障害者雇用優良企業インタビュー(株式会社清和サービス)[No.36]

掲載日:2014年1月30日

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 2008年に地域の特別支援学校からの研修生を受け入れたのが障害者雇用のきっかけ。
  • 当初は、企業の社会的責任を果たし、社会貢献する企業の姿勢を示すことを主な目的としていたが、現在は障害者の方に必要な支援は行いながらも、きめ細かく指導することにより戦力化することを目的としている。

障害者雇用に対する取組み

  • 障害者の方の今までの職場経験やスキルを考慮したきめ細かい指導を実施し、戦力化を図っている。
  • 職場指導員を配置するなど、いつでも、どんなことでも相談できる体制をとっている。
  • 障害者しごとサポーターや地域の社会福祉法人などとの連携により随時職場実習生を受け入れている。

障害者が従事している業務について

 弊社は相模原市内の一般廃棄物の収集運搬業務、回収してきたペットボトルやプラスチック製容器、缶、新聞紙などの選別業務、産業廃棄物の収集運搬業務などを行っています。現在7名の障害者の方が働いており、6名はプラスチック関係の選別ラインを、1名は紙ごみの選別を担当しています。選別ラインではパート社員が障害者の間に入りマンツーマンできめ細かな指導を行うようにしています。

ペットボトルの選別作業  パート社員と一緒に選別作業をします

      ペットボトルの選別作業        パート社員と一緒に選別作業をします

原代表取締役に伺いました!

先ず初めに、なぜ障害者を雇用しようと思われたのでしょうか?

  昔、息子が高校生だった時に私は高校のPTAの役員をしていたのですが、その時に親しくさせていただいた先生が息子の卒業後に津久井の養護学校に転勤されました。養護学校では授業の一環として2年生に職場体験をさせていましたが受け入れ先を探していて、その先生から弊社にもお話がありました。私も「体験ということなら」と思い、2006年頃に数名を実習生として受け入れました。その時は雇用の話もなく本当に体験だけだったのですが、実習を受けた生徒が3年生になり実際に就職を考えた時に、弊社で働くことを希望しているとのことでしたので、知的障害のその生徒1名を初めて採用しました。

 ただ何しろ初めての経験ですから、色々と対応に苦慮したことも事実でした。例えばその人は仕事をするうちに手抜きをすること、楽をすることを覚えてしまい、それを後輩に教えたりしていました。先輩風を吹かせて悪知恵をつけていたというか、そんな感じでした。他にも女性のパート社員に強い態度で接してしまうなど、人間関係が上手く築けないところがありました。問題が起きる度にその都度指導を行いましたが、それがまた面白くなかったようで、ご家族を交えて色々と相談したのですが最後は結局辞めてしまいました。

 一般的には知的障害者はまじめにコツコツと仕事に取り組むというイメージがあるかと思います。私も実習中に仕事を見てそういった印象を受けました。ただ、このことを経験してからは障害者という括りだけで判断するのではなく、やはりその人の個性や性格もきちんと見ることが大切だと思うようになりました。

 何かと大変だった最初の障害者雇用でしたが、「仕事が出来るのであれば就労の機会を与えてやるべきだ」という思いは変わらず、今も障害者雇用を続けています。

採用までのプロセスはどのようなものでしょうか?

  雇用している7名は県のしごとサポーターの方を通じて社会福祉法人などに話をしてもらい、弊社の仕事に向いている障害者の方を紹介してもらいました。

 紹介後は1週間のトライアル期間を利用して、障害者の方と会社の双方が仕事内容や適性を確認しました。会社としてはその期間に「仕事のスピードについていけるかどうか」や「体力的にどうか」、「(廃棄物の分別という仕事の性格上)匂いに過敏ではないか」などを確認しました。

障害者を雇用する際に事前に何か準備されたことはありますか?

  しごとサポーターの方から障害者全般の情報提供をいただき、それに基づいて色々な準備をしました。例えば「障害者の中には汚れを過度に気にする人が結構います」という情報をいただいたので、障害者の方が使用するロッカーは全て新しいものに取り替えましたし、全ての洗面所に石鹸を備え付けました。そういったことが嫌で会社を辞められてしまっては困りますからね。作業着も普段は中古があれば使うのですが、障害者には新品を揃えました。

 また、雇用する前には社員にも意見を聞きました。私が「ああしろ、こうしろ」と言ってみても実際に障害者の方と一緒に働くのは現場の社員ですし、やはりパート社員など現場の協力なしに障害者雇用は成功しないものだと思ったからです。実際社員に話を聞いてみると、「全員が健常者じゃなくてもいいかも知れない」とか「健常者より文句を言わずに真面目に働くからむしろ半分くらいは障害者の方がいい」といった感じでした。きっと職場実習の効果もあったのでしょう。また、いい障害者の方に出会えたことも大きかったと思います。いずれにせよ、私が思っていた以上に現場は障害者の方に理解を示してくれました。

 障害者の方を受け入れるために色々な準備はしましたが、思ったよりも簡単だったというのが私の実感です。それ程身構えてやるものではなかったですね。

実際に障害者を雇用してみてどうでしたか?

  「慣れるまでには時間がかかるけれども、仕事自体は問題ないよ」というのが当時の現場責任者の声でした。ですから、やはり最初は長い目で見てあげることが大切なのだと思います。あとは障害者の方が持つ「勤勉さ」とか「集中力の高さ」といった特性を職場にどう活かしていくかということが問題でしたが、雇用しているうちに、障害者の方は「なぜこの仕事をやっているのか」などをしっかり自分で理解出来ると非常に頑張ってくれることに気がつきました。そこで障害者の方にはマンツーマンによる指導が適していると考え、作業ラインでは障害者の方同士で並ばせずに、健常のパート社員が必ず間に入るように工夫しました。そうすることで、障害者の方が仕事内容を理解できずに困っている時でもすぐにパート社員が指導出来るようになりましたし、作業中に危険なことをした時でもすぐに注意することが出来るようになりました。その場で注意されると「これはやってはいけないことなのだ」と障害者の方は理解しやすく、次からはやらなくなります。障害者の方が持っているそういった良い面を上手く引き出すことが出来たかなと思っています。

 弊社には職場定着指導員が1名おりますが、仕事中に障害者の方と常時一緒にいることは出来ませんので、実際にはどうしても現場の社員の協力が必要になります。そういった理由もあって女性のパート社員が障害者の方の指導を行っているのですが、障害者の方にとっても女性の方が何かと聞きやすいといった面もあり、結果として上手くいったと思っています。

障害者を雇用してよかった事は何ですか?

  障害者ということで社員の中には何か差別的な感じが最初はあったと思いますが、健常者とそれほど変わらずに仕事を頑張っている姿を間近で見て、社員も障害者の方を見る目が変わってきました。一緒に働いているうちに障害者の方を特別視しなくなり、「自分たちとそんなに変わらないんだ」という感覚を持つようになったのだと思います。今では障害者の方と普通に冗談を言い合っています。

 また、障害者の方を雇用して職場に余裕が生まれたということもありました。健常者だけの職場では私たちはスピードと効率だけを求めてしまいがちになりますが、障害者の方がいると自ずとそのスピードには限界が出てきます。そしてその分だけ健常者にとっては仕事に余裕が生まれる訳ですから、今度はその中で障害者の方の仕事を見てあげることが出来るようになりました。そういったこともあって職場が殺伐とした雰囲気にならなかったというメリットが図らずも生まれました。

 パート社員間のコミュニケーションも、障害者の方の指導方法などについてお互いに相談し合う中で深まり、健常者同士の時よりも良くなりましたし、障害者の方を指導することでパート社員のモチベーションも向上したように感じています。そして社員の間に「社会的貢献をしているんだ」という意識も若干ではありますが芽生えてきたようにも思っています。

これから障害者を雇用してみようと考えている企業に向けて何かメッセージをいただけますか?

  私たちも最初は上手くいきませんでしたし今も試行錯誤している途中ですが、障害者の方を雇用することは私たちの会社にいくつかのメリットをもたらしました。障害者の方であっても仕事が出来る状態であるのならば、会社としてはチャンスを与えてやりたいと思います。そうしていればいずれその仕事に見合った障害者の方が見つかります。障害者の方が働くチャンスだけは奪わないようにして欲しいと思います。

               原正弘 代表取締役                             

                    (原 正弘 代表取締役)

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訪問を終えて

 インタビュー中に健常者と障害者の「ものの捉え方の違い」に関して興味深いお話を伺うことが出来ましたので、ここで紹介したいと思います。健常者が「よかれ」と思って行ったことが、実は障害者の方にとってそうではなかったという事例です。

 廃棄物を選別する工場内では頻繁にトラックなどが出入りします。ある時トラックが工場に入って来たので危ないことを聴覚障害者の社員に伝えようとしました。声では伝えることが出来ませんから大きなアクションで指示を出したそうですが、その社員の方は「自分が怒られている」と感じたのだそうです。何人もの社員に同じようなことをされたので、その方は「会社を辞めたい」とまで思ってしまったそうです。

 何故そのような思い違いが起こってしまったのでしょう?

 インタビュー後に工場を見学させていただいたのですが、確かにトラックやフォークリフトが頻繁に出入りしていました。仕事中、社員の方はみなさん帽子と手袋、それにマスクをしていました。表情は帽子とマスクで遮られ、目の動きしか分かりません。その時に思い違いの理由が腑に落ちました。

 聴覚障害の方は耳から得られる情報の代わりに、話している人の表情や口の動きを見て「相手が今どんな気持ちで、どんなことが言われているか」を推し量っているそうですが、仕事中はマスクで口の動きが読めませんし、表情も目からしか推測出来ません。もしも真剣な眼で大きなアクションをして注意をされたなら、それは「何かとんでもなく悪いことを自分がしてしまった」と思ってしまっても無理のないことだと思えました。

 危険回避のために社員は真剣に注意を促していたので、指導する側もなかなかそのことに気づけず、その方が本当に「辞めたい」と言って来て、初めて事情が分かったのだそうです。

 幸いにも誤解が解け、それからは肩を叩くなどして注意喚起するようにしているとのことでした。もちろん、その方は今もちゃんと働いておられます。

(平成25年12月20日取材)

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このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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