障害者雇用優良企業インタビュー(アスロード物流株式会社)[No.58]

掲載日:2016年7月15日

安田社長に聞きました。

今回は、横浜市に本社のあるアスロード物流株式会社 安田社長にお聞きしました。

アスロード物流株式会社アスロード物流株式会社

障害者雇用のきっかけについて教えてください。

 独立して起業する前に勤めていた会社で、物流センターを立ち上げる仕事に関わりました。コンビニエンスストアの食品の仕分や配送作業をするセンターでしたが、通勤が不便だったこともあって、思ったように人が集まりませんでした。それで、人材派遣会社に頼んだりしましたがコストが見合わず、外国人の雇用を進めることにしました。同時に、障害のある方もできる仕事、例えばベルトコンベアで流れる品物を袋詰めする作業などが結構あることに気付き、雇用してみようということになりました。

 きっかけが何もなかったものですから、私が地元の特別支援学校に出向きました。進路担当の方と話をし、次に卒業する予定の方を何人か実習で受け入れました。さらにその特別支援学校の卒業生の再就職に向けた実習を受け入れたりしているうちに、特別支援学校だけでなく、近隣の支援機関の方からもたくさん連絡が来るようになりました。障害のある方の雇用を親身に考えてくれる企業があまりないという話も聞きました。

 そのとき、働きたいけど働けない方を雇用することが企業のあり方だと私は思いました。障害のある方には難しい仕事もありますが、障害のある方が元気よく働ける仕事もありましたし、それを作ろう、数を増やそうと思いました。前の会社から独立して自分で会社を起こしたとき、地域の金融機関が応援してくれ、お客様にも恵まれました。周りに助けられて、私もまた誰かを助けたいと思っていました。

どのような仕事をしているのですか。

 知的障害の方で運転手をしています。最初は県障害者就労相談センターとやりとりをしたと思います。

 この横浜営業所が関東地区の運転手の出勤場所です。運送会社には特定の出庫点呼というものがあって、その点呼をして、車の鍵を渡して、まず自社の倉庫で積むものがあれば積み、得意先で積む場合はそちらで積んで配送します。得意先で積むのがほとんどで、スーパーマーケットの配送センターや食品の加工会社の工場で作業しています。

 障害のある方は、倉庫の軽作業という選択肢もありましたが、収入面の目標もあり、運転をやりたいということで、商業施設への配送をしています。朝に得意先で荷物を積み込み、商業施設に配送し、アルバイトの方と一緒に荷下ろしして、施設内の店舗ごとに荷物をお届けします。こちらの営業所から得意先と商業施設を往復しても1日の走行距離は数十キロです。走行距離が比較的短く、運送作業よりも荷下ろし作業が多い。なおかつ、会社からも近いので何かあったときにすぐに向かうことができます。そういったことも考えて、この仕事を任せました。採用後しばらくの間は、長時間の運転はさせませんでしたが、1か月くらい責任者が付いて一から教えて、大丈夫だと見極めて任せて2年程経ちます。

―その方に合った仕事だったのですね。

 きちんとやりこなしています。商業施設の店舗ごとに荷物を届けた後、各店舗から集荷する荷物を確認し、トラックに積んでお客様の倉庫に戻り、ベルトコンベアで荷物を流す作業をします。体力的にも大変だと思います。休みの日に他の従業員に行かせると弱音をはく者もいます。それをやっているのだから大したものです。

―運転手といっても運転だけではないのですね。

 運送会社というと、荷物を積んで運ぶだけというイメージが強いかもしれません。私がアスロード物流と「物流」と会社の名前につけたのは、付加価値をつけたいと思ったからです。つまり、お客様の荷物を運送するだけでなく、倉庫で保管、管理し、輸送をする。倉庫と配送を別に取引しなければいけないところを、倉庫と車を持った会社であれば総合的にお客様のニーズに応えられると思ってスタートしました。お客様の倉庫での作業もありますし、運送会社もサービス業の側面があります。ここまでの業務ができるなら障害のある方を雇用しようという企業もあると思いますが、いろいろな仕事があるので、その人に合わせた仕事を作っていけばよいと思いますし、現場の責任者にもそういう指示をしています。

コミュニケーションの工夫はありますか。

 障害があるからといって特に区別はしていません。特別に優しくするのも、本人のために良くないと思いますので、注意するべきことがあれば注意しますし、良いことをすれば褒めます。それは、健常の運転手と同じです。

―ご家族の方とのやりとりはありますか。

 基本は会社からはないですね。親御さんが気になって大丈夫ですかと聞いてきたことはありましたけれど、そういう心配は不要ですよ、ただ本人から話を聞いて、会社に問題があると思ったことは遠慮なく言ってくださいと伝えました。我々も人間ですから、正しいと思って言ったことが本人にとってはつらいかもしれませんし、気が付かないこともあるかもしれません。本人の自立を目指して、特段の区別をしてないので。

 私にも家族がいますから、もし家族の立場なら、そういう会社に勤められたらいいと思いますよね。相手の立場に立つことが大事なことです。私は経営者で権限をもっている立場ですから、ためらわずにやるべきことを推し進めていかないと先に進まないですからね。

 私は日頃から、自分がもしそうだったら、自分ならこうしてもらいたい、ということを考えています。コンビニエンスストアの店舗も経営していていますが、私がお店に巡回に行くときは社長やオーナーとして行くのではなく、お客様として店に入って、お客様の立場で店内を見ます。そうしないと商売というのは上手くいきませんから。

これから障害者雇用を始める企業にメッセージをお願いします。

 コンビニエンスストアの店舗には短い時間の仕事もあるので、今後は障害のある方に任せられる仕事があると思っています。先ほど言いましたように、企業が障害のある方を雇い入れることができる仕事を作っていくことが大事ですよね。

―仕事の種類が多いことは障害のある方にとっても選択肢が増えますね。

 そうですね。種類を増やすことによって、自分に合った仕事を選べます。どんな仕事でも大変だと思うのですが、自分に合う仕事、自分ができる仕事があればいろいろな人が活躍できます。

 高齢者の方も雇用していて、運転手もいますが、倉庫の作業、運転手の夜の出勤を管理する点呼係をお願いしています。これから高齢者の割合がどんどん増えますので、高齢者の方にも活躍してもらわないといけない。ですから、運転手は難しくても、倉庫の軽作業や内勤での伝票チェック、あるいは4t車といった大きい車ではなくて小さい車でできる仕事、例えば家庭への食材の宅配といった仕事を作っていく。だんだん企業はそういうことが増えてくると思います。そうしないと成り立たないでしょう。だから、人がすごく大事で、人がいる会社、残る会社、集まる会社は勝ちます。他の会社がやって成功したことをまねしようと思ってもすぐにはできないです。今から少しずつでもやらないと。

 小さいことからでも障害者雇用を取り入れていくべきだと思いますし、そういう企業が運送会社に限らず増えるとよいと思います。けれど、こうした考えをしない企業もあると思います。やはり、障害のある方が元気よく明るく働く姿というのはすばらしいものです。時間がかかるけれども、企業の経営者が推し進めて、それを従業員に伝えて、障害のある方を雇用するという会社作りをやっていかないといけないと思います。

 訪問を終えて

 運送業務といってもその内容や距離は様々であり、今回は障害のある方にマッチングした業務のお話を聞くことができました。また運送業務に付随する多くの業務があり、業務を切り出して高齢者の方の雇用も進めているお話も参考になるのではないかと思いました。障害者雇用を企業の経営者自身が推し進めていかないと、という力強い言葉も印象に残りました。

(平成28年5月23日取材)

神奈川県

このページの所管所属は 産業労働局 労働部 雇用対策課 です。

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