師さんが行って髪を切ってあげたら、その高齢者がすごく元気になったという話が出ていた。これだ、と思いついて、そこからなんと美容学校に行き始めるんですね。会社に内緒で、サラリーマンをやりながらですよ。美容学校に行って、美容師の資格を取るんです。それとともに介護の資格も取るんです。

そして会社をやめて、60歳を記念にベンチャーを立ち上げた。福祉美容。訪問専門。車を1台用意して、言われた所へ出かけていって、カットしてあげて。福祉美容をやって、今、それから15年が経ってます。それで今や全国のそういう訪問理美容協会の理事長さんもやっています。

というようなことで、つまり現役時代はバリバリの富士通のサラリーマン生活。ほとんど全部勤め上げたけれども、そこから新たなもう一つの、正にセカンドライフですね、こういったベンチャーを立ち上げて成功している方もいらっしゃる。

そういう話を聞くと、じゃあ自分としても何かやってみようかなと思う方もいらっしゃるし、それをやるんだったら、じゃあ行政側はこんなことが必要なんじゃないかという課題が、浮き彫りになってくるんじゃないのかなということなんですね。

まだまだ素晴らしい才能がおありで、どんどんご活躍できそうですよね。頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

内田 裕久 氏

先ほどKSPの話も出していただいたので、できたらシルバーファンドのようなものを県に作っていただければ、我々もぜひ本気で考えていきたい。KSPは、これまでにも350社以上、ベンチャーを創出してきていますので、いろいろな経験をしています。中には退職金を持って来られて、これを元手に私はこれから新しく商売をやりたいと言う方もいらっしゃいますが、これは、場合によっては、非常に危ないんですね。「奥様と相談しましたか」とか全部尋ねて、とことん聞いてもやっぱり、ご本人はその技術が素晴らしいと思い込まれているのですが、市場性がなく、社会には出せないんじゃないのか、という判断を我々がする場合もあります。

でも一方、実は日本の社会にはやはり構造的な問題もあって、今日も午前中、アメリカのベンチャー、特にバイオ系で非常に成功しているサンジエゴの方とお話ししました。大学のいわゆる教員定年というのは、アメリカの場合は自分で外から研究費を持って来られる限りは、70歳でも80歳でもどんどん企業と組んで仕事ができます。でも日本の場合は、65歳になったらばさっとすべて終わりなんですね。型にはめるんです。日本の社会というのは大体そうですよね。今コメントされた方もたぶんそうだと思いますよ。

しかし、そういうことをいつまでもやっていると、とてもこのグローバルな社会の中では競争していけない。だから、日本は「ベンチャーだ、ベンチャーだ」と一生懸命に国が叫んでも、どうしても今一歩伸びない。今日ファイザーという製薬会社の方もおっしゃっていました。そのダイナミックさが日本の社会には足りないんだと。

なんとかもうちょっとフレキシブルに、ある会社をやめたら他の会社に移れる、あるいは会社から大学に行く、大学から企業に行く、こういうことが自由に行えるような社会になってくれば、年齢が70歳だろうと、80歳だろうと、能力があり、動ける人はどんどん動いていったらいい。そんな議論を正に今日の午前中、日本橋でしてきたところなんです。

ですから、日本が本当にこれからもっともっと社会を変えていこうというのであれば、年齢とは無関係に、本人がどれだけできるかという能力にもっと価値観を置いて、支援をしていただくような制度が必要です。ぜひ神奈川県にも頑張っていただくよう、この辺は、知事、よろしくお願いいたします。

知事

ありがとうございます。

本当にそういうことを目指しているんですよね、神奈川県としては。高齢者の皆さんが、働きたい人はどんどん働けるし、また趣味に生きたい人は徹底的に趣味を追求することもできるし、勉強してみたい人は勉強しに行くこともできるし、地域で何かやりたいなという人にはそういう場がちゃんとあるとか。そのための案内をしてくれる仕組がちゃんとあるとか。

今だってやろうと思えばできるじゃないか、と言われるかもしれないんだけれども、そうではなくて、それがもっとやりやすくなるような形にして、みんなが元気になっているという、そんな形を目指してるんです。

今の話を聞きながらちょっと思い出したんですが、青木先生、昨日議論した中で、高齢者の皆さんの技能が生かせる場はいろいろあるんじゃないかと思ったんですけれども、先ほどのお話の中で、電話を受けるという話がありました。傾聴とおっしゃっていましたね。これはいろんな方にお願いできるんじゃないのかな、と実は思った。昨日そういう話が出ていたんです。つまり若い人も中年の人もみんな悩んでることがいっぱいありますよね。子育てで悩んでいたり、会社のことで悩んでいたり、いろんなことで悩んでいる。人生経験豊かな人、いろいろなことを経験してきましたという人に、そういう人からの電話を受けて電話相談してもらうという形で、高齢者の皆さんの力ってもっと生かせるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

青木 恵美子 氏

そうですね、そのようなことができれば素晴らしいと思いますね。

ただ、川崎いのちの電話という、本当に困ったときの電話の受け取りをしてるところはあります。ただ、そのように一般人だけれども、経験のあるお年寄りにこういうことを相談できるところを県の方で作っていただいたら、すごく良いと思いますね。

知事

電話相談というのは、いろいろな形でやってるんですけどね。自殺者が多いじゃないですか。自殺者というのは、その時電話一本かけて、話を聞いてもらっただけで思い止まれたりするということがけっこうあるんですね。

私が知事になった時に、ある人から“対話の広場”でご意見をいただきました。「こころの電話相談」というのがあるんです。ところが、それが当時は有料だったんですよ。有料で、しかも昼間だけやっていたんですね。

そういった問題を抱えている人は夜でも話を聞いてほしい。しかも電話代がかかるとなると、そこまで追い込まれている人は、その電話代がやっぱりハードルになって、電話するのを止めてしまうことがあると聞いたので、それはもう直ちに無料にして、そして電話をもっと増やして、朝の9時から夜の9時までの体制に変えたんです。こういうのはもっと需要があるんですよね。

ある種のトレーニングを受けて、聞いてくださる高齢者の方がどんどん出てきてくれれば、高齢者の活躍の場になります。しかもその聞いてくださっている方は、相談に乗ることによって役に立っているという思いを持ってくださるかもしれないということで、一つのアイディアだなと思ったんです。

ありがとうございました。

参加者5(川崎市高津区・男性)

僕も来年65歳の高齢者になっちゃうんですね。今日は「川崎発 新時代の人生設計図」ということで、新時代というのは結局高齢者が増えるだけじゃないと思うんです。僕は今、ヒップホップをやっているんですけど、10代、20代の若者と一緒にやって、全然負ける気がしないし、スピードもついていってるから、全然問題ないんですよ。

結局、何が変わったかと言ったら、40代のスマップでさえ若者と言われる時代なんですよ。40代ですよ。彼らが若者の時代で、65歳は高齢者、70歳で健康寿命、冗談じゃないです。もうそういう時代じゃないということが新時代なんですね。

それで、人生設計図も僕はちゃんともう人生の航海図というのを持っています。僕と母親は2代続けて200年生きるということを約束してるんです。僕の母親は95歳です。現役バリバリ。それで90代になっても一人でブラジルと日本を往復しています。家族が日本とブラジルで別れて暮らしているから、毎年のように動いてます、90代で。

それで、休日はデニーズで皿洗いじゃないけど、それくらいはやります。で、僕も負けるくらいの状況を見てるから、生ぬるいという感覚が非常に強いんですよ。知事と僕は年齢が近いからよく分かるんですね。このままだったらだめだ。もう本当にピラミッドじゃないけど緊迫感がないんですよね。もう70歳だから、80歳だから、年だから。冗談じゃないですよ。

僕は80歳でも90歳でもヒップホップできるんですよ。負ける気がしない、若い人に。体力測定でも30歳なんですよ、今。

知事

じゃあ、ちょっとやってみてくださいよ、ヒップホップ。

参加者5(川崎市高津区・男性)

僕がヒップホップ始めたのは62歳からなんです。

知事

62歳から始めたんですか。

(参加者5がヒップホップ・ダンスを実演)

知事

はい、ありがとうございました。

参加者5(川崎市高津区・男性)

そうなんですよ、気持ちなんですよね。ダンスもそうなんですけど、スタジオに入る時に、俺は70歳だから80歳だからと思って入ったら、完全に10代、20代になめられるというか、ビートについていけません。

知事

ありがとうございました。素晴らしかった。

参加者5(川崎市高津区・男性)

人生の航海図というのは、50年のカレンダーなんです。僕はちょうど今、ここなんですね。

知事

まだまだ先の人生が長いですね。

参加者6(川崎市川崎区・男性)

すごく元気にお話しなさって、私も頑張らなきゃなと思いましたけども。

私は65歳になったばっかりなんですよね。先ほど、75歳まで働いたと言った方がいましたけども、私はいろいろ事情があって、60歳で定年ということで、それからちょっと暇になるなと思っていたんですけども、実は親の介護もありましてね、親は96歳でついこの間亡くなりましたけれども、そういうような中で、地域の方に引っ張られまして、5、6年の間に町会長と、それから今、老人会長もやってます。

65歳で老人会長っていうのはまったく普通ではないんですね。ですが、非常にいい体験を少し早めにしているもんですから、いろんな現実的な問題が見えてきました。

具体的にどういう問題があって、それをどう解決しようかと思うときに、個々の対処というかね、方策というのはそれなりにあるんです。非常に多様だし、多彩だし、複雑ですから、とても説明はできませんけれども、基本的にはそういうものがある。

やっぱり今度、今までは人生90歳だと、人生は90歳だから、そこまで楽しくやろうやと、楽しくやるようなことを考えましょう。

いろんなボランティア活動とかなんかもね、できるだけ町内会活動を中心に見ると、もっとその旗の下にまとまると良いな、といつも思いましてね、川崎区のいろんな担当部署の方ともお話ししたりしましたけれども、実際にはなかなかいろいろと難しくて、簡単に言うと、矛盾と障がいの固まりと言いますかね、それが非常に錯綜していましてね、なかなか難しいんですね。

先ほどのように、60歳でも70歳でも80歳でも働きたいという方が多くなればなるほど、ボランティア活動とか地域活動というのはなかなか参加する人が少なくなります。こういう簡単な基本的な矛盾があちこちにあるんですね。

私がぜひここでお伺いしたいのは、やっぱり最低限必要なことは、どんな部門なり領域でどんなことが必要なんだということ、そしてそれが、先ほど障がいを持っている方がちょっと歩く場合でも困るとか、行動が制限されるとか、そういうような問題もありましたし、健康な人でも今度は、働こうと思っても企業が受け付けてくれないという問題がありましたけども、こういういろんな障害、こういったものを最低限こうしなきゃいかんというようなことで、簡単に言うと、すべてインフラの問題ですよね。

このインフラをしっかり整備しなくちゃいけないし、あと25年、35年くらいで、人口構成がこういう大変危機的な状況になるわけですから、その対策を今からやらなきゃいけないんですけども、やっぱりタイムスケジュールというか、ロードマップ的なものを示してほしいんですよ。最低限必要なことはこういうことですよ、こういう要件を満たさないと、やっぱりいろんなところで問題が起こったり、効率が悪いですねと。

そういうポイントを、これだけいろんな人がいろんなことを言って、意見や情報が集まってくるわけです。問題も起こってるわけですから、それを整理すれば、それはできる。たぶんあるんだと思うんです。今は言わないけどね。たぶんあるんだと思うんだな、そういう最低限必要なインフラ、いろんな方面でもインフラはどんなもので、どんな状況なんだと。で、こういう方向の努力をしましょうというようなことがあると思うんです。ですから、ぜひそれを早めにまとめてほしい、分かりやすく語ってほしい。

それから、もう一つのポイントは、やっぱり時代が変わるんですから、考え方や具体的な方法が変わるんですよ。そうなるとね、教育が必要なんですよね。先ほどのシルバーベンチャーなり、シルバーファンドとかシルバーの方が活躍できる問題と、今あるシルバー産業をもっと拡大していく側の問題と。

とにかくね、確実にやらなきゃいけないことが何なのか、そして教育の要素も折り込んで、ぜひタイムスケジュールみたいなものも示していただきたいなと、そういうふうに思います。

知事

ありがとうございます。

インフラって話がありましたけれど、インフラの整備というのはなかなか難しいところがあって、インフラを完璧に整備すればそれで皆さんが本当にハッピーになるのか。そういう問題も実はあるわけですよね。

最低限と言うならば、じゃあ何をもって最低限と言っているのかという問題もあります。アフリカのまだこれからの国に比べれば、これだけ舗装もされていて一応快適な環境が出来上がっているということは、もう最低限を満たしているんじゃないかと言ったら、まあ満たしていますよね。

でも、やっぱり先ほどあったように、段差があるとか、いろんな問題があるとなったときに、そこはまだまだだなと思えば、まだ最低限に達していないという見方もある。

どの辺までやるべきかというのは、これは皆さんと話をしながら、ここはちょっとぎりぎり改善してくださいよ、という話を選び出してやっていく。ちょっとずつやっていくしかないんじゃないでしょうか、基本的にはね。

教育の問題は非常に大事ですよね。セカンドライフを輝かせるために、大きなきっかけになり得るのが教育です。今、萩本欽一さんが、70歳過ぎて大学に行っているじゃないですか。ああいうところから、次の人生が開けてくるってことだってありますよね。

ある女性がいるんですが、元々は銀座和光でバリバリのキャリアウーマンだった人なんです。この人も、実はお母さんの介護というのがあって、それがきっかけで介護に目覚めたんですね。銀座和光を50歳過ぎてから、定年ちょっと前にして退職し、それから大学院に行ったんです。私は知事になる前、国際医療福祉大学の大学院で教授をやっていました。そこに来たんですよ。私より年上ですよ。そこで彼女は一生懸命に勉強して博士号まで取ったんです。スウェーデンに行って福祉のあり方をずっと取材して、それを論文に書いて博士号を取った。今や福祉のシンポジウムでは、福祉の専門家として、シンポジストとして発言しているんです。本まで書いています。銀座和光のバリバリのキャリアウーマンとは全然違う人生を展開している。こういうこともあるわけですよね。

さあ、こういう話をずっと聞いている中で、一番目の前に現役の高校生がいますよね。現役の高校生たちがどんな思いで聞いてるのか、皆さん興味あるでしょう。

今、何歳ですか。

参加者7(男性・川崎高校生徒)

今、17歳です。

知事

17歳だから、人生100歳で、あと83年あるよね。

何のことだかわけが分からないと思うかもしれないけれども、これまでの話をどんなふうに聞いていましたか。

参加者7(男性・川崎高校生徒)

神奈川県立川崎高等学校からまいりました、よろしくお願いします。

私はまだ17歳で、高齢者の方々のお話を聞いていて、まだまだ先のことなのかなと、前までは思っていたんですけど、今日のお話を聞いて、自分も考えなきゃいけないんだなと思いました。

自分が考えるだけでなく、地域にどういった貢献ができるかとか、今、こういうことを考えているんですけど、何年か後にはまた違う問題が出てくると思うので、そういうことも想定して動いていきたいなと思いました。

知事

ありがとう。素晴らしいですね。

君はどうですか。

参加者8(男性・川崎高校生徒)

同じく川崎高校から来ました。

私の祖父が介護施設の入居待ちをしていたりと、今も身近に高齢化社会の問題に直面している部分もあるので、今、自分は将来、その高齢者たち、祖父や同じ境遇にある人たちに向けて何ができるのかを考えるきっかけとなりました。

知事

ありがとう。こういう声を聞くと頼もしいですよね。

自分でできることって絶対にあるんですよね。今までは、おじいちゃん、おばあちゃんのことを、あんまりそんなふうには見ていなかったかもしれない。おじいちゃん、おばあちゃんという存在としか見ていなかったかもしれないけれども、この人たちの心の悩みというか、まだこんなに元気なのに活躍できるところはないんだとか、今まで現役時代はこんなに頑張ったのだけれど、引退してちょっと寂しくなっているんだとかいったとき、実は、孫として何かできることがあるかもしれない。

自分だっていずれそうなっていくわけだから、その時のために今から考えていくというのは実はとっても大事なこと。人生を100歳から逆算して考えるというのは大事なことだな、と実は思っているんですね。

こういうことは教育現場でもやっていきたいなと、本当は思ってるんですよ。今までは60歳まで考えていた。60歳より後は、もう老後と思っていた。だけれども、100歳から逆算して、高校生の間から考え始めるといったら、これは大事ですよね。もしかすると一個の人生ではないかもしれないですね。セカンドライフ、サードライフを同時に走り始める。そんなことだってあるかもしれないですよね。

ぜひ頑張ってください。せっかくこういうところに来てくれたんですから、役立ててくださいね。本当にありがとうございました。

参加者9(男性)

最近、ある基準じゃなければ排除していくというような風潮とか、事件もあったし、憂慮してたんですけれども、先日TVKで知事の取り組まれてることを見たり、今日、冒頭のお話とかを聞いたりして、あとは先ほどのヒップホップの方とか、高校生の方や皆さんのお話とかをお聞きしたりして、元気をいただきました。

それで、こういった県の取組とかに関して、ITとかを使ってもっとお知らせするとか、共有していくということも考えてるんですけども、ちょっと漠然とした質問で申し訳ないんですけども、市民としてどういうふうに取り組んでいったらいいか、ってことなんですけど。

知事

ありがとうございます。

とても良いご指摘だと思います。今やもうIT時代ですからね、SNSとか、FacebookとかTwitterとか、どんどん自分で発信できますよね。皆さんも、例えば今日の話なんかも、FacebookやTwitterとか、いろんなツールで発信していただいて、これはどうだと投げかけていただく。こんなことをやってるよと発信するというのはすごく大事だと思いますよね。

今、神奈川県も実は、県として、実際にそれをやってるんです。今度、神奈川県のホームページを見てください。かなチャンTVというインターネット放送局を県が始めています。この中で、県がやっているいろんな政策を、皆さんに分かりやすく紹介するようなプログラムを毎日更新して出しています。それを見ていただきたいと思いますし、見た方が、またそれについてTwitterでつぶやくとか、Facebookで拡散していくとか、そういう時代ですから、ぜひお願いしたいと思います。

この問題は、ぜひみんなで考えていきたいんです。

参加者7(男性・川崎高校生徒)

核家族化が進んでいる中で、初めて父親・母親になられる方がいて、昔なら地域のコミュニティとかがあって、地域の子どもが困っていたら、地域の方たちが助けてくださったり、助け合う環境があったんだと思うんですけど、現在では核家族化により、子どもの祖父母など、一度子育てを経験した方が周りにいなくて、子育てに困る父親や母親の方たちがいると思うんですけど、そういった周りに頼りがない人たちのために、昔みたいに地域のコミュニティをもう一度作り上げるというか、再現するにはどういった考えがあるかをお聞きしたいんですけど、お願いします。

知事

これは一番大事なことですね。今、一番弱くなっているのは、地域のコミュニティの力ですね。特にこういう大都市圏では弱いですよね。隣の人が誰だか知らないということ。それが一番弱いですよね。

災害とかが起きたときも、私は元々神戸出身なんだけれども、阪神大震災の時、一番大きな問題になったのは、例えばアパートが崩れたりしましたが、誰が埋まっているのか分からない。何故か。隣に誰が住んでいるか知らないんです。もし知っていたら、あのおばあちゃんはどこに行った、見当たらないから助けなきゃ、となるじゃないですか。

誰がいるのか分からない、そういうコミュニティの弱さというのが、やっぱり防災的にも弱いし、こういった社会参加なんかやっていて、皆さんで元気になりましょうよと言っても、地域のコミュニティの中でそういうつながりがないと、その力は弱くなってくる。地域の弱さだけではなく、それが一人ひとりの弱さにもつながってきてしまうということですね。

それでは、コミュニティをどうやって再生していけば良いのか。正にあなた方若い世代が、自分の問題としてできることがあるわけですよね。県が、行政がやるべきこともあると思いますけれども、まずあなたがやることがあるでしょう。じゃあそれをやり始めてみてください。その際に、行政にこんなことをやってくれ、行政として必要なことはこれだよ、と言ってくれたら、県としてもそれをやっていきましょう。

コミュニティとは、そんな集団のことじゃないのかなという気がしますけどね。

ありがとうございました。

本当にあっという間に時間が過ぎてしまいました。今日も、発言したかったけれどできなかったという方がいたと思います。まだこの“対話の広場”シリーズは続いておりますから、また別の会場へ来て、ご発言いただければと思います。

内田先生、青木先生、今日は本当にありがとうございました。皆さまも最後までお付き合いいただきまして、とてもありがとうございました。

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