障害者雇用優良企業インタビュー(龍屋物産株式会社)[No.6]

掲載日:2013年8月27日

障害者雇用のきっかけ・目的

  •  昭和55年に会社近くの中学校の先生から知的障害を持つ生徒を1名紹介され、実習生として受け入れた。教えていくと少しずつだが仕事が出来るようになり、本人の成長を感じられるなど新しい発見があった。
  • 平成7年に養護学校からの紹介で障害者を雇用したことを機に障害者雇用を本格化させた。

障害者雇用に対する取組み

  • 実習期間の様子から本人の適性を判断し仕事を割り振るようにしている。
  • 生活スキル向上を目指す試みを行っている。
  • 仕事上の悩みなどを相談できる担当者を職場に配置。体調管理においては生活指導員が対応するなど、会社として役割を明確にしている。
  • 全従業員の中から選出する毎月のMVP表彰に障害者の方も参加。
  • 年に一回保護者会を開催。また自閉症の方を中心に連絡ノートを毎日交換するなど、家族の方たちと緊密に連絡を取るように努めている。

障害者が従事している業務について

 当社は珍味やナッツ類、紅茶などの食品を輸入・企画・製造・卸売している会社です。健常者と一緒に知的障害者の方たちがパソコン操作、伝票発行、商品袋詰め、シール貼り、倉庫作業などの仕事に従事しています。またそれ以外にも、例えば何度も丁寧に手を洗ってくれる人にはパートさんの爪や手の傷のチェックをしてもらうなど障害者の個性を活かすような工夫をしています。

 大きさを調整し決められた重さに   シール貼りと同時に不純物混入もチェック

    大きさを調整し決められた重さに       シール貼りと同時に不純物混入もチェック

取締役の方々に伺いました!

障害者を雇用して感じることは?

 「どんなに忙しくても基本作業に徹する姿勢」や「職場を和やかにする能力」が素晴らしいということです。健常者だと長時間同じ作業をしているとどこかでつい手を抜いたりしてしまいますよね(笑)。ところが障害者の方たちにはそれがないのでミスが非常に少ないのです。また、時々突拍子もないことを言い出したりするので、職場に笑いがおこりみんなを和ませてくれます。

 障害者の方が身近にいることで、街中で他の障害者の方たちと出会っても気にならなくなりました。障害をその人の個性として受け止め、同じ社会の一員として受け入れることが出来るようになってきたのだと思います。私たちの職場では健常者・障害者を問わず「○○さんに助けられた」とか「○○さんのおかげで助かった」など「助かる」という言葉がよく聞かれます。今では障害者の方たちに休まれてしまうと困ってしまうくらい本当に助かっています。

障害者の生活スキル向上に取り組んでおられるのはどうしてですか?

 きっかけは保護者会で「私たちがいなくなった後、一人で生活していけるのかとても心配なんです。」と伺ったことでした。会社に勤めることで収入は見込めますが、生活するとなるとそれだけでは十分ではありません。一人で買い物をしたり、字が読めたりしなくては暮らしていけませんよね。ですから会社では例えばお昼の弁当の注文や集金を敢えて数字の苦手な障害者の方にやってもらい、お釣りの計算やお金の数え方を覚えてもらうようにしています。また、難しい商品名の漢字にも仮名を振りません。会社から一歩外に出たら、漢字に振り仮名は普通ありませんよね。障害者に優しい社会であればいいのですが、現実はまだそこまでいってませんから、現実に合わせるよう訓練しなくてはいけないのです。ただ、学校ではないので、通勤時間を含め会社がどこまで障害者の方の責任を受け持つべきなのかは正直悩ましいところです。

障害者の能力を引き出す何かコツみたいなものはありますか?

 私たちは障害者の方を雇用するときに必ず2週間の実習期間を2回設けていて、そこで本人の適性を判断していますが、「難しい」と思われる仕事にも一度は取り組んでもらっています。見ただけでは分からないこともありますし、本人の成長にも繋がりませんからね。そして実際にやってみてもらってうまく出来たら「よかったね」と素直に褒めてあげます。すると障害者の方もうれしいのでしょうね、一段と成長してくれるものです。

 また成長を促すという意味で、私たちは障害者の方たちを一箇所に集めて同じ作業をしてもらうという環境は作らないようにしています。そういう環境では一番下の作業レベルに合わせて、本人が楽をしてしまうことがあるからです。

 教え方については実習に来ていたダウン症の生徒さんから学ぶことがありました。この方は5個の商品を袋に入れるという仕事で「5」という数字が理解できなかったんですね。しばらく側で見ていると「3」や「2」ならわかることに気がつきました。そこで「3個と2個」という風に教えると仕事が出来るようになったんですね。障害者の方にとって理解しやすい教え方というものを改めて考えるきっかけになりましたし、幼い子供にものを教えるお母さんや幼稚園の先生の教え方が一つの参考になりそうだと気づかせていただきました。私たちの会社にはパートの女性従業員が多く働いていますが、素直で真面目な知的障害者の方たちを指導していくにあたって子育ての経験のあるパートの方たちはとても優秀な先生になってくれています。

これから障害者雇用に取り組む企業にメッセージを。

 障害者雇用を考えると「何か問題を起こすんじゃないだろうか」とか「仕事上いい影響を与えないのではないだろうか」と思ってしまいがちですが、まずは職場実習などを通じて障害者のことや能力を知る機会を作ってみてください。障害者の方たちの能力に気が付けば、きっとそれを活用したくなる筈です。トラブルや間違いがある程度起こるのも事実ですが、大事なのは「会社としてどこまで許容できるか」というスタンスだと思います。そしてトラブルが起きてしまったときは会社だけで何とかしようとは思わないで、家族の方や支援センターなどと連絡を取り合って対応していくことがうまく解決するポイントです。

 当社では障害者の方にも担当の仕事をきちんと割り当てて責任感を持って働けるようにしていますが、「任されている」「当てにされている」という実感があれば彼らも自分の力を存分に発揮して活躍してくれます。そういった環境を引き続き作っていくことで障害者の活躍の場が拡がればと考えています。

                飯嶋ノリ子取締役          

                      (飯嶋 ノリ子 取締役)

訪問を終えて

 当日は多田社長、飯嶋取締役、繁田専務の3名にお話をお伺いしました。

 事務所を案内していただくと障害者の方が仕事の手を休めて自己紹介をしてくれました。その紹介が「好きな芸能人は…」などユニークなものだったので思わず笑ってしまうと、「障害者の人がいてくれると笑いがあって、とても和やかな職場になるんですよ。」と飯嶋取締役。またその方のパソコン入力の速さに衝撃を受けました。この方は秋に行われる「アビリンピック」にも参加されるとのことでした。

 飯嶋取締役が障害者の方たち一人ひとりに優しく声を掛けられていたのがとても印象に残りました。

(平成25年8月2日取材)

神奈川県

このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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