障害者雇用優良企業インタビュー(株式会社大協製作所)[No.5]

掲載日:2013年8月26日

障害者雇用のきっかけ・目的

  • 昭和34年に中学校で特別支援学級の担任をしていた先代社長の知人から、知的障害の女子生徒を「雇ってもらえないか」と頼まれたことがきっかけ。昭和42年には、工場移転と同時に、近隣の福祉施設から一度に知的障害者を10名程度採用した。
  • 障害者を雇用し機械の改良や工程の見直しを進めていく中で、大部分の仕事は機械化され単純化されていった。その結果、知的障害者の特性に向いた職場となり、現在では全従業員の半数以上を知的などの障害者が占めるようになった。

障害者雇用に対する取組み

  • 障害者も朝礼当番を担当。会の進行やスピーチをおこなっている。
  • 冶具(ハンガー)などを改良し、障害者が作業しやすいようにしている。
  • 学校や支援機関、家庭等と緊密に連携をとりながら障害者の職場定着に努めている。

障害者が従事している業務について

 当社は自動車部品などにめっきや塗装をしている金属表面処理メーカーです。昔職人さんがやっていたような塗装の仕事も今では機械化・自動化が進んでいて、障害者は塗装工程のラインで部品をハンガーに掛けたり、めっき処理が終わった部品をハンガーから外したりする作業に従事しています。ライン以外にも掛け外し作業があり、そこでは重度の知的障害者の人も働いています。

 部品をハンガーから外す作業   不具合品を分かりやすく写真で表示

    部品をハンガーに掛ける作業       不具合品を分かりやすく写真で表示

栗原社長に聞きました!

障害者の能力を引き出す何かコツみたいなものはありますか?

 やはり障害者本人の成長を促したり、やる気や責任感を持たせるような工夫が必要だと思います。まあ、それは健常者でも同じですけどね。当社の場合は先輩障害者が新人障害者の教育をするようにしています。教えられる側としては健常者からだと上から言われてるような気がして萎縮してしまうことがあるんですが、教える側が同じ障害の先輩だと安心感も違いますし、何より教える側が責任を持つようになるんですね。その結果、双方の成長に繋がります。

 また、ある仕事が出来るようになったら今度は別の仕事を覚えてもらって、業務時間内に複数の現場を異動出来るようになってもらいます。仕事に自信がつくまでに時間がかかり大変ですが、周囲が本人の悩み事をケアするなどバックアップしながらやっています。そうやって障害者の仕事の幅を広げていくと、障害者もちゃんと応えてくれるんですね。もちろん、全員が全員出来るようになるというわけではないので、こちら側がちゃんと人を見る必要はありますよ。

 精神障害者の雇用にはどう取り組まれていますか?

 現在雇用している1名は、2年くらい前にハローワークからの紹介で面接会を開催したのがきっかけでした。面接会では働くことに対して前向きでやる気がありそうな人を選び、面接後に会社見学や2週間の職場実習などをして、本人の働く意思や仕事の能力、フルタイム勤務できるかどうかなどの体力面を確認して採用しました。最初は一人で出来る梱包作業などをお願いしながら、徐々に職場環境や人間環境に慣れてもらうようにしていきました。今は少しずつですが色んな種類の仕事を覚えてもらうようチャレンジしてもらっているところです。

 精神障害者の雇用には「毎日安定して勤務できるか」、「コミュニケーションが取れて周囲とトラブルを起こすことはないか」など特有の問題があります。そういう問題が起こりそうなときには当社では支援機関の力を借りながら対応するようにしています。困ったときに電話一本で相談にのってくれ、会社まで来てくれる支援機関の存在はとても心強いものです。障害者本人のこれまでの支援の歴史や体調の経過、障害の特徴などは会社が知ろうと努めてもなかなか出来るものではありません。

 今後障害者雇用を進めていく上で精神障害者の雇用は間違いなく取り組まなければならない課題ですから、現在当社としても試行錯誤を繰り返しながらノウハウを蓄積しようとしているところなのです。

 ただ、私の感想なのですが、精神障害者の人は面接の受け答えなど健常者とほとんど変わりません。ですから面接では精神障害がどの程度のものなのかを判断しにくいところがあります。2週間の実習期間でも3ヶ月のトライアル雇用でも正直短いかなと思っています。やはり1年間くらいかけて本人がちゃんと働けるということを確認してから採用したいというのが本当のところです。

 安定した雇用の継続に必要なものは何だと思われますか?

  採用するときに一人だけ採用するのではなく、複数名を一緒に採用することをお勧めします。障害者にも同期の仲間が出来ますし、お昼のときなども孤立しにくいからです。

 また、当社の勤続年数は平均して14年くらいなんですが、長く職場で働いてくれるのはやはり障害者本人の努力に負うところが大きいと思っています。側で見ていて感じるんですが、障害をもつ人は健常者よりも体力的に衰えるのが早いようで、当社の場合だと、40,50代でリタイアしてしまう人が結構いるんですね。体力的に仕事が厳しくなってきて仕事が遅くなり、やがて周囲と揉めたりすることが出てきます。そうなると会社としては本人に福祉的就労の方へ移るように薦めるんですが、やはりなかなか素直に自分の衰えを認められない。でも何とか説得して福祉的就労に移ってもらうと、障害者の表情も柔らかくなっていい笑顔になることが多いんですね。

 障害者全員が必ずそうなるとは言いません。当社にも30年選手が数名いますし、その人たちは勤続年数表彰を目標にがんばって仕事をしています。私が言いたいのはリタイア後の障害者の居場所についてなんです。自分の体と相談して働ける障害者には働いてもらい、無理な人には福祉的就労へ移ってもらう。リタイア後の障害者の社会的受け皿をはっきりさせることは、今後障害者の雇用を増やしていく上で企業側の負担を減らし、安心して障害者を雇用できる環境づくりを促すという意味でとても大事なことだと思っています。当然、これだけでは福祉的就労の人がどんどん増えていってしまうことになるので、企業側は福祉的就労をしている若い人を今度は積極的に採用していく必要が出てきます。こんな感じで福祉施設と企業の間で人材の循環が生まれればいいなと考えているんです。

 これから障害者雇用に取り組む企業にメッセージを。

  障害者雇用は何も特別なことではありません。たまたま一緒に仕事をするのが障害者というだけです。もっと身構えずに気楽な感じで考えて欲しいと思っています。

 障害者には例えば数が苦手など出来ないことが一部あるだけで、誰にでも出来るような工夫を考えてやれば、能力的には健常者とそれほど変わらないし、またきちんと仕事をしてくれます。

 初めて障害者を雇用するときは様々な不安が頭に思い浮かぶと思いますが、ハローワークや支援センターなど障害者雇用のノウハウを持っている機関に相談していけば、思いのほかスムーズに進むのではないかと思います。

 まずは実習やトライアル雇用を利用して、ぜひ一歩足を踏み出して欲しいと思います。

                栗原敏郎代表取締役社長          

                    (栗原 敏郎 代表取締役社長)

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              ※音声内容テキストページ [Wordファイル/11KB]

訪問を終えて

 栗原社長に連れられて工場を見学させていただくと、大きな音を立てて動いている塗装機械の脇では、社員の方がタオルを首に巻き汗を拭きながら自動車部品をハンガーに掛けたり外したりしていました。部品ごとに形が異なるハンガーを作業に応じて取り替えるのですが、試しにハンガーの一つを持たせていただくと、これが見た目と違ってずっしりと重い。社員の皆さんはこれを2,3個まとめて普通に移動させていました。私の日ごろの運動不足を思い知らされた瞬間でした。

 重いものを持つ社員の負担を少しでも減らそうと、工場ではフォークリフトが活躍していました。「今後はフォークリフトの運転も障害者の方にやらせてみようと考えているんですよ。もちろん出来そうな人にですよ。」と栗原社長。障害者の能力を高く評価するその信念は、きっと長年にわたって障害者の人たちとともに働いてきた経験が裏打ちしているのだと感じました。

 真夏の暑い中の取材にお付き合いいただき、ありがとうございました。

(平成25年8月6日取材)

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このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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