「ホトケドジョウ」ってどんなドジョウ?

掲載日:2017年8月1日

「ホトケドジョウ」ってどんなドジョウ?

「ホトケドジョウ」ってどんなドジョウ?
 ホトケドジョウLefia echigoniは、コイ目ドジョウ科フクドショウ亜科に属する日本固有種です。
分布は、秋田県・岩手県以南の岡山県までの本州と四国の一部とされていました。しかし、最近になって本種は、ホトケドジョウとナガレホトケドジョウの2種に分けられました。神奈川県に生息しているのはホトケドジョウ(echigoni型)です。
 体型は小型で細長く円筒形で、4対8本の「ひげ」があります。大型の個体で全長8cmを越え、体色は地域差や個体差がありますが、多くは茶褐色または赤褐色で体側には黒点が散在しています。本種は、わき水のある流れの緩やかな細流や用水路等の河川の源流域や支流域に多く、河川本流域に出現することはなかなかありません口雑食性で、アカムシや水生昆虫等の小動物を主食としています。人工飼育中には熱帯魚用やキンギョ用の配合飼料をよく食べます。1年で成熟し、春先に1尾の雌を数尾の雄が追いかけながら水草等に産卵します。卵は直径約1mmで、2-3日でふ化します。ふ化仔魚は約3mmで、ふ化翌口には水中を泳ぎ出します。ふ化後15円で全長2cm程度になり、翌春には4-5cmにまで成長します。

ホトケドジョウは今・・
 ホトケドジョウの主要な生。自、地は低い山から平地にかけて形成される谷戸を流れる細い流れです。このような場所は人間にとって住みやすく、また開発しやすいので、ホトケドジョウは全国的に減少しています。水産庁の希少生物関係の資料では、「減少種」に位置付けられています。神奈川県における生息河川は、多摩川、鶴見川、帷子川、大剛川、神戸川、滑川、相模川、金目川、酒匂川などが知られていますが、都市化に伴う環境悪化により急激に生息地が減少し、県の「レッドデータ生物調査報告書」では「絶滅するおそれのある種類」とされています。とくに、川崎市や横浜市等都市部の周辺生息地の減少が目立っています。

水産総合研究所の取り組み
 水産総合研究所内水面試験場では、県内で絶滅しそうな希少種の生息地を復元し健全な生態系を取り戻すため、平成7年度から研究に取り組んでいます。その一環としてホトケドジョウの調査研究を実施しています。
 その結果、平成8年度に、本種の種苗生産技術の開発に成功し、平成9年度は、多摩川、神戸川、引地川、相模川など、8系統約600尾の種苗生産をおこないました。今年度はFRP水槽とキンラン(人工水草)を使用した増殖試験を実施し、数千尾規模の大量生産に成功しました。そして、相模川や神戸川等の支流では、生息地復元のために当場で増やした魚を用いて放流試験を実施しています。

市民とともに生息地復元へ 
 ホトケドジョウは、飼育して保護することは、もちろん重要です。しかし、試験場や動物園でしかホトケドジョウをみることができない-あの「トキ」のように-、そんな最悪の事態は絶対に避けなければなりません。
 保護の最終目標は、自然水域における生息地の復元にあるのです。試験場では、川崎市や鎌倉市、伊勢原市等の各市町村や市民団体に対し、保護活動の指導を行ったり、生息地復元活動に共同で取り組んでいます。
 川崎市の生田緑地では、専門家、行政、市民が一体となって委員会が結成され、ホトケドジョウの生息地復元活動がおこなわれています。今年は試験場の生田緑地産ホトケドジョウの種苗生産と並行して、市民ボランティアによる復元池の造成が2か所でおこなわれました。そして今年の春、試験放流を実施したところ、放流魚が繁殖し、たくさんの稚魚が泳ぎ出しました。稚魚は順調に成長し、現在は親と変わらないほど大きくなりました。今後も、さらに大規模な復元池が計画されており、ますます意気盛んです。ホトケドジョウを守るためには、この地域に代表されるように市民と行政が力を合わせて取り組んでゆく必要があります。絶滅の危機に直面しているホトケドジョウ、この小さな生き物を谷戸のシンボルとして保護し、次の世代へと受け継いていくこと、このことが結果的に川の源流域を守り、川や湖、そしてその水を集める海の環境と漁場を守ることになるのです。

水総研情報(1999.VOL.1)平成11年3月25日発行

神奈川県

このページの所管所属は 水産技術センター内水面試験場 です。

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県の重点施策
  • ヘルスケア・ニューフロンティア
  • 未病の改善
  • さがみロボット産業特区
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  • かながわスマートエネルギー計画
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