障害者雇用優良企業インタビュー(ひまわり交通株式会社)[No.30]

掲載日:2014年3月3日

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 障害者雇用を通じて、タクシードライバーという選択肢を知ってほしいと考えている。現実に内部障害、肢体障害の乗務員が自信を持って乗務している。
  • 働く意欲さえあれば、あきらめることはないという意識を広めたい。重度の肢体障害は断ることもあるが、基本的には採用基準はかわらない。是非、やる気がある方は門戸を叩いてみては、と考えている。 

障害者雇用に対する取組み

  • 人工透析のため勤務時間を調整したり、勤務日数を減らすなどの配慮をしている。
  • 仮眠施設、入浴関係施設、血圧計を常備するなど、健康管理に気を配っている。
  • 障害者を差別しないで、仲間意識を築いてもらうために、特別扱いはしないようにしている。
  • 医者に就労可能かどうかの連絡はとっている。

障害者が従事している業務について

 弊社は川崎市幸区に本社営業所を構えるタクシー会社です。現在、上肢や下肢に障害がある身体障害者4名がタクシードライバーとして日々活躍しています。

村木総務部長に伺いました!

タクシードライバーというと日勤だけでなく夜勤もあり、体力的に相当厳しい職場だと思われます。なぜ障害者を雇用しようと思われたのでしょうか? 

 正直に話しますと、弊社は障害者を雇用しようとして始めたわけではありませんでした。数十年前、前職もドライバーをしていた経験者で、弊社で普通に勤務していた人がいました。「この人、足が悪いのかな」と感じるところがあったので、その話を本人にしてみたら、「いや、実は障害を持っているんだ」と言われたのです。そんな風にして、気がついたら障害者を雇用していたのです。

 その後、ハローワークを通じて企業説明会を開催する機会があったのですが、その時に「障害者なんだけど雇ってもらう可能性はあるんですか?」といきなり聞いてきた人がいました。「障害は関係ありません。乗務出来るか出来ないかはこちらで判断しますので、よかったら一回面接を受けてみませんか」と答えると、「本当に面接していただけるんですか?」という驚きの反応でした。その時に感じた「障害者の方は面接に至るまでに大きな壁があるのだな」という思いは、個人的に障害者雇用を考える大きなきっかけとなりました。

 実際にドライバーとして乗務出来る人がいましたから、弊社も障害者雇用に真剣に取り組もうとなったのです。

障害者のドライバーに対するお客様の反応はどうだったのでしょうか?

 結論から言うと、苦情などの反応はほとんどありませんね。

 足に障害を持っている人に関しては、車からドライバーが降りることは滅多にありませんし、基本的に接客は後ろ向きで行うので、お客様はドライバーの後姿しか見えません。ですから普通に会話が出来ていれば、ドライバーが障害者だと気づくお客様はあまりいないようです。

 また、腕に障害を持っているドライバーが1名いて補助器具をつけて片手で運転していますが、のんびりとした話し方にも特徴があって障害者ということがお客様にも判ります。ただこの人は運転歴も長く、また障害のことなど突っ込まれたことを聞かれても自分できちんと説明出来るので、お客様も理解すると「ああ、大変だね」という感じで受け取っていただけているようです。

 万が一苦情をいただいてしまった時の具体的な対処方法も普段から指導していますが、お客様にとってドライバーが障害者かどうかよりも、運転や会話がきちんと出来るか、道を知っているかということの方が大きな問題なので、苦情があるとすればそういったことが原因になることが多いです。

確かに、道をあまりよく知らないドライバーだと、私自身もイライラすることがありますから、お話はよく分かります。ぶしつけな質問で恐縮なのですが、運転技術で健常者と差があったりはしないのでしょうか?

 運転に関しては、障害者だからといって健常者よりも事故が多いということはありません。実際のところ、それほど差はないのではないでしょうか。むしろ自分の身体や体調のことを常に気に掛けているので、障害者の方が無理な運転をしない傾向にあると思います。

今、体調管理についての話が少し出てきましたが、ドライバーの健康管理はとても重要なことだと思います。運行前に対面点呼などで健康面の確認をされていると思いますが、それ以外に例えばドライバーの内面の問題の把握などはどのようにされているのでしょうか?ドライバーと会話する機会はそう多くはないように思うのですが。

 確かに、机を並べてする仕事ではありませんから、社員一人ひとりがどんな不安を抱き、どんな悩みを抱えているかを把握するのは大変難しいと言えます。弊社ではその日の乗務が終わって事務所に戻ってきてから、運行管理者がドライバーの話をよく聞くようにしています。何故ならドライバーは「今日はこんな遠くまで行った」とか「今日は近い仕事ばっかりだった」とか「忙しかった」「暇だった」など、乗務中は一人なので話せる場所がないからです。中には戻ってきてからも黙々と納金作業をする人もいますが、大半のドライバーは話したがりです。ですから「今日は大変だったでしょ?」などと聞いてあげると、堰を切ったかのように色々な話をしてきます。管理者だけに飽きたらず、話せるドライバー仲間を見つけては、仕事が終わって2時間くらい話していく人もいます。そういったところで会社や仲間とのコミュニケーションは取れているようです。

 また、運行管理者は一応ドライバーの上司に当たるのですが、この時は敷居を低くしてフランクに接するように心掛けています。

 ドライバーは皆同じ仕事をしていますが、チームワークを必要とされていないので、同僚の間では顔と名前が一致していない者も大勢います。それでもコミュニケーションが成立しているのは、同じ仕事をしていて、同じような苦労をしていて、同じような喜びを感じているからだと思います。そういった共感出来る部分が多いので、ドライバー同士の仲間意識はとても高いです。

話を聞いてあげることが大切なのですね。障害者とのコミュニケーションの取り方で何か工夫されていることはありますか?

 障害者に対して変に気を遣って接していると、「障害者だからそういうことを言っているのか」など、逆に本人のプライドを傷つけてしまうことがあります。これは弊社の身体障害者が内部障害や後天的な障害だったということもありますが、身体障害者は自分が「普通なんだ」と思っていることが多いものです。体力的に劣るといったこともありませんしね。ですから過度に気を遣ってしまうとそれが本人を傷つけてしまう理由になってしまいます。障害者が不安に感じることの相談は個別にのって対応していますが、それ以外の時は極力普通に接するように気をつけています。

一般でもなかなか定着しにくい職種だと思われますが、障害者の勤続年数はどのくらいなのでしょうか?

 一番長い人で15年位ですが、平均すると7、8年といったところでしょうか。ドライバーという仕事は年齢に関係なく健康管理にさえ気をつけていれば出来るので、長く勤めることが出来ているのではないでしょうか。

最後に、障害者が活躍出来ている理由は何だと思われますか?

 強いて言うならば、お客様に共感出来る場面が多いからではないでしょうか。タクシーには割引制度があるため障害者の利用も多いのですが、障害者が乗車する時は健常者のドライバーよりもお客様の気持ちがよく分かります。例えば「この人は内部障害のようだから、いつもより安全運転で、急がず衝撃を与えないような曲がり方をしてあげよう」といった気配りが出来ます。そういった工夫をしていくうちに、「私は他のドライバーよりもお客様の気持ちが分かる。自分がお客様の立場だったらこんなことをされたら嬉しいだろうから、今度乗車された時にはこんなことをやってあげよう」といったようにどんどん自信がついてきます。このことは障害者のお客様だけではなく、同じく社会的弱者と言われている高齢のお客様についても言えることです。

 「自分が障害者だから気づけることがあり、障害者だから提供できるサービスがある。」このことが本人の立派なモチベーションになっていると思います。

           村木祐治 取締役総務部長                                  

               (村木祐治 取締役総務部長)

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訪問を終えて

 今回訪問したひまわり交通株式会社は、陣痛119番(Qタクシー)というサービスを行っています。事前に通院している病院名や出産予定日などの情報を登録しておくと、陣痛時に連絡すればすぐに近くにいるタクシーが迎えに行き、病院まで送ってくれるサービスです。「少子高齢化とは言いますが、毎日のように登録があります。川崎市の人口が増えていることもありますが、サービスを始めて以来思った以上に多くの登録をいただいて、正直私もビックリしています。」と村木部長。

 実際には登録のみで利用されないお客様もいるそうですが、お産後も例えば急な子供の深夜の発熱や、定期検診時に利用されるなど、お客様に大変に喜んでいただいているそうです。

 こうした地域社会に安心感を与える需要にマッチしたサービスを提供していることを知り、タクシー会社も時代の変化に対応しているのだなと思いました。

 地域に根付いた会社は、今年で創業52年だそうです。

(平成26年2月13日取材)

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このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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