横須賀明光高等学校

掲載日:2016年4月25日

高校生がアメリカに行くことの意味【神奈川県立横須賀明光高等学校】

 本校は、平成20年4月に、国際科と福祉科からなる専門高等学校として開校しました。本校では、全国的にも少ない単位制の集合型専門学科高等学校としての特徴を生かし、すべての生徒に国際感覚と福祉の心、高いコミュニケーション能力を育むことを目標としています。その一環として、米国メリーランド州のケイトンズビル高校と韓国の台章(テジャン)高校の2校と姉妹校交流を行っています。今回は、平成28年3月に実施した8泊10日(内ホームステイ6泊、ホテル2泊)のケイトンズビル高校訪問の軌跡を紹介したいと思います。

出発、そして出会い

 平成28年3月17日、期待と不安を胸に、16名の生徒と2名の引率教諭が米国メリーランド州へと旅立ちました。約13時間のフライトの末、ついにアメリカに到着です。緊張の入国審査を終え、荷物を受け取り、無事に空港を出発しました。高校へと向かうバスの中では、広い道をはじめとしたアメリカの壮大な景色に驚き、立ち寄ったファストフード店での飲み物の大きさに驚き、みんなの荷物を軽々と持ち上げる体格の良いバスドライバー(副業としてボディガードもやっている)にも驚いていました。生徒達にとって、初めてのアメリカは驚きに溢れていたのです。
 空港にて高校生出発の様子

          空港にて

 予定よりも少し早くケイトンズビル高校へ到着すると、既に14名のホストスチューデントが校舎の前で待っており、温かく迎えてくれました。本校生徒2名に対しケイトンズビル高校の生徒1名がホストになるケースが2件、その他は本校生徒1名に対しホストスチューデント1名のペアです。ホストスチューデントと一緒に授業を受け、寝食を共にし、休日には一緒に遊びに行きます。この日から始まるアメリカでの日々のほとんどを、この日出会うホストスチューデントと共に過ごすのです。とても緊張しますが、飛躍的な成長が期待できる密度の濃い米国体験の始まりです。

ホスト校へ到着の様子

     受け入れ校に到着

結局は同じTeenager

 観光ではなく、現地の高校生と共に過ごすからこそ気づくことが沢山あったようです。ホームルームクラスのない学校生活、飲み物を飲むことが許可されている授業、想像以上に積極的に発言をする同世代の生徒達、家の中で靴を履いたまま過ごす日々、食事の違い、宗教観の違い、言葉の壁など、最初の数日は様々な違いや壁に圧倒されていたようでした。

 しかし時間が経つとそのような違いにも慣れ、流暢とは言えないながらも意欲的に英語で話をする生徒達の姿を見かけるようになりました。「自分から話しかけないと何も始まらない」。学校の廊下で話をしたある生徒はそう言っていました。積極的に話しかけることで何かが始まるということを、身をもって学んだようです。

 コミュニケーションを取ることに慣れてくると、様々な違いと同時に、共通点も沢山見つけたようです。「国も人種も話す言葉も違うけど、結局は同じTeenager(若者)なんだ」という生徒の発言がとても印象に残っています。テレビや映画を通して見ていると、アメリカの高校生は一見自分とは全く違う人間のように思えるかもしれませんが、実は同じ様に悩み、恋をし、希望に燃えている普通の高校生なのだということが実感できたのかもしれません。勇気を出してアメリカの家庭に飛び込んだからこそ発見できた、とても大切な気づきです。
日米10代同士交流の様子日米10代の交流の様子

                日米のTeenager(若者)

受信から発信へ

 アメリカの高校生活にも慣れ始めた頃、日本語の授業の中で茶道を披露する機会をいただきました。これまではアメリカの文化を吸収してばかりでしたが、今度は日本の文化を発信する番です。日本から持ってきた浴衣に着替え、学校の図書室の一角をお借りし、茶会の準備の開始です。

お茶会に出す和菓子

      日本の茶道を披露

 しかし、直前になって一つの問題が発生しました。約40人という想定以上に多くの生徒と先生方が参加することになったのです。一斉に作れるお茶の数は5杯まで、このままではかなり沢山の人を待たせてしまいます。急遽生徒を招集し、作戦会議を行いました。その結果、生徒の発案により、折り紙を教えるブースと、日本の若者言葉を教えるブースを急遽設けることになりました。これが大当たりでした。日本の若者文化を学び、茶道を体験し、自作の折り紙をお土産に持ち帰る、歓声や笑い声に包まれ、あっという間に90分間の授業が終わりました。生徒のアイディアにより、ピンチがチャンスへと変わった瞬間でした。日本語講座はよほどのインパクトがあったらしく、ケイトンズビルの生徒の発案により、翌日の日本語クラスで急遽アメリカの若者言葉を紹介する授業が行われました。発信は新たな発信を生み出す、そんなことを実感することができた体験でした。

アメリカでのお茶会の様子

       アメリカでのお茶会

大切な人へ何かをしたい気持ち(その想いはきっと海を越える)

 密度の濃い日々はあっという間に過ぎ去り、ついにホストスチューデントに別れを告げる日がきました。その前日、「最後にみんなの前で歌いたい」と生徒から相談がありました。別の日に設定されていたパーティーの中で歌う予定だったのですが、タイミングが合わず断念した歌です。別れの瞬間が近づき、きっと感謝の気持ちを伝えたい想いが高まったのでしょう。

 別れの朝、ホストスチューデントを大講堂に連れて行くと、ステージの上に本校生徒が並んでいました。団長、副団長からの謝辞のあと、歌が始まりました。途中から歌っている生徒が泣きだし、聞いているアメリカの生徒も泣きだしました。歌のクオリティーはひどいものでしたが、きっと言葉を越えた何かが伝わったのでしょう。長いハグと別れの言葉を何度も交わした後、涙を目に溜めた生徒を乗せたバスは、ケイトンズビル高校を去っていきました。いつまでも手を振り続けるホストスチューデント達に見送られながら。

ホストスチューデントとの別れ

   ホストスチューデントへ感謝の歌

 高校生をアメリカに連れて行くことにどの程度の意味や意義があるのでしょうか?事前研修を行っている中、私はそんなことをずっと考えていました。わずか8日間の滞在で英語力が飛躍的に伸びるとは考えにくいですし、ただただ「楽しい」だけで終わってしまってはあまりにももったいないことです。実際に滞在中の生徒の様子を見ていると、英語が飛躍的に伸びたとは思えませんし、日本で行っているのと同じように、日本人同士ではしゃぎ回り「楽しい」だけで終わったひと時も沢山あったように思います。しかし、それだけではありませんでした。新しいことに挑戦し、様々な違いに直面し、考え、きっと大人が思っている以上に彼らの中で何かが変化したのです。そんな小さな変化は、いずれ大きな変化をもたらすきっかけになるのかもしれません。わずか10日間でそのような体験ができる、それはおそらく10代だからできることであり、とても素敵なことのように思います。
 本校は、平成28年度より新たに「グローバル教育研究推進校」に指定されました。グローバル教育を通して生徒に何ができるのか、職員一同一丸となり、模索し続けたいと思います。より沢山の生徒の中に、小さな変化を起こすために。

  お問い合わせ先 

神奈川県立横須賀明光高等学校
電話:046-834-5671

神奈川県

このページの所管所属は 教育局 総務室 です。