図鑑 コイ

掲載日:2017年8月1日

コイ Cyprinus carpio

コイ目コイ科

 神奈川県の内水面においてコイは、アユに次ぐ重要な魚種で、その漁獲量は年々増加していましたが、平成6年頃から減ってきました。
また、平成15年頃からコイヘルペス病が全国に蔓延し、コイ稚魚の放流をしなくなったこともあり、コイは大きく減少しています。

コイ

分布 ユーラシア大陸(アジア・ヨーロッパ)が自然分布域と言われていますが、移植によりほぼ世界の温帯、亜熱帯域に生息するようになりました。
日本全国に分布しています。昔から移植が盛んなため、自然分布の範囲は明らかではありません。
 日本のコイは中国から移入されたと言われ、縄文時代の貝塚などから化石が見つかっている。しかし、関東平野や琵琶湖などでは野生型のコイが生息することや、古い地層からコイの化石が見つかっていることから、元々日本にコイが生息していて、その後中国等から移入され日本中に広まったと考えられています。コイという名は、体が肥えている、味が肥えている(旨い)等からきているらしい。
形態 背びれのトゲは硬く、ギザギザの歯のようになっています。
 長短2対のひげ(合計4本)があり、触感と味覚を感じると言われています。このひげは底にいるエサを探すのに役に立っています。
口(吻)が伸出させることができ、泥ごと底生動物などを口に入れ、えらから泥だけを出すようにして食べます。
口には歯がありませんが、いん頭歯(うすのような形の歯)がのどのところにあり、貝殻のような硬い物をかみ砕くことができます。
雄と雌の違い
 外観ではほとんど区別が付きません
 雄は頭が大きく、雌に比べ体がやや細い、胸びれは大きく、角張っています。雌は、ずんぐりして丸く、胸びれはやや小さく、丸みを帯びています。
コイの仲間(亜種)
 ・マゴイ(野生のコイ)  体高が低い、ヒゴイ、イロゴイ(体の赤いもの)、ヤマトゴイ(養殖種) 体高が高い、ニシキゴイ(高価な観賞魚)、ドイツゴイ(うろこが少ない)

生態 湖、池、沼、流れの緩やかな川の淵などの砂泥底のところで生活し、冬場は深場に集まります。相模川ではほぼ全域に生息し、塩分の入る感潮域にも生息しています。
 流れが緩やかで、底が泥のところを好みますが、水質の汚濁に強く、かなり汚れたところでも生活できます。適水温は15-25度ですが0-30度の範囲であれば生きています。
貝類(シジミ、カワニナ等)が好物で、イトミミズやユスリカの幼虫、水草等の他、他の魚の卵や小魚も食べます。コイは胃が発達しておらず、腸しかないため食いだめが出来ません。このため一日中食べ続けています。
産卵期:4-6月で、水温が20度前後になる頃から始まります。
 大雨が降り、川が増水した後など水温変化をきっかけに産卵行動を始めます。
 流れの緩い淵などで、1尾の雌に数尾の雄が追いかける様にして産卵します。
 産卵は午前中が多く、流れの緩い水草(マコモ、キンギョモ)、葦など水没した陸生植物の茎や根などに卵を産み付けます。
卵は直径2mmで粘着性があり水草などに付着します。 1年で2-3回卵を生み、1回の産卵数は20-60万粒と言われています。
 水温が約20度で4-5日でふ化します。
 ふ化した仔魚は約5mmで、水草の生えたところや水田でミジンコなどのプランクトン等を食べ大きくなります。
昔は水田での産卵が多くみられた様ですが、近年では水没した植物や水面に浮く木片に卵を産み付けることが多く観察されます。しかし、川の水位は変動するため、ふ化する前に卵が干上がってしまうことも多くあります。
成長
コイの成長
寿命 寿命は、15-20年ほどで、60cmほどになります。
飼育されたコイでは、20年以上生きるものや、1mを越える魚もいます。
雄は2年、雌は3年で成熟します。
備考 コイは、コイこく、刺身(洗い)、唐揚げ等山間地で主に食され、サク鯉等が有名である。また中華料理ではよく利用されています。
都市河川などで、「川をきれいにする」目的で盛んに放流されていますが、コイは元来大河川の下流域や大きな湖に生息する魚であり、中小河川に放流された場合、他の魚の卵や稚魚を大量に補食し、底生生物や水生植物なども根こそぎ食べてしまうため、生態系に配慮した慎重な放流が求められています。
一方、観賞魚としても人気があり飼育されていますが、神奈川県内ではほとんど生産されていないため、他県で生産された魚が流通しているのが現状です。
河川の調査を行っていると、春から夏にかけていたるところでコイの産卵行動が見られます。しかし、コイの稚魚はあまり採捕されません。

コイの産卵

雌を雄達が追いかけている 1尾の良く太った雌を、5から6匹の雄が追いかける
産卵行動 水草や水面に浮いたごみなどに卵を産み付ける
コイの卵 初夏、雨の降った後の川では、至る所でコイの産卵が見られます
コイは水深50cm以前の浅いところで数匹あつまり産卵します。
卵は水草や水中に沈んだ植物などに産み付けられます。

コイのふ化

コイのふ化仔魚 ふ化したばかりのコイの稚魚
幼魚 3ヶ月もたつと親と変わりません
幼魚若魚 コイ 稚魚コイの稚魚
ドイツゴイドイツゴイ、うろこが大きく少ない

相模川におけるコイについて

コイの分布
 平成9年に相模川全域で行った内水面試験場の調査では、60地点中、42地点(71%)で採集されました。コイが採捕されなかったのは、中津川の上流域ぐらいでした。
 平成5年に行われた同様の調査では、出現頻度は44%と低く、コイの生息分布域は拡大していると思われます。
平成5年と9年の調査での魚の出現頻度を示しました。
コイの割合
 採集されたコイの体長組成をみると、体長10-14cm(35-100g)と30-34cm(700-1,000g)の2つのピークが見られました。通常、魚は大きくなるにつれてその割合が減少していきますが、コイは大型の割合が増えています。これはコイの種苗放流によるところが大きいと思われます。
 平成10年度に相模川に放流されたコイは3.9トン、体長10cm(約25g)-40cm(1.7kg)で、アユ、フナに次ぐ放流量でした(”漁協だより” 平成11年4月1日号、相模川漁業協同組合連合会発行より)。 
体長組成
相模川で採捕されたコイの体長組成(1993-1998)

コイの再生産


コイの再生産

 春になると河川のいろいろなところでコイの産卵行動がみられます。しかし、その割にはコイの稚魚はあまり見つかっていません。コイの稚魚がよく見られるのは、相模川の昭和橋付近や相模大堰付近、中津川の昭和堰付近です。その他の場所は、再生産した稚魚と言うよりは放流された魚の可能性が高いと思われます。
体長別採捕数
相模川における場所別体長別採捕数(1993-1998)
この理由を考えると次のことが考えられます。
1 卵がふ化しない。
  卵を水槽で飼うと、ふ化することから卵質には問題がない。
  卵がふ化する前に干上がり死ぬ(可能性大)
  水質の悪化(コイ以外の魚はふ化しているので、可能性は薄い)

2 ふ化しても生き残らない
  稚魚のエサの不足(ミジンコ等が少ない場所でも産卵しているため可能性は高い)
  他の魚による食害(コイの稚魚を食べるニゴイの増加やコイ自身が天敵となりうる)
  稚魚が生まれ育つ隠れ場の減少(近年止水域が増加し、生息場所は増えている)

その他
 市町村や河川周辺の自治会等がコイの放流を盛んに行っているため、コイが至る所に生息するようになりましたが、今度はコイによる生態系への悪影響が懸念されはじめています。コイは水質の悪化に強く、見る者に潤いを与えることなどから盛んに放流されていますが、コイは雑食性で成長が早く寿命が長い魚です。このため、水生昆虫や水草、他の魚の卵や稚魚など口にはいるものはなんでも食べてしまい、他の魚に少なからず影響を与えています。さらに、人間がエサを与えたりすると成長が早まり、生息水域においてコイが突出した存在になっているところが多く見られます。コイだけが住める川は決して良い川とは言えません。モツゴやフナ、メダカ等もともとその場所にいた生き物を大事にしてうまく共生することが重要です。
コイの漁獲量
 1999年8月1日、桂川相模川流域協議会にて講演した内容を抜粋

ふ化観察記録

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場 です。

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県の重点施策
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • 未病の改善
  • さがみロボット産業特区
  • 県西地域活性化プロジェクト
  • かながわスマートエネルギー計画
  • 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会
  • ラグビーワールドカップ2019