相模川の魚類相

掲載日:2017年8月1日

相模川の魚類相

内水面試験場 業績発表会


[目的]
 相模川は県下最大の河川で、漁業、遊魚を中心に県民の憩いの場となっている。この水域を将来にわたって利用するためには、水生生物の生息環境を考えた保全対策が必要である。そこで当試験場では、相模川に生息する魚類等の種類と分布・生態等の現状を把握し、将来の保全対策の資料とすることを目的として、93年から相模川の魚類等について調査を行っている。今回はその調査結果の中から、99年の相模川の魚類相と相模大堰稼働後の魚類相の変化について報告する。
[方法]
 魚類の採捕は主に投網を使用し、水深や予想される対象魚によって3種類(7節、16節、26節)の網を使い分けた。また、調査の精度を上げるため、投網はベテランの漁業協同組合員に依頼して実施した。岸辺付近の植物の間や、石の下に隠れる性質のある魚類等を採捕するために電気ショッカーも用いた。
 99年は、相模川本流24地点、中津川9地点、小鮎川、新玉川、永池川、目久尻川 の合流点付近の合計37地点の調査を行った。
[結果] 
 99年は37地点で22科49種の魚類が確認された。確認された魚種の採捕割合は、オイカワ(30.8%)が最も多く、ついでウグイ(30.6%)、アブラハヤ(5.4%)、ニゴイとフナ属(5.0%)の順であり、オイカワとウグイが全採捕魚の6割を占めた。過去に記録がなく、今回初めて確認された魚種は、イッセンヨウジ、コボラ、ユゴイ属、クロサギ属、ツバメコノシロの5種であった。河口域においてイケカツオ、ツバメコノシロ等の南方系の魚種が採捕され、黒潮の影響と考えられた。また、近年全国的に減少が危惧されているカマキリが、例年になく多く採捕された。
相模大堰の湛水域および下流の地点について、稼働前の97年と稼働後の99年の採捕割合による魚類組成を比較すると、大堰下流では、両年ともにオイカワ、アブラハヤ及びカマツカの採捕割合が高いことは変わらないが、97年に2番目に採捕割合の高かったフナ属(18.2%)が99年は減少し、ニゴイ(9.3%)及びウグイ(9.2%)の採捕割合が高くなった。また、確認魚種数が12種から18種に増加した(図1)。
 稼働前の流速の弱い平瀬が、大堰の稼働により早瀬、平瀬、淵が形成され河川形態が多様化し、生息する魚種の増加をもたらしたと考えられる。東名から相模大堰の地点では、97年はオイカワ(44.7%)、アブラハヤ(16.7%)、ウグイ(15.7%)、モツゴ(6.5%)の順に採捕割合が高かったが、99年はフナ属(24.7%)、アユ(18.5%)、アブラハヤ(16.0%)、ニゴイ(13.6%)の順となり、確認魚種数は15種から10種へと減少した(図2)。以前の平瀬や早瀬であった環境が湛水域への変化で河川形態が単調化したことにより、魚種数が減少し、水深が深く流速の弱い生息地を好むフナ属やニゴイ等の割合が高くなったと考えられた。今回の結果は大堰稼働後の短期的な影響であり、今後は大堰が魚類等に与える長期的な影響を把握するための調査が必要であると考えられる。
魚類採捕割合の変化 東名高速から大堰間の魚類採捕割合
図1 相模大堰下流の魚類採捕割合の変化 図2 東名高速下流から相模大堰間の魚類採捕割合の変化
神奈川県

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