障害者雇用優良企業インタビュー(藤沢紙工株式会社)[No.34]

掲載日:2014年1月17日

障害者雇用のきっかけ・目的

  • およそ30年位前に藤沢養護学校の進路担当をしていた先生から依頼を受けて、知的障害者の職場実習を行い、2名を採用したことがきっかけ。
  • 障害者雇用を通じて、企業の社会的責任を果たすことや、従業員同士がお互いを支えあう精神を養うことを目的としている。またそのことにより、顧客から信頼される企業であり続けることを目標にしている。

障害者雇用に対する取組み

  • 毎年、障害者の職場実習を受け入れている。
  • 障害者からの相談や職場指導を行う担当者を配置している。

障害者が従事している業務について

 弊社は段ボール製造を中心に包装・産業資材や商業印刷、化粧用器具請負業務を行っている会社です。現在、知的障害者13名が湘南工場で段ボール事業に携わっています。障害の程度や年齢に応じ、シート状の段ボールを機械に給紙する作業や製函(段ボールを成形し箱を作ること)後の結束作業、印刷面の検品や設計図の機械入力などの仕事でそれぞれの能力を発揮してもらっています。  

素早く印刷面の不良をチェック  段ボールの設計図面をインプット

   素早く印刷面の不良をチェック        段ボールの設計図面をインプット

荒川参事に伺いました!

障害者の雇用に長い実績がありますが、雇用が上手くいった理由は何だと思われますか?

 経営側が障害者の雇用に理解を示し、トップダウンで採用を行ったことで、障害者雇用が職場に浸透したことが大きいと思います。これが例えば課長や係長クラスで推進しようとしていたら、なかなか周囲の理解が得られなかったのではないでしょうか。やはり経営のトップが「障害者を雇用するんだ」と決め、はっきりと職場に意思表示したことで、社員にもその意識が高まったように思えます。

なぜ障害者を雇用しようと思われたのでしょうか?

 当時はまだバブル経済が始まった頃で、採用してもすぐに辞めてしまうなど、なかなか人材を確保するのが難しい時代でした。そんな時、弊社が取引していた農家のご家族に新設間もない藤沢養護学校で進路担当をされている先生がいて、「知的障害者に職場実習をさせてもらえないか」という申し出をいただきました。試しに実習を行ってみると真面目に休まず働いてくれました。上手くいけば十分に戦力になるという手応えもあって、その年に第一期卒業生2名を採用しました。その後も3名、1名と毎年卒業生を採用することが続きました。今でも第二期卒業生の3名が働き続けてくれています。

障害者を採用する時のプロセスはどのようなものなのでしょうか?

 まず2年生の頃にインターンシップとして職場実習を2回行います。それから3年生の時に面接を行い障害の程度を把握した上で、2週間の実習を2回行います。この期間は2日ごとに違う仕事をやらせてみて、その人がどのくらいの仕事が出来るのかを確認したり本人の適性を把握するようにしています。そして各部署の担当者や責任者が評価表をつけて、どんな仕事が向いていそうかを検討します。弊社には長い障害者雇用の経験があるので、今では相当な種類の仕事を用意出来るようになり、本人に向いた仕事を見つけることも以前と比べ容易になりました。

 ただ仕事の向き不向きはともかく、本人の適性というものは短い期間でそう簡単にわかるものではありません。やはり半年から1年間くらいかけて仕事の様子を見ていかないと実際にはわからないものだと思います。ですから入社してからも本人の様子をよく見て、仕事内容を変更するなど臨機応変に対応するようにしています。

障害者の能力を引き出し伸ばしていくためには、どんなことが必要だと思われますか?

 3つのことが挙げられると思います。

 一つ目は「障害の程度に応じて、担当させる仕事の内容を考える」ということです。障害に対して仕事の負荷が高すぎてしまうと、当然その人は能力を発揮することは出来ません。

 二つ目に「出来そうな仕事だったらやらせてみる」というスタンスです。今まで障害者の雇用に取り組んできて、こちらが思っている以上に障害者は色々な仕事が出来ると感じています。我々はつい「障害者はこの位までしか出来ないかな」と判断してしまいがちですが、本当は違います。「危なくなかったらやらせてみる」という気持ちで、まずは試してみることが大切です。多少の間違いは大目に見ながらやらせていくと、次第に障害者も仕事が出来るようになってきます。時間は少しかかりますが、そうすることで障害者も労働力として立派な戦力となり、最終的には企業にとっても利益になります。

 三つ目は「適性を見極めて本人の良いところを誉めて伸ばし、能力を発揮できる場を与える」ということです。

 弊社には、段ボールの印刷面に不具合がないかを製造ラインの中に入って目視でチェックをしている障害者がいますが、几帳面で真面目な性格もあって、微細な異物が着いている不良とまでは言えないようなものにまで厳しいチェックをかけて、時折ラインを止めてしまいます。「この位は大丈夫」という判断が知的障害者には難しいようなのですが、そうかといって叱りつけてしまうとかえって頭の中が混乱してしまい、本当に不良だった時にラインを止められなくなってしまいます。速いラインの中で集中力を持続させてこの仕事が出来ることは彼の一つの適性ですから、「よくこんな細かいところまで見つけたね」という風に誉めて能力を評価するようにしています。そして彼のその能力をフルに活かせる場として、彼にはより正確さが求められる製造ラインに入ってもらうなど、こちら側で配置に工夫をして対応しています。

障害者を採用する時に気をつけていることはありますか?

 もちろん職場実習の結果も大事なのですが、それ以上にルールを守って仕事が出来るかどうかを重要視しています。ですからどんなに仕事ができる障害者であってもルールを守れないようなら採用はしていません。なぜルールを守れることを重視しているかと言えば、入社後には製造工場で働いてもらいますから、安全面に対してきちんと理解が出来なければこちらとしても安心して働かせることが出来ないからです。

 工場での事故はやむを得ないものを含めるとある程度つきものだと言えますが、それを防ぐために会社は何億というお金をかけて安全面を充実させ、ルール通りに仕事をしていれば基本的には事故が起こらないように取り組んでいます。弊社では入社してからも安全会議などに障害者も参加してもらい、危険予知訓練などリスクアセスメントへの意識付けを一般社員と同様に行っています。

今でも第二期卒業生が働かれているとのことでしたが、長く働けている理由は何だと思われますか?

 弊社の障害者社員が長く働けている理由の一つは、親御さんがご家庭で「今勤めている会社を絶対に辞めちゃだめだよ」と言ってくれていることだと思っています。何か問題が発生した時にはご家族と緊密に連絡をするようにしますが、幸いにもそのような事例が最近はありません。

 休む時は本人からではなく必ずご家族から連絡をもらうようにするなど、周囲を含めて障害者の態度や行動に関心を持つよう心掛けています。私も障害者が職場に一人でぽつんとしているのを見かけると「積極的に友達を作ろうね」などとまめに声をかけるようにしています。いつもどこかで誰かが障害者に関心を持ち、障害者が安心していられる環境づくりがやはり大事なのではないでしょうか。

              荒川実 参事                             

                      (荒川 実 参事)

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訪問を終えて

 インタビューと合わせて湘南工場を見学させていただきました。

 こちらの工場は段ボール事業の中核工場で、10の製造ラインが稼動しており、小ロット多品種生産にも対応しているとのことでした。印刷から製函まで一気に行うことが出来る何台もの大きな機械の傍らで、社員の方たちがモニター監視や図面入力、給紙や結束、運搬作業などをしていました。自動化出来るところと人手でフォローするところを上手くミックスし、その中で障害者の能力が活かせる場所を確保している印象を受けました。

 見学中は障害者が単独で作業を行っている姿をあまり見かけませんでした。大体のところでは年次の異なる複数の障害者が組みになって作業をしていましたが、これは互いに仕事を教え合って覚えたり、障害者が職場で孤立しないための工夫なのではないかと思えました。

 一日中立ち仕事なので肉体的には相当大変だと思われましたが、参事と話す障害者の言葉や表情から、自然で飾らない人間関係を見ることも出来ました。

(平成25年12月5日取材)

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このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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