障害者雇用優良企業インタビュー(有限会社ハニードライ)[No.18]

掲載日:2013年10月25日

障害者雇用のきっかけ・目的

  • バブル期に欠員を補充するために従業員を募集したところ、支援機関の人と一緒に知的障害者が応募してきた。当時はなかなか人が集まらない時期で、同じ業界で働いた経験もあったので採用した。多少のトラブルはあったが、仕事が出来たので雇用を続けた。
  • 一人採用してしばらくすると特別支援学校や施設、ハローワークなどから紹介が続いた。障害者同士の情報交換から求人をしていないにもかかわらず応募があるなど、次第に障害者が増えていった。
  • 障害者だからといって変な先入観や差別のない会社にしたいと考えている。

障害者雇用に対する取組み

  • 勤務時間については、個別事情に配慮して始業を1時間遅らせるなどの対応をしている。
  • コミュニケーションがしっかりとれるように、午前と午後にそれぞれ15分間の休憩時間を設けている。
  • 職場実習の受入を積極的に行っている。

障害者が従事している業務について

 当社は業務用ユニフォームを中心としたクリーニングをしている会社です。各種障害を持った従業員が健常のパートさんなどと一緒になって働いています。

 基本的には健常者と同じように洗い場、プレス、包装、清掃、出庫準備などの仕事をしています。中には得意なPCの知識を活かして入出庫のデータ管理を自分から覚えてしまった人もいます。

バーコードリーダーでデータを送信 専用の機械できれいにプレスします  

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大塚代表取締役に聞きました!

最初に知的障害者を採用された時、何か障害者についての勉強をされたのでしょうか?

  当社の障害者雇用は計画的にスタートした訳ではないので、特に勉強するといったことはしませんでした。障害者との関わり方は全て現場で手探りの中、学んだものです。

 私は昔、5年間くらいアメリカで生活をしたことがあるのですが、向こうで日本人はマイノリティですから差別される側でした。そういった経験もあって、私自身には障害者に対しての差別意識がありませんでした。それが良かったのかも知れません。

 差別意識がなければ、あとは人として普通に接するだけです。知的障害者が仕事を覚えるには時間がかかります。何度も繰り返し同じ事を教えなくてはいけませんからね。見かけは大人ですから普段は大人としてちゃんと接していましたが、教える時だけ私は「小学校3年生くらいの子供に教えるつもり」で接しました。そうすればすぐに覚えられなくても腹は立ちませんよね。

 また、自閉症の人だと自身のこだわりから、「どうしてもこの仕事はしたくない」と言い出す時があります。自閉症の人には細かいことに気を取られてしまって、全体を認識出来なくなるといった特徴がありますからね。そんな時は最初に叱った後、「今日はその仕事をしないでやりたい仕事をしてもいいよ。だけどやりたいことをするのだから、他の人に負けちゃ駄目だよ。今日がんばれない人間は明日がんばれないよ。それから明日は言われた仕事をちゃんとしようね。約束だよ。守れなければ会社に来られなくなるよ。」と話しました。直感的に親が子供に約束させるような感じでやってみたら結構上手くいきましたね。

 今でもその感覚は大事にしています。そうやって接していく中で人間関係が出来ていきます。よく従業員にも言っているのですが、障害者を指導したり、叱ったりするのは先ずその人と人間関係がちゃんと出来てからではないと上手くいきません。健常者だって知らない人からいきなり厳しいことを言われたら、「何であなたに言われなきゃいけないの」と思いますよね。それと同じ事ですよ。

とても分かりやすい接し方の例ですね。ところで障害者の能力を発揮させるための上手な接し方ってあるのでしょうか?

 これも自閉症の人ですが、時間内にクリーニングの完成品が出来上がってこないと「大変だ、時間がない」と大騒ぎしたり、衣類をたたむのに先端をぴったり合わせないと気が済まなくて必要以上に時間がかかったりしたことがありました。ただ、彼らの規則性に対するこだわり、仕事の丁寧さといった特徴を仕事のスピードに結び付けられれば、それはすごい成果になります。そこで私は彼らの遊び心をくすぐって仕事に活かしてみようと考えました。例えば工場にキッチンタイマーを置いて、タイマーが鳴るまでに仕事を終えるよう障害者に言うんですね。間に合わないと「ゲームオーバー」などと言いながら機関銃で相手を撃つ真似をします。すると今度は障害者が倒れながら「やられた」などとお芝居を返してきました。そうやって徐々に自身のこだわりよりも早く仕事をする方向に意識を向けさせ、仕事のスピードを覚えさせていきました。撃たれた後2分間位、死んだ真似をずっとして立ち上がらなかった時はさすがにイラッとしましたけどね。

よく「障害者を雇用すると会社の生産性が落ちるのでは」という危惧が聞かれますが、実際のところどうお感じになりますか?

  以前、当社の職場を見学に来られた企業の方に「障害者を雇用してどうしたいのですか?」と聞いたことがありました。その担当者は「ハローワークに雇用率のことを言われたくない」とか「企業イメージをあげたい、社会貢献したい」と言った後、最後に「なるべくなら利益を出したい」と話されました。これは違うと思いました。企業ですから最初に利益を上げることを考えなくてはいけません。利益が上がるからこそ、障害者を雇用出来るし雇用率も守れる。社会貢献も出来て企業イメージも上がるのです。当社は小さな会社ですから、障害者を雇用しても利益が出るようにするために必死で取り組みました。試行錯誤を何度も繰り返しましたね。

 例えば知的障害者に「これは触っちゃ駄目だよ」と言うと、必ずと言っていい程触ります。当社では以前に知的障害者へ「このハンガーはこっちのものと混ぜちゃ駄目だよ」と言って案の定混ぜられてしまい、どこにそのハンガーがかけられたか分からなくなって、夜遅くまで探すのに苦労したことがありました。そこで思いついたのが、「しちゃ駄目だよ」と言う代わりに最初から「ここに入れてね」と指示することでした。そうすれば、後でどこに混ぜたか分からなくなるようなことは起きない。場所を指定すれば、全体の中から探し出すよりはるかに手間はかかりません。要は逆転の発想です。最初から「してしまう」ことを前提に仕事をマネジメントすればいい。

 そうやって障害者の特性を知り指導に活かせれば、生産性が落ちる部署も確かにありますが、そうではないあまり落ちない部署も出来ます。企業が発想を転換することによって、生産性を極端に落とすことなく障害者を雇用することは可能だと思います。

障害者を雇用してよかったことは何でしょう?

  障害者の仕事の仕方を考え整理していく中で、気がつくと多くの業務でルールが出来上がっていました。ISO9001を取得する際にはマニュアル化が進んでいた事もあって3ヶ月ちょっとの期間で足りました。これはちょっと予想外と言うか、「こんな効果もあった」と後から気がついた話です。

 あとは会社で障害者に対する先入観、偏見や差別が少なくなってきたかなと思います。当社では一緒に働く仲間という意識を醸成するために、お昼時間は全員一緒の場所で食事を取るようにしています。その時に障害者同士でまとまることはなく、障害者は健常者の中に混ざって食事をします。日ごろから人間関係を築いていれば、多少のトラブルがあっても「しょうがないな」で済みますからね。可愛がられてくれば差別意識はなくなっていきます。

障害者雇用を始めようとしている企業にメッセージをお願いします。

 もしも小さい会社であれば、何も考えず先ずは障害者雇用にチャレンジしてみてください。障害で人を判断せず、一人の人間として付き合っていけば戦力に必ずなります。そしてきっと仕事の関係以上に深い付き合いになると思います。会社に合ったいい障害者に巡り合う楽しみをぜひ味わってください。

 中堅クラスの会社であれば雇用の理由がどんなものでも構いません。雇用すれば人間関係が出来て、障害者のことが人ごとではなくなります。ですからやはり先ずは怖じ気ずに雇用してみる。最初は失敗することがあっても、その中から勉強して次の機会に失敗の経験を活かせばいいのです。何回か挑戦していくうちに会社にとって利益になる障害者にきっと巡り合います。そういった出会いをきっかけにして障害者雇用は自然と進んでいくはずです。

               大塚祐二代表取締役           

                    (大塚 祐二 代表取締役)

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訪問を終えて

 今回の訪問ではクリーニング工場を見学することが出来ました。ちょっと見たくらいではそうだとは分からない障害者の方たちが何人も、見ず知らずの私に明るく「こんにちは」と声をかけてくれました。健常者と障害者が分け隔てなく働いていて、それぞれが職場で自分の仕事に集中して取り組んでいました。その中で工場の一人ひとりに明るく声をかける大塚代表取締役。声をかけられた従業員の方たちも実にいい表情をして代表取締役と話していました。  

 お昼時間少し前。食事場所に運ばれてきたたくさんのお弁当を障害者の一人が誰に頼まれたわけでもなく、自分から進んで机に並べ食事の準備をしていたことが、従業員の人間関係や自主性を大切にしているこの会社を象徴しているようで印象に残りました。

(平成25年9月27日取材)

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このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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